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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた (117) 長尾家 30

2024年06月21日 09時35分58秒 | 甲越軍記
 一行は林泉寺に至り、景虎守護のことを願い出ると、僧徒らは方丈に集まり
「当寺は長尾家代々の菩提所にて恩を被ること永し、大壇那の一大事であるから、力の限りを尽くして若君を守りましょう」と言った
そして「もし敵勢が個々に押し寄せれば、若君を害し、寺は乱暴狼藉の上、灰燼とされるでしょう、各々心を一つに合わせてこれを防ぎ、叶わざる時は本堂を枕に討死すべし、速やかに用意せよ」と申し付けた。

時に栃尾の浄安寺の僧門察西堂は、ちょうど林泉寺に滞在していたが進み出て、「衆僧菩提所の由緒を以て、景虎殿を守って討死とのこと、まことに勇ましく思う、されども僅か一寺の兵を以て大敵に当たるのは、卵をもって大石に当たるが如し也、せっかくの勇気も、その甲斐なく若君は害され、寺は焼き尽くされるであろう、これは栓無きことである」
息を継ぎ「わが栃尾には城主本庄美作守あり、義勇抜群の勇士にて信義最も厚き将である
某は久しく美作守とは親しければ喜平二殿を栃尾に伴い、本庄を頼み本意を本意を達成するのは如何であろうか」と問えば
林泉寺の衆僧たも、これに同意し、その夜の内に闇に紛れて、景虎を守護して戸倉興八郎、秋山源蔵、曽根平兵衛、鬼小島弥太郎らと共に、栃尾を目指した。

ある説によれば、景虎は二の丸の床下に隠れている時も驚く様子もなく、土間の土で土偶人を作り、小石を拾って終日、武者配備の試しをしていたとのことである
名将になる人物の度量を知る逸話である。




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