いせ九条の会

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選挙結果を「米軍再編へのゴーサイン」と受け止めるな/山崎孝

2006-11-22 | ご投稿
先に沖縄県知事選のことは触れましたが、再度、沖縄県知事選の結果を受けた沖縄の新聞の社説を紹介する形で触れます。

【沖縄タイムズ】

(前略)政府の言いなり避けよ 今回の選挙では、米軍普天間飛行場の移設問題がもう一つの大きな争点となった。

仲井真氏は、同飛行場の抱える危険性を除去するため稲嶺知事が示した暫定へリポート案を「構想としてあり得る」と評価。「現行の政府案(V字形滑走路)のままでは賛成できない」と、あらためて反対を表明した。

暫定ヘリポートなら三年以内の完成が見込める。この期間内に普天間の閉鎖状態を求めた上で、代替施設や具体的な移設条件などを政府や名護市と調整するという。条件や修正次第では、政府案に賛成するとの含みがある。

政府は「仲井真氏が普天間代替施設の建設に協力的に取り組んでくれるだろう」(防衛庁幹部)と期待しているようだ。

しかし、仲井真氏にとっても政府の言いなりでは沖縄に不利な条件を背負わされるとの危機感を持っているはずだ。

知事選で、与党が勝利したからといってもすぐに基地建設が進むわけではない。仲井真氏が稲嶺知事の暫定へリポート案を継承すれば、政府も厳しい交渉は避けられまい。

説明責任が求められる 選挙期間中、仲井真陣営は普天間移設問題で「政府寄り」と見られることを避けてきたといわれる。

仲井真氏は「現行案には賛成できない」としながらも、どんな案なら認められるのか、まだ説明していない。

名護市が求める滑走路短縮(千五百メートル)が条件かどうかも明言せず、「県内移設」を容認する条件や修正案は依然不鮮明だ。

「基地問題は稲嶺知事と同じく丁寧に対応する」と言い切ったものの、「軍民共用」や「十五年使用期限」を掲げて政府と渡り合った稲嶺知事と比べ、歯切れが悪いと言わざるを得ない。

政府や県、地元でつくる協議会で、移設受け入れも視野に入れた条件交渉が年内にも始まる。

日米両政府の意図に翻弄されず、政府と真正面から渡り合い、県民への説明責任もしっかり果たしてほしい。(以下略)

【琉球新報】

(前略)柔軟路線を選択 沖縄は復帰後も、日米安全保障体制の下で東アジアなどをにらむ軍事拠点とされ、過重な基地負担を強いられてきた。広大で精強な部隊が駐留する軍地基地の重圧は県民生活の向上を阻み、いびつな地域空間や都市空間を形成し、思うように自立経済構築できない状況を余儀なくされている。

仲井真氏には、日米政府に県民が翻弄され続ける構図に終止符を打ってもらいたい。外交・防衛は政府の専権事項だといっても、県民の頭越しに 姑息な沖縄対策を画策すれば反発を強め、解決が遅れるだけである。それは普天間飛行場の移設問題を見ても明らかであろう。

政府との太いパイプは、県民の意思を十分に伝え、難題の解決につながる抜本策を引き出す形で生かすべきだ。パイプの使い方を誤れば、脅しともとれる基地と振興策のリンク論の再浮上させることになる。パイプの流れは、やがて政府からの“一方通行”になり、ごり押しが強まってくる可能性も否定できない。

今回の知事選は、米軍再編や安倍首相の政権運営にも影響するとして全国的な注目を浴びた。選挙結果を受け、政府内に安堵の声が広がったことからもうかがえる。だが政府が、選挙結果を「米軍再編へのゴーサイン」と受け止めたとしたら、県民の真意を見誤ることになる。

県民が選択した柔軟路線はあくまで政府との対話促進を強く望んだものであり、振興策と引き換えに基地の重圧を我慢してもよい―ということではないはずだ。県民の声に耳を傾ける努力を、政府は怠ってはならない。(以下略)