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高校野球 朝日新聞批判 朝日新聞は高校野球中止を主張すべきだ

2021年08月20日 06時59分02秒 | メディア



宮崎商業 東北学院 試合を辞退 大阪桐蔭ブラスバンド 部員感染、甲子園での応援断念
 8月17日、高校野球大会本部は、選手ら5人の新型コロナウイルス陽性が確認された宮崎商業と東北学院が試合を辞退し、これを受理したと発表した。
 宮崎商業では今月14日の夕方、選手1人が発熱し、PCR検査で陽性反応を示していましたが、宿舎に入っているチーム関係者35人が医療機関で検査を受けた結果、発熱した選手を含め13人の感染がわかり、さらに保健所から8人が濃厚接触者と判断された。東北学院は、選手1人の陽性が確認され、選手3人と朝日新聞社の記者1人が濃厚接触者となった。
 高野連と朝日新聞社は、今大会で出場の可否を判断する際「個別感染」か「集団感染」かを重要視していて、宮崎商業については「集団感染」に該当すると判断し学校側に伝え、17日午前、宮崎商業から19日の初戦を前に出場を辞退するという申し出があり受理したとした。東北学院については、大会本部は「個別感染」としたが、東北学院は、出場するれば感染者や濃厚接触者が特定される恐れがありり、生徒の将来に影響を及ぼす可能性を懸念して「辞退」という判断に至ったという。東北学院副校長は「大変残念だが、生徒のプライバシーを守りたい」と述べた。
 宮崎商業と東北学園の対戦予定校は不戦勝になる。宮崎商は13年ぶり5回目の出場、東北学院が初出場だった。
 朝日新聞は、五輪大会では、コロナ感染で棄権した選手が出たことに言及し、「コロナ禍で涙をのんだ選手たちにとって、この五輪は公平だったと言えるのか。悩みながら出場した選手たちの思いは、報われたのだろうか」と主張した。高校野球については同じ主張はしないのか。高校野球の選手たちの思いは受け止めないのか。
 一方、大阪桐蔭吹奏楽部はブラスバンド演奏による応援を予定していたが、同部内に新型コロナウイルス感染者が発生したため、急きょ応援を取りやめた。同部OB会の公式ツイッターが「大切なお知らせ」と題し、「この度、吹奏楽部で新型コロナウイルス感染者が判明したため、本日予定していた甲子園での応援を取りやめる事になりました。楽しみにして頂いていた皆様には大変申し訳ございません」と投稿した。
 ついにコロナ感染は、選手や学校関係者に及び、前代未聞の2校の出場校辞退という状況に追い込まれた。
 更に悪天候の影響で、今日(8月18日)の試合開催も中止、史上最多の6度目の「延期」となり、選手の健康を守るために設けられた「休息日」も3日が設定されていたが、準々決勝後の1日だけに削減された。「強硬日程」に対しての批判記事は一切ない。
 こうした状況の中で、朝日新聞は高校野球の開催をこのまま継続することが適切なのか、論評する記事を一切掲載していない。五輪開催を激しく批判した報道姿勢はどこにいったのか。メディアとしての責任が問われる。

東海大菅生-大阪桐蔭 豪雨に見舞われ8回表でコールドゲーム 7対4で大坂桐蔭が勝利
 大会3日目の第一試合、東海大菅生-大阪桐蔭の試合は8回の表、東海大菅生の攻撃の最中に中断、甲子園球場は豪雨でグランドは水浸しになっていた。 雨は降りやまず、その後、ノーゲームが宣告され、8回表でコールドゲームとなり7対4で大坂桐蔭の勝利となった。しかし問題は、「中断」の判断は遅すぎたことだ。雨は5回頃から激しさを増し、中継映像を見ていても雨で明らかに視界がなくなり、グランドは水たまりになっていた。なぜ試合が成立する7回前に判断してノーゲームとして再試合にしなかったのだろうか。雨で延期が相次いでいる中で、強引に試合消化を優先させた運営姿勢は非難されてしかるべきだろう。とくかく大会本部は、なにがなんでも「開催ありき」、明らかにアンフェアな判断だった。
 NHKは、生中継番組で、「続行やむなし」を言い続けて、7回に入る前に「中断」について言及しなかったNHKアナウンサーと解説者の責任も問われる。

甲子園に入場認める学校関係者の範囲を制限
 8月16日、高野連と朝日新聞社は、入場を認めている学校関係者の範囲を大会第5日(17日)から制限すると発表した。
 兵庫県に緊急事態宣言が出される見通しになったことなどを踏まえ、学校関係者の定義を生徒、保護者、教職員、野球部員だった卒業生とし、校長が氏名、連絡先などを管理できる人にする。
 第7日(19日)までについては返券に応じる。この措置に伴っての移動、宿泊のキャンセル料は主催者が負担するとした。
 しかし、「校長が氏名、連絡先などを管理できる人に限る」としたことで、これまでの「学校関係者」とは一体何だったのかという疑問がわく。学校が甲子園で観戦したいという人を募って、一般市民でも幅広く観戦が可能だったのではという疑念が生まれる。だとすればなんとも杜撰な「制限」と言わざるを得ない。
 また、代表校の関係者の感染者が出ても、「個別感染」か「集団感染」かを見極めて「個別感染」と見なされれば、チームとしての試合の出場は認められる可能性があるとしている。しかし、代表校の関係者は同じ宿舎に宿泊をしていて、練習、移動などは常に同一行動、マスク着用で「密」は避けるにしても、感染者が発生したら、「個別感染」か「集団感染」にかかわらず、感染リスクは極めて高くなるのは明らかだろう。朝日新聞は五輪大会で「個別感染」か「集団感染」の区別について言及したのか。高校野球だけなぜ特別扱いするのか説明を求めたい。
 「開催ありき」の姿勢はまさに高校野球にある。

速報 宮崎商業の選手ら5人がコロナ感染
 高野連=日本高校野球連盟や朝日新聞は、宮崎商業の選手1人が14日夕方に発熱し、15日に病院でPCR検査を受けたところ陽性反応を示し、これを受けてほかの選手などもPCR検査を受けた結果、16日朝までに新たに選手など4人の感染が確認されたことを明らかにした。
 感染が確認された5人を含むチームの関係者は濃厚接触者について保健所の判断が出るまで宿舎の個室でそれぞれ待機している。
 宮崎商業は18日、第1試合で智弁和歌山高校との初戦に臨む予定になっている。
 大会主催者は、出場の可否について、濃厚接触者についての保健所の判断を待って緊急対策本部の会議を開き決定するとしている。
 一方、政府は今月31日までを期限に「蔓延(まんえん)防止等重点措置」を適用している兵庫、京都、福岡にも新たに「緊急事態宣言」を発令する方向で検討が進められている。朝日新聞は、「緊急事態宣言」のが発令された東京で、五輪開催を行うことに対して強く批判をした。兵庫に「緊急事態宣言」が発令されたら、朝日新聞は「高校野球開催」を予定通り無批判に続けるのだろうか。主催者として、メディアとしての説明を強く求める。

朝日新聞は高校野球関係者のコロナ感染者を公表せよ 選手1人陽性 朝日新聞記者も濃厚接触者で待機
 コロナ禍の中で開催された甲子園大会は、停滞する前線による豪雨にも見舞われ、大会運営は大きな打撃を受けている。
 昨日は、試合開始時間が3時間も遅れ、最終試合の第四試合は、夜7時10開始、終了は9時30頃、前代未聞の競技運営となった。朝日新聞は、五輪大会の運営で夜間の競技開催について厳しく批判した。高校野球なら9時過ぎまでの開催は「目をつぶる」のか。「開催ありき」と五輪を批判した。「開催ありき高校野球」となぜ批判しない。
 さらに雨の離京であわせて4日間の延期を余儀なくされている。暑さなどから選手の健康を守るために「休息日」がほとんど消えた。朝日新聞は選手の健康問題の配慮はやめたのか。
 懸念されたコロナ感染者が発生していることも大きな問題だ。
 8月14日、1回戦で愛工大名電に勝利し、2回戦に進出した東北学院(宮城)の選手1人が新型コロナウイルスのPCR検査で陽性が判明したと発表された。
 陽性が発覚した選手は13日に発熱。13日夜と14日の朝の2回、PCR検査を行い、ともに陽性反応が出た。14日朝のPCR検査では、他に陽性者はいなかった。当該選手やチームのメンバーは濃厚接触者についての保健所の判断が出るまで、宿舎でそれぞれ個室で待機した。
 翌15日、大会本部は、選手2人と練習補助員1人に加え、チームと大会本部との調整などを担う主催者の朝日新聞記者の計4人が濃厚接触者として保健所に認定されたと発表した。4人はそれぞれの宿舎で待機中で、12日と14日に受けたPCR検査では陰性だった。陽性となった選手は15日に選手宿舎から宿泊療養施設へ移ったという。
 問題は、感染ルートである。選手2人と練習補助員1は、厳しく行動管理がなされていると思われるので、朝日新聞記者がなんらかの「感染源」となった懸念も残る。朝日新聞は、一刻も早く、調査を行い、結果を公表すべきだろう。勿論、プライバシーについては十分な配慮が必要だ。

 最大の問題は、選手やチーム関係者以外の大会関係者や学校関係者のコロナ感染情報が一切明らかにされていなことである。五輪関係者のコロナ感染者を連日報道して厳しく追及した朝日新聞は、高校野球については沈黙している。
 国際オリンピック委員会(IOC)は、毎日、「選手」、「大会関係者」、「メディア」、「委託業者」などを「海外」と「国内」に分けてコロナ感染者数を公表した。朝日新聞は、同様に高校野球関係者のコロナ感染者を公表すべきだ。
 甲子園地域に開催期間中に滞在している代表校の関係者は、1校当たり約30人として計49校で約1500人、学校関係者が1日あたり最大4000人、それに大会関係者や関連業者などが加わり、1日当たり5000人近くが大会に関わっていると思われる。
 一方、開催地兵庫県のコロナ感染状況は、まさに感染爆発で「制御不能」状態に陥っている。8月12日は史上最高の728人の新規感染を出し、入院病床率は50%超である。兵庫県の陽性率は、20.4%と20%を超えている。5000人に全員にPCR検査を実施すると、20%という数字は過剰だが、数十人程度の陽性者が出るのは当然と思われる。甲子園大会の場合、PCR検査を毎日全員に対して実施していないが、それにしても大会関係者で、「感染者1人」というのは不自然である。
 なぜ朝日新聞は、関連業者やメディアを含めて大会関係者の陽性者の数と内訳を明らかにしないのか。五輪大会は厳しく批判する一方で、高校野球は「目をつぶる」のか、説明を求めたい。
 また、五輪報道については、「バブルに綻び」として、大会関係者が宿泊施設を抜け出して外出する姿を追いかけた。周辺のコンビニ等に「張り込み」取材を行い、大会関係者や外国人メディアが飲料などを買う姿を報道して批判を浴びさせた。
 高校野球関係者の「バブル体制」は実施していないが、外出自粛が求められている。甲子園エリアに滞在する大会関係者が市内に外出する様子の「張り込み」取材はしないのか。地元兵庫県は感染爆発の状況である。
 朝日新聞は、主催者としてメディアとしての責任を果たして欲しい。

朝日新聞社は「高校野球大会中止」を検討しないのか
 日本人選手のメダルラッシュで沸いている五輪大会の開催中の7月27日、東京都の新型コロナ新規感染者数が過去最多となったことを受け、菅首相は、オリンピックを中止するという選択肢はあるかとの質問に対して、オリンピック中止の可能性を否定した。
 菅首相は、コロナ感染の再拡大が進む中で、朝日新聞社を始め、メディア各社から、オリンピック中止の可能性を再三に渡って問われていた。
 8月12日、朝日新聞は、一面トップで「31都道府県『感染爆発』」とい見出しを掲げ、厚労省の専門家組織は首都圏を中心に「もはや災害時の状況に近い局面」だと強い危機感を示したと伝えた。最早、日本は「感染爆発」の危機に立たされているのである。
 こうした中で8月10日に朝日新聞社と高野連が主催する夏の甲子園大会が開催されている。今日は雨のために中止となり、試合は明日以降に順延となった。
 朝日新聞などメディアは、五輪開催については、コロナ感染者が急速に増加している中、「中止の可能性」について、必要に菅首相に迫った。
 しかし、「感染爆発」の危機に突入したという局面の中でも、主催者である朝日新聞社は「高校野球中止」問題について言及をしない。開催を懸念する記事すら一切ない。
 筆者はこうした朝日新聞の報道姿勢にまったく納得しない。
 朝日新聞やメディアが五輪に対しては「中止の可能性」について菅首相に迫ったと同様に、高校野球の「中止」の可能性を朝日新聞社に問いたい。メディアとしての良心と正義が問われている。
 コロナ感染者爆発の危機は、明らかに五輪開催時を上回っている。


8月12日 朝日新聞1面 「31都道府県『感染爆発』」

朝日新聞は「高校野球」だけを特別扱いするな!
 8月10日、夏の高校野球大会が開幕した。開会式の選手宣誓で、小松大谷(石川)の木下仁緒主将は、「1年前、甲子園という夢がなくなり、泣き崩れる先輩たちの姿がありました。しかし、私たちはくじけませんでした。友の笑顔に励まされ、家族の深い愛情に包まれ、世界のアスリートから刺激を受け、一歩一歩歩んできました」と述べ、「人々に夢を追いかけることの素晴らしさを思いだしてもらうために、気力、体力を尽くしたプレーで、この夢の甲子園で高校球児のまことの姿を見せることを誓います」力強く締めくくった。
 「夢の甲子園」で高校球児が見せる「感動」と「勇気」そして、「希望」は、コロナ禍の中で閉塞感が溢れている今の日本の中で、後世に残るレガシーになる大会になることは間違いない。
 しかし、筆者は、朝日新聞の「五輪」に対する激しい批判と「高校野球」に対する報道姿勢に大きな疑問を抱く。
 五輪大会を目指したアスリートへの思いは無視して、高校球児の思いはしっかり受け止める、五輪あるリートの思いと高校球児の思いに違いはあるのか、朝日新聞に問いたい。
 五輪大会を社説で「中止勧告」をしたり、五輪バッシングを執拗に繰り返した姿勢への反省が一切ない。五輪は開催反対で、高校野球はなぜ開催なのか明快な説明が欲しい。
 夏の甲子園大会は、夏のスポーツビックイベントして全国的に絶大な人気がある。甲子園大会の関心の高まりは、出場校のある地域などを中心に、「人流」が増え、市民のコロナ対策への「気の緩み」を誘発するのは間違いない。
 朝日新聞は、五輪開催で市民の「気の緩み」が生まれ、「人流」が増加して、コロナ感染が増加する懸念を繰り返し指摘した。しかし、夏の甲子園大会ではその懸念がないのか。朝日新聞は明快な説明をすべきだ。五輪大会だけ、批判をして高校野球の悪影響には眼をつぶる報道姿勢には、まったく唖然とする。
 新型コロナウイルスの新規感染者は、高校野球が開幕した8月9日、全国で1万2073人、重症者は1190人と五輪が開催された7月23日に比べて倍以上になり、感染状況は更に悪化している。地元大阪や兵庫の新規感染者数は、大阪で995人、兵庫で275人に及び、病床占有率は40%を超えている。コロナのパンデミックは、五輪開催の時よりも更に悪化している。

 朝日新聞は、五輪開催による医療体制逼迫を厳しく警告した。しかし、夏の甲子園大会の開催で、地元の大坂、神戸の医療体制逼迫を警告する記事は一切ない。大坂、神戸の医療体制は崩壊寸前であろう。なぜ医療体制に言及しないのか朝日新聞は説明するべきだ。ちなみに五輪関係者で、コロナ感染で入院した人は、わずか4人で、五輪関係者のコロナ感染による「医療崩壊」は起きなかった。また、海外から来日した選手や大会関係者から、日本の市民にコロナの感染が広まったというファクトは今の所はない。
 また、多くの専門家やメディアは、五輪開催で「気の緩み」が生じて、「人流」が増して感染拡大に輪をかけたとしているが、印象論に基づいた発言、エビデンスがない。五輪開催で本当に「人流」は増えたのか。むしろ「巣ごもり観戦」で外出は減ったのではないかと筆者は分析する。

 8月10日、東京都医学総合研究所は、GPS の移動パターンからレジャー目的の人流・滞留を推定して、主要繁華街にレジャー目的で移動・滞留したデータを抽出して、主要繁華街 滞留人口を推定した。
 その結果によると、夜間滞留人口は、前週より 4.5 % 減少、6週連続の減少となった。7週前(6/20-26)と比較すると 30.2 % 減 となる。昼間滞留人口や、前週より 2.5% 減少、5週連続の減少となった。6週前(6/27-7/3)に比較して:19.7% 減 である。このデータを見ると、五輪開催が「人流増」につながったとするエビデンスはない。
 五輪と「人流増」の関係は、印象論でなく、エビデンスで論議するべきだろう。

 今年の夏の甲子園大会では、一般の観客は入れないが、参加各校の関係者や応援団などは1校当たり2000人を限度に入場を認めた。全国から選手や学校関係者が、交通機関や貸し切りバスを連ねて甲子園に集まる。
 政府や専門家は、感染防止策としてお盆を迎える中で「県境超える移動」の自粛を強く要請している。高校野球の開催はこうした要請に明らかに背反していることは間違いない。主催者の朝日新聞はこれをどう説明するのか。

 朝日新聞の論説委員・郷富佐子氏は「日曜に想う 『パラレルワールド』で起きたこと」とタイトルで、ボート競技のイタリア男子代表、ブルーノ・ロゼッティ選手 
がコロナ検査で陽性となり試合への出場ができなくなったり、サーフィン男子のポルトガル代表など、コロナ感染で棄権した選手が複数いたことに言及し、「おそらく今晩の閉会式で、バッハ会長は、高らかに「困難を乗り越えた東京五輪の成功」を宣言するだろう。 だが、いま一度、問いたい。コロナ禍で涙をのんだ選手たちにとって、この五輪は公平だったと言えるのか。悩みながら出場した選手たちの思いは、報われたのだろうか」と結論づけた。
 筆者は、郷富佐子氏に問いたい。
 今年の高校野球大会では、優勝候補筆頭の東海大相模高校で関係者31人が感染するというクラスターが発生し、県大会の出場を辞退、強豪校の福井商業や星稜(金沢市)、中越(長岡市)も感染者を出して県大会の出場を辞退している。
 こうした状況の中で、今年の高校野球は、「公平」だと言えるのか。
 朝日新聞の、ファクトを無視したアンフェアな五輪バッシング報道姿勢には唖然とする。

 さらに問題なのは、社説で「五輪反対」を唱えながら、五輪大会を支援するオフイシャル・サポーターを辞退せず、「経営と記事は別」として、スポンサーとしての営業活動を続けたことだろう。日本選手のメダルラッシュに沸くと、朝日新聞は、「手のひら返し」で五輪批判記事を引っ込めて、アスリートの「感動」と「称賛」の記事で紙面は溢れかえった。開催期間中は連日号外を発行し、日本選手の活躍を讃えている。号外には、しっかりスポンサーの広告も掲載、広告料収入もしっかり得ている。五輪を激しく批判しておきながら、アスリートへの「感動」を「売り物」にしている営業姿勢は問われてしかるべきだ。

 ライバルの読売新聞が7~9日に実施した全国世論調査では、東京五輪が開催されてよかったと「思う」は64%に上り、「思わない」の28%を大きく上回った。
 朝日新聞は、8月9日の1面で、東京本社スポーツ部長・志方浩文氏は「確かな理念を伝えられぬまま、東京五輪は終わった。でも、まだできることはある。組織委がすべての反省点を洗い出し、持続可能な五輪につなげる提案ができたなら、レガシーと言えるものになる」と述べた。
 しかし、検証しなければならいのは、組織委だけでなく、五輪ネガティブ報道に終始した朝日新聞の報道姿勢にある。朝日新聞の記者はすべて五輪ネガティブ報道を支持したのか。異論はなかったのか。社内で、五輪ネガティブ報道に対して、「ものを言えない」雰囲気がなかったのか。
 激しく五輪開催を批判する記事を執筆した記者の人たちに問いたい。
 五輪開催時よりより深刻になっているコロナの感染状況の中で、高校野球を開催することに何の疑問も持たないのか? 朝日新聞が主催するイベントだから批判はしないのか。ジャーナリストとしての正義が微塵も感じられない。
 
 朝日新聞を中心とするメディアの激しい五輪バッシング報道で、社会全体に、「五輪開催支持」だがそれを唱えられないという雰囲気が蔓延した。メディアに登場する評論家や有識者の多くは、ほとんど盲目的に五輪反対に追随した。まるで五輪反対を主張しないとまづいのではと思っているがごとくの無節操な大合唱を繰り返した。冷静にファクトを見つめる姿勢がない。
 こうした五輪バッシング報道で、追い詰められたのは、五輪を目指してきたアスリートたちである。
 競泳日本代表の池江璃花子選手は、ツイッターで「(東京五輪代表を)辞退してほしい」「(五輪の開催に対して)反対の声をあげてほしい」といったメッセージが複数寄せられていることを明かした。
 池江選手は「このコロナ禍でオリンピックの中止を求める声が多いことは仕方なく、当然のことだと思っています」としながら、2019年2月に白血病と診断されたことを受けて、「持病を持ってる私も開催され無くても今、目の前にある重症化リスクに日々不安な生活も送っています」と書いた。
 そして、「私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません」とコメント。「この暗い世の中をいち早く変えたい、そんな気持ちは皆さんと同じように強く持っています。ですが、それを選手個人に当てるのはとても苦しいです。わたしに限らず、頑張っている選手をどんな状況になっても暖かく見守ってほしいなと思います」と苦しい胸を内を明らかにした。
 アスリートの多くは、「五輪開催」を唱えたくても唱えられない状況に追い込まれたいただろう。社会全体に「ものを言えない」閉塞状況が覆った。まさに五輪反対ファシズム、冷静な議論の場を確保するデモクラシー社会を放棄した。
 こうした状況を生み出したのは朝日新聞を中心とするメディアの責任だ。メディアの責任は極めて重い。

 筆者は、改めて明快にしておきたいのは、熱烈は高校野球ファン、毎年、テレビ中継に1日中かじりついている。去年は中止になり本当にがっかりした。コロナ禍の中でも、感染防止対策を進めながら開催する姿勢を支持したい。コロナとの戦いは長期戦になるのは間違いない。コロナ禍だからこそ、スポーツイベントの開催を簡単に諦めるのではなくて、なんとか開催して、国民に「感動」と「勇気」を与えていくことが必須だろう。
 「五輪」も「高校野球」もまったく同じだ。

 一方で、筆者は五輪の在り方に全面的に賛同しているわけではない。
 止まることを知らない肥大化、膨大に膨れ上がる開催経費と地元負担の重圧、過度な商業主義、国際オリンピック委員会(IOC)の閉鎖的な体質や「浪費」体質、賄賂が横行する腐敗体質など厳しく批判を続けてきた。
 また完全に吹き飛んだ「復興五輪」の開催理念や招致を巡る贈収賄疑惑、放射能汚染水を巡る安倍前首相の発言問題も問い続けたい。この姿勢は変わることはない。
 しかし、筆者はオリンピックの開催理念、「多様性」と「調和」は支持したい。
 「分断」と「対立」を超えるツールとして「スポーツの力」を信じたい。



7月22日 朝日新聞朝刊(以下同)




7月27日 朝日新聞号外




2021年8月10日
Copyright (C) 2021 IMSSR

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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
E-mail
thiroya@r03.itscom.net
imssr@a09.itscom.net
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