冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

強風の北岳 キタダケソウさんに会えるのか

2016-07-26 23:13:27 | 旅行
山歩きを始める前から興味のあった山が幾つかあります。その中でまだ未踏なのは北アルプスの白馬岳と南アルプスの北岳。
そして、白馬岳にはウルップソウ、北岳にはキタダケソウという、花を重視している自分としては外せないターゲットも咲きます。
今年は冬に雪が少なかった影響か、各地で高山植物の開花も早まりました。そのため、6月初めにはお目当ての花も開花しているという情報が入っていました。
しかし、だからと言って直ぐに行けないのが現実。車を運転しないのでアルプスの山々に行くには公共交通機関を利用するしかないのですが、登山口までのバスは7月近くにならないと走り始めません。また、南アルプスはそもそもアクセスが厳しい。北岳登山の起点となる広河原は6月25日の開山まではアクセス不能です。一般車両の交通規制があるため。

早めに咲き始めたお花は見頃を過ぎてしまいます。まったく、気候を考えて柔軟に運行スケジュールを組めばいいのに、お役所的なインフラ産業にそんなことを期待しても無理。お花という意味ではこのままでは今年は残念な年になってしまう可能性大だったので、公共交通機関で早くからアクセス可能な八ヶ岳だけは5月のうちに訪れ、お目当てのツクモグサを堪能しました。
そして、早くも7月に入り、北岳もやっとアクセス可能になったものの、季節は梅雨。お天気的に厳しい。

そんな中、予想天気図を頼りに自分なりに分析し、7月2日、3日の週末で南アルプス最高峰にして日本2位の高峰、北岳に行ってきました。白馬岳ではなくて北岳にしたのは、予想天気図的に長野県北部は相当の確率で雨の週末と思われたので。まあ、結果的には北アルプスも結構晴れたようで。

山梨交通の登山用の夜行バスで、夜10時に新宿発のものを利用しました。途中、午前1時くらいに甲府近辺の施設に寄って、そこの広間でザゴ寝(布団はないけど畳の上で座布団とか敷いてタオルケット使える)。4時半くらいまで。5時頃に広河原の登山口に向けて出発し、途中で他の登山客も拾って6時半くらいに広河原到着というもの。
3時間ちょっと床の上で睡眠できること、これを使わない場合は公共交通機関だと前日(前夜)に甲府入りして早朝の路線バスを使わないと午前6時台には広河原に入れないことを勘案し、8,000円という距離的には遠い北アルプスへのバスよりもお値段は高いけれど利用してみました。
南アルプスは交通規制があるのでアクセスが悪く、余裕を持って登山口にたどり着けないのが苦しいですな。
使ってみた感じは、施設でのザゴ寝まではOK。翌朝広河原へ向かうバスは夜行のバスではなくて路線バスの車両なので、途中で乗客を拾って満員になるとザックを膝の上で抱えて苦しい状況で1時間以上耐えるという事実がいただけなかった。まあ、アクセスの悪い南アルプスなので、サービス提供者の方が交渉力強い。この値段でも利用するしかないです。

で、広河原は曇り。予想天気図通りの展開で、北岳は雲の中。まあ、それでもキタダケソウさんを見に行くのが目的なので、稜線からの景色は諦めるつもりで歩き始めます。


お約束の吊り橋を渡る。


ルートは、樹林帯の中を白根御池小屋に向かい、そこから草スベリという樹林帯の急登を進むコースを取りました。これは、広河原から約600メートル登ったところにある白根御池小屋のテント場にテントを設営して、山頂との間をピストンするためです。
当初は翌週の前半に有給休暇を取って白根三山の縦走も考えていたのですが、木曜日の時点で72時間後の予想天気図(高層天気図)を調べたところ、標高3,000メートルの辺りでは土曜の夜から日曜の昼過ぎにかけて風速17メートルの強風が見込まれていました。
その状況で稜線のテント場、具体的には北岳肩の小屋のテント場にテントを張っていては、私の能力だと撤収作業中に飛ばされかねない。そんな危険を考えると、土曜のうちに北岳に登頂してキタダケソウを探し、白根御池小屋のテント場に戻って日曜に余裕を持って下山すべきという判断です。白根御池から山頂は1,000メートルの標高差があるので楽じゃないスケジュールですけど、全体的なリスク管理です。

それにしても北岳、山がでかい。6時半頃広河原を出てから約2時間半で白根御池小屋に着きましたが、この樹林帯の急登は侮れません。
夏山で蒸し暑いから汗も噴き出すし。テント泊装備はやはり負担が大きく、序盤はほとんど写真なし。針葉樹の若芽が美しいのと、南アルプスの森らしい土と木の香りに支えられながら、修行のような道を行きました。


お花は、トリアシショウマとかゴゼンタチバナ、カラマツソウなどのレギュラーキャラに加え、タカネグンナイフウロの濃い紫の花が目立ちました。が、ここでの写真よりも別の場所で撮ったものの方が形がいいので後ほど。
途中、開けたところから鳳凰三山を見ることができます。山歩きを始めたばかりの2013年に登り、タカネビランジの可愛さと花崗岩の独特の白さが際立つ稜線の美しさに感動しました。


まあ、雲がかかっていてちょっと不吉な感じのシーンなのは否めない。
心が折れそうな登りを経て、白根御池小屋に到着。テント泊装備の人の多くはそのまま稜線を目指したようですが、翌朝大丈夫だったのか。動けずに停滞した人もいたのではないかと思います。私と言えば、あと2時間以上かけて1,000メートル近くテント泊装備を担ぎ上げる気はまったくなく、ここで早々に今夜の宿を設営しました。


眺望などは特に特徴ない地味なテント場ですが、水が豊富だしトイレも水洗で清潔。縦走ではなくて北岳だけを狙うならお勧めのテント場です。
さて、9時過ぎにテント場を出発し、急登で知られる草スベリを行きます。ニリンソウやミツバオーレン、そしてミヤマハナシノブとか、キバナノコマノツメ、シナノキンバイなどの花がいっぱい咲いていて綺麗ですが、急登であまり余裕がありません。テント装備からは既に解放され、アタックザックでの登りなので楽なはずなんですけどね。





ちなみに、後から調べたところではミヤマハナシノブは北岳ではいっぱい咲いていますが、北岳と北アルプスの清水岳という山にしか咲かないということで、ほとんど固有種です。
柔らかい感じの薄紫の花びらと、濃い黄色の雄蕊の組み合わせがとても上品。

途中、北岳山頂方面を見上げるも、やはり雲の中。。。


そして、ガスの中を進むとミヤマキンバイ・シナノキンバイを中心とした巨大なお花畑が出現。鹿の食害から守るための防護柵があるのが仕方ないですが、それがなかったら本当に壮観でしょう。




イワカガミやハクサンチドリ、ヨツバシオガマ、アオノツガザクラなどのレギュラー高山植物群もこれに交じって、それはそれは豪華です。北岳は花の大名山。




徐々に高度を上げて森林限界を突破するのはいいんだけど、この日は既に風が相当強かったです。翌朝には風速17メートルの予想でしたが、既に優に10メートルは越えていたでしょう。
写真を撮る手も震えるし、何よりガスの中で風に吹かれて寒い寒い。やはり3,000メートル級の山は過酷です。
そんな中、小太郎山分岐に到着。ここからは稜線歩きになるはずですが、ガスの中で眺望はゼロ。レインウェアを着こんで飛ばされないようにしっかり足取りを進めます。


でも高山植物の写真は頑張って撮る。ツガザクラやイワウメ、イワツメクサ、ミヤマタネツケバナ、タカネシオガマ、オヤマノエンドウ、イワベンケイ、ハハコヨモギ、チシマアマナ、そしてミヤマキンバイ。とにかく白、黄色、ピンク、赤、青、色とりどり、形もいろいろ、皆強風に揺れながら可憐な姿を見せてくれます。ホント、北岳は花の宝庫だ!こんなに凄いとは!






















青空を背景に撮りたかったですが、それは今回は仕方なし。いやー、それにしても本当に凄い。ハハコヨモギもいっぱいあるけれど、北岳と木曽駒ヶ岳にしか存在しないということで、ほとんど固有種。世界中で北岳にしか咲かない固有種のキタダケソウさんだけではないです。貴重なお花。自分の歩いたことのある山では、岩手の早池峰山に並ぶ凄さかもしれません。。

そして、肩の小屋が近づくとハクサンイチゲが目立つようになります。キタダケソウに似ていて気品を感じる白い花。群落を作りがちなので、迫力あるお花畑を見せてくれるのがいいですね。


まあ、背景が完全にガスですけど。。。
強風にさらされながらも執念でお花の写真を撮っている私の横を多くの登山者が抜かしていきましたが、それでも私も11時過ぎには北岳肩の小屋に到着。コースタイムよりはだいぶ早いペースでした。私を抜かしていた人はテント泊装備の人たちもいたので、彼らは相当足腰強いですね。八ヶ岳などとは違って、北岳に登る人は玄人っぽい感じがしました。


肩の小屋では温かいものが欲しくて、珍しくお汁粉を頼みました。500円。甘いものは普段あまり食べないですが。でも美味しかったです。寒い中強風にさらされながら急な登りをこなしてきた後なので、糖分も体が欲していたのでしょう。
30分くらい休んで、いよいよ山頂アタックです。山頂へは50分程度とありますが、実際には20分程度でしょう。途中にイワヒゲやキバナシャクナゲが咲いていて、相変わらず花が多いです。




しかし、ここで大きなミス。後日の調査によると実は小屋の周囲にキタダケソウさんが咲いていたらしいのですが、事前のヤマレコレポートでは出てこなかったのでチェックせず。無念。見逃しました。小屋の方、キタダケソウがこの日でもまだ咲いているとしたらどの辺りか質問したのに、このことを教えてくれないとはどういうことか。。。
まあ、嘆いてもしょうがない。この日に向けての事前調査では、いわゆるトラバース道のキタダケソウは今年は既にほぼ終わっていて、肩の小屋から登頂後に山頂から下る途中に比較的形のいい株があるという情報を得ていました。そのため、それに集中していたのです。

で、山頂を目指してガンガン登っていると、だんだんガスが晴れてきたような気がする。少なくとも明るくなっている。


右側を見ると、おや、仙丈ケ岳ではないですか。2年前の7月に登った南アルプスのビッグマザー。北アルプスの薬師岳と並んでおおらかな山容にカールが目立ちます。


こうなると俄然やる気がでます。もしかすると稜線の絶景が拝めるかもしれません。アタックザックで身軽だったせいもあり、ほとんど走るように山頂へ。おっ、見えてきた。山頂。


と、その前にチョウノスケソウが2輪だけ残っていました。八ヶ岳で群落を形成しているのを見てみたいのですが、今年はツクモグサ君を5月に見に行ってしまったのでその後はタイミングが合わず、見逃していました。ここで会えたのは嬉しい。




そして、ついに日本で2番目に高い山、北岳に登頂。標高3,193メートル。3位の奥穂高岳・間ノ岳より3メートル高いです。


この頃には仙丈ケ岳は完全に見えるようになっていました。相変わらず風は強いですが、晴れてきたので山頂にいた人達も大喜び。


これは中央アルプス方面。


まだこの頃は甲斐駒ヶ岳はガスに隠れていましたが、それでもちょっと顔を出すタイミングで撮影。


南アルプス南部は徐々に雲が取れてきていました。間ノ岳、農鳥岳につながる稜線は日本アルプスを代表する格好いい稜線と言えるでしょう。それがガスから時々姿を現します。








うーん、迫力十分。やはり当初計画のように、北岳から農鳥岳、もしくは塩見岳への縦走をしてみたくなります。南アルプスはアクセスがよくないのでどうしても計画では後回しになってしまう傾向がありますが、来てみるといつもとても感動します。山容が大きくて。休みの取れる時にちゃんと計画して実行しよう。

そして、そうこうしているうちに本当にガスが晴れてきて、なんと富士山も見えるようになりました。






東側には鳳凰三山と、その奥には奥秩父山塊の深い山山。


南アルプス南部の稜線もハッキリしてきて、さらにその奥の山並みも。


北側に目を転じると、甲斐駒ヶ岳もついにその雄姿を現しました。


仙丈ケ岳と甲斐駒ヶ岳の図。


これは、Google+のサービスで自動的に写真が合成されてパノラマになったもの。左から北岳山頂から南側に連なる間ノ岳方面の稜線。西側をぐるっと見て仙丈ケ岳まで。


絶景を堪能して写真撮影し、他の登山者の方々と少しお話したら、頂上から下ってキタダケソウを探します。でもなかなか見つからない。ヤマレコにあった位置を何度も行き来しても見つからない。その間、いろんな別の花の写真だけが増えていく。










北岳山頂付近にはハクサンイチゲが多いです。






緑のハクサンイチゲも見つけました。これもヤマレコのレポートで掲載されていて、見たかったのです。でも、そのそばに咲いているはずのキタダケソウさんは見つからない。
代わりに、ミヤマオダマキが見つかりました。贔屓の花です。




そして、ついにその近くに一輪だけ、もう終わりかけのキタダケソウさんを発見。透き通るような白い花を広げた姿ではなく、やや縮んでしまっているけれど、気品のある花。


結局この一輪しか見つけれれませんでした。キタダケソウさんとの本当の出会いは来年以降に持ち越しです。温暖化の進む中ではどんどん難しくなるかもしれませんが、ある程度雪が残って開花時期が6月中旬以降になり、バスが開通して北岳の開山後にも暫くその姿が見られる年には絶対に再訪です。

さて、八本歯方面への分岐まで来ました。ここからの眺めもいいですね。




八本歯ルートは急な階段やハシゴが多く、下山で使うには注意を要しますが、天気が回復していたので特に問題なく進みました。
左手に有名な北岳バットレス。数百メートルの高さのある、国内有数の岩壁です。うーん、このシーンも格好いい。北岳、花の大名山というエレガントな一面と、巨大で荒々しい山容という男性的な一面を持つ、奥の深い山ですな。


その辺りから北の方角を見ると、八ヶ岳が見えました。


そのまま左俣ルートと呼ばれる、大樺沢の雪渓脇を通るルートで下山です。何だかんだで結構疲れました。山頂から白根御池のテント場までは1,000メートルの標高差がありますからね。
途中は、稜線とは違った花々を見ることができます。やはりミヤマハナシノブとタカネグンナイフウロが主役でしょう。








やっとテント場に戻ってきました。山頂方面はまた雲が出てきている模様。タイミング的にとても恵まれた山行でした。


この日に白根御池に泊まっていた方々には、山岳ガイドをやりながらクライミングをされている猛者が結構いたようです。やはり、バットレスに挑む玄人が多いところなんですね。
一方、この稜線にテントを張った人は大丈夫だったんでしょうか。後日調べたところ、翌朝の風速は25メートルに達した模様。私ならテントをたたむことはできず、停滞を余儀なくされるところ。遭難のニュースはなかったので何よりですが。

さて、私は翌日は下山するのみ。雨こそ降っていませんでしたが、樹林帯の中でも相当の風を感じる状況で、8時のバスに乗るべく5時過ぎにはテントをたたんで早々に下山しました。


下山中に見た鳳凰三山方面も、何だか不穏な雰囲気。


いやー、お天気大事ですね。日本アルプスの3,000メートル級に挑むときは特に。安全もそうですが、やはりお天気が良くないとせっかくの稜線、高山植物ともに魅力が減退してしまいます。どうせ苦労して登るなら、多少混んでも晴れた日にすべきですね。

さて、下山後は甲府の銭湯で汗を流し、いつもの小作というほうとう屋さんで猪ほうとうを食べました。甲斐駒ヶ岳・仙丈ケ岳から下山した時と一緒の展開。


そして、時間があったので中央本線の鈍行でのんびり東京に帰りました。甲府駅で買った信玄餅のアイスクリーム、プレミアム価格ですが試す価値ありです。超美味。きな粉と黒蜜が絶妙でした。




北岳、これまで登った山の中でも、山そのものの存在感という意味では最高だったかもしれません。そして花の大名山。そして間ノ岳方面へ続く魅力的な稜線。そして世界でそこにしか咲かないキタダケソウ。再訪しない方がおかしい。南アルプスは行くまでが億劫ですが、行けばかならず心奪われますね。さて、次の訪問はいつになるやら。
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遥かな尾瀬はタテヤマリンドウの大当たり年

2016-07-09 10:04:26 | 旅行
6月4日と5日の土日、急に思い立って尾瀬に行ってきました。燧ケ岳は登らず、まったりテント泊して湿原を楽しむプランです。
豪絶地帯の尾瀬も今年は雪が少なめで、花の開花が例年に比べてとても早いようです。水芭蕉もいつもなら6月初めくらいに一番の見ごろらしいのですが、事前のリサーチによると今年は尾瀬ヶ原ではほぼ終わり、標高の高いアヤメ平などに残る程度ということでした。まあ、名物の大群落は見られなくても、湿原の癒し効果は昨年の鬼怒沼で経験済み。日本の代表的な自然美を楽しむなら、必ずしも水芭蕉がなくても大丈夫でしょう。

金曜日の夜にバスタ新宿を出発する関越バスの「尾瀬号」に乗り、まずは戸倉を目指します。戸倉からは朝4時半頃に出るシャトルバスで、尾瀬の入口である鳩待峠を目指します。
耳栓がポイントですね、夜行バスでは。結構眠ったと思います。注意としては、尾瀬号のパンフレットによると先に戸倉に着いてその後にもう一つの尾瀬の入口である大清水に行くように書いてあるのですが、実際には逆です。戸倉が後。これは、シャトルバスがどうせ4時半にならないと来ないので、早く着いても意味ないから。大清水からは林道を延々と歩いていくことになるので、夜明け前に着いても誰も文句を言わないんですね。むしろ時間を有効に使えるわけで。


そんな訳で鳩待峠に5時15分頃には到着です。尾瀬号も満員だったし、シャトルバスも満員。乗り切れない人はマイクロバスに乗せられていました。このマイクロバス、実は人数が集まったらバスと同じ料金で走ってくれる乗り合いタクシー。便利ですね。帰りにはこの乗り合いタクシーを使いました。


おにぎりなどの簡単な朝食を取って早速出発。尾瀬ヶ原に直接向かう人が多いと思いますが、私はアヤメ平を目指しました。今年は前述のように尾瀬ヶ原では水芭蕉もリュウキンカも見頃を過ぎているという情報を得ていたので、標高が高めのアヤメ平方面に残っているものを見ようという算段。加えて、尾瀬ヶ原を囲む小高い山に登ることになるので(標高差400メートルくらい)、景色も期待できるという腹です。
早速ブナの美しい森。尾瀬は実は湿原だけではなくて森も美しいですね。


尾瀬らしい木道の整備された道。朝の空気と木の香りがうれしい。


久しぶりのテント泊装備で重く感じますが、コースタイムより速いペースで横田代の湿原に到着。


そして、ここからは多くの登山者に抜かされるのも気にせず湿原の景色を楽しみます。早朝なので開いてない花もありますが、やはり湿原の楽園感はハンパない。
まずは水芭蕉。尾瀬ヶ原ほどの群生ではありませんが、ある程度楽しむことができます。


今年の尾瀬はタテヤマリンドウの当たり年。早朝はまだ花を開いていないものが多いですが、水色の小さい花が群しているのはとても可愛い。


ピンクの代表はヒメシャクナゲ。


アルプスの稜線では夏の代表的な花、チングルマが咲き始めていました。


そして湿原と言えばモウセンゴケ。鬼怒沼でも見ました。


そしてワタスゲ。この辺りは標高のせいか、まだ穂が真っ白にはなっていなかったですが、それでも木道と一緒に写真に収めるとなかなかいい。ワタスゲのメルヘン感は反則的に強力な癒しパワーがあると思う。




一歩引いて湿原を眺めると、とても気持ちがいい。青い空と緑の湿原、そして小さい花々と白い木道。


振り返ると至仏山。


これは平ヶ岳方面。ワタスゲの群生がよくわかると思います。


この通り。


そして、暫く歩くとアヤメ平に着きます。一時は人間が踏み荒して荒廃してしまった湿原ですが、東京電力などの地道な努力で回復してきています。東電のイメージはどうしてもよくないですが、尾瀬に限ってはその功績を認めるべきでしょう。


タテヤマリンドウが開いてきた。


ショウジョウバカマ。流石に花勢は終盤であまり見ませんでしたが、これは形のいい株。


イワカガミもちらほら。


ヒメシャクナゲもやはりピンクで可愛い。


尾瀬の主峰、燧ケ岳が正面に見えます。




平ヶ岳方面を振り返っても、池塘と一緒だと雰囲気が違う。


日光白根山も南方向に見えます。


ここから富士見峠方面に向かう途中に南方向の見晴らしがよいところがあるのですが、この山の風景が素晴らしい。原生林の緑が本当に綺麗。北関東の山々、尾瀬や谷川連峰、奥日光は本当に素晴らしいと思う。


見晴らしのいい木道を進みます。


富士見峠前の池塘。癒しの空間。


そしてタテヤマリンドウがたくさん。


ここからは樹林帯を尾瀬ヶ原方面に下ります。長沢新道という道です。途中、木道はあったりなかったり。意外と急な坂もあります。距離は短いけれど普通に登山道っぽい道でした。
ミツバオーレンが多かった。


広葉樹の森が美しい。巨樹もあります。






そして、やっと尾瀬ヶ原に下りてきました。すると、至仏山が左手に見えます。


水芭蕉と共に尾瀬に咲き乱れるリュウキンカ。残念ながら花勢は明らかに終盤で、形のいいものはあまり残っていませんでした。


そして、ここでもタテヤマリンドウが目立ちます。


これはなんだろう。白い花は多くてGoogle先生にお聞きしてもなかなか分からず。


湿原は泥炭の土地なので痩せていて栄養が少ないため、大きな植物は育ちにくいのです。だから、過酷な環境で生きる高山植物のような可愛い花が多いとのこと。タテヤマリンドウも、湿原のものは尾瀬沼周辺の樹林帯で見られるものより色が薄かったりして、やはり一生懸命なのですな。

そんな花を愛でながら尾瀬ヶ原の木道を行く。よく晴れた週末なので観光客が大勢。


尾瀬ヶ原の中央部に位置する龍宮と呼ばれるところに来ました。龍宮小屋という山小屋があり、その向こうには燧ケ岳が見えています。


龍宮小屋を過ぎて沼尻川を越え、尾瀬ヶ原の東端にある見晴を目指します。見晴には山小屋が6件も密集している上にテント場もあります。私もそこにテントを張る予定。途中はやはりタテヤマリンドウが多く、湿原はうっすらと水色に染まっているように見えました。
その他の花もちらほら。これはオゼヌマタイゲキ。


オオバタチツボスミレですかね。スミレは見分けるのがたいへんですが。


見晴の山小屋群に近づいてきました。燧ケ岳も徐々に大きく見えてきます。


見晴のテント場は、燧小屋が管理しているので、まずは小屋にて受け付け。


10時頃にはテントを張り、余裕の一日です。キツい山登りをせずに湿原の景色と空気、香りを楽しむ週末。なかなか優雅です。


とは言っても折角の尾瀬なので、寝て過ごしてもしょうがない。ここは尾瀬沼に散歩に出かけることにします。
尾瀬沼までは樹林帯の道を2時間ほど。尾瀬ヶ原とは標高差が250メートルくらいあるので、ところどころ急な坂もありますが、全体としては誰でも歩くことのできるルートだと思います。
はじめは木道を行きます。


沢を何度か通過。涼しい。


小粒の白い花が多いです。ニリンソウとか。


ツボスミレはたくさん。


これは何だろう。


スダヤクシュは結構ありました。


リュウキンカも形のいいものを探す。


これは不明。Google先生も限界。


オオカメノキ。どこにでもあるような気がするけど、尾瀬関連のホームページでは樹林帯の代表的な花として紹介されていることが多いです。


下から見上げる構図が好き。


時には形のよい水芭蕉も残っています。


そして、道中にも幾つかの小さい湿原があり、木道とベンチが整備されています。相変わらずタテヤマリンドウが多くて全体的にうっすら水色。


そんな中、ミツガシワ。よく見ると複雑な形の花ですが、可憐なイメージ。


湿原は木道とワタスゲのコラボ写真を撮っておけば間違いない。




程よく汗もかいたところで、尾瀬沼に到着です。沼尻と呼ばれる、北西の端に当たるところ。


さて、尾瀬沼を一周しながら景色とお花を楽しみます。ヤマカタバミが咲いていました。今年は奥多摩から八ヶ岳からどこでも見かけます。この花。


尾瀬沼越しの燧ケ岳は絵になる。


途中に水芭蕉がかなり残っている一角もありました。


そして、ビジターセンターに到着。ここ、結構情報豊富で楽しいです。鳥の写真と鳴き声のコーナーとか、かなりはまります。ぜひ行ってみてください。


何だかんだでゆっくり散歩して、尾瀬沼を一周して沼尻に帰還。その後は樹林帯の道を戻ります。帰りは250メートル下るので楽チンでした。
夕食までは燧小屋のお風呂で汗を流したりして過ごしました。久しぶりのテント泊でフォークや箸の類を忘れてくるという失態を犯したものの、流石に尾瀬なのでお土産に地元の木で作ったフォークがあったので事なきをえました。
夕食中に飛んできた小鳥。尾瀬では鳥の声はいつでも聞こえているのですが、勉強不足でまったく種類はわからず。


翌日は三条の滝方面に行くことも考えられたけど、今回は徹底的に楽をするコンセプトを採用して尾瀬ヶ原の木道を早朝散歩することにしました。
ワタスゲのメルヘン感に包まれながら木道を東電小屋方面に向かいます。


この小さい花は湿原の水辺に結構咲いていたんだけど名前が特定できない。


咲きかけの小さい青いお花。エゾムラサキかなあ。


早朝は特に野鳥の声がよく聞こえてきました。なかなか写真に収められないけど。これは必死にズームで撮ったもの。後姿だけど。


橋を渡ると一瞬だけ新潟県に入る。ちなみに、尾瀬は群馬県、新潟県、福島県にまたがっています。日本有数の豪雪地帯ですから、冬の積雪が豊かな水をたたえて湿原を支えているんでしょう


橋を渡った先にはオゼヌマタイゲキのお花畑がありました。




早朝のお散歩は快適。ブナの林を抜けて東電小屋方面へ。


東電小屋の周囲には水芭蕉やリュウキンカの群生地があるのですが、残念ながら今年の花の時期は終わっていました。


でも、一部のリュウキンカと例の白い花はまだまだ綺麗。


オオバタチツボスミレは所々に咲いていて、大きいから目立ちます。濃い紫が独特の気品を備えています。


ヨッピ吊橋と名付けられた橋を渡ります。


池塘が幾つか目につくエリアに入りました。池塘とワタスゲのコラボは天国感が強い。






朝の湿原。




一回りしたら見晴のテント場に戻って撤収。軽く朝食を食べて山ノ鼻方面へ。尾瀬ヶ原を横断して帰ります。




夜は花を閉じてしまうタテヤマリンドウが、再び花を開いてきたので湿原がうっすらと水色に。




そしてやはりワタスゲが可愛い。






池塘もたくさんあります。しかし、若干干上がっているように見えるものもあり、やはり冬場に雪の少なかった今年は水不足なのでしょう。貴重な直物のためにも梅雨の時期に恵みの雨があることを祈ります。






ヒメシャクナゲも牛首分岐を過ぎた辺りからかなり見かけました。


高山の稜線で見る花々と似ているようで違う雰囲気の湿原の花々。いずれもとても可憐で儚げで、ちょっと個性的なものが多いです。やはり花が好きだから山歩きしているのだと実感。

時間的にはまだ午前9時頃だったのですが、この時期は花の宝庫である至仏山は閉山されているので登らず、早めに東京に戻ることにします。週末のうちに片づけておきたいこともあったので。
山ノ鼻から鳩待峠までは基本的に木道の続く1時間程度の道ですが、観光客が大挙してやってくるのですれ違うのが結構大変でした。私はテント泊装備背負っているので邪魔だったでしょうね。
途中、ミヤマエイレンソウやカラマツソウを見かけました。


森の景色も素敵です。


鳩待峠に到着。人数が集まると乗り合いバスが戸倉まで順次出てくれるので、効率的です。


戸倉からはバスで上越線の沼田駅に出て帰りました。
尾瀬や奥日光、谷川連峰などの北関東の山々は贔屓の山域です。雪深い地域なので自然環境の厳しさがハンパなく、ただでさえ森の木々や花々、そして鳥たちも特徴的で美しい。それに地理的に特殊な高層湿原や氷河が削った景観、火山の影響、蛇紋岩という特殊な岩でできた山々など、箱庭のように凝縮されていて素晴らしい。3,000メートル級の稜線とは違った楽しみ方ができますし、心理的にはより落ち着く環境だと思います。
尾瀬には夏にもう一度くらいは行きたいです。他の花が咲く季節、そして至仏山の開いている季節に。
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ツクモグサに会いに八ヶ岳へ

2016-06-12 21:23:09 | 旅行
5月22日と23日に久しぶりの雪山でない八ヶ岳へ。目的はツクモグサ。本州では白馬岳と八ヶ岳にしか咲かない貴重な高山植物で、花を追いかける私の山歩きではとても優先度の高いターゲット。ふさふさの毛が生えた薄い黄緑色の花はネット上で見ていてもとても可愛くて、今年は絶対に会いに行くと決めていました。
記録的な小雪と気温上昇速度の速さのせいか、今年のツクモグサは例年より2,3週間早く見頃を迎えているとのことで、5月の最後の週末には別の予定が入っているためにこのタイミングを逃すとまずいということで月曜に休みを取って強行して来ました。

月曜休む羽目になったのは、土曜に会社の仲間にせがまれて奥多摩山行を案内したからです。いつもの養沢から大岳山に登るルートで、単純標高差900メートルくらいですが、下山ルートがどうしてもアップダウンがある程度あるので楽ではありません。これをこなした後日に八ヶ岳ということで、ややハードな日程でした。

さて、いつものように茅野駅に9時過ぎに着くスーパーあずさに乗り、茅野駅からはバスで美濃登口へ。久しぶりに八ヶ岳山荘のところにやってきました。雪山でない八ヶ岳は、何と2013年9月以来の来訪です。


ここから林道を4,50分歩かないと美濃登の登山口までたどり着かないというのがバス利用者の悲しいところ。前日の疲労が残る中、砂利の埃っぽい道を行きます。乾燥していて暑いですが、木々は新緑の装いでいい香りがしました。あと、春蝉がワーワー鳴いていました。春の蝉って本当にいるんですね。


やっとこさここまで来ました。今回は硫黄岳山荘に宿泊の予定なので、北沢ルートを取ります。そうすると、更にしばらく林道なので土の香りが恋しくなりますが、まあしょうがない。


途中はオオカメノキなどの花を愛でる。足元にはスミレやコミヤマカタバミなど。






沢を何度か渡ります。もちろん橋があるので大丈夫。沢の音だけでなく、空気も清涼感があるのが八ヶ岳の沢のありがたいところ。まあ、北関東の森でも同じことだけど。


原生林の八ヶ岳の森は、土や木の香りが濃くて、深呼吸すると気持ちがいい。


黄色い花がちらほら。これはコキンバイでしょうか。


キバナノコマノツメだと思います。


この白いのはなんだろう。葉の形がチョウノスケソウに似ているような気がするけど、樹林帯に咲く花ではないはずだから違う。


そんなこんなで、疲れていても男性単独行だとコースタイムよりはかなり早く赤岳鉱泉に到着。冬季の名物、アイスキャンデーが溶けかかっていました。ここまでくると結構涼しいです。登山口から500メートルくらい登っていますから。


ここから見上げる主峰の赤岳。2,899メートルと2,900メートルに1メートルだけ足りませんが、日本アルプス以外で一番高い山です。八ヶ岳はコンパクトにまとまった山塊だからアプローチしやすいし、樹林帯には原生林が残っていて森深くて気持ちいいし、動物も植物も豊富です。そして標高も高いのでアルペンな岩場を楽しめるということで、個人的には相当贔屓の山旅ターゲットです。


ここでおにぎりなどを消費し、20分以上休憩。前日の疲れが脚に来ていて、これから硫黄岳山荘までの登りは乳酸との闘いになるのが明らかです。やれやれ。
そして、森林限界を抜けるまではほとんど写真なし。脚の疲労が辛かったし、特に目立った花もなかったので。しかし、森林限界を越えるとすぐに硫黄岳から横岳方面の稜線が視界に入るのがこのコースのいいところ。青空に映える、お気に入りの風景で疲れも吹き飛びます。


で、途中ののポイントである赤岩の頭へ。冬季もオーレン小屋方面からこちらに登ることは可能ですが、私が3月に登ったルートより難しいようです。


南八ヶ岳らしい風景が見えるようになります。


ここから硫黄岳山頂までが地味にキツい。中くらいの石がゴロゴロしていてちょっと歩きにくいですからね。


何だかんだ言って登頂。結局はコースタイムより早く登ることができました。疲れてますけどね。


硫黄岳の山頂は3回目ですが、いずれもお天気に恵まれています。八ヶ岳の神様には愛されていると信じています。
ここからは山頂からの風景を何枚か。3月の雪の時期に登った時の山行についてのエントリでも出てきます。が、全然様相は違います。当たり前ですけど。

蓼科山、天狗岳方面。夏山の様相ですね。


横岳への稜線から、主峰の赤岳、そして阿弥陀岳方面。阿弥陀岳は今回は登りませんが、2013年9月に初めて八ヶ岳に来た時に登っています。赤岳同様に頂上直下の急な坂がエグイところで、これを経験したことで南北アルプスの厳しい道に行く自信がつきました。今度は雪の時期に攻略したいです。


硫黄岳山頂のいつものシーン。


そして名物の爆裂火口。相変わらずのジオパークぶり。


山頂の絶景を十分楽しんだら横岳方面に進みます。今日の宿である硫黄岳山荘は、硫黄岳と横岳の間に建っています。
ちょっと振り返った図。硫黄岳はガスが出ると迷いやすいので、ケルンがたくさん建っています。それが格好いい。


で、山荘到着。硫黄岳山荘の経営は、3月に泊まった夏沢鉱泉と同じです。とてもサービスのよい、気持ちよい山小屋です。


この日は日曜。翌日は平日だしまだまだシーズン序盤なので、かなり空いていました。この小屋は、アルプスの小屋のように1つの布団に2人とかいう無茶はしないので良心的です。


稜線なのに水洗トイレで、今年からシャワー(別料金500円)もあります。


まだ3時半くらいだったので、5時半の夕食まではだいぶ時間があります。そこで、横岳方面に足を延ばしてみました。ツクモグサは早朝だと花を閉じてしまうので、花びらを広げたものを見るなら今行く方がいいからです。
小屋を出てしばらく行くと、コメバツガザクラとオヤマノエンドウが。どちらも見たかった花です。これまでは5月や6月の早い時期に日本アルプスや八ヶ岳などの高山に登ることがなかったので、見たことがありませんでした。高山植物は時期を合わせないと花が見られないので、一期一会的な感動があります。




なんの花かなあ。こんな厳しい環境の稜線で健気だなあ。


この葉っぱはチョウノスケソウだと思う。これが咲き乱れるころにも来られるかな。お天気と仕事の状況しだいだけど。


キバナシャクナゲも八ヶ岳の稜線名物ですが、まだ蕾。


そして、ついにツクモグサ登場!可愛い。可愛すぎる。ツクモグサ君と、君付けで呼んでしまう。ライチョウさんがさん付けなのと同じ感覚。ちなみにオヤマノエンドウもオヤマノエンドウさん。それにしても、こんな稜線の岩場にへばりつくように咲いていて、本当に可愛い。






横から見るとふさふさ。




あまり遅くなると迷惑なので、ある程度で引き返します。翌朝は赤岳まで縦走するので、その間にゆっくりツクモグサを探す予定。

そして夕食タイム。私の自炊能力でテント泊だと大したものが食べられないですが、山小屋はありがたい。特に硫黄岳山荘グループの夕食は豪華です。肉と魚が基本的に1品ずつ付くし、自家製の味噌や漬物が美味しいし。




夕食後は夕日が赤岩の頭方面に落ちていくのを眺めました。寒いですけどね。フリースかダウン必須。


そして翌朝。4時半頃出発。ちょうどご来光の時間でした。直前の写真と紛らわしいですが、これは日の出です。今日もいい天気。


でも寒い。霜が降りていました。高山の早朝はこのキリッとした空気が素晴らしい。


硫黄岳山荘とはしばしのお別れ。夏に来るとしたらテントを担いで来ると思うので、ここには泊まらずに軽食などで立ち寄る可能性がたかいです。


稜線上のちょっとしたピークから見る阿弥陀岳。朝日に染まってピンク色。


その奥には南アルプスの高峰が。これは北岳。今年の夏山ターゲットですが、他の山同様に今年は雪が少なくて高山植物の開花が早く、固有種のキタダケソウに間に合うかどうか。間に合わなければ8月後半か9月に塩見岳までの大縦走のターゲットにしたいと思っていますが、実現するかどうかは?


そして甲斐駒ヶ岳。


南東方向には富士山も見えました。


早朝の稜線のアイドル、イワヒバリはいつ見ても可愛い。


雪はまだ少し斜面に残っていますが、稜線の登山道はほぼ無雪でした。


そして、ツクモグサ君登場。やはり早朝は花を閉じていますが、これはこれで可愛い。








ツクモグサなどの高山植物を見つけようとしてゆっくりと、しかも本来行く必要のない岩場の方向にも行っているので、なかなか進みません。が、それが楽しいのです。注意としては、それでも登山道を外れないように。それと、登山道でも小さい葉っぱなどを踏まないように。どれも貴重な高山植物である可能性が高いですから。
そして、横岳の最高地点、奥の院に来ました。一応記念撮影。


硫黄岳方面の稜線も振り返る。


これから向かう赤岳。その背後には権現岳などの八ヶ岳南部の峰々と、南アルプスの高峰。


まあ、今回はツクモグサを主役に高山植物の旅なので、稜線の絶景は完全に二の次です。
そして、奥の院を越えるとツクモグサの数も増します。こんな感じで咲いています。




開きかけの花が可愛い。




崖にへばりついている小さな命。


大稜線を望む位置に1輪。2輪。




オヤマノエンドウもいっぱい咲いていました。今回は主役をツクモグサに奪われていますが、青紫の美しい花です。








そしてコメバツガザクラも。




三叉峰のあたりではミネズオウも見かけました。


ウラシマツツジの花も。秋には真っ赤な草紅葉が見事ですが、花も可愛いですね。


ミヤマキンバイはまだまだ蕾。


クモマナズナ。初めて見ました。と言うか、これまで知らなかった。ノーマークでしたがとても可愛いですね。




高山植物を楽しみながらも、横岳の稜線はそれなりに注意を要する険しい道。それも終わりを告げ、あとは主峰の赤岳に登頂してお弁当をいただいて絶景を楽しむ予定。
地蔵尾根のお地蔵さん、お久しぶりです。


まあ、ここからの登りが結構エグイ。


そして、エグイ登りの間は写真ありません。と言うことで、山頂です。




2年8か月ぶりの赤岳山頂。今日も絶景です。特に権現岳方面、南アルプスを背景にして格好いい。


ちょっと引いた図。こっちの方が実際に見えている図に近い。


山頂では硫黄岳山荘のお弁当をいただきました。起きてすぐは食べられない体質なので、お弁当がありがたい。


山頂には1時間弱いました。時間に余裕があったので景色を楽しんでいたのと、実は硫黄岳山荘の女性スタッフがこの日から1週間休暇ということで、観音平までの縦走をされているとことでした。この方とお連れの夏沢鉱泉のスタッフの方とおしゃべりしていたので、時間がたつのが早かったです。

まあ、いつも下山は名残惜しく感じながらのものですが、赤岳から文三郎尾根方面へのルートは険しい岩場なので注意していきます。


そして分岐へ。


阿弥陀岳方面を望む。今回はパスしてしまいましたが、お天気も良かったので行けばよかったかなと後からちょっと後悔。


文三郎尾根名物のマムート階段。前回登った時は辛かった。下りも結構たいへんよね。


横岳を見上げる。やはりギザギザ稜線ですな。険しい。ホント、八ヶ岳はコンパクトにいろいろまとまっているから楽しいよ。岩稜のスリルも高山植物も両方楽しめる。


そして、行者小屋まで下りてきました。前回はここにテントを張りました。


あとは登山口まで2時間半程度の道を下るだけですが、これも比較的ゆっくり行きました。実は、この南沢ルートでしか見られない、ある花を探していたのです。後で知ることになるのですが、この花は実は美濃戸の登山口から15分程度のところに群生しているだけだったので、ルート全般的にゆっくり歩いた私は無駄だったわけですが。

まあ、もののけ姫が大きなオオカミに乗って出てきそうな森を進むのは気持ちがいい。いつも同じことを言っているが、香りがいい。






変な苔がたくさんありました。花を探していたので観察眼が無駄に鋭く。。。




木々が新芽を吹き、新緑の季節。




コミヤマカタバミは南沢でも多かったです。


これはなんの花かなあ。


そして、ついに発見。絶滅危惧種のホテイラン。これが見たかった。


って、ここで知ったのですが、何と地元の方々が調査・保護されていて、各個体に番号を振って管理されています。したがって、登山道からホテイランを見たければこの辺りに来れば誰でも見つけられます。まったく、2時間以上もホテイラン探しながら下山した苦労は何だったのか。まあ、綺麗なお花を見られてうれしいですけどね。




他に、ツバメオモトと思われる花も見つけました。ちょっと遠い位置だったので確認しにくかったけど、写真から判断。


後は美濃戸山荘でお茶を頂いたりしながら暑い中を汗だくで下山。カラマツの緑が美しいですが、暑さにやられてややぐったり。まだ5月なのに。ホント、温暖化やめてほしい。


そしてついに下山。いやー、ツクモグサ君をはじめとして多くのお花と八ヶ岳のアルペンな風景、そして樹林帯の香りに癒されました。が、汗だくです。ここで、入山時から気になっていたオーベルジュのJ&Nに向かいます。皆さんのブログレポでおなじみになりつつある新しい八ヶ岳スポット。登山好きの若いご夫婦が昨年11月から経営されていて、とても清潔。六本木の職場の近くになっても違和感ないレベル。




いやー、これまでは下山したら八ヶ岳山荘のお風呂だったけど、これからは山ガール中心にこっちの人気が凄いでしょう。
お風呂は700円ですが、食事をすると半額の350円に割り引かれます。私はカレーを食べました。1.200円。ご主人はパティシエが本職らしいですが、料理もかなりレベル高い。




充実した山行で2016年の夏山は幕を開けました。やっぱり八ヶ岳贔屓だな。相性いいな。また来るぞ。
いつもの信州ナチュラルビールを飲みながら帰りました。

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Indigo Jam Unit

2016-05-30 21:48:30 | 息抜き
This is the jazz artist I recently found great. The band is from Japan, and has been performing for a decade, and guess what, it just announced to dissolve the band for each members to take next steps in their musical career.

Love the tension. Love the rhythm.


Lights
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2016年1~3月の冬山行

2016-05-12 22:21:01 | 旅行
この冬は事前の計画ではかなり積極的に攻める予定だったのだけど、仕事が落ち着かなかった上に1月になるまでスキー場も雪不足でオープンできないところが続出するなど、気候的にも出遅れが顕著なシーズンでした。
そして、終わってみればたったの3回しか雪山に行かず。このGWもお天気が好さそうなら残雪期のアルプスとか考えたけれど、あまり天気に恵まれないようだったので早々に諦めてしまいました。まあ、全体的に残念なシーズンです。やっぱり自分で車を運転しないと、バズの予約とかあるので直前に行くことを決めたり変更したりするのも難しいし、公共交通機関だと2日かかるところを強行軍で天気のいい日に1日で行ってしまうようなこともできないから、限界あります。これは夏山も同じですけど。

それでも、1月には初の日光白根山、2月には毎年恒例の谷川岳、3月には雪山としては初の硫黄岳(八ヶ岳)に登頂を果たしました。いずれもお天気に恵まれて絶景を楽しみました。雪山のモノトーンは、夏山の花や緑の鮮やかなシーンと比べて好き嫌いが分かれるようだけど、私は景色としては雪山が好きです。五感をフル動員して楽しむ夏山に対して、雪山の場合は特に遠景、パノラマ系の景色ですね。

それでは、それぞれの山行から幾つか写真をアップします。
まずは1月の日光白根山。オリオンツアーのスキーバスを使うと、5,000円台でリフト(ロープウェイ)チケットまで付いてくるのでとてもお得です。ツアーは1週間前には満席になることが多いので、お天気が読めないのが難点ですが。まあ、この時期は有給休暇が余っていることが多いので、比較的空いている平日を狙ってギリギリまで天気予報とにらめっこしながら日程を決めました。

丸沼高原スキー場には10時半くらいの到着。16時半の出発まで約6時間で山頂と往復するのは、それほど難しくありません。ロープウェイで標高2,000メートル地点まで運んでくれるので、山頂までは600メートルくらいしか標高差がありませんから。
出発するとすぐに二荒山神社があります。男体山の神社と同じです。


この日は出発時点では曇り。それでも北欧の森のような雰囲気の樹林帯を楽しみながら進みます。




霧氷が美しい。


雪山は基本的に無臭。これが夏山との大きな違いだと思っています。夏山の樹林帯は緑や土の香りがします。そしてこれが森林浴効果になっていると思います。しかし、雪山は無臭。そして鳥の声も基本的にほぼ皆無。
そんな道を修行的に進み、森林限界をようやく突破。こうなると雪山ならではの絶景がまっているのです。


お天気が今一つですが、尾瀬の名峰、燧ケ岳も見えます。


風が比較的弱くて助かりました。ヤマレコなどを見ていると、皆さん風にやられているので。それでも、久しぶりの雪山でアイゼンが重く感じる。一歩一歩何とか前進。平日で入山者が少ない上に多少ガスがかかっていたので心配しましたが、ルートは思ったより確認しやすく、迷うことはあまりないでしょうね。


シュカブラが形成されている所も。


そして、日光白根山登頂。関東以北の最高地点です。


お天気的に山頂からの風景は残念。山頂では15分ほどガスが取れるのを期待して待ちましたが、望み薄と判断して下山。


下山中の風景。結構格好いいかも。北極と言ったら騙せるだろうか。1月の栃木県ですが。丸沼高原側だから群馬県かな。


森林限界の辺りは樹氷地帯になっています。風が強いエリアであることに加え、今年は雪が少ないということもあって、それほど育ってはいませんでした。でも、日本の雪山の風景として押さえておきたいですな。樹氷は。




そして、下山中にだんだん天気が回復するという悔しいパターン。


何だかんだで樹林帯に戻ってきました。ここまで来れば安全です。帰りはハイキングコースに寄り道して、樹林帯のスノーハイクを楽しみました。


そのハイキングコースからの日光白根山。


ロープウェイの駅に戻ってくることにはすっかり晴れました。今頃山頂にいれば絶景ですが、それだと帰りのバスの時間に間に合わないので仕方ないです。この景色も見られたし、樹林帯も樹氷地帯も岩稜帯もそれなりに楽しめたので、全体としては満足な旅でした。


次に、2月11日の祝日に登った谷川岳。冬の谷川岳は贔屓の山で、雪山登山を始めてから3年連続で通っています。過去2年間は、それなりのお天気だったものの快晴とはいかず、この山域が持つアルプス並みの大絶景を青空の下で楽しむには至っていませんでした。今年は祝日の予想天気図が、北関東全域でほぼ快晴と思われるものだったので、迷わず決行です。
上越線の土合駅は日本一のもぐら駅と言われていますが、谷川連峰の下を通るトンネルの途中に駅があるのです。




地上までの階段は486段。登山前の体慣らしには丁度いいですね。


外に出てみると、かなりの雪が積もっていました。実は、前日は40~50センチの積雪を記録した結構な大雪だったのです。


谷川岳を仰ぎ見ると、ちょっと雲がかかっています。でも大丈夫。予想天気図を見る限り、昼過ぎには快晴になるはず。


しかし、ロープウェイの駅に着くと意外な展開。何と前日の雪の影響でロープウェイの運行開始が遅れていた模様。多くのスキー客や登山客が並んでいます。それでも10時前には天神平のロープウェイ山頂駅に着き、ここから約700メートル登って標高1,977メートルの山頂を目指します。
前日の大雪でトレース(登山者によって踏み固められた雪道)が消えているかと思いましたが、私よりも早く登り始めた人がかなりいたらしく、序盤はその人たちが作ったトレースを踏んで順調に登ります。
木々はこんな極寒の中でも芽をつけています。健気なもんだ。


風紋も少しできている。


この日は北関東全域で晴天ということで、どこの山も賑わっていたようです。谷川岳はロープウェイを使えば標高差700メートル、2時間少しの登りなのでキツくはありません。しかし、斜度は結構あるのでそれなりに体力が必要。


だんだん見晴らしがよくなってきました。しかし、登り始めて1時間もしないうちに登山者の渋滞に巻き込まれる。前日の大雪のため、先頭の人たちは相当のラッセル(雪かきしながら前進すること)を強いられているようで、ペースが上がりません。彼らの作ったトレースを使える後続は、当然速いペースで登れるため、渋滞が発生します。


途中の開けたところに出るまでは辛抱しながらノロノロ進みます。風が弱めだったので凍死することもなく。開けたところでは私も前に出て、先頭のラッセル組みに加わりました。本格的なラッセルは初体験。腿の辺りまで沈むパウダースノーを踏み固めて進むのは、想像以上の体力を要しました。
なお、写真は谷川岳ですが、カナダでもスイスでも南極でもなく、群馬県です。


そして、狙ったとおり雲が取れてきた。ラッセル地獄で時間がかかったおかげで山頂近くに着く頃には快晴に。


東側を見ると、左奥に日光白根山が見えます。1月にはあの山頂にいました。


結局、過去2年間は2時間ほどで登った道を3時間半かけるハメに。そして、その間昼食を取れないので、エネルギー切れ寸前という状態に。エネルギー切れを起こすと急に足が動かなくなり、バテてしまって危険です。まあ、ようやく山頂近くの小屋が見えるところまで登ってきた。ここまで来れば後少し。


ここまで来ると、西側には谷川連峰の主脈が見渡せるようになります。


山頂直下の道標が見えてきました。この頃には空腹もあってかなりバテていて、多くの人に抜かされつつゆっくり歩みを進めていました。


名物のエビの尻尾。強風でこびりついた雪が凍結したもの。この道標、雪の多い年にはほとんど埋まっているのですが、今年は逆にほとんど露出していました。


エビの尻尾拡大。自然が作る芸術作品の例。


やっと山頂に着きました。谷川岳は双耳峰と言われ、2つのピークを持つ山です。これは手前の低い方のピーク、トマノ耳。標高1,963メートル。


山頂でいつもの自撮り。


トマノ耳から眺める谷川連峰主脈の稜線。このシーンが格別。豪雪地帯で森林限界が低く、標高2,000メートル程度なのにアルプスにも負けない大絶景が広がります。快晴の日にこれを見たかったのです。


もう一方のピークである、オキノ耳(写真の右側の尖った奴)と、その奥に連なる一ノ倉岳などの稜線を眺める。オキノ耳は標高1,977メートルです。快晴の青空に映える真っ白な山。


ちょっとずらした図。オキノ耳の下は崖で、湯檜曽川を挟んで向かい側には別の稜線が連なっています。右奥は群馬県と新潟県の県境の山域で、やはり豪雪地帯で真っ白。


もう一度オキノ耳方面。くどいですが、群馬県です。
思った以上に登頂に時間がかかり、帰りのバスの時間に間に合わないリスクが出てきたので今日はこちらに移動するのは諦めて下山します。まあ、景色は存分に楽しんだ。


下山中に主脈稜線をアップで撮った写真。パウダースノーが重なってクリームみたい。


これも下山中の写真。奥に見えている白い山は尾瀬方面です。
下山は本来フカフカ雪の上を滑るように進むので楽勝のはずですが、この日はあまりにパウダースノーが深くて足を取られそうになることがしばしば。あまり楽ではありませんでした。


主脈稜線を振り返る。だいぶ下ってきた。私の技術・体力では、冬季にあの稜線に挑むことはあり得ません。


天神平スキー場のゲレンデ上部まで下山してきました。ここから振り返ると、谷川岳を一望できます。格好よさでは日本屈指の山だと思っています。


標高2,000メートルにも満たないのに圧倒的な山容。贔屓の山なので来年も来る可能性が高いです。



そして、ここからは年度末の3月15日、16日に有給消化で行ってきた八ヶ岳の硫黄岳。自身の雪山歩き経験としては、ちょっとした成長のできた山行でした。
公共交通機関利用だと八ヶ岳に日帰りは難しいので、冬季営業している山小屋を利用します。1日目は朝9時過ぎに茅野駅に着く特急あずさを利用。茅野駅からは宿泊する夏沢鉱泉のパジェロが送迎してくれます。そして、桜平の登山口からは雪上車が。宿泊客は雪上車に乗りませんが、荷物を預けることができます。


宿泊する夏沢鉱泉は温泉つきの宿なのです。水力発電施設や水洗トイレもあり、山小屋とは思えない設備。1泊2食付で12,000円で、この立地とサービスを考えればとてもお得な宿です。


この日も前日に50センチくらいの積雪があり、しかも八ヶ岳は3月に入ってから数回まとまった雪が降っています。そのため、登山道はトレースがかなり薄くなっており、苦戦を強いられる可能性がありました。しかし、予報によればお天気はいいはずです。なお、この山行では1日目に根石岳、2日目に硫黄岳を狙っていました。


コンビニで調達したおにぎりなどで昼食を済ませ、12時ごろに根石岳に向けて出発です。しかし、トレースはこの日の朝に出発された3名の方のものがあるだけで、心もとない。一方、前日の雪のおかげで木々には雪がたくさんついており、北欧の森をハイキングする感じで楽しく進みます。




小さいモンスターも登場。


結局、途中のオーレン小屋までもコースタイムの1.3倍くらいかかる状況。しかも、根石岳方面に向けてのトレースはさらに薄くなり(1名しか先行していなかった)、途中の箕冠山までしかついていません。何とか箕冠山の山頂までは行ったものの、この先はトレース皆無。膝上までの雪をラッセルして進むことになります。


こんな感じ。少し挑戦したものの、箕冠山から一度下る斜面で雪に足を取られて派手にずっこけたこともあり、翌日の硫黄岳がメインであることも勘案して引き返すことにしました。谷川岳の時と違って周囲に他の登山客もいないので、もしもの時には大事に至りますから。


引き返す途中、オーレン小屋の辺りから翌日アタックする硫黄岳を見上げる。結構遠いなあ。ここから山頂までは標高差430メートル程度で、それだけだとたいしたことないんですけど。トレースがないからラッセルするのが大変そうだ。


夏沢鉱泉の晩御飯はウルトラ豪華です。猪鍋、煮魚、ハンバーグ、大きな春巻き、自家製の野菜や味噌を使った多くの煮物・漬物・味噌汁などなど。ここに写っているのはその一部に過ぎません。比較的大食いの私が食べ残すかと思ったくらい。デザートにシャーベットまで付いてます。標高2,000メートルを越える地点にあるとは思えない充実振り。


夕食途中、行儀は悪いものの思わず外に出てしまう絶景が。夕日が沈む直前。北アルプスの穂高連峰がくっきり見えます。屋外では一眼レフのカメラで熱心に撮影されているグループがいました。
明日はいいお天気でしょう。


夏沢鉱泉では、宿泊客に湯たんぽが提供されます。温かくて就寝しやすいし、翌朝は適度な温度のお湯で顔を洗うことができるという仕組み。気が利いています。


さて翌日です。前日夜の天気予報では、午前9時ごろから雲が出てくるとのことでした。晴れている時間は短いかもしれないということで、朝食の時間を30分切り上げて5時半からにしてもらいました。こうした柔軟な対応も嬉しい。おかげで、朝6時に出発できました。


夜明け直後の道をどんどん登ります。冷たい、張り詰めた空気と樹林帯の景色が美しい。オーレン小屋の先、30分ほど登った夏沢峠まではトレースがついているので順調です。2日目は体が慣れていることもありますが。


目指す硫黄岳が見えてきました。


オーレン小屋を過ぎて夏沢峠まで30分ほど樹林帯最後の登りです。


夏沢峠には2件の山小屋が並んで立っています(冬季閉鎖中)。そこから見た硫黄岳。硫黄岳は写真の左側に見える爆裂火口で有名です。迫力満点の山容。ここからはトレースなし。膝上までのラッセルです。


特に厳しいのは、森林限界直前で標高差50メートルほどを登る斜度40度くらいの部分。夏沢鉱泉に同宿している方々の中に、山岳ガイドさんと一緒に硫黄岳を目指す方々がいました。ガイドさんのお話だと、この部分が一番きついとのこと。彼らより先行して登っていた私がラッセルして道を作るのですが、これがキツかった。直登40度、雪が吹き溜まって腰まで埋まります。膝を曲げたり四つん這いいになって体重を分散させて沈下を最小限に防ぎながら、雪を踏みしめて少しずつ登っていきます。30分以上かかったかもしれません。必死で時間は気にしていられませんでしたが、何とか難所を抜けました。写真はこの直登部分の半分過ぎくらいのところから上部を見上げたもの。


やっと森林限界を抜け、展望が開けます。北アルプス方面もくっきり。今のところ雲は出ていません。朝食の時間を早めた甲斐がありました。


森林限界を抜けると、風が強いために雪が飛ばされ、深くてもくるぶしまでしか埋まりません。しかし、今度はアイゼンの爪を石や岩にひっかけて転ばないようにしないと。ルートも、先行者がいないので自分で歩きやすそうな道を見つけながら進みます。まあ、ほとんどの場合はそれが正式な登山道なんでしょうけど。滑落したら大怪我間違いなしの部分もあるので慎重に。


爆裂火口も迫ってきました。硫黄岳は広く開けた山なので、山頂付近でガスに巻かれると方向感覚を失いがちです(細い道が分かりやすくついている訳ではない)。そのため、石を積んだケルンが多く立てられており、目印になっています。下から2つ目のケルンのところで小休止し、装備をストックからピッケルに持ち替えました。


振り返ると、北八ヶ岳の天狗岳方面。八ヶ岳ブルーと言われる真っ青な空の下に山々が連なっています。


そして、8時45分ごろに登頂です。ラッセルのためか、かなり体力を消耗していた感がありました。登頂した時には思わず雄叫び。誰もいない山頂を30分ほど独占して楽しみました。


硫黄岳の山頂。火山なので平らで広々しています。お天気に恵まれて大絶景。シュカブラ(風紋)もたくさん。山頂はさえぎる物のない360度の大展望台なので、景色を楽しみます。


南八ヶ岳方面は荒々しい山容。主峰の赤岳(左側)と阿弥陀岳。阿弥陀岳の南斜面では前日雪崩が起き、登山者が巻き込まれたとのニュースがありました。安全第一ですね。


赤岳からの稜線をたどると横岳。目立つ大きな岩は大同心。クライミングの対象です。夏にはこの稜線を縦走したことがありますが、冬季は今の私の技術では無理。


横岳から硫黄岳に続く稜線。この辺りは初夏には珍しい高山植物の宝庫です。今年の夏には何度か訪問したいですね。稜線に雪に埋まった山荘が見えるでしょうか。硫黄岳山荘で、夏沢鉱泉と同じ経営のグループです。夏はテント泊する傾向がありますが、居心地がよさそうなのでここに泊まるのもありですね。


北八ヶ岳方面はたおやかな山容。昨年の冬に登った蓼科山が特徴的で目立ちます(一番左の白い帽子をかぶった感じの山)。こちらの主だったピークは、根石岳を除いて既に冬季にすべて登りました。来年は赤岳や阿弥陀岳に挑戦する技術が身に付いているのだろうか。


北東方面には浅間山。この方角では圧倒的な存在感。


爆裂火口。八ヶ岳名物ですな。


稜線を横岳方面に少し下り、硫黄岳山頂方面を臨んだ写真。


山頂のシュカブラ。風速は10メートルくらいですかね。それなりに強い風ですが、このくらいの高さの山の山頂では弱いほうです。


山頂に戻ってもう一度南八ヶ岳方面を眺める。


その奥には巨大な南アルプスが見えていました。


名残惜しいですが、下山します。多少危険なところもあるので慎重に。途中、ガイドさんに連れられた方々とすれ違いました。急斜面のラッセルを感謝されましたが、あれを乗り越えないと先に進めないのでしょうがなかったというのが現実。


下山途中でカモシカの足跡を発見。八ヶ岳は動物も多くてとても癒されるところです。


時間に余裕があるので、樹林帯の景色を楽しみながらゆっくりハイキング。徐々に気温が上がって薄雲が出始めました。早めの登頂で正解でした。また、気温が上がると雪が団子になってアイゼンにへばりつき、とても歩きにくいです。これまでは低い気温のパウダースノーかアイスバーンしか経験したことがなかったので、本格的なラッセルと共にこれもいい経験でした。


下山途中の開けたところから。乗鞍岳ですかね。来年の冬に挑戦したい山の1つです。3,000メートル峰の中では、冬季でも比較的登りやすい山なので。


夏沢鉱泉に生還です。今年の雪山挑戦も無事に終わりました。


夏沢鉱泉に戻って最後に温泉にもう一度浸かりました。温かくてありがたい。入浴後は昼食に牛丼をいただきました。食事も充実していますね。ここは。
シーズンが始まる前は、この他に上州武尊山、北アルプスの唐松岳、中央アルプスの木曽駒ヶ岳、南アルプスの仙丈ケ岳などもターゲットに考えていましたが、雪が少なかったのと仕事が忙しかったために実現せず。来年以降に挑戦します。


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北アルプス奥地への旅3

2016-04-09 12:33:07 | 旅行
やっとお天気が回復してきた3日目の後半。こうなると断然楽しい北アルプス。イワショウブなどの花々も綺麗です。












太郎平への最後の道は木道になっています。周囲の道がどんどん崩れていくのを防ぐ意味もあるのでしょう。その先に山小屋が見えると安堵感が出てきます。やっと晴れてきたとはいえ、ずっと視界の限られた環境を黙々と歩いてきたので。


太郎平に着きました。これは小屋前の道標。折立の登山口から登り、薬師岳や雲の平を目指すのがメジャーなようです。


取りあえずは重たいザックを軽くするためにテントを張りに行きます。テント場は太郎平から20分ほど歩いた薬師峠にあります。この時点では疲れがかなり足にきており、テント場への道も一苦労。


お天気の回復により、濡れる環境でのテント張りは避けられました。お盆は終わっているタイミングとはいえ、まだまだ登山客は多かったです。


テントを張ったらこの日は休むだけ。テント泊装備を背負って8時間ほど歩いた後なので、もう休むしかないでしょう。折角なので太郎平小屋のカレーライスを食べに行きました。


お天気はどんどん回復してきており、翌日早朝にアタックする予定の薬師岳は期待できる模様。これは赤牛岳、水晶岳方面。今回は行かなかったけれど、北アルプス最奥の山々ということで興味のある山域です。


テント場へ帰る道から見た薬師岳は既に巨大で堂々。しかし、これは本体ではなく、その手前のほんの一部だと知るのは翌朝。いやー、巨大な山です。薬師岳は私の中ではビッグマザー。大きなカールを抱えた女性的な山のイメージで、南アルプスの仙丈ケ岳と対比して考えています。


翌朝は暗いうちからヘッドランプを灯してスタート。山頂でご来光は狙っていませんでしたが、早朝の空気の中で山頂に立ちたかった。ゆっくり休むことができたのでかなり飛ばして行くことができました。まずは2時間ほどで薬師岳山頂に近い薬師岳小屋を目指します。途中には木道の敷かれた湿地帯などがあり、花も綺麗なはずなのですがまだ夜が明けていないので気を取られずに黙々と進みました。最初のうちは樹林帯、徐々に沢筋のようなガレた道になり、暗い中で迷わないようにペンキでつけられた印に注意して登りました。以前はこういうところでは明るくても道を見失って焦ることもあったのだけど、だんんだん慣れてきたのかルートを外れなくなってきましたね。これも経験なんでしょうか。なお、私のコンデジのフラッシュでは、暗い中で風景を撮影するのは無理なので写真なし。

途中からは薬師岳小屋の灯りが見えるようになり、それを目指して登ります。そして小屋に到着。既にご来光目当てで出発されている方々がいました。まだ夜が明けていないので、コンデジではオートフォーカスが利かずにブレています。


山頂方面。幾つかのピークを越えないと本当の山頂に着かないという苦しいパターン。


槍ヶ岳方面。空気が冷たく澄んでいて、山頂からの絶景を約束してくれている。


小屋からの急な登りを進み始めたところ、ここでライチョウさんの登場です。慌てて写真を撮ろうとするも、オートフォーカスが利かずに苦しみます。


いつ会ってもライチョウさんは和みますね。


徐々に夜が明けてきました。山頂かと期待させつつ違うというケルンに到着。ここから間違った方向に行くと東南稜に入ってしまい、遭難事故につながる模様。特に冬季は大きな遭難事故があったとのこと。まあ、私が真冬にこの辺りに来ることはないですね。究極すぎます。


既にここからも絶景が。


槍・穂高拡大。


前日霧雨の中登頂した黒部五郎岳、こちらからはカールは見えません。その奥に笠ヶ岳。笠ヶ岳は目立つし、抜戸岳方面の稜線が長くて迫力ありました。これまではあまり興味なかったのですが、見直しました(偉そう)。奥に見えるのは乗鞍、御嶽かなあ。かなり大きいですから焼岳ではないでしょう。


同じ方向をちょっと引いてみると、前日は霧の中で見られなかった黒部五郎岳からの稜線が見えます。緑豊かで晴れてさえいれば天空の花道といった感じなのでしょう。リベンジせねば。


登る方向の右手には後立山連峰の山々が見えます。針ノ木岳から鹿島槍ヶ岳までは2度の山行で分けて歩いているので、懐かしい感じ。何より雲海が格好いい。


カールが大きい。カールの背景には赤牛岳、水晶岳、鷲羽岳、そして槍・穂高連峰。


やっと山頂に到着です。


標高2,926メートル。今回の旅の最高地点に到着しました。


雲はあるものの空気が澄んでいて見晴らしがとてもよい。ここからは山頂からの展望をお伝えします。これは北薬師岳方面への厳しい稜線の先にある、立山と剣岳。黒いとがったのが剣ですね。


拡大するとよくわかる。立山まではまだまだ遠くて、私の能力だとここから2泊してやっとですね。


雲海の上に威風堂々そびえる鹿島槍ヶ岳と五竜岳。


鹿島槍ヶ岳から針ノ木岳まで、後立山連峰南部の山々。7月に縦走して高山植物と稜線からの景色を楽しんだところです。こうして見ると、凛として格好いい。やはりスバリ岳あたりの稜線がギザギザですね。


立山連峰が左側。後立山連峰が右側。雲海の下は黒部湖。この景色を一望できるのが薬師岳の凄いところ。それにしても、黒部川って本当にとんでもないところを流れてますな。


左から赤牛岳、水晶岳、鷲羽岳、そして槍ヶ岳へのパノラマ。


水晶岳。標高2,978メートルで、黒部の山々で一番高いのはこの水晶岳です。2日目が晴れていて、体調良く飛ばすことができればここもターゲットになり得ましたが、流石に今回は無理。いつか裏銀座縦走コースを歩くことがあれば挑戦したいです。まあ、最奥の秘境のイメージですね。


鷲羽岳。ここはちゃんとリベンジしたい。


そして槍ヶ岳。ここに行くのはいつになるやら。


槍ヶ岳の手前に見えるのが雲の平でしょう。


少し右にずらすと溶岩台地状なのがよくわかる。小さく見えているのが雲の平山荘でしょうね。


雲の平の手前に見える黒部川の流れが奥の廊下と言われるところでしょうか。雨が降ると鉄砲水になるという。秘境中の秘境。


さらに少しずらすと三俣蓮華岳。この辺りも緑が濃いですが、ハイマツ帯なのかな。双六岳方面に稜線が続きます。2,800メートル級ですが、その後ろにそびえる穂高連峰の3,000メートル級は迫力が違いますね。200メートルほどの差がこれほどまでとは。


日本海方面は雲海でした。


雲海を西南の方向にたどると、北陸の霊峰、白山。ハクサンチドリやハクサンイチゲ、ハクサンボウフウなどの高山植物の名前に登場する花の名山ですが、遠いので後回しになっている山域です。


雲の切れ間から太陽が。神秘的。


名残惜しいですが、山頂を後にして下山します。下山中もずっと黒部の山々を眺めていました。




そして、前日霧雨の中を歩いた稜線も。すると、三俣蓮華岳からの稜線であるものに気づく。分かりますかね、


拡大。


なんと、雨の中逃げ込むようにして泊まった黒部五郎小舎です。ご厚意がありがたかった。あれは2日前のこと。あんな鞍部に建っているんですね。


黒部五郎岳って上品な感じですね。岩岩しい感じではないけれど格好いい。甲斐駒ヶ岳とか鷲羽岳とは違った趣。これはこれでとてもよろしい。


そこから北ノ俣岳までの稜線。リベンジはいつになるかなあ。


そのまま稜線を注意して眺めれば、太郎平小屋も。


三俣蓮華岳からから北ノ俣岳まで、今回歩いた道のほぼ全景。この他に新穂高温泉からの1日目と薬師岳への登りがあるわけで、まあ頑張った。


薬師岳小屋が直下に見えるところまで下りて来ました。その先に太郎平小屋も見えているという。


振り返ると薬師岳。


ここからは高山植物の写真です。登っていた時は暗くて気づかなかったですが、花も多いですね。
























テント場に着いてからも比較的ゆっくり。時間に余裕があったので、撤収作業をしながら残った食料やコーヒーを消費しました。4日間の山旅を終え、あとは折立まで、コースタイム3時間程度の道を下るだけです。
テント場から太郎平へ向かう。


薬師岳を振り返る。


雲の平方面を眺める。


青空ですが、既に秋を感じる雰囲気だと思ったのは私だけでしょうか。北アルプスの夏は短いですね。


太郎平からの眺め。


最後に薬師岳と一緒に。


折立への道は最初は木道。それが滑りやすいザレた道に変わり、途中は開けた草原状の気持ちよい場所もあるものの、最後は相当急な樹林帯の坂という構成。最後の下りは結構膝にきました。ここを登るのはルートとしてはきつそうだな。太郎平と折立登山口の標高差は1,000メートル程度ですが、下山のコースタイム3時間に対して登りが5時間に設定されているところに道の厳しさを感じる。
途中タテヤマリンドウがちらほら。他にイワショウブも多かったです。




下山中に雲が出てきて、薬師岳は山頂付近が雲に覆われていきました。
2時間半ほどで折立に到着。バスを待つ人が少しいました。


この後は富山に出て、新幹線で帰京。お約束のマスの鮨が駅弁がわりです。


北アルプスの奥地への3泊4日の山行は、ある意味では山歩きを始めてから最初の「山旅」と言えるものだったと思います。若いころに2週間以上の期間で海外旅行に出ると、それより短い旅行とは全然違った経験をしたと感じていました。多分に感覚的な話ですが、そういう違うレベルの経験は後になって振り返ると学びが多く、自分の殻を破って世界を広げるものでした。単に外の世界を経験したということではなく、その経験からの学びがその後の意思決定やものの考え方に影響するのです。凄く。本当に。
冬山では、2014年の八ヶ岳の天狗岳、そして2016年の同じく八ヶ岳の硫黄岳への登山はそれぞれいい経験でした。夏山では圧倒的にこの北アルプス奥地です。

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北アルプス奥地への旅2

2016-04-03 21:52:56 | 旅行
予想通り2日目は雨。早朝に出発して鷲羽岳、そして余裕があれば水晶岳まで登ってから黒部五郎小屋まで下ってテントを設営するというのが理想の行程でしたが、山頂に立っても何も見えないことが確実な状況では鷲羽、水晶という黒部の奥地にある百名山は諦め、単に黒部五郎小屋までの移動日とします。あー、三俣峠からの鷲羽岳とか、鷲羽岳から見る槍ヶ岳とか、絶景シーンが見たかったのに残念。

天気図を見て考えていたのは、雨が強いのは午前中で、午後になればましになるだろうということ。運が良ければ曇りにまで回復するかも。
下山していく方々が次々にテントを撤収して去っていくのを時々自分のテントから顔を出して確認しながら、文庫本読んだりして時間をつぶします。結局10時頃に少し小降りになったところで自分もテントを撤収し、双六小屋へ移動。昼ごはんを食べてゆっくりしながら11時頃に黒部五郎小屋に出発です。3時間半程度の道のりです。
ところで、双六小屋で超人的な青年に出会いました。90リットルザックを担いで日本海から太平洋までアルプスを縦断するということでした。北海道出身で、普段は日高山脈などを歩かれているようです。登山道や山小屋の整ったアルプスよりよほど厳しい条件に慣れているんでしょうけど、それにしてもタフな人がいるものです。

雨は結局降り続けていました。そして、登山道は多くのところで川になっていました。


比較的楽だとされる巻き道ルートを取りましたが、所々急な上り下りがあり、雨で思い切り濡れた岩は滑るので注意が必要でした。


雨の中でも健気に高山植物の花々が咲いています。一番の見ごろはやはり梅雨明けから2週間くらいなのでしょう。










一方、遠景の景色は絶望的。


雨に濡れながらも三俣峠に到着しました。晴れていれば、ここから三俣山荘越しに鷲羽岳の雄姿が眺められるはずですが、もちろんこの日は無理。雑誌などでも定番の絶景ポイントなんですけどね。やはりお天気は大事だ。


ここから20分ほど登ると三俣蓮華岳の山頂に着きます。写真を整理してみると、この辺りの登りや黒部五郎小屋までの下りは結構険しいところもあったようですが、よく覚えていません。自棄になって自撮り写真とかもありますが、本音では早くこの惨めな山歩きを終わらせて小屋にたどり着きたいと思っていたという記憶があります。


そんな時も花には目が行く。




そして三俣蓮華岳登頂。視界ゼロ。


三俣と言われるように、今でも富山県、岐阜県、長野県の3県の県境です。


黒部五郎小屋を目指します。何となく癒される標識。


ハイマツの間の道。そして視界はない。


道は小川である。


ゴアテックス性能の登山靴って凄いと思いましたよ。3年目になるテクニカというあまり有名でない(と思われる)メーカーの靴ですけどね。好日山荘でセールで買ったやつ。これまでも初心者の私を穂高岳、針ノ木や鹿島槍、甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳でサポートしてくれた訳ですが、この日もほとんど濡れませんでした。自分のミスで水たまりに思い切りハマったので流石にちょっとは水が入りましたが、ほぼ完璧でした。

そして、ついに黒部五郎小屋が霧の中に現れました。まさに砂漠のオアシス状態。


さすがにこの日はテント場には一張もなかったです。私も小屋泊に切り替えました。
それにしても、黒部五郎小屋のスタッフはとても親切で、今でも思い出すとありがたさがこみ上げてきますね。乾燥室には靴まで持ち込んでよくて、皆さんもちろん泥は落として持ち込みますけど、それでも後日清掃はたいへんだったでしょう。雨に濡れて寒くて惨めな状況の登山者にはありがたい心遣いです。
ここではスイスからの旅行者5人組に出会いました。本場のスイスアルプスは道が整備されていていいけど、ちょっとツーリスティックらしい。日本では山頂まで普通に登りながら縦走できるし楽しいとのこと。ただ、持っていたガイドブックのコースタイムが短すぎて参考にならないと笑ってました。室堂から入って槍ヶ岳に登って上高地方面に下山する予定とのこと。日本の観光資源は、インターネットを通じて世界の人に相当知られていますね。熊野古道や鬼怒沼に行った時にも思いましたが。

この日は早湯でパスタと、前日の豚肉・茄子の残りで豪華に食事しました。コーヒーも飲んで一服。他の登山者の方々と情報交換しました。状況が状況なので、食事くらい楽しまないと。スイスの方々も騒々しくパスタを調理していました。グループも楽しそうですね。


雨のせいで2日目の行動は大幅に制限されましたが、結果的には体力温存につながったのかもしれません。山行前には4日間のガッツリ山旅に多少不安を覚えていましたが、実際には3日目以降も普通に行動できました。

さて、翌日はガスの中朝5時に出発。雨こそほとんど降っていないか霧雨程度でしたが、眺望はやはり期待できない感じ。黒部五郎岳のカールはとても楽しみにしていたので、残念。遅い時間の方が天気が回復するのは分かっていましたが、この日は太郎平小屋の先にある薬師峠のテント場まで8時間程度の道を行く予定なので、念のために早めに出ました。
しかし相変わらず小川である。


花は咲いているが。


黙々と歩くと、どうやらカールに突入した模様。しかし、眺望がないので状況が不明。




雷岩という大きな岩があるらしいので、注意していたのだが確認できず。これじゃないよね。

カール内部にも花は多かったですが、全体的に盛りは過ぎていました。




ちょっと日が差すとカールの一部とはいえども大きな景色が見え、思わず写真を撮る。しかし、後で見直すとやはりガスが目立つ。






まあ、全体的に残念な結果です。カールの登りはかなり斜度もあるエグい登りでした。テント泊装備だときつくて、小屋泊装備の方に抜かれていました。この登りも、カールの絶景があれば報われただろうに。

そして、山頂直下の方のところにザックをデポしていよいよ山頂へ。この旅で最初の100名山、黒部五郎岳2,840メートルです。


地図では大展望と書いてあります。確かに、薬師岳、雲の平、水晶岳に鷲羽岳、槍ヶ岳、笠ヶ岳などすべてを見渡して足元にはカールが広がるはず。
しかし、この日は御覧の通り無残。


山頂には何やら神様が祀られていました。展望はないですが、コンディションのよくない中で安全に旅できているので感謝。


トウヤクリンドウがお約束のように蕾状態で迎えてくれました。


さて、この後は4時間程度黙々と稜線歩きです。本来はこの稜線はアルプスらしい大絶景が期待できるのだと思いますが、この日は黙々と行く修行です。アップダウンが特にキツかったという記憶はないですが、それでも延々と展望のない道を行くのはつらいですね。ハイマツ帯の中を縫うように進みました。


忘れているだけで結構厳しい道もあった模様。


ハクサンボウフウはたくさん咲いていて、これが癒しになってくれました。


ミヤマリンドウも。


幾つかの小ピークを越えて約3時間歩き、北ノ俣岳に到着。相変わらず眺望は残念。


お天気に恵まれず辛い道のりが続いていましたが、北ノ俣岳を過ぎてしばらくすると様子が変わってきました。晴れ間も見え始め、なにより雲が取れてきて眺望が得られるようになってきました。すると、地図で赤木平とされているところだと思いますが、高原の牧場のように美しい風景が現れました。


急に天国を歩いているような風景になります。


さっきまでガスで見えなかったのに。お花畑も凄いんですね。




そして夏空。


あー、黒部五郎岳のカールから山頂の絶景、そしてここまでの稜線、晴れていれば大感動なんだろうなあ。これは絶対リベンジが必要だな。スイスの若者のように立山から歩くのもいいな。その時にも黒部五郎小屋に泊まって、お土産で何か持って行って少しでも恩返ししたいよ。

3日目の長い行程では最後の2時間程度、やっとお天気が回復して景色を楽しむことができました。次回の記事では、その時の風景と4日目の薬師岳でフィニッシュです。
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北アルプス奥地への旅1

2016-03-21 20:44:28 | 旅行
久しぶりの更新。既に2015-16年の雪山シーズンも残雪期(今年は短そう)に入りましたが、2015年のお盆の頃の山行記事です。

お天気が確信できなければ山旅にはいかないという鉄則を破って臨んだ黒部への旅。お約束のように雨に降られて、見たいものや達成したかったことは3割くらいしか体験できなかったものの、3泊4日という比較的長期のテント泊をして初めて感じることのできることもあって、実りの多い旅だったと思う。
これまではテント泊は2泊3日までしかやったことがなくて、しかも1日目か3日目は大体楽な予定だったから、実際にテント泊装備で歩くのは2日がマックスだった。4日間歩くと、何だか違うものが見えてきたような気がする。と言うか、ヤマレコやブログで時々見かける山にどっぷり浸かってくるというのはこういうことなのかなと、ちょっと感じることができた。年に1回くらいはこのくらいの山旅をするのがよいような気がする。体力チェックにもなるし。

で、行ってきたのはお盆の週の終わりの日曜日、8月16日から翌週の水曜の19日まで。土曜の夜の夜行バスで新穂高温泉に入り、最後は富山県の折立に下りる旅。
花の季節は少し外してしまっていたけれど、黒部五郎岳のカールや鷲羽岳の雄姿、鏡平から見る槍・穂高連峰の図や、ビッグマザー薬師岳(私の感覚では薬師岳は女性的ということになっている)への登頂とそこからの北アルプス奥地の絶景など、高密度の旅の予定に出発前から興奮気味でした。
問題は、どう考えても17日は雨になりそうで、それがどの程度早く回復するかでこの旅の楽しさは大きく変わりそうだということ。危険なルートではないもののテント装備では体力的に楽なルートでないことは間違いなく、無理はしないことに決めて出発しました。

そして、結局はかなり雨にやられた今回。以下は達成したかったことの星取表。
鏡平からの槍・穂高連峰の絶景→◯
双六岳の高山植物と独特の景観→×
双六小屋から望む鷲羽岳→○
三俣峠からの鷲羽岳の雄姿→×
鷲羽岳登頂→×
黒部五郎岳のカールの絶景とお花畑→×
黒部五郎岳登頂→○
黒部五郎岳、北ノ俣岳、太郎平に至るルートの絶景→△
薬師岳登頂→○
薬師岳からのパノラマ→○

星取表にあるように敗北感が漂うのと、9月以降猛烈に多忙で海外出張なども立て込んでいたのでなかなか更新できずにいたものの、自身の記憶・記録のためにもエントリ開始です。

いつものように眠れない夜行バスで、穂高連峰の岐阜県側の登山口、新穂高温泉に到着です。この日は午前中は快晴が約束されており、3泊4日のずっしり重たいザックが苦しいものの、気合を入れて出発です。


最初は林道。わさび平小屋までの1時間少しの道です。


珍しい花はあまり見かけませんでしたが、大きな黄色い花が気になりました。名前が不明ですが。


途中、笠ヶ岳への急登で有名な笠新道への分岐がありました。笠ヶ岳、登山対象としてはあまり関心がない山だったのですが、後日薬師岳から北アルプス南部を見渡した時にその存在感に感心しました。


特に問題なくわさび平小屋に到着。しかし、太陽が昇ってくるにつれて気温の上昇が感じられる。重装備の山歩きでの高温は、体力を一気に削られるのでとても苦手。涼しいうちにできるだけ進もうということで、ちょっと水を飲んだら早々に出発。


お天気に恵まれるというのは本来ありがたいことですが、15キロくらいの装備を担いでアルプスの縦走をする場合、特に1日目の体がまだ山に慣れていない上に標高差的にはかなりの高度を登る段階では、暑さにエネルギーと水分を持っていかれて相当苦しいです。初日は曇りの方がいいかも。3日とか4日かけて縦走するなら、稜線に出てからの2日目以降が晴れていれば景色も問題ないし。


お盆で登山者も多かったので、途中の秩父沢とかイタドリヶ原では休憩せず、息が上がったら少し立ち止まるくらいで歩き続けました。花も珍しいものは見かけなかったので。これが後々疲れになって効いてきたのかも。とにかく、シシウドヶ原まで頑張ってきました。約1,000メートル登ってきたことになります。


既にかなりばてていて、ここからまだ数百メートル登るとは信じたくない状況。やはり標高差1,600メートルを登らねばならない1日目は地獄だった。
それでも、少しは花を見ながら癒されつつ進みます。




そして、ようやくたどり着いた鏡平山荘。ここにテントを張ってしまいたいところですが、無情にもテント場のない山小屋です。
しかし、鏡池というのは名前通り。槍・穂高連峰の映る絶景ハンティングは成功。達成感は高まります・


既に本当にバテバテで、初日の食料として持っていたおにぎりや行動食のソイジョイを食べながら30分弱休憩です。いやー、テント泊装備かかえながら笑顔でしゃべっている人たちには頭が下がるよ。

ところでお天気。快晴でここまで来ましたが、鏡池の写真でもわかるように徐々に雲が出始めています。夏はどうしても日中雲が出ますね。そして、天気予報では翌日は雨。あと1時間遅れて鏡池に着いていたら、このような美しい写真にはならなかったかもしれません。そういう意味ではラッキーだったし、きつい思いをして歩いてきた価値がありました。

ここからは、標高2,558メートルの弓折岳までコースタイム1時間の道。しかしこれが辛かった。


これまでのいろんな山行では、テント泊装備を抱えていても、何だかんだ言いながらコースタイムよりはほとんどの場合短めの時間で歩いてきました。ソロなので、同行者と話したりせずに黙々と進むからです。しかし、この時は1時間半近く、つまりコースタイム50%オーバーのノロノロペース。
花を愛でますが、これも癒しというより単に休む感じ。花もトリカブトやリンドウなど秋のものに変わってきていたし。






何とか弓折乗越に到着し、喜びの写真。ここにあったベンチに横になって休みました。まったく動けない状態。ちなみに、下の方に見えるのが鏡平です。


それでも、周囲を見るとハクサンボウフウやハクサンフウロ、ミヤマキンバイなどが見られて、稜線の花々に多少は慰めてもらえます。特に、ハクサンボウフウはこれまで小さい白い集合花というイメージしかなくて名前も覚えていなかったけど、この北アルプス奥地への旅では道なりにずっと咲いていてくれて、可愛くてありがたかったです。




ここから双六小屋のテント場へは1時間10分の道。雲も出て槍ヶ岳などは隠れてしまいましたが、元々風景を楽しむ余裕がなくなっていたのでそれほどショックではありません。


途中にコバイケイソウなどの花が現れ、癒しと写真を撮るという口実の休憩タイムを与えてくれます。




ひたすら歩きます。2日目からは体もなれるはずだし、標高差1,600メートルとかいう登りもない。だからまずはテント張ってラーメン食べて休む。それだけを考えて歩きます。登山道自体はそれほど困難な道ではないですが。




そして、ついに北アルプスの奥地に鎮座する鷲羽岳が見えてきました。堂々たる雄姿。この姿、初めて見えた時はかなり感動します。


水晶岳や赤牛岳の方が奥地なのですが、私としては山容の格好いい鷲羽岳にあこがれがありましたからね。

こうなると、それまで以上に花にも気が回るようになり、写真を撮りまくる。












双六岳方面と思われます。体力的にとても登る気は起きない。翌日の天気がもしもよければその時考える。ここは花の名山らしいけれど、初夏の花々は盛りを過ぎていましたし。


徐々に大きくなる鷲羽岳。


そして、ついに双六小屋も見えてきました。このアングル、結構定番ですね。雲が出てきてしまっていますが、鷲羽岳は見えているし、単に青空の背景よりも逆に迫力があったかも。


長かった。休憩も入れて新穂高温泉から約7時間。3泊4日の装備を背負っての道はこれまでの経験でも最もきつかったと思われます。
小屋まで最後の道を行く。


小屋の手前には双六池。北アルプス奥地は水に恵まれています。


そして、やっと双六小屋到着。


テント場はそれなりに混んでいましたが、多くはお盆を山で過ごして翌日下山する人たちだったようです。


まずラーメン。とにかく疲れていましたからね。生き返ります。山小屋のありがたさを実感。


この後、少しテントで寝て休んで、起きて周囲の写真を撮ったりして過ごしました。
夕食は豚の生姜焼き with 茄子。茄子は軽いので山行携帯野菜のお勧めらしいです。3泊の旅ということで、今回は私としてはメニューを頑張りました。


で、夜寝ていると、お約束のように雨。天気予報通りです。4日も山奥にいれば多少天気の悪い日があってもしょうがなかろうということで決行した今回の旅ですが、黒部の奥地に向かう2日目は予定を変更せざるを得なそうです。



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ラウンド針ノ木 - 7月の雪原を登り、高山植物と黒部の山々の絶景を楽しむ旅 (その3)

2015-08-29 18:22:20 | 旅行
さて、2日目はいよいよ稜線を縦走です。針ノ木岳からスバリ岳、赤沢岳、鳴沢岳へと続く稜線は険しい岩場で簡単な道ではありません。風が強かったりすれば滑落の危険もある道。そのため、今回は大きなザックで煽られてバランスを崩すリスクを回避するために小屋泊装備で来ました。実際には、この日は無風に近い快晴で、条件がよかったのでリスクは小さかったです。その分、暑くて水分を大量に必要とするという別の困難に直面しましたが。

さて、まずは針ノ木岳までコースタイムで約1時間の登りです。山頂直下は結構厳しい岩場ですが、それまではハイマツ帯。夜明け前ですが既に辺りは明るくなってきています。
この日は前日は見えなかった槍ヶ岳もハッキリ見えました。


ちょっと引いて全景。


後立山連峰方面もクッキリ。やはり双耳峰の鹿島槍ヶ岳が目立ちます。


鹿島槍より右手にある爺ヶ岳のさらに右手から朝日が上がってきました。


槍ヶ岳など北アルプスの南部方面も明るく照らされます。


と、ここでライチョウさんの親子が登場。昨年の穂高連峰以来の遭遇です。相変わらず可愛いけど頑張って逃げていくので後姿しか撮れない。ウポウポ鳴く声も癒し系。


そうこうしているうちに、針ノ木岳に登頂です。標高は2,821メートル。200名山の一角です。


山頂は360度の大展望台で、槍ヶ岳や富士山などのメジャー級はもちろん、薬師岳から立山に至る立山連峰の稜線がよく見えます。平になっている緑豊かなところが五色ヶ原でしょう。いつかテントを担いで行ってみたいところです。


槍ヶ岳を含む南の方角を見ると、高瀬湖も見えています。


そして日の登る東側はこれから歩く稜線と、後立山の盟主鹿島槍ヶ岳。その向こうは雲海で、絶景が演出されています。


稜線からの風景の主役は立山と剣岳。後立山連峰の稜線を歩くと、眺める風景は立山連峰になります。その中でも圧倒的な存在感はさすが。


この快晴のコンディションに、山頂にいらした皆さんも満足そうでした。一眼レフで写真を撮るのも楽しそうだなと思う。星空も撮れるだろうし。今のところ重量を考慮して私はコンデジですが。まあこの時間は早朝で山の影が谷に長く、もう少し時間がたってからの方が綺麗な写真が取れるでしょうね。
20分くらい山頂で遊んでから、スバリ岳方面に縦走を開始します。この道、あまりメジャーではないのですが岩岩しく、かなり険しいです。登山道の写真は撮らなかったのですが、ストックを使うよりも手を自由にしている方が安全な道だと思います。
針ノ木を下ってスバリに登る途中から振り返った図。よく見ると針ノ木の下りの道の険しさが分かると思います。


でも花は素晴らしい。イワオウギ。


チシマギキョウとタカネシオガマ。


贔屓のミヤマオダマキも。


スバリ岳到着。ここからの黒部湖の眺めも良かったです。また、登山道を少し外れているので入れないために私のコンデジでは撮りにくかったですが、蓮華岳の頂上付近にもたくさんのコマクサが咲いていました。コマクサ、本当に過酷な砂礫の地を好みますね。




この縦走コース、雑誌などで紹介されていて興味を持ったのですが、登山者が少なくて静かな道です。高山植物も稜線からの風景も申し分ないのに、なぜここまでマイナーなのか。まあ、自分としてはラッキーな話で、お天気に恵まれたこともあって非常に充実した山歩きができました。

ここまらは赤沢岳を目指します。200~300メートルくらいの登り返しが続くので暑いなかでは汗とエネルギーが消耗します。まあ、風雨にさらされるよりましですが。


太陽がだんだん高くなるにしたがって気温が上がってきます。この日、日焼け止めを忘れていたために後日大変な目に会うことに。その予兆は歩いている時から感じられましたけど。首の回りとかジリジリするし。


時々振り返って、来た道を確認。結構険しい道です。絶景ですが。左側のたおやかな尾根は蓮華岳です。


薬師岳方面拡大。


剣岳。


また、鹿島槍ヶ岳など後立山連峰の主要な山も近づいてくるので、だんだん大きく見えるようになります。


これは白馬岳方面。


まあ、この日は快晴のおかげでどこを見ても絶景でした。赤沢岳山頂では30分くらい休憩しながら景色を楽しみました。
この後、鳴沢岳までの道は山頂直下の地味な登りがちょっときつく感じたくらいで、基本的に楽な道です。針ノ木岳から赤沢岳までは岩岩しくて厳しいですが、後半は徐々に楽になるので、縦走するならこの方向で行く方がお勧めです。逆回りのラウンドだと最後にスバリ、針ノ木で厳しさ100倍でしょう。

鳴沢岳山頂です。このころには気温のためにかなり体力が消費されており、早く途中の新越山荘でコーラを飲みたいという欲求が強くなっていました。


鹿島槍ヶ岳方面の見晴らしがいいです。徐々に東側から雲が上がってきています。9時頃だったでしょうか。後立山連峰は一日中晴れ渡ることがほとんどない山域らしいです。そんなところで昨年の9月と今年の7月のいずれの山行もお天気に恵まれたのは、本当に幸運。


ここからの道は途中で樹林帯に入ったりして、イワツメクサやチシマギキョウなど稜線の花とは違った花が多くなります。
ハクサンフクロ。他の花と一緒に大きな群落を作っていました。


黄色い花の中では、シナノキンバイが大きくて存在感あります。


30分ちょっとで新越山荘が見えてきました。持っていた水がほとんどなくなっていたので、山小屋に到着で一安心です。針ノ木小屋で買ったおにぎり弁当を食べるためもあって、ベンチを使わせてもらおうと思ったのですが、コーラを買ったら屋内のテーブルを使わせてくれました。屋外は直射日光がキツかったので、ありがたかったです。


新越山荘は、ラウンド針ノ木を1泊でやる時にはちょうどいいところにありますね。ただし、蓮華岳にも登るのであれば今回とは逆回りのコースを取ることになると思いますが。
小屋の経営はこの日泊まった種池山荘と同じで、スタッフは何かと親切でした。

暑さにやられていたのですが、30分ほどの休憩中に水分とエネルギー補給で復活し、先を目指します。
稜線にも雲が上がってきつつありましたが、コバイケイソウが咲き乱れていました。登山を始めた一昨年はどこの山にも咲いていましたが、昨年は一転してどこも咲かず。この大きな花は目立つし、いっぱい咲くと圧巻の風景を作り出します。縦走中にコバイケイソウの花畑に来ると気分が高揚すると思います。


コゴメグサは小さい割にちょっと複雑な形の花です。


見上げると、夏。


剣岳も、夏。


夏山のイワツメクサ。


大分疲れがきていましたが、縦走コース最後のピークである岩小屋沢岳に到着です。


ここからは、森林限界の上を行ったり樹林帯に入ったりしながら徐々に高度を下げ、標高2,460メートルの種池山荘を目指します。このコースの累積標高差ってどれくらいなんでしょ。体感的に1,000メートルは余裕で越えそうな感じでしたが。

稜線ではコケモモの花が綺麗。


ハイマツ帯のヨツバシオガマ。もっと赤紫が濃いものもありますが、これくらいの色のものが好みです。


これでもか、というくらい咲いているゴゼンタチバナ。


イワカガミ。


そしてミヤマキンバイ。


樹林帯は雪が所々で残っていて、道がぬかるんでいましたが、そんなところにこのキヌガサソウが咲いていました。


最後の方で見た花。スミレみたい。


で、13時少し前に種池山荘に到着。8時間半くらいかかりました。途中の休憩時間が1時間半以上あると思います。お天気がよかった割にコースタイムとあまり変わりませんが、花や景色を見ていた時間が長いんでしょうね。
なお、この種池山荘は下山で使った柏原新道から見た図で、翌日の写真です。小屋の周囲にはコバイケイソウが咲いていて、クリーム色の壁とオレンジ色の屋根がメルヘンチックな山荘が余計に可愛くなっています。


この日は地元の中学生が学校登山で来ていて、ちょうど小屋までたどり着いたところとあって、混雑していました。そのために到着時に写真撮るのを忘れたんですね。
チェックインしてからは、八峰キレットを越えてきた若い方や、福島県から鹿島槍に登りに来られた70歳以上の方々などと話して過ごしました。

小屋前の午後の風景。針ノ木岳、蓮華岳方面。


爺ヶ岳方面。翌日は下山するだけですが、せっかくのお天気なので爺ヶ岳からご来光を見る予定です。


小屋の近くにはチングルマが咲いていました。


夕暮れ時。立山連峰方面。


夕暮れ時の鹿島槍。


さて、2泊3日の山行の最終日、徹底的にお天気に恵まれた山行でした。この日はご来光を見て午前中に柏原新道を下山です。
日の出は4時40分頃ということで、中学生の大群に巻き込まれないようにするためにも3時半過ぎには小屋を出ました。この日は思ったより寒くなかったです。凄まじい星空でした。

爺ヶ岳は南峰と中峰がありますが、山荘から近い南峰からのご来光を拝みます。時間的には中峰まで歩いても間に合ったかもしれませんが、戻ってくるのも面倒だし。
夜明け直前の鹿島槍。圧倒的な存在感。


剣岳は西側にあるので、既に光を少し浴びて明るい。


そして、爺ヶ岳中峰のやや右側からご来光。


針ノ木岳がピンクに染まってきれいでした。


立山、剣岳方面。種池山荘が可愛い。


鹿島槍ヶ岳は威風堂々。


山頂は中学生だけでなく多くの登山者でごった返しているので、ある程度景色を楽しんだら下山します。途中も立山連峰を背景にした種池山荘が可愛い。昨年の9月にもこの景色には感動しました。


山荘についたら、朝食に最後のフリーズドライ山菜おこわを食べて、コーヒーを飲んでから下山です。
2度目の後立山でしたが、今回も最高の天気と暖かいサービスに感謝です。


下山中、今回の縦走コースを眺める。適度にハードで距離もまずます。そして、何より人が少なくて静かで絶景。このまま人気出ないことを望みます。


扇沢に下山夏山の空と木々の色ですね。


扇沢からはバスで信濃大町駅に出て高速バスに乗って帰宅します。その途中、大町温泉郷の薬師の湯で2泊3日の疲れを流す。露天風呂が気持ちよかったですね。


本当はここでお蕎麦でも食べられればいいのだけれど、付近に食堂が少ないのと時間的にまだまだ早かったのでそれは不可。代わりに、日本酒博物館なるものに寄ってお土産にお酒を購入。


その後は信濃大町に出て、高速バスの時間まで地元の食堂でランチを取ったりスーパーで地元のものを眺めたりして過ごしました。
ちなみに、午後から天気は崩れました。私の山行中に最高の天気を恵んでくれた後立山連峰の神様に感謝。

ラウンド針ノ木、マイナー度が鬼怒沼と同様に高く、人が少ない。そして、それに反比例して絶景で楽しい。雪渓あり、高山植物あり、絶景の稜線あり、岩場のスリルありということで、誰でも楽しめるのではないでしょうか。
この後、8月のお盆の頃に、ラウンド針ノ木で眺めて登りたくなった薬師岳を目指した山行を決行しました。そちらの方があらゆる意味で深みのある山行でしたが、ギュッと詰まった密度と成功度では、このラウンド針ノ木が今年の夏山シーズのベストでしょう。
日に焼けて恥ずかしい顔になったことを除けば、すべてが完璧でした。

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ラウンド針ノ木 ー 7月の雪原を登り、高山植物と黒部の山々の絶景を楽しむ旅 (その2)

2015-08-23 12:55:04 | 旅行
更新がまたまた滞っておりますが、ラウンド針ノ木は私の山旅の中でも完成度の高さでは最高だったと思われるものなので、ちゃんと書いていきます。
前回は針ノ木雪渓を登って針ノ木小屋に到着し、そこからの北アルプス最深部方面の景色を楽しんだところまででした。今回は蓮華岳の花々を中心に行きます。

蓮華岳は針ノ木岳に隣接する標高2,799メートルの山で、300名山の一角です。最終日に上る爺ヶ岳と同じですね。
高瀬ダム方面から始まる裏銀座縦走コースにまでつながる、船窪岳や烏帽子岳への稜線に続いています。山容は針ノ木岳方面に大きな尾根を伸ばしてたおやかで雄大な印象です。種池山荘から針ノ木岳方面を眺めると左側に連なって見える山ですが、標高以上に印象の強い山だと思います。
翌日、種池山荘までの縦走後に撮った写真。この写真の中央が針ノ木岳で、その左が蓮華岳です。


針ノ木小屋から蓮華岳の山頂まではコースタイム70分となっていますが、これはコマクサなどの花々を無視してガンガン歩いた時の時間でしょう。コースに急登箇所はないものの、それなりに距離があるので意外と時間がかかります。
少し登ると、針ノ木岳とその先のスバリ岳の姿がよく見えます。


針ノ木小屋もあっという間に小さくなってしまいました。


序盤は少しだけ背の高めの木があり、シャクナゲも咲いていました。


蓮華岳は砂礫の山と言ってよいでしょう。登山道とその周囲は土の感じはほとんどなく、かと言って岩々しい訳でもありません。ある意味荒涼としたところです。そんな山肌に、高山植物が張り付くように咲いています。こんな感じ。


ちなみに、この群落を構成しているのはチングルマです。こんな厳しい環境で健気なものです。


チングルマとミネズオウ。


ハクサンボウフウ。以前からいろいろな山で見かける小ぶりの集合花ですが、やっと名前を覚えました。ラウンド針ノ木の後に行った北アルプスで、長く厳しい行程にずっとたくさん咲いていて癒してくれたのでちゃんと調べた。


ミヤマリンドウやツマトリソウも結構咲いていました。背の低い小さい花が多いです。稜線で風も強いですしね。




こういう稜線で定番のツガザクラ。贔屓の花です。


そして、コマクサも結構序盤からちらほらと登場。コマクサ、実は初めて見ました。厳しい環境でしか咲かない高山植物の女王。


これを見たくて蓮華岳に来たので、喜んでいいアングルを工夫しまくる。




なお、後で写真も載せますが、コマクサが本当に群生しているのは山頂を越えて「蓮華の大下り」と呼ばれる船窪岳方面に向かう尾根に入ったところです。そこは、ピンクの絨毯のようになっていました。

蓮華岳、早池峰山とは違って登山道にずっと多様な花がびっしりと咲いているわけではないのですが、こんな環境に不思議なくらい多くの花が見られます。高山植物ファンであれば、絶対に外せない名所ではないでしょうか。
これまた定番のイワツメクサ。


そしてイワカガミ。


タカネヤハズハハコ。


ミヤマダイモンジソウかと思うけど、花弁の数が合わない。


イブキトラノオは少しだけ見かけました。存在感のある花です。


山頂近くまで来ると、タカネツメクサやタカネシオガマ、チシマギキョウにイワベンケイが多かったです。








このように、まさに百花繚乱。花の名山であることは間違いない蓮華岳。本当に、こんな荒涼とした砂礫の大地に、よくこれだけの花が咲くものだと感心するよ。
そして、最後に少しだけ急な坂を上ると頂上です。頂上付近には祠がありました。




この付近から眺める薬師岳が格好いい。薬師岳、大きい山容で立山連峰や黒部の奥地の主要な山の1つですが、自分的には女性的なイメージ。南アルプスの仙丈ケ岳に近いイメージでしょうか。両方ともカールで有名ですね。ビッグマザーの薬師岳に、もう一つの大きな山の赤牛岳がゴッドファーザー的イメージ。


薬師岳を背景にタカネツメクサ。


そしれ、コマクサという意味ではここからが本番。山頂を越えて北葛岳方面へ下る大下りの斜面に、びっしりと咲いているのです。








なお、コマクサ以外の花もかなりびっしり咲いています。目立ったのは黄色のクモマスミレ。


タカネシオガマも。


お天気的には、このくらいの時間から少しガスが出始めたのですが、花を随分と楽しんで満足でした。
その後は針ノ木小屋に戻って休憩しながら他の登山者の方々と情報交換したりして過ごしました。私はこの日は素泊まりなので夕食はレトルトカレーなどでしたが、針ノ木小屋では煮魚がおかずとして出るようで、皆さん満足されていました。

小屋前からの風景。水晶岳がよく見える時間もありました。


そして夕暮れ時。雲が出てきてしまいましたが、槍・穂高こそ見えないものの北アルプスの主要な山々が見渡せます。


小屋の逆サイドは後立山連峰が見えるはずなのですが、こちらは雲で残念。


翌日はご来光にそれほど関心がなかったので、4時半ごろを目途に出発です。幸いにして快晴で、小屋を出るとすぐに富士山も見えました。
縦走での景色に期待が持てます。



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