(65) MI6
四百字詰原稿用紙換算12枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ち上がるように書いてあります。季節は常に真夏である。
登場人物
香山京子(16)165㎝。キリッとした美人。
香山組の組長(50)京子の父
同、若頭(50)温厚そうな顔
同、靖男(25)
高畑(50)優しそうだが崩れた雰囲気を漂わせている。
沙希(32)170㎝。妖艶な美女。29話に登場。

N=ナレーション
空の絵に、
N『日曜日――』
香山組事務所の外観(修一のバイクが外に停まっている。組の看板は外されており、以後、京子宅とする)。
更に別の角度から描いた京子宅の外観に京子と靖男の声、
「あ、修ちゃん、いらっしゃい」
「若、ようこそ」
注、事務所内、ソファに組長改め社長と若頭改めMと高畑が掛け、テーブルを挟んだ対面のソファーに修一と京子が掛ける。全員の前に飲み物有り。
ソファから立ち上がって修一を迎え、
京子「修ちゃん、ここに掛けて」
社長の後ろに立っている靖男が、
靖男「若、麦茶とアイスコーヒー、どっちがよろしいですか?」
修一「お、ボンド君、気がきくね」
靖男「(とまどい)え・・・ボンドて・・・?」
冷蔵庫を開けながら楽しそうに振り返って、
京子「靖男がスパイになったから、からこうてはるねん」
靖男「(嬉しそうに照れ)ボ、ボンド・・・か」
修一「(若頭に)いっそ組の看板を外した跡にMI6って看板をつけたらどうな?のうM君」
微笑む高畑の横で照れ、
若頭「え・・・Mってわしの事だっか?」
修一「決まっちょろうが、ボンド君の上司じゃけんのー」
若頭「(照れ)・・・さ、早速今日にも看板屋に注文してつけさせます。なんかユーモアがあっておもろいですなあ・・・」
若頭「わしショーンコネリーが出てた初期の007の大ファンやったんですわ」
楽しそうに修一の前にアイスコーヒーを置き、
京子「はい修ちゃん」と言った京子を修一がしみじみ見つめる。
京子「(頬を染めて照れ)・・・え?」
修一「角が取れたちゅうか、表情が柔らこうなって一段と美人になったのう・・・」
京子「(赤面し)あ・・・え、ほんまに・・・?」
社長「やっぱり若は観察眼が鋭いわ、わしも最近、おんなじ事思うててん・・・」
京子「(赤面し)いややわー、二人でうちをからこうてからに・・・」
アイスコーヒーを「ズズ―」と飲み、
修一「からこうちゃおるかいや」
修一「京子は年を重ねるごとに美しさに磨きがかかる女なんじゃ・・・」
京子、頬を染めてあ然。
修一「俺は今日それを発見したぞ。じつに貴重な発見じゃ・・・」
目尻を拭い、
京子(修ちゃんにそないゆうてもろたら女冥利につきるわ、常にうちを観察してくれてなかったら出てこん言葉やもん・・・)
修一「やくざの娘ちゅう足枷が取れて晴れ晴れした気持ちが内面から滲み出てくるんやろうのお・・・」
社長「(頭を下げ)ほんまに何もかも若のお蔭や、おおきに・・・」
天井の絵に社長と高畑の声、
「ところで高畑さん、会社の方はどんな具合かのう?」
「それがですね社長、MI6がいい仕事をしてくれてましてね・・・」
Mとボンドが照れる横で鞄から資料を出す高畑に、
京子「さっそくMI6やて、高畑さんって意外とノリがええんやね」
頬を染めて照れ、
高畑「えー、機密情報を他社に漏洩していた社員とパワハラで頻繁に問題を起こしていた部長をMI6が電光石火の早業で処分してくれたお蔭で・・・」
出した資料を見ながら、
高畑「みんな恐れをなしたのか反抗的な者がいなくなり、社内の空気が良くなって業績も順調に伸びています」
機嫌よく頷き、
社長「うんうん、そりゃ結構なことや」
真剣な顔で身を乗りだし、
修一「MI6の諸君!」と言うとMとボンドも顔を引き締めて身を乗り出す。
修一「もう諸君はかなりの情報を収集してると思うが、今後も常に分析を怠らず職務を全うしてもらいたい」
M 「はっ」
ボンドが「はっ」とやっているのを両手で口を押えて笑いを堪え、
京子(くっ、ほんまにどこまでマジか冗談か分からん人なんやから~)
修一「京子、ブルマー履いてこい。学校の体育館でちょっと汗流すぞ」
京子「えーっ?MI6の話がなんで突然ブルマーになるん?」
内緒話をするように京子の耳元に手を当て、
修一「パンツを脱いでブルマーを直に履くように。これは指令じゃ」
赤面してバッと敬礼し、
京子「はっ、京子は修ちゃんの命令に従うであります!」
空の絵に「プルプルプル」とバイクの音。
注、二人はアドレスで住宅街を走っている
バイクの後ろに乗った京子のスカートが翻ってブルマーが丸見えになってる絵に、
京子「あれ?どこ行くのん?」
修一「ちょっと寄り道・・・」
コンビニから離れた所で「キッ」と停まり、入り口付近に座ってたむろしてるヤンキー五人を見て、
修一「おっ、前方にウジを発見!」
「カチャ」とサイドスタンドを立てる絵のアップ。
注、ここから二人ともバイクから降りている。
修一、シートを開けるとマントとサングラスと太陽の絵のマークを貼ったターバンが入っている(要するに月光仮面のマスク無しのバージョン)。
背を向け、背中に日光仮面とヘタな字で書いたヨレヨレのマントを首に巻く修一を京子があっ気にとられて見ている。
月光仮面同様白縁のサングラスをして振り向いた修一にあ然として、
京子「・・・そ、そんな恰好して何すんのん?・・・」
修一「日光仮面の使命を果たしてくるけん、ちょっとまっててね」

月光仮面を頭に思い浮かべ、
京子(に、日光仮面って、ひょっとしたら月光仮面をパロッたつもり・・・?)
あっ気にとられる京子を残し、修一がバイクでプルプルと去る。
客達がヤンキーを恐々横目で見ながらコンビニに出入りする。
店内から従業員達が迷惑そうにヤンキーを見ている。
ヤンキー達、「ブオーン、ブオーン」という音に気づき振り向く。
眼前にウィリーしたバイクが突進してきたので驚愕し、
「ひーっ」と叫ぶ。
一人は背中から轢かれて「ぎえーっ」と叫び、他の者は「な、なんじゃこいつは!」と叫び必死に逃げ惑う。
バイクの左側を逃げる男の横っ面を「ゴヅッ」と殴る。
もう一人は後ろから「ドガッ」と蹴り倒す。
停まって倒れ伏した五人を見て、
修一「太陽の使者、日光仮面が天に代わってウジを成敗いたす!」
それを見てあっ気にとられて赤面し、
京子「・・・し、しゅうちゃん・・・」
店内から従業員達が狂喜し、
「おー、日光仮面だ!」
「日光仮面、待ってたぞー!」
修一「バキューン、バキューン」と口で言いながら指鉄砲を撃ち、立ち乗りしてヤンキー達をゴトッ、ゴトッと轢く。
「キキーッ」とターンして倒れ伏したヤンキー達を見て、
修一「日光仮面はヤンキーとやくざには容赦しないのだ!」
「プルプルプル」と去る修一を従業員達が外でパチパチ手を叩きながら見送り、
「よっ、日光仮面。ありがとーーっ」
「またたのむぞーーっ」
空の絵に「プルプルプル」「キッ」とブレーキ音。
京子、バイクから降りる修一をあっ気にとられて見ながら力なく手をパチパチ叩く。
修一がマントを外すのをあ然とした顔で手伝い、
京子「・・・し、使命、ご苦労様でした・・・」
すました顔でサングラスを外し、
修一「うむ」
字が歪んだマントを広げて見て、
京子「このマント・・・修ちゃんが作ったん?・・・」
修一「うん、夜なべして作った」
目を潤ませて畳んだマントをギュウと抱きしめ、
京子「・・・」
プルプルプルと走りながら修一の背にしがみつき、
京子「・・・いつから日光仮面は正義のために働いてるん?」
修一「一週間前からでござる」
京子(ほんまにどこまでマジなんか知らんけど修ちゃんが必死にマントを縫うてる姿想像したら・・・)
涙を拭い、
京子(・・・うち、泣きそうになる・・・)
つづく
四百字詰原稿用紙換算12枚
ページ数や内容に縛りのないweb漫画掲載を想定しておりネームがなくても順番にコマが起ち上がるように書いてあります。季節は常に真夏である。
登場人物
香山京子(16)165㎝。キリッとした美人。
香山組の組長(50)京子の父
同、若頭(50)温厚そうな顔
同、靖男(25)
高畑(50)優しそうだが崩れた雰囲気を漂わせている。
沙希(32)170㎝。妖艶な美女。29話に登場。

N=ナレーション
空の絵に、
N『日曜日――』
香山組事務所の外観(修一のバイクが外に停まっている。組の看板は外されており、以後、京子宅とする)。
更に別の角度から描いた京子宅の外観に京子と靖男の声、
「あ、修ちゃん、いらっしゃい」
「若、ようこそ」
注、事務所内、ソファに組長改め社長と若頭改めMと高畑が掛け、テーブルを挟んだ対面のソファーに修一と京子が掛ける。全員の前に飲み物有り。
ソファから立ち上がって修一を迎え、
京子「修ちゃん、ここに掛けて」
社長の後ろに立っている靖男が、
靖男「若、麦茶とアイスコーヒー、どっちがよろしいですか?」
修一「お、ボンド君、気がきくね」
靖男「(とまどい)え・・・ボンドて・・・?」
冷蔵庫を開けながら楽しそうに振り返って、
京子「靖男がスパイになったから、からこうてはるねん」
靖男「(嬉しそうに照れ)ボ、ボンド・・・か」
修一「(若頭に)いっそ組の看板を外した跡にMI6って看板をつけたらどうな?のうM君」
微笑む高畑の横で照れ、
若頭「え・・・Mってわしの事だっか?」
修一「決まっちょろうが、ボンド君の上司じゃけんのー」
若頭「(照れ)・・・さ、早速今日にも看板屋に注文してつけさせます。なんかユーモアがあっておもろいですなあ・・・」
若頭「わしショーンコネリーが出てた初期の007の大ファンやったんですわ」
楽しそうに修一の前にアイスコーヒーを置き、
京子「はい修ちゃん」と言った京子を修一がしみじみ見つめる。
京子「(頬を染めて照れ)・・・え?」
修一「角が取れたちゅうか、表情が柔らこうなって一段と美人になったのう・・・」
京子「(赤面し)あ・・・え、ほんまに・・・?」
社長「やっぱり若は観察眼が鋭いわ、わしも最近、おんなじ事思うててん・・・」
京子「(赤面し)いややわー、二人でうちをからこうてからに・・・」
アイスコーヒーを「ズズ―」と飲み、
修一「からこうちゃおるかいや」
修一「京子は年を重ねるごとに美しさに磨きがかかる女なんじゃ・・・」
京子、頬を染めてあ然。
修一「俺は今日それを発見したぞ。じつに貴重な発見じゃ・・・」
目尻を拭い、
京子(修ちゃんにそないゆうてもろたら女冥利につきるわ、常にうちを観察してくれてなかったら出てこん言葉やもん・・・)
修一「やくざの娘ちゅう足枷が取れて晴れ晴れした気持ちが内面から滲み出てくるんやろうのお・・・」
社長「(頭を下げ)ほんまに何もかも若のお蔭や、おおきに・・・」
天井の絵に社長と高畑の声、
「ところで高畑さん、会社の方はどんな具合かのう?」
「それがですね社長、MI6がいい仕事をしてくれてましてね・・・」
Mとボンドが照れる横で鞄から資料を出す高畑に、
京子「さっそくMI6やて、高畑さんって意外とノリがええんやね」
頬を染めて照れ、
高畑「えー、機密情報を他社に漏洩していた社員とパワハラで頻繁に問題を起こしていた部長をMI6が電光石火の早業で処分してくれたお蔭で・・・」
出した資料を見ながら、
高畑「みんな恐れをなしたのか反抗的な者がいなくなり、社内の空気が良くなって業績も順調に伸びています」
機嫌よく頷き、
社長「うんうん、そりゃ結構なことや」
真剣な顔で身を乗りだし、
修一「MI6の諸君!」と言うとMとボンドも顔を引き締めて身を乗り出す。
修一「もう諸君はかなりの情報を収集してると思うが、今後も常に分析を怠らず職務を全うしてもらいたい」
M 「はっ」
ボンドが「はっ」とやっているのを両手で口を押えて笑いを堪え、
京子(くっ、ほんまにどこまでマジか冗談か分からん人なんやから~)
修一「京子、ブルマー履いてこい。学校の体育館でちょっと汗流すぞ」
京子「えーっ?MI6の話がなんで突然ブルマーになるん?」
内緒話をするように京子の耳元に手を当て、
修一「パンツを脱いでブルマーを直に履くように。これは指令じゃ」
赤面してバッと敬礼し、
京子「はっ、京子は修ちゃんの命令に従うであります!」
空の絵に「プルプルプル」とバイクの音。
注、二人はアドレスで住宅街を走っている
バイクの後ろに乗った京子のスカートが翻ってブルマーが丸見えになってる絵に、
京子「あれ?どこ行くのん?」
修一「ちょっと寄り道・・・」
コンビニから離れた所で「キッ」と停まり、入り口付近に座ってたむろしてるヤンキー五人を見て、
修一「おっ、前方にウジを発見!」
「カチャ」とサイドスタンドを立てる絵のアップ。
注、ここから二人ともバイクから降りている。
修一、シートを開けるとマントとサングラスと太陽の絵のマークを貼ったターバンが入っている(要するに月光仮面のマスク無しのバージョン)。
背を向け、背中に日光仮面とヘタな字で書いたヨレヨレのマントを首に巻く修一を京子があっ気にとられて見ている。
月光仮面同様白縁のサングラスをして振り向いた修一にあ然として、
京子「・・・そ、そんな恰好して何すんのん?・・・」
修一「日光仮面の使命を果たしてくるけん、ちょっとまっててね」

月光仮面を頭に思い浮かべ、
京子(に、日光仮面って、ひょっとしたら月光仮面をパロッたつもり・・・?)
あっ気にとられる京子を残し、修一がバイクでプルプルと去る。
客達がヤンキーを恐々横目で見ながらコンビニに出入りする。
店内から従業員達が迷惑そうにヤンキーを見ている。
ヤンキー達、「ブオーン、ブオーン」という音に気づき振り向く。
眼前にウィリーしたバイクが突進してきたので驚愕し、
「ひーっ」と叫ぶ。
一人は背中から轢かれて「ぎえーっ」と叫び、他の者は「な、なんじゃこいつは!」と叫び必死に逃げ惑う。
バイクの左側を逃げる男の横っ面を「ゴヅッ」と殴る。
もう一人は後ろから「ドガッ」と蹴り倒す。
停まって倒れ伏した五人を見て、
修一「太陽の使者、日光仮面が天に代わってウジを成敗いたす!」
それを見てあっ気にとられて赤面し、
京子「・・・し、しゅうちゃん・・・」
店内から従業員達が狂喜し、
「おー、日光仮面だ!」
「日光仮面、待ってたぞー!」
修一「バキューン、バキューン」と口で言いながら指鉄砲を撃ち、立ち乗りしてヤンキー達をゴトッ、ゴトッと轢く。
「キキーッ」とターンして倒れ伏したヤンキー達を見て、
修一「日光仮面はヤンキーとやくざには容赦しないのだ!」
「プルプルプル」と去る修一を従業員達が外でパチパチ手を叩きながら見送り、
「よっ、日光仮面。ありがとーーっ」
「またたのむぞーーっ」
空の絵に「プルプルプル」「キッ」とブレーキ音。
京子、バイクから降りる修一をあっ気にとられて見ながら力なく手をパチパチ叩く。
修一がマントを外すのをあ然とした顔で手伝い、
京子「・・・し、使命、ご苦労様でした・・・」
すました顔でサングラスを外し、
修一「うむ」
字が歪んだマントを広げて見て、
京子「このマント・・・修ちゃんが作ったん?・・・」
修一「うん、夜なべして作った」
目を潤ませて畳んだマントをギュウと抱きしめ、
京子「・・・」
プルプルプルと走りながら修一の背にしがみつき、
京子「・・・いつから日光仮面は正義のために働いてるん?」
修一「一週間前からでござる」
京子(ほんまにどこまでマジなんか知らんけど修ちゃんが必死にマントを縫うてる姿想像したら・・・)
涙を拭い、
京子(・・・うち、泣きそうになる・・・)
つづく
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