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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・松尾香織女流初段⑦

2010-01-22 00:18:45 | LPSA金曜サロン
昨年11月27日のLPSA金曜サロン、夜は松尾香織女流の担当だった。昼は大庭美樹女流初段の担当だったから、この日は酒豪ペアだったことになる。
松尾女流初段は、指し初め式での設問「LPSAでお酒が強いと思う女流棋士は?」では6票を集めた。
しかし1位の大庭女流初段が9票だったから、3票も差がある。これはおかしい。ふたりは将棋もお酒も、いい勝負と思う。あれはいつだったか、どこかのブログで、松尾女流初段と大庭女流初段がビール片手に野球観戦をしている画像を見たことがあった。ふたりとも幸せそうないい顔をしており、このふたりと飲みに行ったら、いくら予算があっても足りねぇな…と、背筋にゾクッと悪寒が走ったのを憶えている。
さて、今回の将棋も扇子サイン勝負である。しかし松尾女流初段にも現在3連敗中。負けた1局目は松尾女流初段のゴキゲン中飛車、2、3局目は私の藤井流矢倉早囲いだったが、いずれも惜敗した。結果、3本目の扇子は、揮毫をいただけないまま、逃げられた。
もう負けるわけにはいかない。毎度のことながら、私は気を引き締めて指導対局に臨んだ。
☗7六歩☖3四歩☗2六歩。ここで松尾女流初段が、「矢倉…だったかな」とつぶやき、☖5四歩と指す。このところ相矢倉の将棋が続いたのを憶えていて、本局はゴキゲン中飛車を目指したものと思われる。このあたりの配慮がうれしい。
私は急戦を見送り、玉頭位取りを目指す。中盤に入って、と金を作られ桂損はしたが、まあいい勝負と感じていた。しかし☗7四歩を狙って☗5五角と飛び出たのが、次の☖4五歩を見落とした疑問手。いきおい☗3三角成☖同飛と角交換に応じたが、これでは丸々の1手損になり、戦意が萎えた。
上手 松尾女流初段・1一香、3三飛、3四歩、3七と、4三銀… 持駒:角、桂など
下手 私・2六飛、3五歩、4六歩、6八金、7五歩、7六銀、7七角、7八玉… 持駒:あり
の局面で、松尾女流初段が☖3六とと、貴重なと金を捨ててきた。私はありがたく☗同飛と取る。ところが☖4七角と飛車銀両取りに打たれ、飛びあがった。
こんな簡単な手をうっかりしているとは、どうかしている。
私は☗3四歩と取り込み、上手が☖同飛と応じてくれたので、☗同飛☖同銀と進み、とりあえず飛車は捌けた。しかし☗7六銀を守る手がむずかしい。
しばらく考えたが、銀を逃げても矢継ぎ早に攻められ、一手一手と判断し、ここで私は投了した。
「エエーッ!?」
と声をあげる松尾女流初段。さすがにこの投了は早かったか。左で指していたHa氏は、「これは…島朗ばりの投了ですね」と言う。植山悦行手合い係も飛んでくる。
投了以下の変化を軽く進める。手順によっては☗1一角成と香を取る手はあるが、角を切られ飛車を下ろされて、こちらにあらかた受けがない。
私がその手順を並べると、植山手合い係が、
「ふーん、強いですね」
と言った。ただその言葉には、多少の皮肉が感じられた。この程度で投了するものではありませんよ、と諭されているようだった。
私は盤を離れ、
「松尾先生に4連敗するとは…」
とつぶやくと、
「エッ?…なにか言いました?」
と松尾女流初段。
「いえ、なにも…。ああ、もう松尾先生に一生勝てないような気がしてきた…」
私が再びつぶやくと、すかさず松尾女流初段が聞き咎め、
「エッ!?…もう! 一公さんには一生負けない!」
と叫んだ。
私にそんな気持ちは微塵もなかったのだが、松尾女流初段が私の言葉の中に、「あの先生に負けたのが信じられない」というニュアンスを感じ取ったのだろう。結果、笑みを浮かべながらではあったが、永久不敗宣言をされてしまった。実際松尾女流初段は、半ば本気で沸騰したようで、のちにスタッフ氏が笑って、
「松尾さん、ぼくにも、一公さんには一生負けない! って言ってましたよ」
と打ち明けてくれた。
まずい…。藤田麻衣子女流1級に続いて、またひとり、厄介な敵を作ってしまった。
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北尾まどか先生、お誕生日おめでとうございます。

2010-01-21 01:08:42 | 女流棋士
きょう1月21日は北尾まどか先生のお誕生日。おめでとうございます。
北尾先生は多彩な才能の持ち主ですが、いちばんのヒットは、「どうぶつしょうぎ」の考案でしょう。「将棋」のルールを考えた人は分かりませんが、「どうぶつしょうぎの考案者・北尾まどか」は、将棋史に名前が残ります。これは素晴らしいことです。
昨年5月、フリー宣言をされたときは私も驚きましたが、才能あふれる北尾先生には、団体に属するより、何者にも捉われず伸び伸びと活動するほうが、性に合っていたのでしょう。
先日の「とちぎ将棋まつり」に大勢の棋士が集まり大成功を収めたのも、北尾先生の人徳があってこそだと思います。
これからも斬新な発想と行動力で、将棋界を引っ張ってください。応援しております。
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金曜サロン・大庭美樹女流初段⑥

2010-01-20 00:43:19 | LPSA金曜サロン
昨年11月27日のLPSA金曜サロンは、昼が大庭美樹女流初段、夜が松尾香織女流初段の担当だった。
今年のLPSA指し初め式では余興として、所属棋士にアンケートを取ったものがクイズになったが、その中で「LPSAの中でいちばんお酒が強いと思う人は?」という設問があった。注目の回答は大庭女流初段が9票を集め、船戸陽子女流二段や松尾女流初段を抑え、ぶっちぎりの1位となった。
大庭女流初段が顔色を変えず、しずかに酒を飲む姿が浮かぶ。このタイプが、いちばん酒が強いのだ。
さて大庭女流初段はほぼ毎月金曜サロンの常駐棋士になっており、同サロンではお馴染みである。私はこれが4本目の扇子サインラリーのスタートであり、大庭女流初段との記念すべき10局目の対局でもあった。
戦形は大庭女流初段の四間飛車。指導対局当初は大庭女流初段の右玉に悩まされたが、アマチュア相手に得意戦法で撃破するのは大人気ないと思ったのか、昨年ごろからふつうの振り飛車を採用されることが多くなった。
とはいえ本局の純粋四間飛車も2008年8月8日以来で、久しぶりだった。しかしそこは大庭女流初段、無難な駒組みはせず、いきなり☖4五歩と角交換を迫ってきた。
昨年7月、マイナビ一斉予選対局で敗退して、「これからは自分の指したい手を指す!」と宣言されたと聞いたが、それがこの積極策に繋がっているのかもしれない。
私はそれにお付き合いせず、ふつうに玉を囲った。以下、角交換からねじりあいの将棋が展開されたが、なんとか勝ちを拾うことができた。
大庭女流初段は指導対局中あまり表情を変えないので、形勢判断がむずかしい。だから投了の声を聞くと、いちばんホッとする。つまりそのポーカーフェイスが、大庭女流初段の持ち味ということになる。
指導対局は、アマにいくら負けてもよいのだ。問題は公式戦である。来たる女流名人位戦の対局に、全力を尽くしてください。
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金曜サロン・藤森奈津子女流三段④

2010-01-19 00:28:17 | LPSA金曜サロン
昨年11月20日夜のLPSA金曜サロンは、藤森奈津子女流三段の担当だった。
扇子サインコンプリート「マジック1」となって臨んだ、昼の中倉宏美女流二段との指導対局。これに敗れ奈落の底に突き落とされた私だったが、落ち込んでいるヒマはない。引き続き、藤森女流三段ともサイン勝負である。なにしろ、もう9名の女流棋士からサインをもらっている。ここで勝たないと、当分サイン勝負の機会は回ってこない。もう、本当に後がなかった。
とはいうものの、この対局の前まで、藤森女流三段にも指導対局で3連敗中だった。いずれもサイン勝負で、藤森女流三段は「私には勝てるでしょう」と言いつつ、厳しい手を繰り出してくる。あの柔和な顔にダマされてはいけない。私はいつも以上に気を引き締めて、対局に臨んだ。
将棋は藤森女流三段の三間飛車。藤森女流三段との平手局はこれで11局目になるが、すべて藤森女流三段の振り飛車である。
藤森女流三段の将棋は、序盤は軽快に捌くが、中、終盤でやや不利になると自陣に駒を埋めて、容易に負けない指し方をする。関西流の味、といおうか。そんな1局の中での「棋風の変化」に戸惑って、逆転負けした将棋も少なくない。
前述のとおり、この将棋を負けたら、次の「サイン勝負」はいつになるか分からない。とにかくこの将棋こそ、絶対に勝たねばならなかった。
中盤、私の桂、香得になった。しかし昼の中倉女流二段との将棋では、中盤で金得になって負けたのだ。このくらいで優勢を意識してはいけない。あの将棋で教訓になったものがあるとしたら、これだ。私は互角のつもりで、1手1手を慎重に指した。
☗3七歩と、じっと角成りを受ける。☖3五歩には☗2六飛、☖2五歩にも☗1六飛と、あくまで我慢を続ける。とにかくこちらは駒得を主張し、斬りあってはいけないと言い聞かせた。と、突然、
「これは…負けました」
と、藤森女流三段がアッサリ投了を告げたので、ビックリした。
「早い投了」では、いつもは私が驚かれるのだが、今回は私が驚く番である。もちろん私はまだまだと考えていたのだが、金持ちケンカせずの姿勢でこられては、藤森女流三段も動きようがなく、ほかに指導対局を待っている人がいたこともあり、このあたりが投げる時機と考えたのだろう。まあいろいろ事情があったにせよ、とにかくホッとした、というのが偽らざる心境だった。
とはいうものの、盤を離れて一息つくと、やはり中倉女流二段のサインも欲しかったと思う。しかし会員の誰かから
「元女流棋士会会長からのサインだから、十分価値があるよ」
と言われ、たしかにそうだと納得した。
すべての指導対局が終わって、扇子の真ン中にポッカリ空いた箇所に、揮毫をしていただく。重鎮の名前が入って、なるほど1本芯が通った感じになった。
結局、7月31日から始まった3本目の扇子サイン勝負は、序盤私の7連勝で幕を開けたが、終わってみれば4ヶ月もかかる難産だった。
しかしサイン勝負はこれで終わったわけではない。また白扇子を買えば、翌週から「4本目」が始めることができるのだ。そして私は当然、4本目のサイン勝負に挑むこととなった。
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1月15日のLPSA金曜サロン

2010-01-18 00:06:31 | LPSA金曜サロン
今月15日のLPSA金曜サロンは、昼が藤田麻衣子女流1級、夜が松尾香織女流初段の担当だった。
午後3時ごろ入室しただろうか。指導対局の前に、To氏との金曜リーグ戦。
私の四間飛車に、To氏の採った作戦は左美濃。やや手詰まり状態になり、私が☗6七銀を☗5八銀と引いたのが疑問だった。さらに☗9七香~☗9八飛の間に☗9五歩の突き捨てを入れなかったため、☖7五歩~☖6五歩と先攻され、数手後☖7七桂成と飛車角を抑え込まれたところで、戦意喪失して投了した。
まったくアマ有段とは思えないひどい将棋で、棋譜を載せる気にもならない。これでリーグ戦は2勝2敗。優勝に黄信号が灯った。
さて、藤田女流1級との指導対局である。駒を並べながら、藤田女流1級が
「ホテルのことはあんなに細かく書かなくていいです」
と言う。先日愛知県で泊まった、開業初日のホテルのことをいっているのだろう。しかし何と言っても「開業初日」である。後に泊まる方のためにも、ホテル内の設備や居心地を書くことは、それなりに意義がある。その判断に、誤りはなかったと思う。
「一公さんさァ、宏美ちゃんのことばっかり書くんだもん」
とも言う。これは先日の指し初め式の記事のことらしい。しかしあの日の中倉宏美女流二段はダイナマイトきものだったから、触れて然るべきである。それに後日加筆したものではあるが、藤田女流1級がミスターX氏と「どうぶつしょうぎ」を指していた時の模様は、ちゃんと書いている。不満を言われる筋合いはないのだ。
それでも藤田女流1級は何か言いたそうである。「マイコはご機嫌ナナメ」というところか。
すべての指導将棋が終わったあと聞いてみると、どうも指し初め式で藤田女流1級もきものを着ていたのに、それについての言及がなかったことが不服だったらしい。藤田女流1級も中井広恵天河同様、負けず嫌いなところがあり、意外なところから手(イチャモン)を作ってくる。なにしろ私がつけた女性ファンランキングで、「AV女優に負けた…」と悔しがったくらいである。
しかし今回の件で言い訳をさせてもらえば、藤田女流1級は和服が好きで、ふだんからよく着ている(と思う)のだ。たしか昨年のマイナビ就位式でお目にかかったときも、きものだった。だから藤田女流1級の和服は珍しいことではなく、今回もその姿は目に入っていたが、LPSAサイトにもその模様は載っていたし、あえて記すまでもないと判断したのだ。
さらに余計なことを付け加えれば、あの日は中倉女流二段に終始目を奪われていて、藤田女流1級が何色のきものを着ていたかまでは、記憶になかった。
だがとにかく藤田女流1級からすれば、指し初め式できものを着ていた中井天河、船戸陽子女流二段、中倉女流二段には触れて、自分のことが書かれてないのは、おもしろくなかったわけだ。まったく、オンナ心は長編詰将棋より難しい。

松尾女流初段との指導対局に入る。この日の私は、夜にヤボ用があった。そこで植山悦行手合い係が、早めに対局をつけてくれたようだ。その心遣いに感謝したい。
「松尾先生、あさっての対局、頑張ってください」
「あさって?」
「天河戦です」
「ああ…でも一公さんは陽子ちゃんを応援してるんでしょ?」
「ぐっ…いやそんなことないですよ」
ダメだ…。言葉に感情がこもっていないから、形だけの応援とバレてしまう。
「もう、一公さんには今年は絶対負けませんから!」
松尾女流初段が、苦笑いして言う。
なんだか知らないが、ヤブヘビになってしまった。

藤田女流1級が帰り際、W、R両氏と何か話している。聞いてみると、今月下旬に指される、女流名人位戦予選のことらしい。
「でも一公さんは陽子ちゃんを応援してるんでしょ?」
松尾女流初段と同じことを言われる。藤田女流1級は、船戸女流二段との対局だったのか。しまった…。
「い、いやいや、わ、私は藤田先生を応援してますよ。だって私が初めて女流棋士に指導対局を教わったのは藤田先生だし、先生を師匠と思ってます。そ、そこは信じてもらわないと…」
私は慌て気味に弁明する。今度は感情を込めて言ったつもりだったが、通じたのか、藤田女流1級がかすかに笑みをもらした。
危ないところだった。
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