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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた (118) 長尾家 31

2024年06月22日 08時36分45秒 | 甲越軍記
 越後国主、上杉兵庫頭定実は府内の落城を聞き、賊軍が上杉館へも攻め寄せるのではと危惧を抱いた。
直ちに諸将を呼び寄せて備えを固めた、だが待てども照田親子は攻め寄せてこないで、ひたすら府内城を守る姿勢に見えた。
兵庫頭の元には、日増しに軍勢が集まるので、兵庫頭は「敵の来るのを待つよりも、我らが府内城に攻め寄せて賊徒を討つべし」と勢を揃えて時を待った。

 一方、府内城にある照田、黒田、金津らは上杉館に大軍が集まって、今にも攻め寄せる気配と聞き、とても大軍には当たりがたしと思い、三条の長尾平六郎俊景と謀りを共にしようと城を出て蒲原郡に兵を進めた。

これによって屋形、上杉兵庫守は一人の手負いも出さずに府内の城に入城した
そして城主であった長尾弾正左衛門を城に呼び戻す使者を送った

晴景が城を抜け出て、笠島に備えを立てた時には僅か八十余騎だったものが、その夜には、落ちて来た士が続々と集まり、二千騎に膨れ上がった。
更に府内の変を聞いて、長尾一族の諸将も馳せ参じ、上田越前守、古志駿河守、刈田相模守、高梨播磨守、さらに大熊備前守、神余越前守などが笠島に集まると再び大軍となった 
これで勇気を得た晴景は恥を濯ぎ城を取り返そうと府中へ向かったが、途中で上杉定実の使者に遭い、照田親子が既に城を脱出して下越後方面に向かったと聞いた。
晴景は大いに喜び、やがて府内の城に入った。

喜平二景虎は、浄安寺門察西堂の手引きで栃尾に至った
密かに寺に入った景虎は、直ちに本庄美作守に対面した、美作守は大いにこれを喜び、景虎を城中に迎え入れ、世上の体を伺えば、近郷の諸将はみな平六郎俊景や黒田、金津の催促に従って国の大半は敵で満ち満ちている
一人、宇佐美駿河守が琵琶島の城に籠っている、それを知った本庄美作守は喜び、景虎に「今やわが周囲は賊徒で満ち溢れているため、某一人ではとても敵い難し、去れども琵琶島城主、宇佐美駿河守は文武の才に恵まれ、若年より数十度の戦に出て、その都度、誉を得て来た強者
その名は近隣諸国まで鳴り響き、その上に領地は五万八千石に至り。軍兵も数千を養う
天晴、彼のものを御頼みあらば、ご本意を遂げさせるために力を貸してくれるでありましょう
そう言って、美作守は琵琶島に向かい駿河守に対面し
「長尾景虎君、府内を逃れわが栃尾の城に至り、某を深く頼ってこられましたが、周りの全てが敵なれば、とても某一人では若君の願いをかなえるに至らず
そのような時、天晴、宇佐美殿の姿を聞きおよび、彼を頼み父兄の仇を報じ、逆徒を沈める由、宇佐美殿にお頼みあった」と言うと、宇佐美駿河守は誰に相談することもなく、これを快諾して本庄美作と共に栃尾に至る。



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