なんか、この真冬に太平洋側から高気圧が張り出してる感じで、気温が上がるのは予想できるけど晴れるのか曇るのかよく分からん。
先週後半は天気図を見ながらそう考えてました。2月の最初の土日は用があるので登山には行かれません。だから、天気が良ければこの週末は北八ヶ岳辺りに行きたいな、と。
しかし、日曜には低気圧が発達してきそうで天気も風も心配な感じだし、公共交通機関を使った日帰りで土曜日に登る初心者向けの山となると、ある程度限られてきます。
そこで、自分の中で急浮上したのが上越国境の谷川岳。遭難者数世界一、ヒマラヤの8,000メートル峰での死者を全部合計しても谷川岳での遭難死者の方が多い(もちろん入山者の母数が違うが)という魔の山です。
まあ、魔の山って言っても、遭難のほとんどは日本3大岩場の1つである大岩壁を登る人たちとか、バックカントリースキーで雪崩の危険性の高い沢に下って行く人なので、慎重に準備して行けば大丈夫なはず、と思います。
実際、谷川岳は雪の締まった3月に天神尾根を登るコースなら初心者向けとして紹介されています。が、厳冬期には豪雪地帯で粉雪をラッセルして進まなければならない可能性もあり、お勧めされていません。
先週赤城山で雪山デビューしたばかりの初心者中年は山頂にたどり着いて無事下山できるのか。。。
文章だけだと気分が乗らないので、とりあえずゲレンデ脇を登り切ったところから撮った谷川岳の雄姿を一枚。
朝6時36分に東京を出る上越新幹線「MAXたにがわ」の自由席は、スキーヤー、ボーダーで満席。ほとんどの人は終点のガーラ湯沢まで行くのでしょうが、私は手前の上毛高原駅で降り、関越バスで水上を経由して谷川岳ロープウェイ駅を目指します。
この時点では私も含めて3名しか乗っていなかったけど、水上駅で鈍行に乗って東京・埼玉方面からやってきたと思われる方々を拾い、10名以上の登山者が谷川岳を目指しました。
天気は曇り。気温は高めで、まさかの厳冬期の雪崩を勝手に想像して恐怖しながらバスに揺られていきます。
双耳峰と言われ、二つのピークを持つ谷川岳の姿は、すでにバスの車窓からずっと見えていました。どっしりとして威厳のある山です。
耳というのは、山頂の形を猫の耳のイメージに重ねて呼ぶものですが、「魔の山」なだけにモンスターの角のように見えてしまう。
9時ごろに天神平のロープウェイの山麓駅に着き、スキー場のある1,300m地点まで運んでもらいます。
いよいよ本格的な雪山登山が始まります。気温は高く、この地点ではプラスの温度だったと思われます。
アイゼンを装着してゲレンデ脇の結構急な坂を20分ほど登ると、最初の写真のようにこれから登る谷川岳がきれいに見えます。
そして、目を北東方向に向けると別の山が。これは白毛門。この一帯を縦走する馬蹄形縦走コースで最初か最後に登られる山ですな。
その後も順調に登っていきます。
粉雪をラッセルして進む必要がある場合に備え、実はAmazonで買ったスノーシューを持ってきていました。しかし、実際には先行者のトレースがしっかりついていて、雪も比較的締まっていたのでアイゼンでも大丈夫でした。
この日はバックカントリースキーをやる人を含めて30人くらいの登山者がいたのではないかと思いますが、多くの人はアイゼンで登っていました。
しかし、豪雪地帯であることに変わりはない。避難小屋は埋没。
風もほとんどなく、初心者に優しい天候でした。
それでも、アイゼンを蹴り込みながら登っていくのは結構たいへんで、何度か雪に腿まで埋まって体力を削られながら進みます。
途中で景色を堪能するために(実は息を整えるために)少し止まって周りを見回すと、雪山の絶景が見られます。
これは上州武尊山。
その奥に見える尾瀬方面。至仏山と思われる。雪の量がこちらも半端ではない。
自分の息遣いと風の音以外、何も聞こえないし、山の匂いもしません。
夏山であれば、鳥の声が聞こえたり草や土の匂いがするし、沢の水の音が聞こえたりします。しかし、雪山は静まり返り、色も白と灰色の2色の世界。
神秘的なものです。晴れて真っ青な空もいいけど、こういう墨絵のような世界も素晴らしい。静謐な美しさ。
これは谷川連峰の仙ノ倉山方面。
その先に浅間山。存在感あります。
振り返ると、先週登った赤城山。すそ野が広い。
気温が高かったせいか、急な斜面にはクラックがたくさんできていました。雪崩の元ですな。バックカントリースキーの人たちは大丈夫だったんだろうか。
とにかく、気温が高かったせいで汗はかくし、手袋も脱いで帽子も耳を出してアウターの前を開けて登っていました。
徐々に高度を上げると、谷川連峰の稜線の奥に、越後の山々も見えてきました。やはり雪の量が凄い。
この辺りになると、さすがに風が出てきて、気温も下がります。慌てて手袋をつけて帽子も深めにかぶります。
そして、山頂直下の山小屋近くの道標。3~4メートルの高さがあると思いますが、ほとんど埋まっている上に雪がこびりついています。エビの尻尾状態に近い。
ここまで来れば山頂はもうすぐ。まずは双耳峰の手前側、トマノ耳に到着。標高1,963m。
空気が澄んでいて、曇りだけど周囲を360度見渡すことができました。
これは、トマノ耳からもう一つのピークであるオキノ耳。
拡大すると、雪庇が凄い。谷川岳の天神尾根においては、この雪庇に近づかないことだけは気をつけないといけません。
仙ノ倉山方面の稜線。真っ白。
ここから10分ほど歩いて、オキノ耳を目指します。
その途中の岩と雪と風の芸術。
もう一つ雪と風の芸術。
やはり雪山、登った者しか味わうことのできない何かがあります。
そうこうしているうちに、オキノ耳に到着。標高1,977m。谷川岳を制覇しました。
オキノ耳から先は危険なので行けませんが、凄い雪です。下手に歩くと崩れ落ちるのでしょう。谷底まで。
オキノ耳から、先ほどまでいたトマノ耳を望む。凄いとこですね。
トマノ耳から谷川連峰の稜線。
絶景を20分くらい楽しんで、下山です。途中、山小屋のあたりで持ってきたパンと魔法瓶に入れた甜茶を飲んでエネルギー補給。
下りはふかふかの雪の上を楽しく下ることができるのですが、踏み固められたところは意外と固いのでちゃんとアイゼンを蹴り込まないと危険なこともあります。
何だかんだ言って、注意しながら下山。
途中、少しだけ日が差しました。風景の印象が変わります。
私としては、適度な標高差・ルートの長さで、楽しむことができる山でした。
ある意味畏怖の念さえ感じさせる格好いい山容の谷川岳は、いつか登ってみたい山でもありました。
それを、本格的な雪山デビューの対象として無事に制覇でき、有意義な山行でした。
下山してもう一度振り返ります。
午後2時ちょうどにロープウェイ駅に到着。山麓まで運んでもらったところ、次のバスまでは1時間近くあったので、地酒などお土産を買って休憩。
水上の駅までバスで出ると駅前にはお土産屋さんがたくさんあったので、おやきを買って小腹を満たしました。
その後は鈍行で東京まで帰りました。
雪山、楽しいものです。春まであと数回はチャンスがあると思うので、週末の天気がよさそうなら北八ヶ岳とか福島県あたりの山にも挑戦したいと思っております。
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冷たい風のような火を燃やすものたち
冷たい風のような火 by icyfire is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 2.1 Japan License
先週後半は天気図を見ながらそう考えてました。2月の最初の土日は用があるので登山には行かれません。だから、天気が良ければこの週末は北八ヶ岳辺りに行きたいな、と。
しかし、日曜には低気圧が発達してきそうで天気も風も心配な感じだし、公共交通機関を使った日帰りで土曜日に登る初心者向けの山となると、ある程度限られてきます。
そこで、自分の中で急浮上したのが上越国境の谷川岳。遭難者数世界一、ヒマラヤの8,000メートル峰での死者を全部合計しても谷川岳での遭難死者の方が多い(もちろん入山者の母数が違うが)という魔の山です。
まあ、魔の山って言っても、遭難のほとんどは日本3大岩場の1つである大岩壁を登る人たちとか、バックカントリースキーで雪崩の危険性の高い沢に下って行く人なので、慎重に準備して行けば大丈夫なはず、と思います。
実際、谷川岳は雪の締まった3月に天神尾根を登るコースなら初心者向けとして紹介されています。が、厳冬期には豪雪地帯で粉雪をラッセルして進まなければならない可能性もあり、お勧めされていません。
先週赤城山で雪山デビューしたばかりの初心者中年は山頂にたどり着いて無事下山できるのか。。。
文章だけだと気分が乗らないので、とりあえずゲレンデ脇を登り切ったところから撮った谷川岳の雄姿を一枚。
朝6時36分に東京を出る上越新幹線「MAXたにがわ」の自由席は、スキーヤー、ボーダーで満席。ほとんどの人は終点のガーラ湯沢まで行くのでしょうが、私は手前の上毛高原駅で降り、関越バスで水上を経由して谷川岳ロープウェイ駅を目指します。
この時点では私も含めて3名しか乗っていなかったけど、水上駅で鈍行に乗って東京・埼玉方面からやってきたと思われる方々を拾い、10名以上の登山者が谷川岳を目指しました。
天気は曇り。気温は高めで、まさかの厳冬期の雪崩を勝手に想像して恐怖しながらバスに揺られていきます。
双耳峰と言われ、二つのピークを持つ谷川岳の姿は、すでにバスの車窓からずっと見えていました。どっしりとして威厳のある山です。
耳というのは、山頂の形を猫の耳のイメージに重ねて呼ぶものですが、「魔の山」なだけにモンスターの角のように見えてしまう。
9時ごろに天神平のロープウェイの山麓駅に着き、スキー場のある1,300m地点まで運んでもらいます。
いよいよ本格的な雪山登山が始まります。気温は高く、この地点ではプラスの温度だったと思われます。
アイゼンを装着してゲレンデ脇の結構急な坂を20分ほど登ると、最初の写真のようにこれから登る谷川岳がきれいに見えます。
そして、目を北東方向に向けると別の山が。これは白毛門。この一帯を縦走する馬蹄形縦走コースで最初か最後に登られる山ですな。
その後も順調に登っていきます。
粉雪をラッセルして進む必要がある場合に備え、実はAmazonで買ったスノーシューを持ってきていました。しかし、実際には先行者のトレースがしっかりついていて、雪も比較的締まっていたのでアイゼンでも大丈夫でした。
この日はバックカントリースキーをやる人を含めて30人くらいの登山者がいたのではないかと思いますが、多くの人はアイゼンで登っていました。
しかし、豪雪地帯であることに変わりはない。避難小屋は埋没。
風もほとんどなく、初心者に優しい天候でした。
それでも、アイゼンを蹴り込みながら登っていくのは結構たいへんで、何度か雪に腿まで埋まって体力を削られながら進みます。
途中で景色を堪能するために(実は息を整えるために)少し止まって周りを見回すと、雪山の絶景が見られます。
これは上州武尊山。
その奥に見える尾瀬方面。至仏山と思われる。雪の量がこちらも半端ではない。
自分の息遣いと風の音以外、何も聞こえないし、山の匂いもしません。
夏山であれば、鳥の声が聞こえたり草や土の匂いがするし、沢の水の音が聞こえたりします。しかし、雪山は静まり返り、色も白と灰色の2色の世界。
神秘的なものです。晴れて真っ青な空もいいけど、こういう墨絵のような世界も素晴らしい。静謐な美しさ。
これは谷川連峰の仙ノ倉山方面。
その先に浅間山。存在感あります。
振り返ると、先週登った赤城山。すそ野が広い。
気温が高かったせいか、急な斜面にはクラックがたくさんできていました。雪崩の元ですな。バックカントリースキーの人たちは大丈夫だったんだろうか。
とにかく、気温が高かったせいで汗はかくし、手袋も脱いで帽子も耳を出してアウターの前を開けて登っていました。
徐々に高度を上げると、谷川連峰の稜線の奥に、越後の山々も見えてきました。やはり雪の量が凄い。
この辺りになると、さすがに風が出てきて、気温も下がります。慌てて手袋をつけて帽子も深めにかぶります。
そして、山頂直下の山小屋近くの道標。3~4メートルの高さがあると思いますが、ほとんど埋まっている上に雪がこびりついています。エビの尻尾状態に近い。
ここまで来れば山頂はもうすぐ。まずは双耳峰の手前側、トマノ耳に到着。標高1,963m。
空気が澄んでいて、曇りだけど周囲を360度見渡すことができました。
これは、トマノ耳からもう一つのピークであるオキノ耳。
拡大すると、雪庇が凄い。谷川岳の天神尾根においては、この雪庇に近づかないことだけは気をつけないといけません。
仙ノ倉山方面の稜線。真っ白。
ここから10分ほど歩いて、オキノ耳を目指します。
その途中の岩と雪と風の芸術。
もう一つ雪と風の芸術。
やはり雪山、登った者しか味わうことのできない何かがあります。
そうこうしているうちに、オキノ耳に到着。標高1,977m。谷川岳を制覇しました。
オキノ耳から先は危険なので行けませんが、凄い雪です。下手に歩くと崩れ落ちるのでしょう。谷底まで。
オキノ耳から、先ほどまでいたトマノ耳を望む。凄いとこですね。
トマノ耳から谷川連峰の稜線。
絶景を20分くらい楽しんで、下山です。途中、山小屋のあたりで持ってきたパンと魔法瓶に入れた甜茶を飲んでエネルギー補給。
下りはふかふかの雪の上を楽しく下ることができるのですが、踏み固められたところは意外と固いのでちゃんとアイゼンを蹴り込まないと危険なこともあります。
何だかんだ言って、注意しながら下山。
途中、少しだけ日が差しました。風景の印象が変わります。
私としては、適度な標高差・ルートの長さで、楽しむことができる山でした。
ある意味畏怖の念さえ感じさせる格好いい山容の谷川岳は、いつか登ってみたい山でもありました。
それを、本格的な雪山デビューの対象として無事に制覇でき、有意義な山行でした。
下山してもう一度振り返ります。
午後2時ちょうどにロープウェイ駅に到着。山麓まで運んでもらったところ、次のバスまでは1時間近くあったので、地酒などお土産を買って休憩。
水上の駅までバスで出ると駅前にはお土産屋さんがたくさんあったので、おやきを買って小腹を満たしました。
その後は鈍行で東京まで帰りました。
雪山、楽しいものです。春まであと数回はチャンスがあると思うので、週末の天気がよさそうなら北八ヶ岳とか福島県あたりの山にも挑戦したいと思っております。
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冷たい風のような火を燃やすものたち
冷たい風のような火 by icyfire is licensed under a Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 2.1 Japan License