一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

単騎の桂跳ね

2019-10-09 12:53:18 | 将棋雑記
3日のA級順位戦・渡辺明三冠と羽生善治九段の一戦は、リアルタイムでは90手目、渡辺三冠の△6二歩からしか見なかったので、今回改めて並べ返してみた。
将棋はもはや定番の角換わり。羽生九段が単騎で▲4五桂(A図)と跳ね、渡辺三冠が△2二銀と引いた。渡辺三冠はこの桂の生け捕りを目論み、その間に羽生九段が攻める、という展開だった。

8月2日に指された竜王戦本戦トーナメントでは、先手の豊島将之名人が単騎▲4五桂をやっている。相手は奇しくも渡辺三冠で、やはり△2二銀と引いていた(B図)。

この2局は同一局面だが、竜王戦では渡辺三冠が負けていた。それでも渡辺三冠が羽生九段戦で再び△2二銀と引いたのは、これで指せる、という自信があったからだろう。
とはいえ昔は先手が▲4五桂と跳ねたら、後手は「桂先の銀」で、△4四銀と上がるのが常識だった。
だが何の下工作もなく▲4五桂と跳ねられたら△4四銀は無難でも利かされで、それなら△2二銀から桂を取り切ってやろう、と考えるのも分かる。
実は私も将皇との将棋で、たびたび似たような局面になる。将皇は単騎の桂跳ねが好きなのだ。だから私も▲6六歩を突かず、あえて△6五桂を跳ねさせているところがある。

もちろんプロの将棋とは局面が違うが、最新の△6五桂局は第1図で、ここから▲8八銀△9五角▲5八玉△8四角▲4八金(第2図)と進んだ。

△9五角が将皇の好きな手で、のちに△8四角と引き、▲6六歩と突かせない。
以下実戦は△5四銀▲3七桂△3一玉▲2九飛△5二金▲6九飛△7五歩▲同歩△7二飛▲6六歩△7五飛▲7七歩△同桂不成▲同銀(第3図)と進み、先手の桂得となる。

▲2九飛~▲6九飛が、プロの実戦を参考にした、私なりの桂の捕獲法だ。
もっともここから後手もいろいろ手を作ってきて、それが細いながらも巧妙で、私が攻め潰されることも少なくない。
また先手が▲2九飛型を早く作った場合、△6五桂▲8八銀には、△5七桂成(参考1図)の強襲も気を付けなければならない。

これは▲5七同玉△6九角▲7七金△3六角成で、後手の馬の力が大きく、先手難局と思う。
ちなみに将皇は、相矢倉戦でも△6五桂跳ねをやる。

参考2図は実戦ではないが、過去にもこの局面はあったと思う。以下▲8八銀△6六歩▲同金△6四銀▲6七金引△7五歩▲6六歩△7六歩▲6五歩(参考3図)が私たちの定跡手順。

ここで将皇は△6五同銀か△7五銀でくるのだが、△7五銀のほうが△7六歩の存在が大きく、存外難しい。
また何かの拍子に角交換になり、▲7九玉型で▲6六歩と桂を殺しに行くと、△5七角(部分参考4図)と打たれてシビれるから要注意だ。

藤井システムの▲2五桂もそうだが、この桂は相手の歩を食いちぎれるので、相手からすると、見た目ほど桂得は大きくない。
とにかく今後はプロの実戦でも、「▲4五桂△2二銀」の攻防は増えると思う。
来週のNHK「将棋フォーカス」は、単騎の桂跳ねの講座をやるようだ。最近は序盤早々の桂跳ねもあるからこちらかもしれないが、楽しみに待ちたい。
コメント
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