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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた(96) 長尾家 9

2024年05月11日 08時02分10秒 | 甲越軍記
 長尾越前守房景は兵をまとめると城内に逃げ込んだ
これより長尾勢は手を変え品を変えて上杉勢に立ち向かうが、ただただ死者が増えるばかりで上田の城は危うく見えた
上田の兵は心がくじけ始めて、富山隼人、林、丹羽などは、ぬけぬけと城を抜け出て上杉の陣に投降した。

為景は、これをみて心を痛め何かの策は無いかと頭を巡らせた
そして謀がひらめいた(上杉の将の中にも、柿崎弥二郎景家は生まれついての豪勇であるが、精力人並外れた壮年の男盛りであるから、女をもって彼の心をとろかせて、裏切りの術で味方にすることは可能だろう)と考えて、照田久二郎を密かに柿崎の陣へ送り、金銀の器物ならびに巻物数百巻、美女二人を添えて柿崎に贈り「わが陣営に来れば、数多の所領を与えようではないか」と弁舌を持って誘えば
さすがの弥二郎も欲と色に負けて説き伏せられ、裏切りの約定を結んだ。

弥二郎の裏切りに成功した為景は大いに喜び、これを上田の城内にいる房景に伝え、時日を定めて長尾越前守房景、同五郎政景は三千余騎を二手に分けて上杉の陣に攻め寄せた
兄の長尾為景も四千余騎を五段に分けて宇佐美の陣へ押し寄せた
両陣互いに「えいえい」と声を励まし攻めかかる
上杉の諸将、宇佐美、三郡の将兵陣中より攻め出て「ひと揉みにしてくれようぞ」とかかれば長尾越前勢の先陣は浮足立ち、四方に散った
八条、風間、五十嵐らはこの勝ちに乗じて二陣にも攻めかかる
上田勢はなおも後方に引き下がる、しかしこれはかねてよりの作戦での偽りの負け戦、それを知らず上杉勢は勝ちの勢いで、なおも深く攻め寄せる

この時、上杉方の柿崎弥二郎は病気と称して陣中に居残った
彼の目的は己の親戚、一類にも知らせず戦いの動静を見て「ときは良し、いまぞ」と上杉の陣中に火を放った。


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