一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第94期棋聖戦第2局「こんな展開は珍しい」

2023-06-28 00:10:50 | 男性棋戦
いまさらだが、23日に行われた、第94期棋聖戦(産経新聞社、日本将棋連盟主催)第2局を振り返る。第1局は藤井聡太棋聖の先勝。佐々木大地七段は本局の勝利が絶対条件だ。
佐々木七段の先手で、相掛かりになった。序盤、佐々木七段が4筋の歩を突いたのがちょっとした趣向で、藤井棋聖が8筋の歩を交換すると、佐々木七段は4筋の歩を銀で守った。
藤井棋聖は当然、8筋に歩を打つ。佐々木七段は端に角を逃げるしかない。そこから角を逃げ回り、結局は角交換になった。しかし後手の8筋の歩が残ったままで、これじゃ先手が戦い切れないと思うが、プロ的にはどうということはないらしい。この辺の感覚が、ヘボにはよく分からない。
その後佐々木七段が軽快に動き、1歩得を果たした。なんだかんだいっても実利は大事で、これは佐々木七段がポイントを挙げた。
その後も怖い局面が続くが、ABEMAの解説を聞くと、際どいながらも佐々木七段が指せる。
なお聞き手は室谷由紀女流三段で、横顔を見る限り、美人だ。これで独身だったら私も室谷女流三段しか目に入らないが、2回も結婚されちゃ、関心も薄れる。
ここで私は席を外さざるを得ない。一応仕事らしきことをしているから、しょうがない。
1時間半後に戻ると、藤井棋聖は誰もが予想しなかった手を指し、優位に立っていた。ABEMA解説陣はここまでさんざん局面を検討してきたのに、候補に上らなかった手が指される。俗に対局者はよく読んでいる、というがこのケースは似て非なるもので、ここが七冠王とそれ以外の棋士の読みの差なのだと思う。
佐々木七段は自陣に竜を作られ、角金を持たれている。しかも裸玉に近く、私がこの局面で先手を持ったら、とても勝てる気がしない。
時刻は夜7時過ぎになった。ここまで藤井棋聖の優勢が続いており、これは藤井棋聖が勝ったと思った。
そこで私はまたもスマホ(中継)を見られない時間があった。ところが次に見たときは形勢が互角になっていた。そしてすぐに佐々木七段が有利になったので、驚いた。双方1分将棋だからよくある展開ともいえるが、藤井棋聖が有利の終盤でひっくり返されることはまずない。よってこの展開は相当に珍しかった。
そこからの形勢バーは、佐々木七段の優勢→勝勢と、その伸びも早かった。私はキツネにつままれたようだった。どうも、佐々木七段に角捨ての鬼手があったらしい。
最後は佐々木七段が最後の持ち駒を放って、藤井棋聖投了。これは佐々木七段が大きな勝ち星を挙げた。投了図、藤井棋聖の例の8筋の歩の裏側に、佐々木玉が鎮座しているのが印象的だった。
局後の談話は、藤井棋聖は「終盤に一瞬勝ちがあったと思うが、うまく寄せ切られた」。また佐々木七段は「拾ったような勝ち」と素気なかった。藤井棋聖のコメントは正直だし、佐々木七段のそれも自虐が入っていて、大いに笑えた。
本局、藤井棋聖も秒読みの中で間違えることがある、と分かったことが大きい。少なくともここまでの藤井棋聖の終盤はAIのごとく完璧で、終盤で相手が不利だったら、そのまま負けを意味していた。それが払拭されたのは、対局相手に夢と希望を与えたのではないだろうか。
ただ、藤井棋聖が通算勝率8割3分なら、佐々木七段も同7割なのだった。よく勝つ棋士に逆転勝ちはつきものである。
第3局は7月3日(月)。これを過ぎると王位戦七番勝負が始まり、いろいろな綾が生じる。そして28日は王座戦の藤井竜王・名人-羽生善治九段戦もある。もう、何がなんだか分からない。
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5 コメント

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Unknown (たつ五郎)
2023-06-28 00:55:29
藤井竜王・名人が竜を切ったら大抵は
藤井勝ちという印象でしたが、こういう展開は
久しく観ていないので、ある意味いい物を
見た気がします。佐々木七段には是非とも
挑戦だけでなく奪取まで行って欲しい。

一公さんは女流棋士はどなたがタイプ
ですか?私は本田小百合さんです。
雰囲気もふんわりしているし、話していて
楽しそう。惜しむらくは結婚されている
んですよね…
返信する
完敗でしたね (将子)
2023-06-28 01:36:43
 棋聖戦第二局、藤井先生久しぶりに完敗でしたね。途中も、佐々木先生が優勢になっていたのを、一度は藤井先生が逆転したようだったのですが、最後の最後に藤井先生に読み抜けがあったみたいですね。第一局も接戦でしたし、佐々木先生さすがお強いです。
 明日は、羽生先生vs藤井先生の王座戦挑決ですよね。これまた、とても楽しみですが、村田先生との対局でも、藤井先生、接戦で村田先生が勝ってもおかしくない局面もありましたし、もしかして、藤井先生は不調なのかもしれないと思っているのですが、どうなんでしょう?
 6月28日の王座戦超決の後は、7月3日に棋聖戦第三局、7月7日に王位戦第一局(また佐々木先生と)が始まりますね。一公さんのおっしゃる通り、もう何がなんだかわからなくなりそうです。
 あ、室谷由紀先生ですが、2020年Eテレ「藤井聡太 驚異の強さ! ~史上最年少タイトル獲得~」という番組で司会をなさっていて、その時、初めて室谷先生を拝見して「この可愛い人は誰?アナウンサー?」って衝撃を受けたのを覚えています。30歳にして、すでに再婚までしていて、さすが!!と思いました。
返信する
由紀 (一公)
2023-06-29 01:09:33
>たつ五郎さん
おっしゃる通り、藤井先生のこういう負け方は珍しい。藤井先生も人間だと分かって安心しました。
私の女流棋士のタイプは、むかしは船戸先生、そのあとは一重瞼時代の室谷先生でした。
現在は一応、渡部先生をイチオシにしていますが、お会いできる機会もないので、むかしほどはイレこんでいません。
たつ五郎さんの「本田先生」は、筋がいいです。

>将子さん
いやいや、完敗というほど、藤井先生は悪くなかったですよ。着地に失敗しただけで。不調という気もしません。
将子さんも、室谷先生がかわいらしく見えましたか。
2020年というと、もう二重瞼だったですかね。
あの一重がよかったんですけどね……。
いまはただ、室谷先生のご健勝をお祈りするよりありません。
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王座戦、挑決準決勝 (将子)
2023-06-29 09:59:17
 昨夜は羽生先生、残念でした。藤井先生、一公さんのおっしゃる通り、不調ではなくて、好調な佐々木先生が強かったり、村田先生の作戦がよかったんですね。羽生先生も、藤井先生が先手、角換わりでなければ、結果も違ってきたかもしれませんが、藤井先生、ここぞという大事な時には、振り駒でも先手を取れるんですよね〜。生まれつきの強運の持ち主なんですかね?
 王座戦、もう一方の山は、渡辺先生が勝って、渡辺vs豊島になりましたね。まだまだ楽しみは尽きません。
 ただ、藤井先生の八冠、もしかしたら、佐々木先生が阻止できるかも...と思えてきました。(棋聖戦の第一局、第二局、藤井先生には見えない手が、佐々木先生には見えていたようですから。)
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まだ五冠 (一公)
2023-06-30 01:01:51
>将子さん
藤井-羽生戦は、藤井先生には珍しい、受け勝ちでした(相手玉を寄せてない)。いろいろな勝ち方を見せてくれますね。
藤井先生の先手番についてですが、むかしの羽生先生も、大一番には先手になることが多かったようです。
強者には将棋の神様も味方するんですね、これが。
将子さんの最後の指摘は鋭いです。私自身が以前書いたのですが、八冠を取るには、棋聖と王位を防衛しなきゃいけないんですよね。だから現実的には五冠のようなものです。佐々木先生がどちらかのタイトルに勝ち星を集められたら、ひょっとするかもしれません。
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