一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

タイトル経験者の割合

2019-10-11 00:05:59 | 将棋雑記
昔から、奨励会に入って棋士になれる確率は、約2割といわれる。現在棋士は年間4名誕生するから、20人前後の新入会だと、確率的にはそうなる。
では、棋士になってタイトルを取れる割合はどのくらいだろうか。
大昔は棋士の数もタイトル戦も少なかったから単純に比較はできないし、引退棋士の問題もある。今回はとりあえず、45年前、30年前、15年前、そして現在の、現役棋士のタイトル経験者の割合を調べてみた。

1974年9月30日現在(五冠・棋聖は年2期制)
・名人 中原誠名人・王将・王位
・A級 11名中8名(73%)大山康晴十段・棋聖、内藤國雄九段、二上達也九段、米長邦雄八段、有吉道夫八段、塚田正夫九段、加藤一二三九段、升田幸三九段
・B級1組 14名中0名
・B級2組 18名中0名
・C級1組 19名中0名
・C級2組 17名中0名
◎現役棋士80名中9名 11%

1989年9月30日現在(七冠・棋聖は年2期制)
・名人 谷川浩司名人・王位
・A級 10名中9名(90%)米長邦雄九段、桐山清澄九段、内藤國雄九段、大山康晴十五世名人、中原誠棋聖・王座、塚田泰明八段、南芳一棋王・王将、田中寅彦八段、高橋道雄八段
・B級1組 13名中7名(54%)加藤一二三九段、有吉道夫九段、大内延介九段、福崎文吾八段、森雞二九段、二上達也九段、森安秀光九段
・B級2組 24名中2名(8%)中村修七段、島朗竜王
・C級1組 23名中0名
・C級2組 56名中0名
・C級3組 1名中0名
◎現役棋士128名中19名 15%

2004年9月30日現在(七冠)
・名人 森内俊之竜王・名人・王将
・A級 10名中8名(80%)羽生善治王位・王座、佐藤康光棋聖、谷川浩司棋王、丸山忠久九段、三浦弘行八段、藤井猛九段、深浦康市八段、高橋道雄九段
・B級1組 13名中4名(31%)島朗八段、郷田真隆九段、田中寅彦九段、中村修九段
・B級2組 22名中7名(32%)加藤一二三九段、南芳一九段、内藤國雄九段、福崎文吾八段、森雞二九段、桐山清澄九段、屋敷伸之九段
・C級1組 31名中2名(6%)塚田泰明九段、有吉道夫九段
・C級2組 47名中1名(2%)大内延介九段
・フリークラス 25名中1名(4%)中原誠永世十段
◎現役棋士149名中24名 16%

2019年9月30日現在(八冠)
・名人 豊島将之名人
・A級 10名中9名(90%)佐藤天彦九段、羽生善治九段、広瀬章人竜王、糸谷哲郎八段、佐藤康光九段、久保利明九段、三浦弘行九段、渡辺明棋王・王将・棋聖、木村一基王位
・B級1組 13名中7名(54%)深浦康市九段、斎藤慎太郎七段、屋敷伸之九段、谷川浩司九段、郷田真隆九段、菅井竜也七段、永瀬拓矢叡王・王座
・B級2組 25名中4名(16%)中村太地七段、丸山忠久九段、藤井猛九段、中村修九段
・C級1組 36名中3名(8%)高橋道雄九段、島朗九段、塚田泰明九段
・C級2組 52名中5名(10%)田中寅彦九段、福崎文吾九段、高見泰地七段、南芳一九段、桐山清澄九段
・フリークラス 19名中1名(5%)森内俊之九段
◎現役棋士155名中30名 19%

1974年は中原名人時代。大山永世王将は二冠に復帰し、まだほかの棋士が簡単にタイトルを獲れる時代ではなかった。
1989年は群雄割拠の時代。現役の棋士だけでも、タイトル経験者が倍になった。また1974年4月から1986年3月まで三段リーグがなかったため、棋士の数が激増した。
なお1989年秋の第2期竜王戦七番勝負は島竜王と羽生六段の間で行われ、延長第8局を羽生六段が制し、初タイトルを獲得した。ここから羽生九段の長いタイトルロードが始まる。
2004年は1989年と比べて、タイトル獲得者の割合が上がっていない。羽生九段と谷川九段が全盛で、ほかの棋士にタイトルが行きにくかったからと思われる。
なお2004年秋の第17期竜王戦では、渡辺六段が森内竜王から竜王位を奪取、永世竜王への第一歩となった。
そして2019年9月30日現在、タイトルを獲得した現役棋士の割合は19%に上る。意外と大きい数字に思えるがどうだろうか。5人に1人はタイトルを獲れると思えば、ヤル気が出てきそうではないか。とくにA級棋士のタイトル獲得率が凄まじく、A級に昇ればタイトルが約束されたも同じ……とまでは言わない。

タイトル戦を経験した棋士、で調べるとまた割合が上がるが、それはまた別の話。
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