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冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

ピンポイント晴天の前穂高岳~奥穂高岳縦走

2014-08-21 22:29:21 | 旅行
台風11号が日曜に通過してからも高気圧は発達せず、最終的には秋雨前線のようなものが日本列島を覆う始末。
台風一過を期待して夜行バスと山小屋宿泊の予約を入れていたので、10日・11日は天気図を見ながらいろいろ予想。
残念ながら雨は避けられないけれど、13日の水曜日には少なくとも晴れる時間帯が数時間はあるだろうと楽観的に構える。
いや、既に予約してバスとか入金もしていたから、それを正当化したい心理が働いただけですが。
で、11日月曜の夜行バスで翌12日の早朝に上高地に入り、その日は前穂高岳中腹の岳沢小屋に宿泊。13日の水曜日に前穂高岳から奥穂高岳を縦走して14日に下山するプランを実行しました。
穂高連峰の縦走コースとしては初心者向けと言えるルートですが、岩登りのような急登や岩稜のトラバースを含むコースであることに変わりはなく、風雨が厳しい条件であれば大げさな話ではなく滑落死もあり得るということで、その場合は素直に撤退することだけは決めていましたが。


毎日アルペン号で中湯温泉まで行き、そこからシャトルバスで上高地に入ったのが朝の5時半ごろ。中湯温泉でシャトルバスを待っている間に雨が降り始め、上高地バスターミナルに着いた時には本降り。少しは弱くなることを期待して1時間くらい朝食のパンを食べたりしながら待ったものの、雨の勢いはそのまま。河童橋周辺もこんな感じ。
仕方ないので7時少し前に岳沢小屋に向けて出発。それなりの数の登山者がいましたが、ほとんどの人は横尾方面に向かった模様です。涸沢に宿泊するか、槍ヶ岳を狙うのでしょう。

雨の樹林帯は土や木の香りが強まって趣があるのも事実ですが、レインウェアは通気性が限られるので汗地獄に陥ります。
レインウェアを脱いだら雨に濡れてビショビショ、着ても汗でグチャグチャ。救いのない2時間の登り。それでも今回は小屋泊装備で軽量なのが多少は有利。テント泊装備の人は本当に辛そうでした。
そして、いつものように高山植物に現実逃避する。ヤマホタルブクロ。


ミヤマアキノキリンソウ。たくさん咲いていました。9月まで息の長い花ですね。


たくさん咲いていると言えば、昨年はコバイケイソウがどの山でも大量に咲いていたのに、今年はまったく見ませんね。当たり年と外れ年の差が極端な花のようです。
群生地で大きな白い花が咲き誇っているのは壮観なので、自分が辛い縦走をする時は当たり年で現実逃避に使わせてもらいたいものです。

何だかんだで9時ごろには岳沢小屋に到着。しかし雨がひどい。当然ガスも。


上高地方面もほとんど見えない。


仕方ないので取りあえず小屋で待機。元々、この日は岳沢小屋に泊まって翌日に長距離を歩くつもりだったので、その意味では計画通り。
しかし、本来は午前中上高地を散策してから午後に小屋に登るつもりだったわけで、9時ごろから一日山小屋で時間を潰すというのもなかなか苦しい。が、それしか選択肢がない。
他の登山者の方や、長野県の山岳警察(救助隊)の方と情報交換したりして時間を潰し、あとは早めにチェックインして寝てました。
結果的には、これが体力温存という意味ではよかったかも。夜行バスだとどうしても睡眠の質が悪いので、疲れた状態で穂高岳の縦走をするのは嫌だったのだけど、天気が悪かったおかげで逆にしっかり休養を取ってから縦走に臨めました。

そして、午後3時ごろから雨が上がり、4時過ぎには晴れ間も出てきた。翌日に向けて希望の持てる感じ。乗鞍岳方面もはっきりと見えてきました。

天気予報も、13日だけは晴れ時々曇りくらいで雨は降らない模様。ただし、13日の夜からまたまたお天気は崩れるようで、本当にスポット的に間があるだけみたい。

はい、翌日です。晴れました。神に感謝。と言うか、本当に神のご加護があるような気がしました。


5時にお弁当を受け取り(岳沢小屋のお弁当は買いです。後述参照)、意気揚々と登り始めます。何せ神が味方じゃ。
前穂高岳に登る重太郎新道は、岩場の急登で危険なようですが、ガイドブックなどによると事故の多くは下山で発生しています。今回、この道を登りで使うことにしたのは安全のためと、前穂高岳に登頂したいという気持ちの2つが理由です。昨年の紅葉シーズンに徳沢にテントを張ったとき、そこから見えた前穂の威容に感動したからです。

最初の30分ほどはストックを使って登ります。つまり、手を使って岩場をよじ登るような道ではありません。
高山植物も、晴れた日に見るものは雨の中で見るものとはちょっと感じが違います。

クガイソウ。重太郎新道でしか見ませんでした。

トリアシショウマ。上高地に下るまで、いたるところに咲いていました。

モミジカラマツ。高山帯でしか見ませんでした。

ミヤマシャジン。これも重太郎新道でしか見ませんでした。

少し登ったところから上高地方面を見ると、焼岳が朝日に照らされて輝いていました。


目を上げると、穂高連峰の稜線が綺麗に見えます。見るだけなら楽しいですが、自分が歩くことを想像するとかなり恐ろしい道ですね。西穂高岳から奥穂高岳に続く稜線は上級者向けですが、確かにギザギザです。あれを踏破するのは辛そうだ。


最初のハシゴが出たところでストックをしまい、その後は手を使って登る所が多くなります。
しばらくするとカモシカの立場という開けたところに出ます。西穂からの稜線、明神岳方面の稜線、上高地方面などが見渡せます。


明神岳はクライマーのためのルートが多いようで、確かに絶壁でした。


重太郎新道は確かにかなりの急登で手を使わないといけないところばかりですが、登りで使う限りはそれほど危険ではないと感じました。
むしろ、延々と足だけで稼ぐルートよりは楽しめると思います。まあ、これもお天気がよかったから言える話なのですが。

高度があがってくると、明神岳方面の稜線もハッキリ見えるようになります。西穂方面に負けないギザギザ度です。


途中、雷鳥広場と呼ばれる辺りから見た上高地方面。絶景。


そして、2時間強でついに重太郎新道を登り切り、紀美子平に到着です。ここでザックを置き、前穂山頂への最後の30分ほどの急登に向かいます。
その前に左右の絶景を。




これが紀美子平からの登り。


この登りも楽ではないですが、これまでに八ヶ岳の赤岳、阿弥陀岳、あるいは最近の甲斐駒ヶ岳などの岩の直登ルートを経験していたためか、あまり恐怖感なく登ることができました。下りもしかり。昨年は阿弥陀岳の下りとかかなり怖い思いをしましたが。
で、その登りの途中にも奥穂高岳の威容を眺められます。


そして、やっと前穂高岳山頂、標高3,090メートルに到着。昨年来の目標を果たしました。山頂はまさに360度の大パノラマ。穂高連峰から槍ヶ岳、その後ろに立山連峰と後立山連峰、至近には常念山脈、振り返れば富士山と南アルプスまで見渡せます。








前穂高岳の北尾根は、やはりバリエーションルートとして上級者に人気のようですが、この日は登っている人は見かけませんでした。北尾根は昨年の紅葉シーズンに登った屏風の耳に続いているので、懐かしい感じです。


山頂は意外と広くて、絶景を見るために端から端まで移動して楽しみました。
30分くらい山頂にいたと思います。ある程度感動が落ち着いてから、紀美子平まで戻りました。
戻ったら弁当です。体質的に起きてすぐはほとんど食べられないので、このくらいの時間がたってからの方がいいのです。そして、吊尾根でシャリバテしないためにも栄養補給は重要です。
写真を撮る前に一口がっついてしまったので鮎が半分になっていますが、岳沢小屋のお弁当は豪華です。濃い味付けも、汗で失ったミネラルの回復に役立つはず。たいへん美味しゅうございました。


さて、腹も膨れていよいよ吊尾根です。
高低差も少ないし、大キレットのように急峻でもないです。しかし、そこは穂高連峰の稜線。注意して進みます。


吊尾根は意外と道幅もあるので滑落の可能性は低いでしょうし、ペンキでルートも示されているので間違って稜線に出てしまうような危険も少ないと思います。
この日は上高地方面の景色や進行方向の西穂~奥穂の稜線、あるいはコルを通過してからは涸沢方面がずっと見渡せたので、たいへん楽しいルートでした。
吊尾根途中から前穂を振り返った図。


これは涸沢方面。雪渓が見事です。下の方に、この日泊まった涸沢ヒュッテも見えています。


途中、オンタデを中心とした花畑なども見られます。


高山植物は、重太郎新道から吊尾根にかけてはイワツメクサとイワギキョウが多かったです。




あとは、ヨツバシオガマも結構ありました。今までもいろんな山で見かけましたが、穂高のヨツバシオガマは色が薄めで上品な感じ。今まで見た中で一番好きです。


ウサギギクは終盤でした。吊尾根に幾つか元気なものが残っていた程度。


数は少なかったけどタカネヤハズハハコ。肉厚な葉がおもしろい。


コメススキは地味ですが、いい味を出しています。


そして、吊尾根のハイライトの一つは雷鳥さんとの遭遇。一羽の子供を連れた母鳥との親子でした。とても可愛いですね。初めて本物に会いました。遭遇に感動してしばし眺めて声をかけたりしているうちに逃げられてしまい、後姿の写真しかありませんが。それにしても、何故か雷鳥はさん付けで「ライチョウさん」と呼んでしまう。


吊尾根で唯一気を付けるべきところは、奥穂山頂への直前ある南鐐の頭周辺。鎖もありますが、傾斜が急なだけでなく足場も下手をするとちょっと不安定です。ここだけは慎重に行くべきでしょう。


それを越えれば、あとは奥穂山頂への道を素直に登るのみです。西穂からの稜線には難所として有名なジャンダルムも見えています。確かにあれを越えて稜線を歩くのは危険そうだ。


そして、行動開始から5時間程度経過した10時過ぎに、奥穂高岳山頂に到着です。日本3位の高峰、標高3,190メートルを制覇しました。


常念山脈も、槍ヶ岳への稜線も、迫力の絶景です。




山頂はかなりの数の登山者で混雑していましたが、前日のお天気が悪かったのでこれでも少ない方なのでしょう。
それより、前日の大雨からは想像しがたい好天と、それがもたらす絶景に感謝です。

ここでも30分くらい景色を見入ってから奥穂山頂を後にしました。次は、涸沢岳との間の鞍部にある穂高岳山荘を目指します。途中、すれ違いのできない場所などで渋滞が発生していましたが、そんな時は高山植物を愛でていました。これはクモマグサ。かなり希少な花のようです。


この日の高山植物の写真で気に入っているものを幾つかアップ。






穂高岳山荘からは、涸沢カールが真下に眺められます。雪渓はまだまだ巨大でした。


穂高岳山荘は穂高連峰の稜線に建つ名物山荘ですから、ここに泊まって星空を眺めたり翌日のご来迎を見ることができたらいいなあと思っていました。
しかし、翌日の天気があまり期待できないようなので、それなら雨の中急な岩場のザイテングラードを下るよりは、この日のうちに涸沢まで下ってしまった方がいいだろうという判断に傾きました。
で、11時半ごろに穂高岳山頂に到着してからはコーラを飲んだりして少し休憩し、涸沢岳(3,110m)に空身でピストン(往復40分程度)してから下山することにしました。
これは涸沢岳山頂からの前穂(左)、奥穂(右)、穂高岳山荘。


そして涸沢岳から槍ヶ岳までの稜線。途中は北穂高岳。


涸沢岳を過ぎて北穂に向かうと上級者コースになるのですが、そこまで行かずに涸沢岳山頂で止まれば安全ですし、前穂と奥穂を一時に見渡せる絶景を楽しめるのでお得です。

さて、穂高岳山荘まで戻ってから涸沢に向けて下山を開始します。前穂への登りで使った重太郎新道ほどではないかもしれませんが、こちらも急峻な岩場として有名なザイテングラードを下るので、気は抜けません。
お天気はずっと晴れていて暑いくらいだったのですが、下りに入るころになって飛騨側から雲が出始めました。そのせいで少し涼しく感じ、実際には岩場の下山も順調でした。
ザイテングラードでは手を使う場所も多かったですが、1時間程度でこれを抜けて普通のガレ場に出てからはストックを使いました。
左右を眺めると、前穂や北圃の威容が見える、贅沢なルートでした。


ある程度下りてくると、涸沢のお花畑に入ります。オンタデの群生が見事だった。


個人的に好みのアオノツガザクラもいっぱい咲いていました。


そして涸沢の花といえばチングルマ。


高度が下がってくると、広い範囲で上を見渡すことができるように視界が開けます。涸沢の雪渓を前穂、吊尾根、奥穂が囲む図。


2時間少しで涸沢小屋に到着。しかし、かなり混雑しているようだったので1段下の涸沢ヒュッテを目指しました。ヒュッテの方が大きいので、いざという時の収容人数に余裕があると思ったからです。1つの蒲団に二人寝るとかあり得ないので。
幸いヒュッテはまだまだ余裕があったようで、素泊まり6,000円(モンベル会員の割引500円後)で布団を確保しました。
その後は濡れタオルで体をふいてからビール。合計9時間半ほどの行動時間を経て、前穂、吊尾根、奥穂、涸沢岳、ザイテングラードと歩いてきたので、その疲れを癒します。
この日頑張った道具たち。


夕食はパスタを作って食べました。涸沢ヒュッテは、屋根のあるテーブル席でバーナーを使わせてくれてありがたかったです。岳沢小屋も、室内での調理が許されていました。ありがたいです。
夕食を食べている6時過ぎに早くも雨が降りだしました。本当に、晴れていたのはこの日に縦走していた時間帯だけでしたね。ラッキーです。
そして、翌朝の涸沢はこんな感じ。奥穂も前穂も何も見えません。


14日の木曜日、弱い雨の中6時少し前に下山開始です。
雨の沢筋の道は、沢の音や樹林帯の香りが強くて悪くないです。途中で高山植物も結構見ました。登りだとムレて辛いけれど、下りならそれほどでもありません。まあ、最後には汗だくなんですが。
それにしても梓川の透明度は凄まじく、雨でもまったく濁っていません。


アキノキリンソウとソバナ。ソバナは横尾までの登山道にたくさん咲いていました。珍しい白花も。




お盆の終盤ということで、土日にかけて穂高や槍を狙う登山者と雨の中ですれ違いましたが、残念ながらこの週のお天気は回復しなかったようです。
上高地も徳沢辺りまで戻ってくると、登山者よりも観光客が多くなりますそして、キツリフネやタカラコウなどと花も変化します。私は徳沢園でソフトクリーム食べました。去年食べなかったので。




結局雨は止まず、10時20分ごろ小梨平まで下りてきました。ここの食堂で山菜そばを食べながら時間をつぶし、11時にお風呂が営業を開始したので汗を流しました。
その後は雨も降ったりやんだりでしたが、バスの時間までバスターミナル近くでお土産を買ったりして過ごしました。
時間つぶしで入った河童橋の五千尺ホテルのコーヒーは絶品でした。

河童橋から岳沢方面を眺めると、着いた日と同様にこの日も穂高岳は雲の中。まったく、前日の好天は返す返すラッキーでした。


3,000メートル級のピークを3つ縦走し、昨年来登ってみたかった前穂・奥穂を制覇したので充実感ある山旅でした。ライチョウさんにも会ったし。何より、事故もなく安全に帰ってこられたのが一番でしょう。
紅葉シーズンまであと1,2回は北アルプスに行くかもしれませんが、今度は後立山連峰を狙いたいと思っています。

南アルプス 甲斐駒ヶ岳&仙丈ケ岳 その2

2014-08-10 22:33:01 | 旅行
2014年7月下旬の甲斐駒、仙丈ケ岳登山の後半戦。仙丈ケ岳登山です。
3,033メートルということで、子供の頃に家族で富士山に登って以来の3,000メートル峰です。つまり、昨年登山始めてからは最初の3,000メートル峰。
とは言え、すそ野の広い女性的な山容で南アルプスの女王と言われる仙丈ケ岳。そして、高山植物も豊富と聞いています。
北アルプスや南アルプス南部の3,000メートル峰のような緊張感は正直感じていませんでした。
まあ、その認識はあまり間違っていなかったのですが、問題は翌朝の体の動かない度合い。5時ごろから行動開始したんだけど、とにかくペースが上がらない。
夜中に音を出す人がいたりしてテントでの睡眠があまり深いものにならないのはいつもの通りだけど、それ以上に朝の体が重く感じましたね。何が原因だったのか。
とにかく、小仙丈ケ岳を経て行くコースを取り、一歩一歩樹林帯を進みました。

最初の45分くらいを過ぎると、流石に体も徐々に温まってきたのか、ペースも少しアップ。
そうこうしているうちに展望が開ける場所に出て、朝日に浮かぶ甲斐駒ヶ岳を眺めることができました。


5合目を過ぎる辺りからやっと森林限界を越えてハイマツ帯に入ります。そうすると、目指す最初のピークである小仙丈ケ岳も見えてきます。


横を見るとナナカマドが群生しています。この時期は白い花が目立ちますが、秋には真っ赤に紅葉するのでしょう。


小仙丈ケ岳に着くと、そこは仙丈ケ岳に続くカールを初め、雄大な景色を見渡すことのできる大展望台でした。
中国地方から南アルプス登山にいらしていた方としばし語らいながら景色を楽しむ。
まあ、仙丈ケ岳と言えばこの稜線。


北岳と間ノ岳。日本で2番目に高い山と3位タイの山。


そして、ここからの稜線歩きは本当に快適。絶景カールですし、岩場のアップダウンもそれほど苦しいものではありません。
距離的にはそれほど短くないし、北沢峠から山頂までは1,000メートルあるのでそれなりに楽ではないのですが、お天気に恵まれたこともあって楽しく歩くことができました。
北アルプスの3,000メートル峰と違って、岩稜で危険なところがある訳ではないので安心して楽しめますな。

仙丈ケ岳は高山植物でも有名です。特に稜線に出てからは可憐な花のお花畑状態でしたね。
樹林帯でも、おそらくは山小屋の方が登山道から外れて人間が踏み荒さないように防護柵を作っているのだと思いますが、その内側に多くの花を見ることができました。

ゴゼンタチバナは樹林帯のどこにでもあったイメージ。


タカネグンナイフクロはハクサンフクロよりも色が濃い感じです。


稜線は大お花畑で、コケモモあり、


チングルマあり、


イワカガミあり、


アオノツガザクラあり、


ミネズオウあり、


タカネツメクサあり、


イワツメクサあり、


そして、最後の登りを経て登頂。
三角点の向こうには中央アルプス木曽山脈が。


振り返ると甲斐駒。その奥には八ヶ岳。


北岳と富士山のコラボも見られました。この位置からだと北岳の雄姿が際立ちますな。


白根三山の稜線から目を移すと、南アルプス南部の3,000メートル峰もよく見えます。アクセスも難しく、ルートも長くて手ごわい山域です。


なんと、山頂でキアゲハに会いました。ライチョウには会わなかったけど。帰ってからWikipediaで調べたら、高山でも普通に生息するらしいです。


山頂でお会いした九州からいらしていた60代の2人パーティは、甲斐駒、仙丈、北岳、間ノ岳、鳳凰三山と回った後で北アルプスに転戦する2週間の旅を始めたところだとおっしゃっていました。
昨年は荒川三山~光岳までの縦走もしたらしい。日本の老人は元気すぎる。

山頂で30分以上絶景を楽しみましたかね。下山は千丈小屋から馬の背ヒュッテ方面に向かい、沢沿いを下りようと思っていました。
下山路にもハクサンイチゲやチングルマ、タカネツメクサなどが多く咲いていました。


千丈小屋の水は、カールの雪渓の雪解け水ですね。


馬の背ヒュッテに下る途中では、森林限界から下に行くあたりでナナカマドのトンネルのようなところを通ります。仙丈ケ岳、南アルプスの女王なだけあり、植物豊富で母なる山の感じですな。




樹林帯に入ると、山小屋の方が整備されていると思われる柵が登山道に沿って設置されていて、その内側に花が多く咲いています。
シナノキンバイとか、


ハクサンチドリとか、


カラマツソウとか、


マルバダケブキとか


お腹がすいたので馬の背ヒュッテのベンチでフリーズドライの食事をして、沢沿いのコースに向かいました。
ところが、ここの雪渓が崩れかけていて危険ということで、この道は通行禁止。


少し下ったところで沢を渡り、登りで使ったルートと合流する道を行くことになりました。
ピストンになると風景や植物が同じなのでちょっと残念。

11時15分ごろに下山し、1時間以上時間があったのでゆっくりとテントを撤収。この日はビールではなくコーラで安全な帰還を祝いました。


真夏の登山は、やはり高山の方が涼しくていいですね。アルプスの稜線が絶景なのは間違いないですし。
甲斐駒と仙丈ケ岳は北沢峠からなら無理なく登れますし、消費体力と絶景度の比率で考えるとお得感のある山域だと思います。
お天気が良くても昼前には雲が下界から上がってきてしまうことが多いのが難点ですが、朝早く出発して山頂に到着できれば大体どこの高山も360度のパノラマ大絶景が約束されていると思います。
南アルプス北部は盟主の北岳を残していますが、ここは固有種のキタダケソウの咲く時期にテントを担いで大縦走をしてみたいと思っていますので、技術・体力がついてくるまでもう少し先の話になるでしょう。

南アルプス 甲斐駒ヶ岳&仙丈ケ岳 その1

2014-08-09 16:13:59 | 旅行
インド旅行中のトレッキングで体力の衰えを感じ、その対策のために始めてみた登山。
ヨルゲン・ランダースの「2052 今後40年のグローバル予測」を読み、ウェブでいろいろリサーチした結果、固有種の多い、そしてとても可憐な日本の高山植物が温暖化で見られなくなる前に自分の目で見ておきたいと思って徐々にはまっていったわけ。
その初期段階で買ったムック本で、甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳は特に興味を覚えた山でした。

名山と言われているのは知っていたし、ベースキャンプとして北沢峠にテントを張れば2日間で効率的に両方の山に登れるし、絶景度も高いし高山植物も豊富らしい。
3,000メートル前後の標高を誇る南アルプスの山ということで、登山を始めたばかりの昨年は見送ったものの、今年は是非行ってみたい山でした。
で、お天気に恵まれた7月最後の週末(+月曜)で行ってきました。

山の団十郎とも呼ばれ、日本百名山でも屈指の名峰とされる甲斐駒ヶ岳。


南アルプスの女王と呼ばれ、雄大なカールを誇る仙丈ケ岳。


行ってきましたと言いつつ、予想よりも厳しい旅でした。
7月初旬の大雨+落石のため、南アルプス林道のバス道が通行止めになってしまった今年の南アルプス北部。
登山口までのアプローチがたいへんです。
甲斐駒ケ岳、仙丈ケ岳のベースとなる北沢峠には、東京方面から公共交通機関を乗り継いでいく場合には以下のようなルートを取ります。

1. 新宿→甲府 (中央本線)
2. 甲府→(北岳などの登山口である)広河原 (山梨交通のバス)
3. 広河原→北沢峠 (南アルプス市営バス)

この2.の部分ですが、本来は1日に数便あり、2時間程度の行程です。
しかし、今年は落石のためにこのルートが使えず、大回りして奈良田というところを通って行くルートに変更されています。
1日に2便のみ。3時間以上のバス旅です。ちなみに、新宿から甲府は2時間半程度で行くので、甲府から広河原の方が時間距離が長いことになります。

しかも、甲府をバスが出るのは朝の(夜中の)3時と9時のみ。
その日に登山したいなら、3時に甲府を出て7時過ぎに北沢峠に着く便しか使えません。
当然湧き上がる疑問。3時のバスに乗るということは何時新宿を出る電車に乗ればいいのか。

もちろん他の列車もあり得ますが、この疑問への答えは意外と簡単に出ます。
金曜と土曜限定ですが、23時54分新宿発、翌午前2時21分甲府着の、快速ムーンライト信州81号というのが運行されています。
夏休みの登山旅行や帰省用の列車だと思われます。


これなら比較的効率的に行けますが、問題は全席指定ということ。
既に金曜発の分は売り切れでまったくキャンセルが出る状況ではなく、仕方なく土曜発のものを購入しました。
この時点で、登山は日曜と月曜と決まりました。

そして、土曜の23時54分に新宿を出てから7時間以上電車とバスを乗り継いで、ついに登山口のある北沢峠にたどり着きました。日曜の朝7時10分頃です。
既に標高2000m。下界の猛暑をよそに、かなり涼しいです。


ここからは、沢沿いに広いテント場を持つ長衛小屋まで約15分歩きます。
土日で登山する人が多いため、テント場はいっぱい。受付を済ませ、何とか平たんなところを見つけて設営です。


で、8時過ぎにようやく登山開始。電車でもバスでも、座っていたとはいってもたいして眠れなかったので、体調は万全ではないですがしょうがないです。
初日の日曜には甲斐駒ヶ岳を目指します。前回の早池峰は高山植物が目当てでしたが、甲斐駒は単純に登ってみたいと思っていた山です。私にとっては珍しいケースで、単に登ってみたいというのは他には木曽の御嶽山とか北アルプスの穂高岳くらいしかありません。
ヤマレコなどでもおなじみの、仙水峠から駒津嶺を経て登頂するルートを選びました。

最初のうちは樹林帯ですが、暫く行くと視界が開けてガレた岩の多い地形になります。火山じゃないのにちょっと火山っぽい、というか、広々とガレ場が続くので、ガスに巻かれたら方向を見失いそうで怖いですね。


体調が今一つでしたが、コースタイムより10~15%くらい早いペースで仙水峠まで歩きました。
ここまで来ると、南には仙丈ケ岳(その主峰ではなくて前面にある小仙丈ケ岳)、北には八ヶ岳、東には尾根の先に鳳凰三山の地蔵岳が見えます。
錚々たる山々の絶景ですね。鳳凰三山は昨年登りました。南アルプスの中では初心者向けと聞いていたのに随分と苦労した覚えがあります。まあ、それこそ絶景&高山植物の宝庫でしたから、得るものも多かったですが。




仙水峠からは駒津嶺を目指してまたまた樹林帯を行きます。先行するツアー登山の老人部隊を追い抜きながら進むと、開けたところからは甲斐駒ヶ岳の雄姿も見られるようになりました。
右手の少し低いピークは摩利支天。10時前くらいですかね。この頃はまだ天気もよく、素晴らしい風景を楽しみながら登っていました。


樹林帯の登りは多くの登山者の間で不人気ですが、私は嫌いではありません。
土や緑の香りに癒されるし、コケや広葉樹の姿も好きです。鳥の声や風の音も、日本の豊かな自然を感じさせてくれてとても好きです。
森林限界を超えた稜線の絶景や雪山のツートーンカラーも美しいですが、五感をフル動員して楽しめるのは夏の樹林帯のように思います。
針葉樹の若芽が黄緑色に生えてきているのも可愛いと思います。


甲斐駒ヶ岳の樹林帯は、お隣の仙丈ケ岳に比べると高山植物の花は少なかったと思います。
それでも見つけたのは、コゴメグサとか、


シナノオトギリとか、


タカネニガナなど。オトギリソウと似ているけれど、葉の形が違いますね。高山植物を見る目ももだんだん養われてきたのではないかと自画自賛。


むしろ、頂上直下の花崗岩帯の方が花は豊富だったかも。
ハクサンイチゲ。


ミヤマダイコンソウ(ミヤマキンバイかも)


タカネツメクサ


イワツメクサ


これはGoogle先生にいろいろとお聞きしても同定できなかった花


駒津嶺に着くと、雲が相当濃くなっていました。天気予報では、前線が通過することが見込まれていました。上手くいけば前線の影響があるのは中部日本の北部だけで済むかもしれないと都合いいことを考えていましたが、やはりそうは問屋がおろさなない。


そして、ここからが辛かった。
有名な直登ルートと巻き道の分岐に至るまでの道ですが、やせ尾根の岩場で結構たいへんです。
土日の登山で甲斐駒に来ていた人の多くとすれ違うのも大変でした。
また、今回から使ったアタックザックがトレッキングストックを収納できない構造だったのも祟り、余計な荷物を抱えながら進むのはかなり無理がありました。
直登ルートを選んだのはよかったものの、体力的にも技術的にも、そして途中で降りだした雨のためにも、予想以上に苦戦しましたね。若い登山者に抜かれたし。


で、雨が降ってきて眺望がなくなったために写真もほとんどなし。
登ってみたいとかねてから思っていた甲斐駒ヶ岳2,967メートルの登頂は果たしたものの、感動は今一つでした。残念。やはり天気が登山には圧倒的に重要です。


その後、山頂から摩利支天に進んで巻き道を下山。
摩利支天では大国主命とか祀ってましたが、何を信仰している山なのかちょっと不明。


摩利支天から甲斐駒山頂を眺めるものの、雨に煙る。


そして、途中で濡れた岩でスリップして転んで若い登山者に笑われたりしながら何とか無事下山。
一応目標達成なので長衛山荘でビールを買ってテント場の近くの沢で冷やして飲みました。雪解け水は冷蔵庫より冷却能力が高いです。


ちょっと昼寝したら日が傾いていて夕暮れが迫っていましたが、雨はすっかり上がっていました。
翌日の天気は大丈夫そうです。


当初は、仙丈ケ岳分もいっぺんに書いてしまうつもりでしたが、時間がかかるし長いし切りが良いところで一度切ります。
仙丈ケ岳編は後ほど。

早池峰山で高山植物三昧

2014-07-12 16:37:18 | 旅行
今年はずっと旅行の予定もキャンセル続きで、登山も5月初めに奥多摩に2回行ってからは機会なし。
週末も他の用事でプライオリティの高いものがあったりして、出かけることがないまま7月になってしまった。
このままではどこにも行かずに夏が終わる(気が早い)という危機感があり、ここは休みを取ってでも簡単な登山旅行をしなければと思い立った。
いや、週末でなくて月曜・火曜になったのは天気の見通しが大きな理由ではあるんですけど。

元々、日本の希少な高山植物が温暖化などの影響で見られなくなってしまう前にしっかりと見ておきたいというのが、登山の大きな動機の一つ。
そうなると、日本固有種はおろかその山にしか咲かない花が4種類もある早池峰は絶対にはずせない。と言うか、行くまで早池峰固有種はハヤチネウスユキソウだけだと思っていたら、実は他にも3つもあった。早池峰、まさに希少種の宝庫。
と言うことで、いつも通り天気図とにらめっこをしながら、最悪でも曇り、恐らくは晴れ時々曇りくらいの予想が立った8日の火曜日に登山すべく、月曜と火曜に有給を取って岩手まで行ってきました。
先に結論を書いておくと、この弾丸旅行は大成功。お天気は晴れて気温も上がって夏山登山状態だったし、花も丁度見頃でした。
軽く写真を載せておくと、


山頂付近からの眺め。気持ちいい。


この山にしか咲かないハヤチネウスユキソウ。意外なことに、相当大量に咲いています。本当にそんなに珍しいのかと疑いたくなる密度です。


ミヤマシオガマもこの密度。本当はこんなもんじゃなく、壮大な花畑状態ですし、登山道の脇にはほぼ途切れずに何らかの花が咲いています。


初めは喜んで写真撮っていたミヤマオダマキ。そのうち、まったく珍しさを感じなくなるくらい大量に咲いてました。

東京から公共交通機関を利用する場合、早池峰へのアクセスは簡単ではありません。
当然東北新幹線を利用し、新花巻に出てからバスということになりますが、バスも途中で2~3回乗り継ぐことになります。
週末は臨時のバスが出たりしてまだましですが、それでも麓の峰南荘という山小屋に前夜は泊まるプランになり、しかもバスの乗り継ぎは行きも帰りも1パターン以外ありません。
つまり、ちょっと下山が遅れたりしてバスを逃すと、その日のうちに帰れなくなります。

こういう厳しいアクセス条件ながら、ネットで「早池峰、登山」などと検索すると、平日宿泊でお得な送迎プランを提供しているホテルが見つかります。ステイヒルというホテルです。
花巻と早池峰の間にある大迫(おおはさま)という町のホテルで、この町はワインの生産も盛んで見どころもそこそこあります。
そこで、1泊2食付、新花巻とホテルの間の送迎に加え、下山後の早池峰からのピックアップもしてくれてます。つまり、登山の朝にホテルから早池峰までのバスは自分で乗らないといけないですが、それ以外の送迎は全部ついています。これで9,800円というお値段。全部自分でバスを乗り継ぐと、それだけで4,000円以上かかると思うので、宿泊に食事もついたうえでこのプライシングは非常にお得なものです。
と言うことで、迷わずこのプランを予約。

泊まった実感として、この宿結構おすすめです。
値段が良心的なだけでなく、大迫の町の中で地元の農産物の直売所やワインの醸造所とも近いので、登山前日には散策しながらそれなりに楽しめます。
部屋自体は特に特徴はないのですが、大浴場は新しく、天井が高くてとても気持ちがいいです。
夕食もまずまずで、量的にも十分。翌日の朝食は、ボリュームたっぷりのおにぎり弁当にしてくれるので、山頂での昼食にすればよいです。
山小屋の布団もいいですが、ユニットバス付のホテルの部屋のベッドで寝てから登山に臨むというのも悪くないと思います。


ホテルステイヒル。建物はそれほど新しくないですけど、可愛い感じです。


大迫の町にある看板。ステイヒルから1分のところ。いろんな観光施設が至近です。


エーデルワインというワイナリーの醸造所の裏にある直営販売所。ワインだけでなく、ジュースやグラスなども売ってます。試飲し放題。


大迫のブドウ。美味しいワインになってください。

閑話休題、早池峰登山。
ステイヒルに泊まった翌朝は、ホテルから歩いて5分ちょっとのバスターミナルを5:50に出発するバスにて早池峰の河原の坊登山口に向かいます。


レトロな路線バス。


バスターミナルの事務所もレトロ。両替をお願いしました。


50分ほどで河原の坊登山口に着きます。350円で携帯トイレを売っています。3つで1,000円という微妙に団体向けのプライシング。

天気図的には曇りかと思っていましたが、沖縄に来襲した台風の影響で梅雨前線が南に引っ張られたのか、この日の早池峰は晴れていました。ラッキーです。ただし、真夏の日差しと気温を覚悟しなくてはならないのは、登山開始時点で予想できました。
準備運動もせずに早速登り始めます。河原の坊コースは、その名の通り沢筋を登るコースなので、この日のような暑いコンディションでも比較的気持ちよく進めると思います。


何度か渡河することになりますが、これはこれで楽しい。ただし、濡れた岩は滑るので注意。早池峰は蛇紋岩という岩でできた山で、この岩は濡れるとよく滑ります。


沢筋は花が多くて最初から楽しい。色的には、圧倒的に白い花ばかり。まずはシャクナゲ。ただし、写真のもの以外にはほとんど咲いていなかった。


カラマツソウ。モミジカラマツかね?


ブナの原生林が美しい。森林浴最高。


マルバシモツケ。


センジュガンピ。ぎざぎざの花弁の割に、全体的には上品な感じ。


この花、いろんな山の沢筋にあるような気がするけど、名前が特定できず。


暫く登ると、相変わらずの岩道ですが、徐々に木々の背が低くなっていきます。そして、ミヤマオダマキやヨツバシオガマのような鮮やかな色のものが目立つようになります。

こんな感じの道。


ヨツバシオガマ。上の方ではもっと群生しているけど、この時点では1つでも見つけると嬉々として写真撮ってました。


ミヤマオダマキ。


ヤマガラシ。アブラナの仲間らしい。数は少なかったと思う。

そして、森林限界を超えたあたりから目当てのハヤチネウスユキソウが現れました。


ハヤチネウスユキソウ。固有種です。


個体数が少ないのかと思っていましたが、意外なほどたくさん見られます。


これもたくさん咲いてきて、あまりありがたみを感じなかった花。しかし、下山後に調べると何と早池峰の固有種の1つでした。ミヤマヤマブキショウマ。


チングルマの花は終わり、毛がなびいていました。ミヤマヤマブキショウマとこのチングルマの写真はお気に入り。


このヨツバシオガマもそうですが、遠景に山や空が写っていると高山植物感が出ると思う。


ハクサンチドリ。個人的に贔屓の高山植物です。


そして、シロバナハクサンチドリ。普通は紫色の花ですが、早池峰では白い変種が見られることを事前のウェブ調査で知っていました。これは見たかったもの。


タカネニガナ。撮っている時はオトギリソウと思っていましたが、下山後に調べたら違うらしい。


ウラジロヨウラク。この辺りのものは、昨年谷川山系の平標山でも見ました。


しかしこれは早池峰固有種。ナンブトラノオ。固有種であることは、登っている時に他の登山者から聞きました。


チチマフクロ。ハクサンフクロに似ているけど、その名の通り北海道や樺太、千島の植物らしい。チシマと頭につく植物が多いのも、東北の山の特徴でしょう。

この辺りでは、登山道の左右の端まで行ったり来たりしながら花の写真を撮るのに夢中で、太陽に晒されているうちに汗も引いていく始末。全然登山になりません。花の好きな人にはコースタイムは参考にならない山です。私より高齢の女性2人組にも抜かれ、あなたさっきから全然進んでませんねとか言われる始末。
しかし、ここから御座走りや打石といったスポットが出てくるのですが、急登が続くのと下で見た花と変わらなかったりすることで、だんだんと登山に集中します。もう一つの理由は、9時近くなって徐々に雲が湧き上がってきたからです。まさに夏山のようで、早く登頂しないと山頂がガスで覆われる恐れが出てきました。


御座走り。


打石。犬が左上を見ているようだと書いてあった山行記録があったけど、その通りと思う。


振り返ると、南側で早池峰と対峙する薬師岳が見えます。こちらは花崗岩質の山のために植生が全然違い、樹林帯が山頂まで続いているようです。


9時ちょうど。ガスに捕まる。


頂上へはあと少し。鎖場などをが出てきますが、足元が濡れていない限り滑らないのであまり怖くないです。

御座走りを超えたあたりからは、花の密集度が上がります。

ヨツバシオガマ中心に。多くの花。


ナンブイヌナズナとミヤマオダマキ。


ミヤマキンバイ。


ミヤマアズマギク。下の方からかなりの数が咲いています。白っぽいものから青紫の濃いものまで。


キバナノコマノツメ。スミレの仲間ですが、黄色で珍しい。これとミヤマオダマキ、ミヤマアズマギク、ミヤマシオガマ、そしてハヤチネウスユキソウが一番多かったと思います。色もそれぞれ違うので、まさに色とりどり。


ハヤチネウスユキソウとミヤマオダマキ。


ミヤマシオガマ三連星。

写真と高山植物観賞に時間を相当取られたとは言え、登山口から2時間半ほどで9時15分ごろに登頂です。山頂には神社があり、神楽の道具も奉納されているようです。滑りやすい蛇紋岩の急な登りをここまで運んでくるのは根性ですな。


山頂は幸いなことに晴れていました。ガスは南側から上がり、山頂を超えると東側に流れて消えていく感じでした。頂上は岩岩しく、結構広いです。天気に恵まれたおかげで眺望はよく、東側はもしかしたら太平洋まで見えていたのかもしれません。




ホテルの送迎車とは、小田越の登山口で13:30の待ち合わせなので、時間的には余裕があります。そこで、山頂から西の鶏頭山方面を散策します。事前の調査で、こちらに花畑があるとのことだったので。そして、その花畑の迫力は凄かった。


ミヤマシオガマ。辺り一面に咲いています。


ミヤマアズマギクとホソバイワベンケイ。


ミヤマアズマギク。


白花のミヤマオダマキ。


チシマゼキショウ。これだけ多くの花が特定できるのは、早池峰に関するウェブ上の情報が充実しているから。やはり、花の名山として親しまれているのですね。


この辺りの稜線の登山道はこんな感じです。

暫く花を愛でながら遊んで、山頂に戻ります。北側の眺望が良いので、そこでホテルでいただいたおにぎり弁当を食べました。ボリュームあった。
山頂からの眺めを楽しんでぼんやりして時間を過ごし、10時50分頃に小田越を目指して下山を始めます。
すると、ミネザクラガ2輪ほど残っていました。今年は雪が多めだったようで、サクラも遅かったようです。7月に桜の残っている所って、日本中でどれくらいあるのかね。


こちらのコースも高山植物が豊富で、河原の坊からの登りでは気づかなかったものも幾つか見つけました。


ミツバオウレン。


ウコンウツギ。


イワカガミは花畑状態になっていました。


葉の形状からイワウメだと思うんだけど、時期的にちょっとずれているかも。何の花でしょうね。


ショウジョウバカマは一輪だけ残っていました。


小田越コースは木道が整備されていて、とても歩きやすいです。全体的に、とても手入れの行き届いている山です。高山植物を守るため、登山道を整備してそれ以外のところには人を入らせないようにする配慮でしょう。


カラマツソウは大花畑状態でした。


拡大。


木道の下にはマイヅルソウが咲いていました。まだ咲き初めでした。

途中、剣ヶ峰方面にも少し足を延ばしましたが、風景や植物はあまり変わり映えしない感じだったので素直に小田越コースを下りました。
岩の結構急なコースで、濡れていたらかなり滑るでしょう。私は晴れでラッキーでした。河原の坊コースほどではないですが、下りでは気をつけないと転ぶかもしれません。


登りで見た花々は、こちらのコースでも見ることができます。花の数はどちらとも言えない感じですが、河原の坊の方が序盤の沢筋でいろんな花があるのでいいかもしれません。
途中、こんな花を見つけました。

恐らくホソバツメクサ。下山後調べたところ、これとよく似たカトウハコベという花はかなり希少なようです。


ちなみに、これは河原の坊からの登りで撮った写真。もしかするとこっちはカトウハコベかも。いずれにしても、小さくて白い可憐な花です。

途中、鳥の声が常に聞こえていました。ウグイスも早池峰ではまだまだ健在だし、ヒバリのような鳥もいました。これは登りの途中で見たもの。


そして、これは下山中に会ったホシガラス。大きな声で2羽で泣いていました。


下りは滑らないように気を使ったのと、大人数のツアー客とのすれ違いが大変だったのであまり写真は撮りませんでした。
そして樹林帯へ。

ここでも木道が整備されています。


ギンリョウソウを見つけました。これも平標山以来。

13時前には下山完了で、登山口にいらっしゃった監視員の方にいろいろお話を聞いて過ごしました。


空の様子は完全に真夏でした。


その後、同行のご夫妻の下山が遅れて予定よりも出発が遅れたものの、無事にホテルの車で送ってもらって新花巻に出ました。
この日の岩手県は真夏の様相で、盛岡辺りは雷雨が凄かったようです。
私はお天気に恵まれて、花のハイシーズンの早池峰を満喫。ある意味で相当に贅沢な旅でした。
これからのシーズンは、やはり高山、アルプスに行きたいと思います。

早池峰、名前も綺麗な山です。
温暖化と植生のことを去年本で読んで、日本の希少な高山植物に興味を持ってからずっと行ってみたい山でした。
ハヤチネウスユキソウ、ナンブトラノオ、ミヤマヤマブキショウマといったこの山にしか咲かない花と巡り合うことができ、さらに多くの可憐な花々を見ることができたのは貴重な体験です。
登山としても、 蛇紋岩の道を行くのは楽ではなく、眺望も含めて楽しめるレベルのものでした。
東京から行くのであれば、平泉などの観光名所と組み合わせるとか、神楽や鹿踊りなどのイベントと合わせて楽しむのがよいでしょう。
弾丸で行くのはもったいないと思います。

天狗岳 - 強風に煽られる過酷な雪山登山

2014-03-18 21:24:12 | 旅行
大雪で交通機関がマヒしたり、週末もいろいろと忙しい時期が続いて、前回の山行から1ヶ月以上間が開いてしまいましたが、北八ヶ岳の天狗岳に挑戦してきました。
この日は午後から曇ってしまったけど、登頂は快晴の午前中に済ませたのでお天気は問題なし。相変わらず、八ヶ岳との相性はよいです。

まずはターゲットの天狗岳の写真。東天狗岳と西天狗岳の2つのピークを持ちます。北八ヶ岳では最高峰で、雑誌やブログで仕入れた情報では、雪山初心者卒業試験の対象のようなものらしいです。


そのため、私も今年の冬に挑戦したいと思っていました。そして、谷川岳などでステップアップし、ある程度自信を持って臨んだ訳です。
ところが、今回の登山では、「雪山での強風」という大敵に初めて遭遇。これほど厳しい敵だとは思いませんでした。
いつもの山行では少なくとも一日で100枚以上は写真撮ってましたが、この日は50枚弱。強風に耐えながら進むのに精一杯で、写真の余裕なし。ちゃんと撮れたか確認するのさえ大変なので、とにかく写真撮ったら直ぐにコンデジしまって風に耐える状況。

あと、少し残念だったのは樹氷がすっかり落ちてしまっていたこと。
前日まではかなり綺麗な樹氷があったり、樹林帯も樹上に雪が積もっていたようですが、強風と比較的高い気温にやられてほとんど残っていませんでした。まあ、それでも苔とか可愛い。


樹上の雪は少なくても、冬の樹林帯は針葉樹の緑と空の青、雪の白さのコントラストが美しくて好きです。


あと、ダケカンバの木の皮が相当はがれていました。自然にはがれるものらしいけど、あまりにツルツルになっていたので、鹿の食害かと思いました。

今回は、コースタイム(休憩なしで6時間半から7時間程度)を見る限り公共交通機関での日帰りはギリギリっぽかったので、最初から飛ばしました。
登山口の渋の湯からは、最初の分岐までは結構急な登りです。ここを走るように登ったので、直ぐに汗だく。冬山での汗は低体温症につながるリスクがありますが、手袋も帽子も外してどんどん登りました。結果、黒百合ヒュッテまで1時間20分弱で到着。ちなみに、コースタイムは2時間半です。


雪が締まっていれば、岩などで苦しめられる夏道よりも、雪道の方が速く登れるのだと思います。が、それにしても速かった。
それはいいんだけど、ここでアイゼンを装着していたら髪の毛についた汗が凍りました。やはり雪山で汗をかくのはご法度ですな。

で、中山峠経由で東天狗岳を目指す。ところが、峠を過ぎてちょっと歩くと、いきなり風に舞った氷のかけらが顔に当たって痛い痛い。
こりゃ、あかん、ということでバラクラバを装着し、気合を入れ直して進みます。
ところが、進むも何も強風でほとんど飛ばされそうな勢い。ほぼ同時に出発した若い男性2人組のパーティも、登山慣れしている感じの方は何とか進まれますが、もう一人の方は停滞気味。それを見ながら、「雪山初心者としては、ここは勇気ある撤退をすべきか」と迷いました。
しかし、せっかくここまでハイペースで登ってきたのに撤退しては、時間が余りまくって悲しい。行けるところまで行こうと思って登りました。結局この2人は追い抜いて、一人で進みました。

それにしても、風が右側(西側)から吹き付けるせいで、呼吸するのもたいへん。ピッケル持たずにダブルストックという夏山と同じ装備でも進めたのは、コースの大半で東側は尾根側になっており、風に煽られて一気に滑落する可能性が低い場所だったからに過ぎませんな。
トレースはついているし、3月ということで新雪パウダーではなくアイスバーンになっているためにアイゼンは利きます。しかし、踏み出した足が風で煽られて思ったところに着地できない。とにかく体中に力を入れて、踏ん張り続けていないと本当に飛ばされる。
おそらく、風速20mは超えていたのだと思います。少なくとも瞬間的には。継続的にも15m以上だったのでしょう。まあ、予報でもそうなってたのだからしょうがない。

途中、雪山慣れした感じの若い男性(ソロ)に抜かれましたが、この人が登っていくのが見えたのがよかったです。「意外と登れるものですよ」と実例を目の前で示してくれているようなものなので、それに付いていきました。
結果、一時間弱で東天狗岳山頂(2,640メートル)に到着。達成感。


南八ヶ岳方面が大きく見えます。この時はそんなこと考える余裕なかったですが、今写真を見ると、来年は冬の赤岳を制覇したくなります。


本当は南アルプスとかも見えていたのかもしれませんが、風のせいでしっかり目を見張って遠くの景色を見る気力なし。蓼科山くらいがせいぜい。


それに、サングラスも自分の息で曇った上に水蒸気は冷たい風で凍りつくので、その氷をはがさないといけません。烈風の中でそんなことしてカメラ構えて写真撮るような余裕なし。
東天狗岳を制覇したと言っても、天狗岳の最高峰は西天狗岳の2,646メートル。まだ本当の意味では制覇していません。
実は、前を行っていたソロの男性は、私が東天狗の山頂に着く前にサッサと引き返していました。すれ違い際にお互い「台風ですね」とか声を掛け合いましたが、「この人でも今日は西天狗岳は行かないのか」とその時は思いました。しかし、東天狗岳山頂から見る限り西天狗岳への道は広く、少し飛ばされても大きく滑落するようには見えません。進むべきか撤退すべきか。


そうこうしているうちに、出発地点で一緒だった男性2人のパーティが到着。この方々に聞いてみると、西天狗に向かうとのこと。それなら、ということで私も出発。
トレースは風でほとんど消えていましたが、雪が凍って締まっていたので特に問題なく進むことができました。斜面では足首まで沈むくらいのプチラッセル。それより何より、風で押されてずり落ちることが多々あって、3歩進んで1歩下がるくらいの感じ。
それでも何とか西天狗岳も登頂。これで雪山一年目の目標であった、天狗岳を制覇です。この時、めったに買わない山バッジを買うことを決めていました。


西天狗の山頂から見る南八ヶ岳のパノラマ。硫黄岳の爆裂火口が目を引きます。去年の夏に、硫黄岳から横岳、赤岳、阿弥陀岳と制覇しています


そして、西天狗から見る東天狗。全然形が違うのが面白いですね。山頂には、後続のパーティが到達した模様。


ここからは下山ですが、下山中も容赦ない強風に煽られ続けました。
完全に吹き飛ばされることはなかったものの、広めの道ではまっすぐに進むことを諦めていました。多少斜めに進むことになっても、コースを外れない限り進んだ方がましだという感覚です。
気温は恐らく0度前後で比較的暖かかったのが幸いでした。
マイナス10度とかだったら、一層過酷だったのは間違いありません。

一応周回コースを通り、「天狗の奥庭」と名付けられた、溶岩のごろごろしているところを通過しました。


しかし、大きな溶岩ではまったく風よけになりません。
休憩もかねて溶岩に背を預けながら寝転がり、やっと何とか少し楽になります。そして撮った写真が上のものです。
なお、この道標にあるスリバチ池は、そもそも完全凍結した上に雪が積もっていて、強風の中では発見が難しかったと思います。自分が歩いていたら、地面が透明な氷になったところがあったので、恐らくスリバチ池の上を歩いたのだと思います。

そんな感じで苦労しつつも、快晴の下の天狗岳とそこからの眺望はは絶景。
結果的には登頂も果たし、心地よい疲労感と達成感でした。
結局、5時間かからないで登山口まで戻ってきてしまいました。風がなければもっと景色を楽しんだんだけど、今回はそれはできませんでした。
帰りは、茅野駅のお土産売り場で贔屓の地ビールを買って帰りました。


時期的にはまだ残雪期が続くので、もう一度か二度は東北方面や谷川連峰へ行く機会があるかもしれません。
それでも、今回の天狗岳は、今期の冬山の1つの区切りでした。
達成感とか呑気なこと言ってますが、あの強風の中ソロで登ったので、生還できてよかったというのが初心者としての感想です。

冬の北八ヶ岳ハイキング超楽しい

2014-02-18 21:45:34 | 旅行
八ヶ岳好き。南アルプスは大きすぎて圧倒されるし、北アルプスは格好よすぎて圧倒されるが、八ヶ岳は馴染みやすい気がする。
夏の終わりに行った時は快晴で、主峰の赤岳を含めて南八ヶ岳の人気コースを堪能。
山頂や稜線の岩場の面白さや絶景だけでなく、樹林帯の木々と土の香りや鳥の声、沢の水音など、原生林が懐深い感じでヒーリング効果抜群。
高山植物の時期を外したことだけが悔やまれるが、この時の山行は昨年のGWに山歩きを始めてから最も充実したものだったと思う。

で、季節は変わって厳冬期の2月。八ヶ岳の中でも北八ヶ岳と呼ばれる山域は、南と比べると標高も低く山容も険しくないために雪山初心者向けのコースとして雑誌などによく紹介されている。
2月の第2週くらいまでの時点では今年は雪が少ないらしいけど、2,500メートくらいの標高を誇る山域なので低気圧が通過した後はそれなりの降雪があるはずだし、その直後に高気圧が支配している時に訪れれば綺麗な青空と雪のコントラストも楽しめると思って機会をうかがう日々。
そして、先週土曜日の大雪の後を狙って月曜(有給)・火曜(祝日)で行ってきました。

今回のコースは2日編成。
1日目は北八ヶ岳ロープウェイで一気に標高2,200メートル地点まで運んでもらい、そこから北横岳(2,480メートル)に登頂。
その後登山道を戻って縞枯山(2,403メートル)に登頂、さらに茶臼山(2,384メートル)に進んで麦草峠(2,127メートル)に下りたら麦草ヒュッテにチェックイン。
そこからスノーシューを履いて完全凍結している白駒池(2,115メートル)にトレッキング。ヒュッテに戻って宿泊。
2日目は麦草ヒュッテをチェックアウトして丸山(2,330メートル)を経由して高見石(2,300メートル)へ。その後、今回の最高地点である中山(2,496メートル)に登ってから高見石に戻り、賽の河原と呼ばれる地点を経由して渋の湯(1,880メートル)に下山。

1. 快晴は最強の要素
八ヶ岳とは相性がいい。前回に続いて今回も快晴。つまり、2度の山行で2度の快晴。
雪山で快晴だと空の青さと雪の白さの対比が際立つので、特に素晴らしい。
日本の自然が作る絶景を楽しむ旅なので、これはとても大事な要素だ。
例えば以下のような光景。

北八ヶ岳らしい縞枯れ帯を含んだ光景。


北横岳山頂から見る蓼科山とその奥に見える北アルプス。この方面の木々には雪が載っていてきれいです。


そして南八ヶ岳方面の大パノラマ。やはり赤岳は勇壮。


中山展望台からの大パノラマ。北は蓼科山から北アルプス、乗鞍、御嶽山、中央アルプスとくっきり見える。


そして北八ヶ岳で人気の天狗岳。3月末までには私も登頂したいと思う。


高見石から白駒池と浅間山。とても気持ちいい。


完全凍結した上に雪の積もった白駒池。絶景の中心に立って、池ノ上をスノーシューハイク。


賽の河原。木々に雪がついていたらもっと綺麗だったのだと思う。


2. 樹林帯の「ちょっとモンスター」が可愛い
土曜日の大雪の後だったんだけど、八ヶ岳では東京で騒いだほどの大雪ではなかったらしく、その後の好天の太陽で樹上の雪はほとんどなくなってしまった模様。確かに、白く輝く霧氷・樹氷の類はほとんど見られず。
それでも、特に麦草峠からの樹林帯を進んで白駒池や丸山、そして中山に進む道には、北欧の森を思わせるような針葉樹と雪の光景がありました。
昨年2月に蔵王で見たスノーモンスターのような完全な樹氷ではないものの、これはこれで風情があるし、何より愛嬌があって可愛らしい。「ちょっとモンスター」と名付けて道すがら楽しんでおりました。






3. 自然と動植物を大切にしたくなる
「ちょっとモンスター」を眺めながら麦草峠~白駒池をスノーシューでハイキングしていると、動物の足跡が多く見られます。
白駒の奥庭という開けたスポットは、雪の吹き溜まりの形も面白いけど動物の足跡もたくさん。また、賽の河原でも鹿の足跡がたくさんありました。
鳥の声も聞こえます。谷川岳はまったくの静寂の中で修行のように登山しましたが、八ヶ岳は生命を身近に感じますね。
動物だけでなく、植物も意識されます。多種多様な苔が自生する北八ヶ岳の白駒池付近は、解説の看板が多くたっています。もちろん今の時期は苔は雪の下でみえないけれど、豊かな森を想像するのはむずかしくありません。
ハイキングしていると自然と動植物への愛情が強まると思います。

野兎の足跡。思ったより大きいですね。


鹿かカモシカ。


白駒の奥庭。


坪庭のシュカブラ。この下にも溶岩だけでなく、高山植物が眠っているんですよね。


帰り際、下山して「渋の湯」の温泉を出たところにいたカモシカ。


4. 冬の山小屋は落ち着く
今回は麦草ヒュッテさんにお世話になりました。
土曜日の大雪と日曜日の交通マヒのせいか、何と宿泊客は私一人。それでも面倒がらずに親切にしていただき、感謝です。
座敷の個室でストーブとコタツというのは、都心のマンションから来てみるととても懐かしい雰囲気。
暖かかったです。

麦草ヒュッテ。


日没直前、ヒュッテの前の大きく開けたところから見る綺麗なお月様。


晩御飯は焼き魚。



今回思ったのは、ピークハントという意味での登山をしなくても十分楽しいということ。
紅葉シーズンの北アルプスでも、穂高連峰のピークに登頂するのではなくて穂高連峰の紅葉を堪能するために「屏風の耳」に行ったけど、今回もそれに似ている。
天狗岳のような高めのピークは一つも狙わず、標高差にして100~300メートルくらいのピークを幾つか登り下り。主に樹林帯を歩いて八ヶ岳ならではの雪の森を楽しみました。それに加えてスノーシューで白駒池や付近の樹林帯をハイキングしたのが、とても気持ちよかった。
単独行でしたが、こういうハイキングは仲間がいた方が楽しいでしょうね。大雪でJRの運行が狂ったり中央高速が通行止めになったりしていたせいか、あまり多くの人には出会いませんでした。しかし、北八ヶ岳は冬のアウトドアスポットとして超おすすめできます。
キツイ登山ではなく、ハイキングで日本の冬山、雪の森、凍った池(白駒池は標高2,100メートル以上の地点にある池では日本最大。周囲の長さは1.35㎞)、数々の展望スポットが楽しめます。
山小屋も、夏だと登山客で混雑していて初心者は何となく気後れするかもしれないですが、冬なら空いていてスタッフの方と会話するのも楽しい。
冬のアウトドアに関心があるなら、是非行ってみて欲しいところです。

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「魔の山」谷川岳、雪山初心者挑戦記

2014-01-28 21:03:35 | 旅行
なんか、この真冬に太平洋側から高気圧が張り出してる感じで、気温が上がるのは予想できるけど晴れるのか曇るのかよく分からん。
先週後半は天気図を見ながらそう考えてました。2月の最初の土日は用があるので登山には行かれません。だから、天気が良ければこの週末は北八ヶ岳辺りに行きたいな、と。
しかし、日曜には低気圧が発達してきそうで天気も風も心配な感じだし、公共交通機関を使った日帰りで土曜日に登る初心者向けの山となると、ある程度限られてきます。
そこで、自分の中で急浮上したのが上越国境の谷川岳。遭難者数世界一、ヒマラヤの8,000メートル峰での死者を全部合計しても谷川岳での遭難死者の方が多い(もちろん入山者の母数が違うが)という魔の山です。
まあ、魔の山って言っても、遭難のほとんどは日本3大岩場の1つである大岩壁を登る人たちとか、バックカントリースキーで雪崩の危険性の高い沢に下って行く人なので、慎重に準備して行けば大丈夫なはず、と思います。
実際、谷川岳は雪の締まった3月に天神尾根を登るコースなら初心者向けとして紹介されています。が、厳冬期には豪雪地帯で粉雪をラッセルして進まなければならない可能性もあり、お勧めされていません。
先週赤城山で雪山デビューしたばかりの初心者中年は山頂にたどり着いて無事下山できるのか。。。

文章だけだと気分が乗らないので、とりあえずゲレンデ脇を登り切ったところから撮った谷川岳の雄姿を一枚。


朝6時36分に東京を出る上越新幹線「MAXたにがわ」の自由席は、スキーヤー、ボーダーで満席。ほとんどの人は終点のガーラ湯沢まで行くのでしょうが、私は手前の上毛高原駅で降り、関越バスで水上を経由して谷川岳ロープウェイ駅を目指します。
この時点では私も含めて3名しか乗っていなかったけど、水上駅で鈍行に乗って東京・埼玉方面からやってきたと思われる方々を拾い、10名以上の登山者が谷川岳を目指しました。
天気は曇り。気温は高めで、まさかの厳冬期の雪崩を勝手に想像して恐怖しながらバスに揺られていきます。
双耳峰と言われ、二つのピークを持つ谷川岳の姿は、すでにバスの車窓からずっと見えていました。どっしりとして威厳のある山です。
耳というのは、山頂の形を猫の耳のイメージに重ねて呼ぶものですが、「魔の山」なだけにモンスターの角のように見えてしまう。

9時ごろに天神平のロープウェイの山麓駅に着き、スキー場のある1,300m地点まで運んでもらいます。
いよいよ本格的な雪山登山が始まります。気温は高く、この地点ではプラスの温度だったと思われます。
アイゼンを装着してゲレンデ脇の結構急な坂を20分ほど登ると、最初の写真のようにこれから登る谷川岳がきれいに見えます。
そして、目を北東方向に向けると別の山が。これは白毛門。この一帯を縦走する馬蹄形縦走コースで最初か最後に登られる山ですな。


その後も順調に登っていきます。
粉雪をラッセルして進む必要がある場合に備え、実はAmazonで買ったスノーシューを持ってきていました。しかし、実際には先行者のトレースがしっかりついていて、雪も比較的締まっていたのでアイゼンでも大丈夫でした。
この日はバックカントリースキーをやる人を含めて30人くらいの登山者がいたのではないかと思いますが、多くの人はアイゼンで登っていました。

しかし、豪雪地帯であることに変わりはない。避難小屋は埋没。


風もほとんどなく、初心者に優しい天候でした。
それでも、アイゼンを蹴り込みながら登っていくのは結構たいへんで、何度か雪に腿まで埋まって体力を削られながら進みます。
途中で景色を堪能するために(実は息を整えるために)少し止まって周りを見回すと、雪山の絶景が見られます。
これは上州武尊山。


その奥に見える尾瀬方面。至仏山と思われる。雪の量がこちらも半端ではない。


自分の息遣いと風の音以外、何も聞こえないし、山の匂いもしません。
夏山であれば、鳥の声が聞こえたり草や土の匂いがするし、沢の水の音が聞こえたりします。しかし、雪山は静まり返り、色も白と灰色の2色の世界。
神秘的なものです。晴れて真っ青な空もいいけど、こういう墨絵のような世界も素晴らしい。静謐な美しさ。

これは谷川連峰の仙ノ倉山方面。


その先に浅間山。存在感あります。


振り返ると、先週登った赤城山。すそ野が広い。


気温が高かったせいか、急な斜面にはクラックがたくさんできていました。雪崩の元ですな。バックカントリースキーの人たちは大丈夫だったんだろうか。


とにかく、気温が高かったせいで汗はかくし、手袋も脱いで帽子も耳を出してアウターの前を開けて登っていました。
徐々に高度を上げると、谷川連峰の稜線の奥に、越後の山々も見えてきました。やはり雪の量が凄い。


この辺りになると、さすがに風が出てきて、気温も下がります。慌てて手袋をつけて帽子も深めにかぶります。
そして、山頂直下の山小屋近くの道標。3~4メートルの高さがあると思いますが、ほとんど埋まっている上に雪がこびりついています。エビの尻尾状態に近い。


ここまで来れば山頂はもうすぐ。まずは双耳峰の手前側、トマノ耳に到着。標高1,963m。
空気が澄んでいて、曇りだけど周囲を360度見渡すことができました。
これは、トマノ耳からもう一つのピークであるオキノ耳。


拡大すると、雪庇が凄い。谷川岳の天神尾根においては、この雪庇に近づかないことだけは気をつけないといけません。


仙ノ倉山方面の稜線。真っ白。


ここから10分ほど歩いて、オキノ耳を目指します。
その途中の岩と雪と風の芸術。


もう一つ雪と風の芸術。


やはり雪山、登った者しか味わうことのできない何かがあります。
そうこうしているうちに、オキノ耳に到着。標高1,977m。谷川岳を制覇しました。

オキノ耳から先は危険なので行けませんが、凄い雪です。下手に歩くと崩れ落ちるのでしょう。谷底まで。


オキノ耳から、先ほどまでいたトマノ耳を望む。凄いとこですね。


トマノ耳から谷川連峰の稜線。


絶景を20分くらい楽しんで、下山です。途中、山小屋のあたりで持ってきたパンと魔法瓶に入れた甜茶を飲んでエネルギー補給。
下りはふかふかの雪の上を楽しく下ることができるのですが、踏み固められたところは意外と固いのでちゃんとアイゼンを蹴り込まないと危険なこともあります。
何だかんだ言って、注意しながら下山。

途中、少しだけ日が差しました。風景の印象が変わります。


私としては、適度な標高差・ルートの長さで、楽しむことができる山でした。
ある意味畏怖の念さえ感じさせる格好いい山容の谷川岳は、いつか登ってみたい山でもありました。
それを、本格的な雪山デビューの対象として無事に制覇でき、有意義な山行でした。
下山してもう一度振り返ります。


午後2時ちょうどにロープウェイ駅に到着。山麓まで運んでもらったところ、次のバスまでは1時間近くあったので、地酒などお土産を買って休憩。
水上の駅までバスで出ると駅前にはお土産屋さんがたくさんあったので、おやきを買って小腹を満たしました。


その後は鈍行で東京まで帰りました。
雪山、楽しいものです。春まであと数回はチャンスがあると思うので、週末の天気がよさそうなら北八ヶ岳とか福島県あたりの山にも挑戦したいと思っております。

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赤城山ハイクで雪山デビュー

2014-01-19 22:35:31 | 旅行
18日の土曜日に赤城山に登りました。雪山初挑戦には手ごろな、危険の比較的少ない山です。百名山指定されているので、人気あるものと思われます。
赤城山は付近の山の総称で、独立峰の火山です。最高峰は黒桧山の標高1,828メートルだけど、カルデラ湖である大沼にビジターセンターがあり、そこまでバス路線があります。
大沼が1,345メートル地点なので、実際の標高差は500メートルもありません。
雪山はアイゼンをつけたりして装備が重いし、先行者がトレースを踏み固めていない場合には自分で雪をかき分けて進まなければならないなど、雪のない山行に比べて楽ではありません。
しかし、赤城山なら登山口から頂上までの標高差も小さい上に、アクセスのよい人気の山ということでトレースもしっかりついています。
危険度も難易度も低いので、アイゼンをつけての歩行の練習など、雪山初心者の自分にとってもトライしてみるにはよい山です。
それでも、吹雪の中を登るのは嫌なので、天気図をよく見て晴れると確信した日に登りました。結果は上々。雪山らしい絶景に遭遇できました。まあこのレベルではプチ絶景かもしれないけれど。

まずは、上越・長野新幹線で高崎に向かい、両毛線に乗り換えて前橋で降ります。前橋駅前からは赤城山への直行バスが1日3本出ており、9時前に出て10時くらいに赤城山に着きます。登山目的なら、ビジターセンターではなく、あかぎ広場前のバス停の方が便利です。


快晴で風も弱く、お天気は最高ということで神に感謝。バス停付近のトイレに行ったら早速登山開始です。付近に登山口があります。
黒桧山に直接登る方がメジャーなようですが、ヤマレコや登山ブログを参考に、駒ヶ岳から登って黒桧山にプチ縦走します。この方が傾斜が楽な上に、稜線に出てからの登りで太陽を背に景色を楽しんで写真が撮りやすそうだったので。もちろん、傾斜が楽なのでアイゼン歩行の練習にもよいと思ったわけですが。


早速雪の世界。東京生まれで雪の多く降る所に住んだ経験がないので、これだけでも十分感動する。


アイゼンですが、今後のことも考えて12本爪の本格的なやつを買いました。と言うか、夏山と違って何かあったらホントに死ぬかもしれないという恐怖があったので、ウェアも値段高いけどモンベルの店員さんに勧められるままにほとんどフル装備買いました。まあ、滑落する危険の高い場所や凍結した崖にはまだ挑戦しないので、ピッケルとか買ってないですが。

登山開始直後は夏山を歩くのとたいして変わらない感じで歩いていたのだけど、15分もするとアイゼンの重さが感じられるようになります。
それに、雪や氷にちゃんと刃を食い込ませるには、やはりそれなりに蹴り込む必要があるのも実感として分かってきます。
そこで、コースタイムは3時間ちょっとで短くて時間に余裕あるし、雲も湧き上がってくる心配はなさそうだったので、敢えて時間をかけて歩行の練習をしました。
凍った階段が結構難しかった。


この日の気温はマイナス4度くらいだったらしいけど、風が弱かったので結構暑く感じましたね。
雪山では汗が冷えて凍ってしまい、稜線で風にさらされて低体温症になる恐れがあります。だから、薄めのウェアを重ね着して体温調節するんだけど、これに失敗していました。
樹林帯の登りを終えて稜線に出るころには普通に汗かいてましたが、穏やかな天候のおかげで特に問題なく帰ってくることができました。
それでも、稜線に出ると景色が一変して感動して写真撮ったりして運動が止まった時に、ちょっと強い風に吹かれたりすると、やはり急に寒さを感じましたね。






高度感はあまりないけど、綺麗な雪の稜線を楽しむことができました。
快晴だったので空の青さが素晴らしい。夏山もそうだけど、山の景色は晴れるとホントに綺麗だ。

右前方には、日光山系の山々がくっきりと見えてきました。手前の大きいのは皇海山、奥の一段高いのが日光白根山ですかね。白根山は昨年6月に男体山に登った時にも眺めました。いずれ攻略したいですが、電車ではアクセスがあまりよくありません。


赤城山は独立峰なので、登山口に着くまでに山深さを感じません。前橋からバスに乗って市街地を抜けていくと、いきなり坂になって雪が積もりだして赤城山に到着します。
日本アルプスや八ヶ岳、あるいは奥多摩であっても、徐々に山々の深いところに入っていく趣がありますが、それは感じられません。
しかし、独立峰のいいところは、付近を遮るものがないので展望台として活躍することです。この天気なら日光連山だけでなく、谷川山系や尾瀬の方の眺望も期待できます。
まあ、そのためにはサッサと黒桧山に登頂しないといけないんですが。

大沼を見下ろしてみると、完全凍結したところに雪が積もって真っ白だった。


大したアップダウンもなく、順調に駒ヶ岳の山頂に着きました。標高1,685メートル。


頂上はちょっと霧氷っぽくなっていました。午前の早い時間ならもっと綺麗な霧氷なのでしょうが、日光と風にやられてこの時間ではかなり落ちていました。


そして、谷川山系も早々に拝むことができました。やはり雪の量が凄まじいイメージ。真っ白。日本有数の豪雪地帯ですからね。


いよいよ主峰の黒桧山を目指します。事前のリサーチによると、頂上までは結構急な登りが控えている模様。


天気がいいとはいえ、稜線で風が吹くと一気に寒くなります。この感覚を経験できたのはよかったかも。
今回は、カメラの操作がもどかしくなったりした時とかグラブを外したりしたんだけど、本来は危険な行為よね。
あとは、耳を覆う帽子は必要。自分は、極端に寒い場合に備えてバラクラバ(目出し帽)を持ってきていたけど、大して寒くなければウェアのフードをしっかりかぶれば風は防げると思ってまっした。
確かに防げるのだけど、やはり保温機能がないのは苦しい。帽子はいりますね。

稜線の鞍部では風が雪で不思議な形を作っていた。


こんな中で見ると、木々の芽も健気な感じだ。


黒桧山を直接登ってからこちらに縦走してくる人が多いので、この辺りではすれ違いが多くなります。
ちょっとトレースを外れて雪を踏むと、ズボッと膝上まで沈みますな。この感覚も初体験。
頂上までの急登は、アイゼンの練習でしっかりと爪を使ってゆっくり登りました。
すれ違いは多いけど、こっちから登っている人がほとんどいなかったので、追い抜かれたり渋滞の先頭になる心配がなかったのはよかったですな。

で、頂上近くの黒桧山大神のところまで到着。


山頂はもう少し北に向かったところです。そして、山頂からさらに少し進むと、展望の開けたところに出ます。快晴なので、皆さんそこで景色を楽しんでいました。






北西には谷川山系、北には上州武尊山から尾瀬方面、北東には日光山系がよく見えました。アルプスとかもうっすらと見えていたのかもしれないけど、それなりに風も出てきて目を見開いてよく見る余裕がない。だって、ツツジの木とかこんな風になってしまう気候ですからね。


雪が結晶のようになって積もっているところもありました。


山頂には多くの登山者がいて、皆さんガスバーナーでお湯を沸かしたりしてちゃんと食事作ってました。
私は魔法瓶に紅茶入れてきて、コンビニで買ったパンを食べた。
そして下山。これは楽だった。
雪山のいいところは、下山時に膝への負担がほとんどないことだと知る。今までは膝を壊す恐怖と戦っていたけど、雪がクッションになるので下りがとても楽。スピード下山で1時間足らずで下りきりました。


下山中、大沼と赤城神社がよく見えるところがありました。湖に浮かぶ神社って感じで格好いいです。


下山終了でアイゼンを外し、神社にお参りしました。無事な山行を感謝しようと、まずは手と口を清めようと水場に行くも、当然凍結していた。


神社ではお参りした後に登山のお守りを購入。これからも雪山に挑戦していくとなると、神の助けが必要。特に天候で。


神社は大沼に綺麗な朱塗りの橋がかかっています。これと黒桧山は絵になります。


そして大沼自体は広々と完全凍結。


時間に余裕があったので、バスルートにある富士見温泉に寄って温まりました。富士山は見えないものの、気持ちのよい露天風呂があります。これで入浴料500円は悪くないです。


温泉には食堂も併設されていたけど、夕食には早いのでパス。その代わり、土産物の販売所で漬物などを購入。地ビールは残念ながらなかった。登山で遠征する場合は旅行の一形態なので、その土地の食べ物・飲み物をできるだけ楽しみたいところです。
帰りは、高崎まで出てから快速電車で上野を経由して帰りました。新幹線使わなくても、乗り換えも含めた時間は2時間ちょっとなのでそんなに遠くないかも。
8時ごろには無事に家に着きました。
雪山デビューは天候のおかげで成功です。ウェアの調節とか、スキル面ではまだまだ問題山積だけど。

ちなみに、翌日の日曜日は東京は快晴だったけど、赤城山は猛吹雪だった模様。
運が良かったけど、天候の急転する雪山の恐ろしさを忘れるなという教訓かも。

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上高地~穂高連峰の紅葉見に行った

2013-10-13 18:57:51 | 旅行
ll昨年に続いて紅葉の当たり年と言われている今年。失われゆく日本の絶景を見るために登山を始めた私としては、これは外せない。
特に北アルプスの涸沢が紅葉の聖地のように言われているので、穂高連峰の3,000メートル級の山に挑戦しながら涸沢を訪れるのが王道。
地図も買った。
しかし、9月の連休でお天気に最高に恵まれた八ヶ岳登山ではしゃぎ過ぎた代償に、膝を痛烈に痛めるアクシデント。重めの腸脛靭帯炎ですな。
それから2週間が経過したものの、右膝に痛みが残る状態。今年から登山始めた初心者がこの状態で穂高岳は苦しいでしょ。
それでも諦めの悪い性質なので、いろいろ調査して比較的楽な登山で紅葉を楽しむコースを組み立ててみた。
ポイントは以下の4点:
1) 楽チンテント泊ができる
2) 途中で膝の状態が悪化しても日没までに自力でテント場に戻れる程度のコースである
3) 当たり年に見逃せない絶景ポイントを押さえることができる
4) 観光客・登山客の波に飲まれて辟易する可能性が低い

たどり着いた結論は「屏風の耳」。登山コースのムック本で「初めてのテント泊」コースとしてお勧めされていたものです。
10月に入ってからほぼ毎日、上高地や涸沢ヒュッテのホームページで紅葉の進み具合をチェックし、いつものように天気図も検討。10月の最初の週末~2週目辺りが狙い目と判断しました。
幸いなことに過去数年の未取得有給休暇がたまっていたので、7日と8日の月・火に有給を取得していざ決行。
電車と路線バスを乗り継ぐのは時間もお金も余計にかかるので、直行の高速バスを使います。この予約がたいへんだった。と言うか、空きがある日を選ぶと必然的に6日の日曜に上高地入りして8日の火曜に東京に戻るという組み合わせしかなかった。この時季、誰もが上高地に殺到しているのでしょう。。。涸沢ヒュッテは3人で1つの布団をシェアするらしいです(正気の沙汰ではないですな)。

1) 「屏風の耳」
ところで、「屏風の耳」とは何か。誰も知りませんね。
結論から申し上げます。北アルプスの絶景の名所です。このとおり。




上高地から奥穂高岳や北穂高岳の登山拠点である涸沢に向かう途中、梓川を挟んで対岸に「屏風岩」という国内最大級の岩が見えてきます。
そのほぼ頂上が「屏風の耳」です。おそらく日本の山用語ですが、耳というのは猫の耳のような形をしたピークのことです。

2) いよいよ上高地へ。徳沢のテント場にて幕営
高級避暑地のイメージもあり、これまで縁のなかった上高地に初めて足を踏み入れます。
松本インターを下りて暫くすると、バスは山間部に入って行きます。すると、徐々に梓川が削ってできた渓谷の風景が広がってきます。車窓からの風景は、高度がそれほど高くないところではまだ紅葉は目立ちませんが、緑と梓川の清流、そして所々にある湖が非常に美しいです。
お昼過ぎに上高地バスターミナルに到着。お天気に恵まれて暑いくらい。この日は20℃を超えたようです。
頂上に雲がかかっているものの、奥穂高岳、前穂高岳の威容が出向えてくれました。


そして、日曜午後にも関わらず凄まじい数の観光客&登山者。紅葉シーズンの上高地は銀座のようだ。


とりあえず、2日間テントを張る予定の徳沢を目指します。上高地の散策路は整備されていて歩きやすく、景色が実に美しい。
林の木々や池、梓川の透明な流れ、そして前穂高岳や霞沢岳、振り返れば焼岳を見ながら進みます。








バスターミナルからは、最初のチェックポイントである明神まで約1時間、その次の徳沢までさらに1時間ですが、ある程度慣れていればそれぞれ40~45分で歩けます。私も、テント泊装備を背負いつつも今回から活用し始めたトレッキングポールのお蔭もあり、順調に歩きました。
一方で、上高地のハイカーは誰もが穂高岳の縦走をこなす高レベル登山者のイメージがあったのですが、この時期に来ている人は単なる観光客や登山初心者も相当多いようですな。
すれ違いざまに挨拶しても、必死の形相で挨拶を返す余裕もない人が8割だったと思います。

徳沢のテント場は、井上靖の小説「氷壁」と縁のある徳沢園という山小屋に併設されています。山小屋は高級感ある清潔で気持ちのいいところで、食事もできるし(ソフトクリームやコーラも売っている)お土産も売っています。
芝生がきれいな快適なテント場で、一晩500円で水も使えます。トイレは100メートルくらい離れてますが、何と水洗です。上高地、やはり高級仕様ですが、500円という安さが非常に良心的ですな。ありがたい話です。



テントを張ったら、さらに奥の横尾周辺まで散歩しました。この日は登山はしないで翌日に備えるのですが、上る予定の屏風岩を見ておきたかったので。で、これが屏風岩。登る方向を間違えると単なるロッククライミングになりますな。


3) 「屏風の耳」を目指す
7日の月曜日、快晴。朝日が昇る頃テント場を出発します。徳沢を出て10分ほどのところの新村橋という吊り橋を渡り、梓川の対岸に行きます。丁度この頃朝焼けで正面の前穂高岳がオレンジに染まっていました。


暫くは平たんな遊歩道のようなところを進み、左に90度折れる分かれ道が見えてきたら本格的な登山道です。それでも最初のうちは登りも緩やかで、快調に飛ばして登ることができます。右膝の怪我もほとんど気になりません。
黄色く変わった白樺やダケカンバの林を進みます。


左前方には前穂高岳の斜面があり、そこも紅葉が見事。


拡大すると、赤や黄色が折り重なっていますね。ナナカマドや峰カエデ、山モミジや高嶺桜、そして白樺やダケカンバでしょう。


ウラジロナナカマドの紅葉アップ。


天気は快晴。日が昇るとともに汗が噴き出す夏山のような状況。まあ、それでも気温は20℃以下だと思うので、風があると気持ちいいレベルです。
余りにも完璧な天気に恵まれ、何故か頭の中にはBarenaked Ladiesの”Falling for the First Time”が鳴る。”Anyone perfect must be lying. Anything easy has its cost. Anyone plain can be lovely. Anyone loved can be lost…” 縁起でもないが。
そして、その通りに完璧はやはりあり得ないのだった。たいしたことではなかったものの。
途中、幾つか涸れた沢を渡ります。雪解けの時は水流があるのだと思いますが、今の季節は岩だらけ。その中で、かなり広いものがありました。


ここで道を見失う。正解は、何も考えずに涸れ沢を渡るべきだったんだけど、沢の上部に道が見えたように錯覚してしまってこれを登り始めてしまいました。
そして30分弱進むと、空気が異常にひんやりしてきた。その時、行く手の上方を見上げると、何と大きな雪渓が。こんなの地図になかったと思い、直ぐに地図を取り出して確認。この時点でやっと間違いを確信し、戻ります。40分以上ロスしてしまいました。何より、メジャーなルートを避けているので、この時間にこのコースを歩いている人は私しかおらず、ちょっと焦りました。


ここから屏風のコルと呼ばれる地点までや2時間弱なのですが、この登りは楽でなかった。
それなりに急だし、岩場は多いし、常に太陽に晒される道なのでこの日の天気では脱水症状にならないか気になるほどでした。


何だかんだ言っても登山道の紅葉は素晴らしい。




そして、ついに9時ごろ屏風のコルに到着。本来は、紅葉の聖地「涸沢」からパノラマコースという少し難しいルートを登って来るのがメジャーです。私が今回使っているコースは下山で使われるのがほとんどですね。危険個所はないものの、このコースは長めでキツイところもあるので、すれ違う人に時々驚かれました。膝のリハビリで登るには確かにちょっと厳しいコースでしたね。


そして、実はここからが本番。屏風の耳に向けては30分ほどの急登です。ただし、少しでも視界を移せばそこには穂高連峰が広がり、槍ヶ岳まで見渡せます。
絶景を手にするための最後の頑張りを経て、ようやく「耳」に到着するころには腹ペコで倒れるかと思いました。早速フリーズドライの山菜おこわを作り、一段落してから周囲を見渡して楽しみます。とにかく360度の大パノラマと言うのはこの場所のためにある言葉かと思うほどで、景色を楽しむための登山という意味では最高のものの1つでしょう。
奥に槍ヶ岳、手前に北穂高岳と涸沢岳


前穂高岳から屏風のコルに連なる紅葉稜線を左に、奥穂高岳から北穂高岳の連峰。涸沢カールの雪渓も見える。


紅葉の聖地「涸沢」ヒュッテ周辺を拡大。確かにあそこまで行けば至近からあの紅葉を見ることができ、穂高連峰を見上げるのだから絵になるでしょうな。


振り返れば富士山と南アルプス。


10時半くらいまで景色を楽しんでから登山時と同じコースで下山しました。やはり陽光がきつく、暑くてたいへん。それに、下りの方が膝に負担がかかるので心配も増大。実際、1度ならず膝に激痛が走って、これはやっちゃったかなと思ったけど、その場で1~2分休んだら痛みもほとんど引いて普通に歩くことができました。好天と合わせて無事に下山できたことを神に感謝。

そして1時15分くらいに徳沢に帰還。思ったよりだいぶ早く下れました。
実は、普通にコースタイムを考えればこの日に東京に帰るプランで十分だったんだけど、膝の心配があったので敢えて時間にゆとりを持たせていました。最悪の場合、戻りが5時くらいになることも考えていたのだけれど、杞憂に終わりました。
午後はコーラを飲んだり、徳沢園の食堂で山菜うどんを食べたり、隣の徳沢ロッジのお風呂に入ったり(600円。利用すべき)。リラックスして過ごしました。
文庫本を外で読んでたら赤とんぼがやってきた。


「屏風の耳」は標高2,565メートルで、実は焼岳より高いんですね。下山して地図を見直して知りました。上高地からは1,000メートルほどの標高差です(これは知ってた)。
膝の状態が十分ではなかったのに無事に帰ってこられたのはラッキーでしたね。

4) 穂高神社奥宮のお船祭りと上高地の紅葉
翌日の朝は、テント場の正面に見える前穂高岳の朝焼け鑑賞から始まりました。
今回は膝の件もあって穂高は諦めたんだけど、やっぱりこうして見ると登りたくなりますね。特に前穂と奥穂に惹かれました。来年の夏には縦走にチャレンジしたいですね。




帰りのバスは午後4時と遅いので、上高地を散策するのに十分の時間があります。
この日、10月8日は偶然にも穂高奥宮のお祭りの日でした。神主さんや巫女さんが、船に乗って明神池に繰り出す儀式が見られるということで、行ってみました。
明神池は入場料300円ですが、鏡面のような池は神秘的で、見る価値のあるものだと思います。


結果。確かにめったに見られないものだし、古式な儀式の雰囲気は荘厳だった。しかし、圧倒的に混雑していて死ぬかと思った。ジジババは明神池の周りの植物を踏み荒して道を無理やり作って位置取りし、写真撮りまくる。上高地(神降地)の自然や神々しさをまったくリスペクトしない態度は、中国人観光客と同レベルですな。
それはともかく、儀式は荘厳だった。


カラマツの紅葉と池の鏡が美しい。


儀式の終盤、数百人はいたと思われる見物客が本格的に動き出す前に、何とか脱出しました。あとはバスターミナルの方に進み。ザックを一時預り所において帰りのバスの出発まで大正池方面の遊歩道を散策します。
天気は曇りがちになってしまったけど、それでも景色は見事です。この辺りは高層湿原になっていて、湿原と穂高や霞沢岳の組み合わせが美しいです。また、立ち枯れた木々も趣を添えています。






梓川の岸から見る焼岳。逆光でうまく映らなかったのが残念ですが、山肌の紅葉はすばらしかった。正に錦を着ているようだった。そして、活火山ならではの荒々しい溶岩の通り道とのコントラストが面白かった。


大正池は焼岳の噴火で梓川の流れがせき止められてできたらしいですが、透明な水に立ち枯れた木々が幻想的な雰囲気を醸し出しています。
周囲はカラマツで、10月末頃には真黄色に色を変えるのでしょう。


大正池と焼岳。


遊歩道の紅葉も楽しく、ここを歩くだけでも日本の美しい秋を発見できると思いましたね。




そして、とにかく梓川の透明度は完璧。



3時過ぎにバスターミナルに着いて、カツ丼を食べてお土産を買ったらバスの時間でした。疲れていた割には眠れませんでしたね。景色に感動しすぎてたんですかね。
とにかくお天気に恵まれた素晴らしい山行でした。「屏風の耳」に登った7日の月曜が最高の天気だったのだと思います。
そして、今回は登らなかった穂高岳。強烈なイメージが残りましたね。やはり目の前に威容を誇る山を眺めながら登らないというのは精神的によくないですね。
特に縦走は難度の高いルートが多いようですが、来年は自分のスキルでも登頂できそうなルートで挑戦したいものです。




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快晴の八ヶ岳で充実の週末

2013-09-26 20:59:25 | 旅行
9月のお彼岸の3連休。月曜にお墓参りに行くことにして、土日は八ヶ岳に行ってきました。
苔むした森林や火山ならではの荒々しい火口風景、岩稜、そして高山植物など、いろんな売りがあって早く行ってみたいと思っていたのだけど、今年の夏は週末の天気が今ひとつだったりして後回しになっていました。
高山植物は既に時期を過ぎ、紅葉には早いという微妙なタイミングでしたが、秋晴れの絶景を狙った山行は大当たり。
充実したテント泊登山となりました。神に感謝。

1. 日程とコース
ちなみに、八ヶ岳というのは山の名前ではなく山塊の名称です。山脈みたいなもんですね。
それは昔から聞き知っていたのですが、どんな峰があるのかを知ったのは登山を始めてから。つまり今年の初夏に地図を買ってからです。
そして地図を見ながら考えると、どうしても主峰(この中で一番高い山)に目が行きますな。八ヶ岳の場合は赤岳(標高2,899メートル)です。
赤岳に目標を決めれば自ずとアプローチや宿泊地点が絞られるので、あとは時間が許す範囲でコースを決めればよい訳で。
加えて今回は木曽駒ヶ岳に続いて楽チンテント泊を狙います。
楽チンテント泊の定義は、テント泊の重装備を背負って山頂を目指さなくてもいいこと。山頂へのアタック前にテント場があり、そこから山頂への登りは軽装でOKというパターンです。
赤岳の直下に、湧き水が美味しいと評判の行者小屋という山小屋があり、そこのテント場を使います。

結果、以下のような日程とコースに。時間は地図に記載されているコースタイム。
0日目(9月20日) 22:40竹橋発のバス(毎日アルペン号)にて車中泊で登山口の美濃戸口へ
1日目(9月21日) 5:00美濃戸口(南沢経由)→8:00行者小屋(テント設営などで45分ほど)→9:20赤岳鉱泉→11:10赤岩の頭→11:30硫黄岳→12:40横岳→13:25地蔵の頭→14:30(地蔵尾根経由)行者小屋
2日目(9月22日) 5:20行者小屋→7:10(文三郎尾根経由)赤岳→8:20中岳→8:40阿弥陀岳→9:50行者小屋(撤収作業1時間ほど)→13:20(南沢経由)美濃戸口 

2. 硫黄岳の絶景が印象的な1日目
初日は時間的に余裕があるので、テント場から離れた硫黄岳を攻略することにします。頂上の爆裂火口が有名です。
ピークハントと爆裂火口目当ての軽い気持ちで登ったのですが、実は今回の山行で一番の景色を拝むことができたのはこの硫黄岳だったかもしれません。
八ヶ岳らしい苔むした樹林帯が続く道をひたすら1時間半以上登ると、森林限界を越えて視界が開けます。すると、急に硫黄岳から横岳に連なる稜線が視界に飛び込んできます。


更に登ると、赤岩の頭というピークに出ます。白い花崗岩の砂とハイマツの緑が印象的な場所です。
ここからの眺めはまさに絶景。快晴で360度見渡せたので、八ヶ岳連峰だけでなく、蓼科と霧ケ峰、南アルプス、中央アルプス、木曽御嶽山、北アルプス、下に目を転じれば諏訪湖など、とにかく全てが見渡せました。








ここで会った何度か八ヶ岳にいらしている方の話だと、こんなに見晴らしがよかったのは初めてだとか。幸運を神に感謝。

そして、硫黄岳山頂。これがまた凄い。広い山頂の風景は日本ではないみたい、と言うか、山頂ではないみたい。


もちろん爆裂火口も。


山頂が広いので、ガスがかかっていたら迷いやすいのでしょう。ケルンが多くありました。


硫黄岳を堪能したら、横岳に向かいます。
初夏ならば高山植物の宝庫らしいですが、9月ではそれは望めません。
アップダウンの激しい、鎖場やハシゴの多い険しい道を進みます。結構体力使いますね。
宝剣岳で危険な岩場を体験していたので、それに比べれば楽勝という気持ちで望めました。これだけ連続して切り立った道が続くと楽しいものです。まあ、その時は結構必死なんですけど。




ダケカンバが黄色くなりかけていました。


この日は赤岳には登らず、手前の地蔵の頭から小屋に向けていったん下山します。


しかし、稜線からの眺めは素晴らしい。これは横岳方面。


赤岳は富士山と同時に拝めます。


3. 行者小屋テント泊のメリット
何よりも、赤岳・阿弥陀岳・横岳を眺められるロケーションと、美味しい湧き水が最大のメリットでしょう。
飲み物や食べ物(おでんが名物らしい)だけでなく、ビールやお酒も売っているので、わざわざ苦しい思いして持ってこなくても楽しめます。
しかし、ここでは中山展望台という、小屋から歩いて10分程度の天然の展望台をご紹介したい。
ここ、赤岳と横岳を完全に視界に捉えられる絶景ポイントです。意外と訪れる人は少ないようですが。
私はここで夕日に染まる赤岳・横岳を楽しみました。私のほかにはもう一人、やはり東京から単独で来られている方がいらしただけでした。






4. 急な岩場が楽しい2日目
起きてみると霜が降りていましたが、テント泊は暖かく感じました。まだまだ3レベル(マイナス6度まで対応)のシュラフで大丈夫なようです。
そして、いよいよ主峰に挑みます。どこから登っても急登で厳しいコースなのですが、それは短時間で高度が稼げるということでもあります。
急な階段や鎖場、そして稜線に出てからは足を踏み外すと重症以上は免れなそうな急峻な岩場を登りつつ、1時間20分程度で頂上に到着。


山頂は狭いものの登頂者でにぎわっています。結構苦労する登りですからね。皆興奮気味ですわ。


山頂からは富士山が大きく見えます。写真は雲海に浮かぶ富士山。


赤岳は見ても雄大だし、登っても適度に厳しくて好きな感じですね。やはり主峰は貫禄があります。
さて、この後は阿弥陀岳に向かいますが、途中に中岳というピークを挟んで  メートルくらい下ってから登り返すので、楽ではないです。
しかも、阿弥陀岳山頂への道は赤岳以上に急峻。滑落事故が多発してもおかしくないと思われるようなところです。
まあ、こういうところを経て登頂すると満足感が大きいんですけど。


山頂からは南アルプスが間近に見えます。鳳凰三山に続いて、甲斐駒ヶ岳にも挑戦したいものです。


下山時に見上げると、阿弥陀岳も紅葉が始まっていました。


ペース配分としては、1日目は絶景に興奮して走り回って写真撮ったり景色見ながら昼食をゆっくり取ったりしましたが、コースタイムとほぼ変わらずでテント場に戻ってきました。1時間以上余裕があるということですね。
2日目は、下に記すように膝が悲鳴を上げるまではほぼコースタイムどおりでした。膝の痛み耐えて赤岳、阿弥陀岳の急な登り・下りを行くのは楽ではなかったですが。

5. そろそろトレッキングポール買おう
ということで、お天気に恵まれた充実した山行だったのですが、1つだけ問題が。
下山が下手で前々から少しずつ痛めていた膝が、ついに悲鳴を上げました。別に靭帯に問題が発生とかいうわけではないのだけれど、最後は右ひざの痛みのために沢沿いの岩場を下りる時には(土の道より膝への負担が大きい)ツアーで来ている高齢者以下のスピードという惨状に。
何となくポールはうまく使えないような気がしてこれまで利用していなかったけど、何とかして膝への負担を減らさないとこれ以上厳しい山行は不可能だと悟ったよ。

深い森の奥に勇壮な峰々が鎮座する八ヶ岳は、期待以上に登って楽しく、景色も美しいところでした。




富士山も比較的近いので大きく見えるし、南アルプスから北アルプスまで見渡せる大パノラマは、まさに自然の大展望台ですな。
天狗岳などの北八ヶ岳の山々にも挑戦したいし、南八ヶ岳でも権現岳などにはまだ登っていないので、今度は別のシーズンで違った雰囲気を楽しみたいと思います。

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