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冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

鬼怒沼 - 静かなる雲上の楽園

2015-07-28 22:58:49 | 旅行
7月11日・12日の土日で、尾瀬に至近で奥鬼怒温泉郷のさらに奥でもある鬼怒沼に行ってきました。
2,0000メートルを越える高地にある湿原で、大小20以上の池塘が広がります。高層湿原としては、苗場山や平ヶ岳のものより大規模で状態もよいようです。尾瀬ほどの規模はないですが、標高が尾瀬沼より500メートルくらい高くて訪れる人も少ないので、秘境的な美しさがあります。
台風が接近していて週の前半は「今週末は天気悪いかな」と思っていたら意外と晴れそうだったので、急きょ行先を決めてテント泊したのですが、2つの意味で自分の登山史的に大きなイベントになりました。

鬼怒沼へのアプローチは、大きく分けて3つあります。一番メジャーなのが奥鬼怒温泉郷から登るもので、昨年の12月に行った手代澤温泉へのアプローチの延長です。実際には、手白澤温泉は鬼怒沼へのルートとちょっと外れており、日光澤温泉という山小屋を経て行くことになりますが。もう一つは尾瀬からルートタイム8時間程度の長い道を経るもの。そして最後のルートは大清水の登山口から物見山を経て行く4時間半くらいのルートです。
私は、下山時に奥鬼怒温泉郷の温泉で汗を流したかったので、登りは大清水からのルートにしました。このルートにした理由は他にもあって、公共交通機関を使う場合は東京からだといずれのアプローチも登山開始までに4,5時間かかるので、日が長い今の季節でもコースタイムの長いルートを取る余裕がないからです。
ただし、地図で見る限りこのルートは相当な急登。しかも樹林帯の一本道で、ヤマレコなどを見ると大きな岩や木を乗り越えて行くので皆さん相当疲弊しているレポートが載っています。さらに、夏で汗をかくので水分の消費が激しいにも関わらず、ルート上に水場がないのでテント泊用の水とスポーツ飲料で3リットルを担ぎ上げるという事実があります。いつものテント泊装備より少なくとも1.5キロくらい思いイメージ。

まあ、多少の不安はあるものの、海の日の連休の辺りで針ノ木岳に登りたいと思っているので、その事前トレーニングにもなるだろうということで決行しました。JRもこの時期、臨時の列車を出していて尾瀬方面にハイキングに出かける人は相当多かったようです。


上野を7時過ぎに出発する臨時列車で上越線の沼田駅に9時10分頃に到着。ここからバスで大清水を目指します。満員でザックを膝の上に載せて1時間半以上という苦行ですが、ほとんどの人は尾瀬の鳩待峠へ連絡する駅で降りました。大清水まで行ったのは5,6人でしたね。


大清水はその昔JR東日本のソフトドリンクのブランドにも使われていた名水で、確かに透明感にあふれる沢が流れていました。11時頃に着きましたが、トイレを済ませたりおにぎりで燃料補給して15分くらい準備に費やしました。予定では3時半くらいまでには鬼怒沼に着くはずです。

最初の30分程度は林道歩き。まあ、沢の水音や鳥の声が聞こえるし、植林ではなくてブナやカエデの原生林なので、香りもよくて明るいので気持ちがいいです。


そして、山道に入って10分くらいすると渡河地点が現れます。水量が多くて結構大変でしたが、ゴアテックス性能の靴のおかげで事なきを得ました。


そのすぐ先に、ヤマレコでよく出てくる橋があります。


これを渡ると本格的な登りの始まりです。足元にはムラサキケマンを青くしたような花が咲いていました。ヤマエンゴサクでしょうか。


それにしても、序盤からえげつない角度の傾斜でガッツリ登らせてくれます。テント泊装備+3リットルの水分を担ぎ上げるのは正直しんどい。


そして、この序盤のえげつない傾斜は、この後延々と物見山の山頂まで休みなく続きます。休憩に適した場所など皆無といってよく、ある意味気持ちいいくらい一本調子の急登。そして樹林帯の中で視界はほぼ開けず。
時々、これまたえげつない木の根や岩をよじ登る必要があり、ストックが邪魔になるほどです。


そして、いつもなら現実逃避に花を愛でるのに。この日はゴゼンタチバナがちらほら咲いていたほかは何故かギンリョウソウが大量にあるばかり。


時間的には3時間程度のコースなのですが、この急登+荷物の重さにやられました。行動時間が10時間近くに及んだ穂高連峰の縦走と比べるのは無理がありますが、自分史的にもっとも厳しい登山だったと言っても過言ではないでしょう。その証拠に両足のふくらはぎが何度もつりました。腿の筋肉痛も水曜になるまで残っていました。
汗もかなりかいてしまい、1リットル分のスポーツ飲料は登りでほぼ消えました。


時々視界が開けるところがあって、その時に風が吹くととても心地よい。


燧ケ岳も見えるようになってきました。ここまで来れば後は何とかなる、と思ってからが長かったですが。


日光白根山も見えるようになります。そうすると本当に最後が近いです。


そして、突然のように山頂。樹林帯の中なので眺望はなく、もうこれ以上登らないでよいという安堵感があるだけ。とにかく辛い3時間半でした。途中で高齢の団体さん10名弱とすれ違ったのが唯一の遭遇者ですが、彼らはこの急な坂を下ったのか。まあ、テント泊装備じゃないから大丈夫なんですかね。
それにしても、物見山の急登恐るべし。自分の登山史的に1つ目の大きな意味はこの急登の苦しみ。たった4時間程度の行程ですから、10時間近く歩いた北アルプスの縦走などと比較するのは難しいものの、恐らく密度で言えば最大の苦しみ。筋肉痛が水曜まで消えませんでした。まあ、自分の体力の限界が分かった。

閑話休題、物見山山頂から20分ほどでついに目的地の鬼怒沼に到着です。木道が整備されており、とても歩きやすいです。今までの地獄から天国へ急上昇と言ってよいでしょう。なにせこの景色。


ワタスゲのメルヘン感はさすが。


コバイケイソウがワタスゲのパートナー。


最初は気づきませんでしたが、湿地には多くの種類の花が咲いていました。いずれも背が低いので、注意しないと見落としますが。それはともかく、まずは思いザックを下すために監視小屋へ。


この監視小屋、もともとが宿泊を想定していないので陰気で居心地が悪く、結局はその周辺にテントを張りました。


この時点でテントを張っていたのは私のほかにソロの若いハイカーが2名のみ。暫くするとフランス人の二人組が現れて5人になりました。いずれにしても、13ヘクタールの天国のような湿原に対してとても少ない訪問者。尾瀬との最大の違いはこの人数でしょう。

それでは、ここからは天国のような鬼怒沼のシーンをお楽しみください。

燧ケ岳を望む。


鬼怒沼山を望む。


日光白根山と根名草山を望む。


木道とワタスゲ、コバイケイソウ、その先に日光白根山と根名草山。


夕日に照らさられるワタスゲ。


夕日に照らされる日光白根山とワタスゲ。


夕暮れ前の無風の時間。池塘に映る日光白根山と根名草山。


さらに夕暮れ時の日光白根山と根名草山。


同じ時間の鬼怒沼山。


夕日の沈む方向の燧ケ岳。左奥は平ヶ岳か?

こうして日が暮れていきましたが、実は日暮れ前にもう一人奥鬼怒温泉郷方面から登ってきた方がいらっしゃいました。アマチュアカメラマンで、奥日光と鬼怒沼を撮り続けているという荒武宏司さんでした。写真展も定期的に開催されていて、ウェブにも情報があります。鬼怒沼のことをいろいろと教えていただきました。ありがとうございます。荒武さんは夜中も星空の撮影をされていたようです。また、年に何度も鬼怒沼に来られる荒武さんから見てもこの日のような良好なコンディションは珍しいとのことで、とてもラッキーでした。

なお、夕暮れ時からは気温が急に下がり、フリースを着ないと寒かったです。恐らく10度近くまで気温が下がったのでしょう。また、日が落ちると鹿の鳴き声と森の中を動く音が聞こえてきました。夜中にはテントのすぐそばまで来て、「キョン!」と大声で鳴くので起こされました。まあ、そのついでにテントから出て、降るような星空を見ることができましたけど。本当は、あまり鹿が増えるのは困りますね。貴重な高山植物を食べないで欲しいです。

さて、ここからは翌朝の写真です。


テントを出てすぐに見える燧ケ岳。ピンク色に。


そして日光白根山。ワタスゲの湿原とシラビソの森と一緒に。


鬼怒沼山の方角から太陽が昇ります。


天国の池塘。


コバイケイソウも鮮やかに。


ワタスゲも朝日を浴びます。


小さい植物も照らし出されます。鬼怒沼名物のモウセンゴケ。


イワカガミ。いつ見ても俯きかげんで可愛い。


コツマトリソウ。


タテヤマリンドウ。夜の間は花を閉じますが、朝になるとまた開きます。


可愛いツルコケモモ。


そして、風景としてはやはりこの池塘と日光白根山、根名草山が一番だと思う。

木道を2周以上しましたね。とにかく可愛い花と澄んだ空気、そして池塘と山の緑に癒されます。荒武さんによると、この時期の日光白根山が一番綺麗だそうです。7月上旬が新緑の季節なんですね。真夏だと緑の色が濃くなりすぎて、鬼怒沼とのコラボとしてはちょっと劣るらしいです。そういう面でも今回は最高の日光白根山が見られてラッキーでした。急に決めた山行なのに。

夕暮れと早朝という最高の時間を堪能するなら、テントを担いで行くしかありません。本当に静かな天国のような場所で、癒しの時間を過ごすことができます。
自分の登山史的にもう一つの大きな意味は、やはりこの鬼怒沼湿原の絶景ですね。高山とは違う、湿原という日本の自然の美しさに目覚めました。

7時を過ぎるころになると、奥鬼怒温泉郷に泊まったお客さんがだんだんと鬼怒沼まで登って来ます。この日は最高の晴天だったのでツアー客も多いことが予想され、その方々と鬼怒沼で一緒になる前にテントを撤収して下山します。

下山は奥鬼怒温泉郷方面に向かうのですが、最初のうちはとてもゆるやかな道です。そして、この辺りの山々はブナやカバ、あるいはアスナロの原生林なので、植林帯と違ってとても気持ちがいい樹林帯の道です。明るいし、香りもいいです。ウグイスやシジュウカラの声がずっと聞こえています。


下山を半分くらい終えたとことに大きな滝があります。


間近には見られないのですが、音が凄い。


そして、1時間半程度で沢の方まで下りてきました。


カラマツソウなど、花もちらほら。


最後の数十分の急な下りを終えると、奥鬼怒温泉郷の山小屋、日光澤温泉に到着です。

天気がいいのでお布団を干していました。湧水が入口にあって、自由に飲ませていただきましたありがとうございます。水場がここまでなかったので、持ってきた3リットル以上の水分もほとんどなくなっていました。

日光澤温泉は500円で日帰り入浴できます。環境に配慮しているので石鹸やシャンプーはありませんが、絶景の露天風呂で汗にまみれた体を洗うことができます。
浴槽は2つあり、上の湯は澄んでいますが下の湯は白濁しています。どちらもとても優しい感じのお湯でした。




温泉いゆっくり浸かって、10時近くにバス停に向けて出発する時には、気温は25度近くまで上がっていました。
いいお天気で鬼怒沼を堪能できましたが、流石に暑いですね。

女夫淵温泉のバス停までは、1時間半ほどのハイキングコースです。川沿いの涼しげなコースで、厳しい道ではないので誰でも楽しめます。








女夫淵温泉のバス停まで戻ってきました。去年の12月に来た時は雪景色でした。そのギャップがよいですね。四季を感じます。


この後は例によって90分バスに揺られて東武の鬼怒川温泉駅へ。地ビールやたまり漬などいつものお土産を購入して帰りました。

それにしても鬼怒沼、まさに穴場です。天国に一番近い湿原なのではないでしょうか。
これに味をしめて、苗場山などの高層湿原への興味も強くなったしだいです。

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快晴無風の蓼科山

2015-03-08 22:11:38 | 旅行
少し前ですが、2月21日の土曜日に蓼科山に登りました。この日は快晴無風の絶好のコンディションで、山頂からは八ヶ岳はもちろん、北アルプスから南アルプスまで全部見渡せました。蓼科山を八ヶ岳連峰の最北だと考えれば、これまでの3回に続いて4回目の八ヶ岳連峰訪問はすべて快晴。天気図や天気予報を見ながらお天気のよさそうなタイミングを見計らっているのは事実だけど、相性もよいです。

公共交通機関で都心部からのアクセスとなると、日帰りは難しいのが冬の八ヶ岳。そこで、金曜の夜に茅野に入って駅前のビジネスホテルに泊まって土曜に登頂を狙います。日曜が晴天なら土曜の夜に入ればいいのですが、この週末は土曜は晴れ、日曜は崩れるのが目に見えていたので、この日程に。
泊まるのはいつもとおなじ、「ビジネスホテルさかえや」さんです。消費増税後もシングル一泊4,500円というリーゾナブルなお値段。

そして、土曜の朝7:50に北八ヶ岳ロープウェイ方面に向かうバスに乗ります。お天気が良かったので大勢の登山客がいました。多くは北横岳などを楽しむものと思われます。


8時45分ごろに石臼平別荘地バス停で下車。標高1,550メートルくらいの地点ですね。私を含めて3名が降りて、蓼科山に向かいました。
ここから蓼科山の登山口である女神茶屋登山口まで40分ほど、ビーナスラインという道路を歩きます。冬の蓼科山には登山口までバスが行かないのが悲しいところ。しかも、この日はお天気が良かったのでスキー客などの多くの車が通り、ビーナスラインを歩くのは気を使いました。自動車を運転している人も、邪魔な登山客だと思ったでしょうが。

ビーナスラインを少し行くと、目指す蓼科山が見えます。頂上が平たい、独特の形。ちなみに、蓼科山は神話では女神さまらしいです。


ビーナスラインからの景色もなかなかよくて、所々に駐車場や展望ポイントがありました。カラマツやブナの木々が青空と雪に映える。1月には大雪でこのあたりの木にも雪がついていたのかもしれません。


9時25分ごろに女神茶屋登山口に到着。トイレはありませんでした。ここが標高1,730メートル。


序盤からかなりの急な登りが待ち受けていることは、ヤマレコなどのレポートや地図の等高線の混み具合から明らかだったので、最初からアイゼンを装着して臨みました。
少し行くと熊棚を発見。熊さんに会わないのが冬の利点です。


10分くらい行くと左に曲がります。ここから最初の急登です。この日は気温も高かったので、直ぐに汗が噴き出し、アウターシェルはザックにしまいました。インナーの上に長袖のTシャツ、その上にフリースという格好で登りましたが、フリースも前は開けていました。
急坂なのだが、いつもながら写真にすると伝わらない。


序盤では木々の雪はほとんど落ちていましたが、それでもちょっとだけモンスターになったものがかわいいです。


この急坂を突破するとしばらくは緩い道ですが、地図は嘘をつきません。標高2,100メートルの標識のあるチェックポイントまで、200メートル近くを一気に登る急坂が現れます。


入山者が多い山なので、登山道はトレースがついてハッキリしています。迷うことはないでしょう。しかし、愚かにもトレースの上を尻セードする輩がいるので、急坂でステップが消えている上にアイスバーン化しているところがあり、斜度30度以上のツルツルの氷の坂となっていて危険なところがあります。私は12本爪のアイゼンなので、前爪を蹴り込んで一歩一歩進むことができますが、装備のしっかりしていない人は難儀したでしょう。ちなみに、下山中に尻セードしてくる中年単独行の人がいたので、叱りつけました。私のすぐ後ろを歩いていた方も一緒になって怒ってくれたのですが、この女、笑いながら「ハーイ」と生返事1つで駆け下りて行きました。迷惑な手合いです。山岳警察は、こういうのは逮捕したほうがいいでしょう。ちなみに女でしたが。山ガールとか言ってる場合じゃない。

標高を上げていくにつれ、振り返ると中央アルプス木曽山脈や南アルプスの山々が見えるようになります。2013年の初めてのテント泊をした木曽駒ヶ岳は、雪山シーズンにも条件のいい時を狙って挑戦したいと思う山の1つです。南アルプスでは仙丈ケ岳に冬季に挑戦したいです。いずれも、冬山を征服するというよりも、絶景を楽しむためのターゲットなのですが。


標高2,100メートルのチェックポイントは、南八ヶ岳方面の展望もよく、休憩するにはよいところです。しかし、この日は数名の人が既に休憩していて混雑気味だったので、私はそのまま登り続けました。ここからしばらくは比較的平坦な道で、周囲の雪の積もったシラビソやシラカバを楽しみながら進みます。動物の足跡は見ませんでした。登山者が多すぎるんですかね。

そして、このあと少し行くと、あとは頂上直下まで400メートル近い標高差を一気に登る急登が始まります。修行のようでした。暑くて。雪山なのに。


登っている時はあまり意識しませんでしたが、やはりこの急登はかなりのものだったらしいです。翌日は腿の表が筋肉痛でした。アイゼン着けて思い足を上げて、前爪を蹴り込んで40度近い斜度の坂を登るのはそれなりに負担ですね。

森林限界が近づくと、この山域に特徴的な縞枯れ帯が現れました。


縞枯れた木々に雪が着いて、モンスター的な状況。


八ヶ岳ブルーの下、美しい雪景色ですが、終盤ということでかなり息が上がっています。相当な斜度があるのが分かるでしょうか。


これならよく分かるかも。森林限界を越えたところです。


一気に眺望が広がります。南八ヶ岳方面もハッキリ見えます。やはり勇壮な山容。蓼科山とは好対照ですね。南八ヶ岳は男山ですね。


ちなみに、下を見るとこんな感じです。足を踏み外すようなところはなかったので大丈夫ですが、もしも滑落したら結構下まで落ちそうですね。


そして、11時45分頃に登頂。今年の冬の目標の1つだった蓼科山を制覇です。それにしても暑い。


まったく個人的なは話ですが、この日は持ってきたワンデイコンタクトレンズが装着時になぜか裂けてしまい、眼鏡をかけて登っていました。森林限界を越えてからは日差しが強いので眼鏡の上からサングラスをかけるという間抜けな図に。

火山である蓼科山の山頂は広く、岩でゴツゴツしています。しかし、この冬は雪が多めということで、風の強い日が多い山頂でも雪が飛ばされずに結構残っており、比較的歩きやすかったです。


山頂神社。無事登頂できたことと絶好のコンディションに感謝。


蓼科山頂ヒュッテは埋まっていました。


山頂は本当に360度の大展望台です。これは浅間山方面。


北を見れば妙高、火打など頸城山塊。


北アルプスもハッキリ見えました。昨年の秋に登って以来贔屓の鹿島槍ヶ岳。双耳峰で目立ちます。圧倒的に格好いい。


自分の登った山やその山から続く稜線は確認しやすいですね。鹿島槍から針の木まで分かりました。そして、これは北アルプスの中でも最メジャーの槍・穂高連峰。やはり真っ白ですね。


御嶽山。いつも思いますが、この山の存在感は凄い。


南アルプス。雪の量は北アルプスほどではないですが、大きな山容が格好いい。右から、仙丈ケ岳。7月に登りましたが、雪のシーズンにもいつか挑戦したい山です。少し奥まった黒いのが塩見岳。これはいずれ北岳から夏に大縦走したいと思っているターゲット。そして形のいい甲斐駒ヶ岳、間ノ岳、北岳でしょう。山座同定もだいぶできるようになってきた。


そして一周して八ヶ岳。蓼科山からの眺望では、やはり赤岳から阿弥陀岳が一番格好いいですね。


去年の3月に強風の中登頂した天狗岳。こうして見ると意外と低く見えます。後ろに標高のより高い硫黄岳があるからでしょう。


お隣の北横岳。スノーシューハイキングをしている人で賑わっていると思われます。


風もなく、心地よかったので1時間弱山頂に滞在して絶景を楽しみました。ずっと滞在したい感じでしたが、温泉に入って最後のバスに間に合うように12時40分くらいに下山を開始。
森林限界付近から山頂方面を振り返ります。本当にお天気に恵まれました。


まあ、日焼け止めを塗らなかったので顔面の皮がむけるほど日焼けしたのは失敗。
下山も樹氷などを見ながら快適でしたが、心無い尻セードでツルツル40度アイスバーンになっているところは慎重にならざるを得ませんでした。


あと、とても残念なのはゴミが多かったこと。基本的にすべての山行で何らかのごみを拾っていますが、この日は異常。ペットボトル3本。うち2本はまだ半分くらい入っていて、落としたのかもしれませんが、いずれにしてもゴミです。まったく、自然はそこにあるだけで何もできないのに、そこに勝手に入っていって傷めつけるのはやめてほしい。急坂の下りで不安なのか、登山道沿いの木の枝に捉まった結果と思われる、折れた枝も散見しました。折角お天気に恵まれて絶景だったのに、こうしたつまらないことのために気分的にはイラついていました。

何だかんだ言いながら、1時間15分ほどで登山口に戻ってきました。登山口近くには立派なん白樺があって、とても綺麗で威厳があります。


地図を見ると女神茶屋の近くから信玄棒道という裏道があるので、そちらが通れるならそこを通ってプール平の蓼科共同浴場まで歩こうと思っていました。しかし、行ってみると誰も歩いていないようで、道は深い雪の下。ここをルートファインディングしながら腿までのラッセルというのは自殺行為なので、仕方なく車の多いビーナスラインを引き返します。


ちなみに、この信玄棒道の付近で、この日唯一の動物の足跡を見ました。カモシカですかね。


バスの時間の関係で、朝来る時に使った石臼平のバス停では40分くらい待たないと次のバスが来ない状況だったので、共同浴場まで歩くつもりでそのままビーナスラインを下りました。さすがに疲れと車道を行く緊張でやる気が徐々に失せ、結局は途中の笹丸平バス停でおにぎりを食べながら次のバスを待ちました。
プール平バス停の直ぐ向かいにある蓼科共同浴場は、入浴料500円。シャンプーは別売りで100円だったかな。レトロな感じですが、お湯がとても気持ち良かったです。熱めのお湯がはられていて、温まりました。


入浴後は、バス停脇にあるお土産屋さんで地ビールなどを購入し、4時33分のバスで茅野に戻りました。帰りはあずさで新宿へ。
とにかくお天気に恵まれたために順調すぎるほど順調な雪山行でした。すべての雪山がこんなにうまくいくわけではないので、今後も気を抜かずにいきたいです。まあ、天気に気を付けるのがとにかく大事ですね。夏山なら、厳しい岩場でもない限りは天気が多少悪くても景色が残念な程度でしょうが、冬山では天気が悪いと生死にかかわるでしょうし。
この冬は、3月に後立山の唐松岳と日光の奥白根山の、少なくともどちらか1つには挑戦したいと思っています。

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天気のよい日に雲竜瀑見に行く 林道は意外とキツかったけど

2015-02-11 14:01:27 | 旅行
雪山など冬の自然を昨年の冬から楽しんでいるけど、ポイントは山頂まで登るピークハントをしなくても楽しめることが結構あるということ。
昨年の2月には北八ヶ岳でスノーシューハイキングをしたが、北欧やカナダの森と言ってもばれないようなシーンも多くて楽しかった。動物そのものには会えなくても足跡も多かったし。
そして、今年は日光の女峰山の一角にある、雲竜渓谷に行きたいと思っていた。ここは凍結した滝が多くみられ、その奥にある本丸の雲竜瀑は3段にわたる全高160メートルの巨大な滝です。それが完全凍結するのだから、日本の冬の絶景として外せません。温暖化で昔より凍結した滝の規模は小さくなっているという話も聞き、早いうちに見ておきたいものの一つでした。

1月後半から2月の中旬くらいしか見られないということもあり、この季節でお天気のいい週末を待ちます。
また、1月中のヤマレコなどのレポートを見ると、今年は氷瀑の育ちが遅いという指摘もあり、雪が降った割には気温が下がらなかったようです。
そのため、2月に入ってからのタイミングを狙っていました。で、2月7日の土曜日に決行。

雲竜渓谷へは、日光の世界遺産地区の裏手まで車で入っていき、かなり奥の駐車場まで進めます。
しかし、公共交通機関り利用の私は東武日光に8時半ごろ到着したら、バスで5分ほどの世界遺産地区まで行ったら後はすべて歩きです。
結果としては、これが侮れなかった。
まずはバスを神橋で降り、世界遺産地区に入ります。


ここからはヤマレコで同じように公共交通機関を使われていた方のレポートを参考にして少し奥にある滝尾神社の辺りを目指すのですが、意外にも世界遺産地区にはほとんど標示や地図がありません。東照宮など超有名どころは直ぐわかるのですが、それ以外はわかりにくいです。登山用の地図で大体の目安をつけて歩き始めても、行きたい方向には世界遺産建造物の塀が長く続いていてブロックされていたり、ここで無駄に時間を消費しました。
結局、お掃除をしていた方に教えてもらって滝尾神社方面に行くことができましたが、これも実際には少し無駄がありました。東照宮の近くから滝尾神社に行く道は階段の上り下りが結構あって、地味に体力と時間を消費します。帰り道で学びましたが、本当は東照宮美術館の裏に回って車道に出て、そこから幾つかの駐車場を越えていくのが一番いいです。

まあ、想定外の観光になりました。




これは二荒山神社。男体山に登る時に登山料を収める、中禅寺湖畔の神社と同じです。建物もそっくり。折角なので安全を祈願。


滝尾神社への道は地味に疲れます。



9時20分を過ぎた頃だったでしょうか。滝尾神社の入り口まで来ました。想定以上に時間を使っているので、ここはパスして長い林道に入ります。近くには駐車場がありますが、この奥にも2つほど駐車場があるので、多くの人はそちらまで車で行くようです。いずれにしても、トイレはなし。標示もトイレもないとは。雲竜渓谷はかなり人手が多いので、もう少しインフラを整備してもいいのではないかと思いました。


この日はお天気もよく、氷瀑を見るには絶好のシーズンということで多くのハイカーがいました。ツアーも。まあ、でもストレスを感じるほどには混んでいません。
ただ、林道をひたすら行くのはつらいです。冬なので花も緑もありません。
次の駐車場を超え、雲竜渓谷に向かうゲート(ここにも駐車スペースあり)のところまでたどり着いたのは10時を優に回っていたと思います。


この後は、林道を登ります。地味な登りは意外にきつく、今回はピークハントではないから楽勝と思っていたのに汗が噴き出てたいへん。
まあ、晴れていたので女峰山方面の景色がよく見えたのが救いです。途中の展望台からもよく見えます。


11時過ぎにチェックポイントの洞門岩に到着。ここから左に登っていく林道と、右に下ってから登りなおす沢筋の道があります。ここまではツボ足で来ましたが、ここでチェインスパイクを装着しました。


事前のヤマレコレポートや各種登山ブログの調査では、沢筋は危険度が高いとされているものが散見されました。しかし、ツアー組を含めて皆が沢筋に行くので左側は間違った道なのかもしれないとちょっと焦りました。しかし、林道を降りてくる人がいたのできいてみると、やはり最終的には合流するので間違いないとのこと。安全優先で登りを続けます。
その前に、洞門岩から見ることのできた氷瀑。既に氷瀑地帯に入っています。


安全とされる林道歩き。しかし、これが辛かった。沢筋の道との合流地点である雲竜渓谷の入り口に12時ごろに着くまでの約1時間、これまでの林道よりも傾斜がきつくなり、人もいなくなり、景色も単調。
ある意味、2週間前の谷川岳よりも辛かった。神橋バス停で下車してからずっとなので、ここまで来るのに既に相当歩いています。いい加減疲れます。そして写真もなし。
と言うか、日光の世界遺産地区から雲竜瀑までは標高差800メートル以上ある訳で、アップダウンの多い山道ではないもののそれなりに歩きがいがあって当たり前。
林道は、一緒に歩いて会話できる相手がいる場合にお薦めします。

林道コースは、最後までまっすぐいくのではなく、最後に右側に曲がります。トレースがあるので分かりますが、入山者が多いためにまっすぐ行く足跡もついていて、注意が必要です。
コース終盤で見た、転がる雪の造形。単調なコースでは数少ない癒しの風景。


雲竜渓谷の入り口は結構混雑していました。早朝から車で来ていた人は帰りの時間だったようです。ちょうど12時くらいなので食事を取っていいる人もいたり。私は、ここで12本爪のアイゼンに履き替えました。
そして、いきなりある意味難所です。凍結した急階段を下るので、アイゼンが有効です。まあ、気温の上昇とアイゼンの蹴り込みのために氷がだいぶ砕けていたので、固くてツルツルしているわけではなかったです。チェインスパイクでもなんとかなったでしょう。


渓谷に入ると視界が大きく開けます。前方には氷瀑が多く見えます。しかし、本当の滝は雲竜瀑だけのようです。他の多くの氷瀑、あるいは巨大な氷柱は、地下水が染み出たものが凍結したらしいです。


何度か渡河します。アイゼンの爪と川の中の石は相性が悪いので、慎重に行きます。防水性能の高い靴は必須アイテムですね。私は着けなくても大丈夫でしたが、スパッツやゲイターもあった方が無難でしょう。


雲竜渓谷では、多くの氷瀑が迎えてくれます。皆写真を撮ったりしてはしゃいでいるので、なかなか前に進みません。


序盤の見どころで自画撮り。


こんな感じです。




よく見ると青いです。


巨大なツララがギザギザしていて、落ちてきたら悲劇でしょう。ヘルメットを持参しましたが、こんなのが落ちてきたらひとたまりもないし、暖かかったのでかぶらずにいました。推奨できる行動ではないですが。


実際に、崩れ落ちた氷柱は巨大。これをヘルメットでどう防げというのか。


中盤の見どころです。雲竜瀑まで行かない場合、ここがハイライトになるでしょう。巨大な氷柱の裏側に回り込むことのできるポイントです。


裏から見るとこんな感じ。




写真の技術が低くて伝わりませんが、裏から間近に氷柱を見るのはかなりの迫力で、面白かったです。他のハイカーと写真を撮り合う。


ここを越えて少し行くと、メインの雲竜瀑が見えてきます。


写真を撮り忘れてレポートとしてはなってないですが、ここから雲竜瀑に行くには、向かって右側の崖を巻いていくことになります。道幅が狭く、踏み外すとかなりの高さを落下することになる危険なところなので、アイゼンが必須です。ピッケル装備の人も多かったですが、滑落したとしても雪山と違って凍結した斜面にピッケルを刺して止まるのは難しいのではないでしょうか。基本、土や岩の崖で、そこに氷や雪が乗っている程度の感じなので。

その危険な道を終えると、100メートルの落差を誇る雲竜瀑が見えてきます。


左右には子分のような多くの氷柱が。


間近に来ると迫力十分。今年は小さめという話でしたが、初めて見る私にとっては十分。


下の方が盛り上がっています。察するに、一部が凍った滝に徐々に水がかかっていってこのようになるのではないかと。


右の方は氷がかなりせり出した感じです。


その先にはアイスクライミング部隊がいました。


とりあえず自画撮り。写真に写っている人たちと比べると、雲竜瀑の大きさが分かります。


食事を軽くとりつつ、左側の斜面を少し登って見た雲竜瀑。


左側はこのような氷柱が無数にあります。昼食中にも音を立てて数本崩れ落ちてました。


雲竜瀑中部をアップ。結構ギザギザ。複雑な形です。


ここで30分以上過ごして巨大な氷瀑を堪能しました。ハイカーは多いですが、十分な広さがあって気になりませんでした。
さて、下山です。あの長いコースを行くのはかなり気が滅入ります。そこで、敢えて安全のために避けてきた沢沿いを下ります。下りの方が危険度高いだろうに。ちなみに、アイゼンは雲竜渓谷の入り口で外し、チェインスパイクにしました。
結果、1箇所だけやや急で危険を感じるところがあったものの、それほど問題なく30分程度で洞門岩まで戻ることができました。沢の風景。




そして、ここからは例の林道が延々続きます。まあ、下りは楽ですけど。


ゲートを越えると、広葉樹林から杉林に風景が変わりますね。一般的に日光と言えば杉林のイメージ。町に近づくと杉なのでしょう。


帰りも滝尾神社の向かいの駐車場まで来ました。ここからは、朝の迷走を反省してそのまま車道を下ります。15分くらい行くと、東照宮美術館の裏に出るので、そこからもう一度世界遺産地区に入って二荒山神社で安全のお礼をしました。本当はお守りも買おうと思ったんだけど、交通安全とか縁結びなど目的別に商品化されていて、一般的なお守りがなかった。これってマーケティング的にどうよ。

そんなこんなで東武日光駅まで戻ってきました。実際には、JR日光駅前の日光ステーションホテルの日帰り温泉を利用します。公共交通機関を利用する登山者にとっては使い勝手のいい施設です。


日光駅前から見る男体山と女峰山。




この後、地ビールや漬物などのお土産を買って、意外に疲れたので東武の特急、スペーシア「きぬ」で帰りました。
特急を使えば日光は都心から2時間程度、私の自宅からも3時間かからずに行けるわけで、もっと頻繁に観光してもいいところですね。
この日は、ここにしかない風景を堪能し、想定以上にいい運動で充実でした。お天気がよいことがポイントなのは言うまでもないです。

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冬の谷川岳 雪山の絶景を楽しむ

2015-01-31 12:56:41 | 旅行
昨冬から雪山登山を始めて、その美しさに本当に感動したのが谷川岳。
豪雪地帯なので、標高2,0000メートル未満にもかかわらず森林限界を越え、雪山の絶景度が非常に高い。日本アルプスにも負けないのではないかと思う。
昨年は曇りだったものの、雲が比較的高いところにあって空気も澄んでいたので、青空こそなかったけれど絶景が楽しめた。
その絶景の印象が強く、日帰りとしては適度なキツさのコースであることもあって、この冬も訪れようと思っていた。そして、1月25日の日曜に決行。
瑞牆山・金峰山以来、実に3か月半ぶりの登山となり、体力的にはきつかったけど。

いつものように、8時に上毛高原に着く上越新幹線、Maxたにがわに乗ってスタート。去年はスキーヤーで混雑していたけど、今年は空席が多かった。やはり去年のJR東日本の「ぜんぶ雪のせいだ」キャンペーンほどのインパクトが今年はないのか。
それより何より、実際にはお天気の問題。午前中は雪、または曇りの予報。天気図的には晴れそうなのに。
上毛高原からは関越バスで水上を経由して谷川岳ロープウェイへ。10人以上の登山者がこのバスで9時ごろに到着。ロープウェイで標高1,300メートルの天神平スキー場まで運んでもらい、残りの700メートルくらいを登山します。
ロープウェイを降りてゲレンデに出ると、やはり雪が降っていてガスも出ている。天気予報では昼前から晴れということで、めげずに出発。


ゲレンデ脇を登る最初の20分程度の坂が急で、これがいいウォームアップになります。
気温はマイナス3度ほどで暖かく、すぐに暑くなって汗をかき始めたので昨年と同様にウェアの前を開けて体温調節しました。
樹林帯と言うほどに木は多くないのですが、それでも周囲の木々を見ると、厳冬期の1月で既に芽が育ち始めているのが健気です。


それにしてもこの山域は天候が不順で読みにくく、今回も大きな高気圧があるから晴れるかと思ったけれども昼前まではほとんどホワイトアウト状態。
入山者が多くて踏み跡があるから迷うことはないものの、山頂では晴れてくれることを望みながら一歩一歩登るという修行。
昨年は周囲の山も見渡せたのに、今年は視界がほとんどない中を進みます。
途中、お約束のように埋没している山小屋です。積雪は約3.5メートルでした。


登りは2時間少しのコースですが、昼過ぎに晴れることを信じてゆっくり目に登ります。
しばらくすると、晴れとはいかないまでも、時々晴れ間がのぞくくらいにはなってきました。やはり、青空が見えると景色が急に変わります。


体力的にはきつく感じていて、やはり3か月半のブランクは大きかったです。
アイゼンがやけに重く感じたし、歩幅も短く、やっと足を動かす感じ。雪山の単独行で足がつったらシャレにならんと思いつつ登っていました。

それでも、ゆっくり登ったつもりが2時間かからないで山頂近くの標識まで来ました。時々晴れ間が出るけれど、基本的にはホワイトアウト状態です。


標識にはびっしりとエビの尻尾状になった氷が付いています。雪山の風物詩。


ここまで来れば山頂はすぐです。谷川岳は双耳峰。つまり2つのピークを持つ山ですが、まずは手前のトマノ耳に登頂です。昨年は山頂の標識がほどんど雪に埋まっていまっしたが、今年は比較的出ています。山頂付近の積雪量は今年の方が少ないみたい。


ガスが晴れませんが、それでも絶景が少し見えます。


本当のてっぺんは隣のピークであるオキノ耳なので、そちらに移動。この二つののピークの間では、風と雪の造形が多く見られます。
例えばこんなものが。


10分程度でオキノ耳に到着。他の登山者の方々と写真を撮り合ったりしますが、どうにもガスが晴れません。
時刻は11時半。12時過ぎまで山頂で待機することにしました。


山頂は風が少しあったものの、それほど強くなかったので我慢できました。汗をかいて登ってきたので、気温が低くて風が強かったらとても待機はできないでしょう。
この30分、少し晴れ間は出るものの、スッキリとは晴れてくれませんでした。トマノ耳から仙の倉山方面への稜線が格好いいのですが、それが全景を表すことはありませんでした。
残念ですが、しょうがないです。晴れ間が出た時に景色を楽しみ、すこし撮影します。




12時を過ぎたので、諦めてトマノ耳方面に戻ります。その途中も晴れ間が出るタイミングがあって、そうすると山頂や稜線の絶景が一瞬現れます。


これはオキノ耳。


そしてトマノ耳。


この日は多くの登山者がいました。もっとゆっくり登ってきた人は、スッキリ晴れたシーンも見られたかもしれません。帰りの電車から眺める谷川岳は全景が晴れているようだったので。しかし、私はそろそろ本格的に動かないと体温が下がりそうだし、帰りのバスの時間もあるので下山です。

下山中は、登りの時のようなホワイトアウト状態ではなく、ある程度周囲を見回せました。それでも、浅間山から尾瀬方面まで完全に見渡せた昨年のようにはいきませんでしたが。


帰りの道。


そして、最初のゲレンデ脇を登り切ったところにある展望ポイントから振り返ります。やはり山頂付近だけガスが残っていました。


それにしても立派な山容です。


この後はロープウェイで山麓まで戻り、2時過ぎのバスで水上に出て鈍行で東京に戻りました。
ロープウェイのお土産売り場で地酒の「谷川岳」を買うのと、水上駅前のお土産屋さんでお焼きを買うのが毎年の行事になりそうです。

ということで、この冬の雪山第一弾は贔屓の谷川岳で幕を開けました。
まずは無事に戻ってこれて一安心。
雪崩の危険が高かったり、営業中の山小屋などの施設がないところには行かないつもりですが、リスクをマネージ可能な山域で日本の冬の絶景を楽しもうと思います。

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秘湯 手白沢温泉で雪見湯

2014-12-19 19:54:16 | 旅行
寒波が襲ってきた12月の週末、前々から予約していた秘湯、手白沢温泉に行ってきました。
いつもは単独行の私ですが、流石に今回は会社の人と合計7名での温泉旅行です。
雪山登山と勘違いして遭難の危険を心配するメンバーがいたのが不思議ですが、私以外は普段は雪山はもちろん登山をしない人たちなので、防寒装備や滑らない靴などの注意はしておきました。
皆さんかなりまじめに準備されたようで、結果的にはまったく問題なしでした。

浅草を8時に出発する東武線の特急「きぬ」で鬼怒川温泉駅を目指します。「きぬ」はシルクではなく鬼怒なんだと思います。
社内で靴を履くメンバー。いつもは単独行なので彩りも何もないですが、やはり人が増えるとにぎやか。


鬼怒川温泉駅で10時に下車してからは、10時15分発の日光市営バスで終点の女夫渕まで約1時間半のバス旅。
この日は典型的な冬型の気圧配置で、関東平野はよく晴れていました。東武線に乗っている間はもちろん、バスも途中の休憩所を過ぎてもしばらくは青空。
しかし、東武線の車窓から見えていた男体山の頂上には雲がかかっていたことと、天気図的に尾瀬方面はかなりの雪だと思われたので、山間部ではどうせ弱くても雪になるだろうと思っていました。
結果はその通りで、女夫渕では雪がちらついていました。


バスを下りたところにある休憩所兼トイレで簡単な昼食を取り、12時半ごろに手白沢温泉に向けて出発です。
ここから徒歩2時間半ということで、歩かないと行けない山中の秘湯ということです。
なお、奥鬼怒温泉にはこの手白沢温泉の他に3つの温泉宿がありますが、そのうち日光沢温泉は山小屋的な宿らしいです。一方、八丁の湯と加仁湯はいわゆる温泉宿で、送迎バスもついています。
我々は、どうせなら奥鬼怒温泉の一番奥にある秘湯を目指すことにしたわけです。
と言うか、手白沢温泉のことは、Veryblueさんのブログをはじめ幾つかのブログで絶賛されているのを見つけてから狙っていたわけですが。

2時間半のコースは、遊歩道とされている山道か、スーパー林道のどちらかを選ぶことになります。いずれのコースも所要時間は同じですが、山道の方がアップダウンがある代わりに距離は短いようです。
今回のメンバーは登山に慣れていないうえに、現地は既に雪が積もっていて危険度がある程度高かったので、迷わずスーパー林道を行きます。なお、ツボ足で問題なかったですが、チェインスパイクがあると安全度が増すでしょう。
途中の景色。


雪は弱く、コースの最初は標高差にして100~200メートルくらい(体感)の緩やかな登りだったので、皆暑がっていました。私もフリースは脱いで、かなり軽装で登りましたが、特に問題なかったです。
しばらく行くと道は平たんになり、大きくペアピンするところで橋を渡ります。さらに進むと手白沢温泉と加仁湯方面の分岐に当たるので、そこで手白沢温泉方面を行きます。
ここでも最初は少し登りますが、徐々に道は平たんになっていくので大してきつくありません。メンバーも問題なく歩いていました。
そして、約2時間15分くらいで手白沢温泉が見えるところに出ます。硫黄の香りもしてきます。


登山慣れしていないメンバーでしたが、問題なく到着できて一安心。それにしても、こんな山奥に立派な建物です。


部屋は全部で7部屋あるようです。我々が泊まった部屋は5人くらいなら普通に寝られるくらいの大きさでした。
館内は温泉を使った床暖房で暖かくされていて、とても居心地がいいです。廊下の天井も高く、光取りの窓もしゃれています。


チェックインしたら早速お風呂に向かいます。
源泉から毎分300リットルものお湯が湧き出しており、加水せずに使っているとのこと。贅沢なかけ流しです。
男湯も女湯も内湯と露天があり、内湯の方が温度が高いです。露天風呂は湯の花がたくさんでした。
写真は翌朝起きてすぐに入った時のものですが、翌朝の方が雪が積もっていて景色は趣がありました。
内湯から窓越しに雪景色。


シャワーや蛇口はなし。温泉がそのまま出てます。まさにかけ流し。


露天。天国。山中の雪景色が素晴らしい。








温泉で温まったら夕食までまったり過ごします。私一人ならチェックイン前に近くの根名草山などに挑戦したかもしれませんが、今回はそういうコンセプトではないので雪を窓越しに眺めていました。
中には、この温泉で飼われている川上犬の岳と戯れている人もいましたが。ちなみに、私は猫派です。犬も平気ですが。


なお、部屋から温泉に向かう廊下から外を見ると、いけすがあって岩魚がいます。夕食に出てくるのでしょう。
そして、6時半に待ちに待った夕食です。レストラン顔負けのクオリティです。


まずは前菜。アップルの香りがよい食前酒。野菜は地元のものなのでしょうか。とても味が濃いイメージでした。


そして岩魚の塩焼き。養殖魚とのことでしたが、これが驚愕の美味。肉厚で味が濃い。ウナギでも腕のいい養殖業者が育てたものは天然物以上に脂が乗って美味しいものがありますが、この岩魚は絶品。頭から尻尾まで、骨も完食しました。まあ、それは私が粗野なだけですね。


そして和牛がメインです。


ワインは、自然派の品ぞろえがよいです。値段の張るものは置いていません。と言うか、セレクションはとてもよく考えられています。私も好きな作り手のお値打ちワインが多く、値段に対する品質が高いものばかり。
白はブルゴーニュのシャルドネにしたのですが、その直後にシャンパンでジョゼ・ミシェルがあるのを発見したのであとはこれで通しました。この作り手は、シャンパーニュでは私の最高の好みです。


食堂は広く、薪の暖炉があります。あったかいイメージですね。暖炉の近くに水やコーヒーが置かれていて、セルフサービスで必要に応じて取ることができます。


はっきり言って、都内の普通のレストランより上です。料理もワインの品ぞろえも。
かけ流しの温泉にこの料理。宿泊料金は倍でもいいかもしれません。都心の海外ブランドホテルのアホみたいなサービスと低クオリティレストランがあの値段なのですから。

夕食を堪能した後は、もう一度温泉で温まります。雪が降っていたので星は見えませんでした。まあ、多くを望みすぎてもいけないですね。
男性メンバーのうち2名はここで撃沈しましたが、女性は元気でトランプやって夜を過ごしました。
女性と言えば、宿泊客は女性比率が高かったです。山ガール的な人たちが多く、男性は我々のメンバー以外にはご夫婦で来られている人が1名のみでした。
やはり女性の方が感度が良い国ですな。

翌朝は6時半ごろに起きてまずは温泉。そして7時半から朝食です。これも美味。。。


岩魚の甘露煮だけでなく、野菜もお味噌汁もご飯も最高。ご飯をおかわりしていただきました。いつもは朝食食べない人なんですが、この日ばかりは体が何が正しいか分かっていたようです。
そして、朝食後は最後の入浴。ホントにいい湯。単純硫黄泉ということで、温泉マニアには物足りないのかもしれないですが、私はとても温まりましたし、優しい湯質だったと思います。

9時45分頃チェックアウトして帰ります。まったく、名残惜しい。翌日東京で働くのが嫌でしょうがない。
まあ、そうも言ってられないのでご主人に皆の記念写真を撮っていただいて帰路につきます。
一晩中雪が降っていたので、新雪がふかふかです。


途中、沢の対岸方面を見渡せるところからの風景は水墨画のようでした。この辺りは広葉樹が多いですね。針葉樹の緑が少ないので冬は緑が少なく、本当に水墨画的になります。鳥の声は聞こえますけど。動物の足跡も多かったですね。蹄のある動物だったので、カモシカか鹿だと思います。キツネかタヌキのものも見ました。




そして、2時間ほどで女夫渕に戻ってきました。バスの時間は12時45分なのですが、既に待っている人でいっぱいです。八丁の湯や加仁湯で過ごした人が、送迎バスで先に来ていたようです。これ以上遅れたら、バスの席取りで後れを取るところでした。
少し早すぎる下山でしたが、結果的には上記のように席の取り合いに勝利することもでき、よかったです。
バスで鬼怒川温泉に戻ってからは、帰りの東武線の時間までお土産を買ったり小腹を満たしたりして過ごしました。
栃木県の県民食であるレモン牛乳も食しましたが、かなり微妙でした。果汁ゼロです。


何だかんだで、7時ごろには帰宅。充実した週末旅行でした。参加メンバーも皆とても楽しんだようです。
山登りとは違った趣ですね。たまにはグループでのハイキングも悪くないです。
手白沢温泉のホスピタリティと、温泉の情報を下さった各ブログの方々に感謝です。

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台風前に秋晴れの瑞牆山・金峰山

2014-10-21 22:41:11 | 旅行
10月前半の週末は、台風上陸を意識して予定を立てなければならなかったものの、体育の日の3連休は関東では大まかに言って実質的に問題なかったと思われる。
この週もずっと天気図を見ていたのだけど、大陸にある移動性高気圧がどんどん強くなっている感じだったので、11日の土曜日終日と12日の日曜日の午前中くらいまでは、ほぼ100%晴れると踏んでました。
一番人気のある北アルプスの紅葉は既にほぼ終了とは言え、他の山域での紅葉シーズンはまだまだ続いています。今回は、奥秩父の盟主と言われる主峰の金峰山と、金峰山同様に百名山に選ばれている瑞牆山をターゲットにしました。
奥秩父ということで深い森の匂いやコケも魅力的だし、多くの木々が色づけば相当スケールの大きな紅葉シーンが見られるかもしれないし、特に瑞牆山は岩岩しい山容だから北アルプスとはちょっと違うとしても紅葉と岩稜が一緒に見られる風景は絵になると思った訳です。
結果的には、紅葉もよかったし、それ以上に雲海に浮かぶ富士山や南アルプスを見ながらの岩稜歩きがとても楽しく、予想以上に充実した登山になりました。富士見平小屋スタッフも親切だったし、テント場も平坦で木々によって風が遮られていて過ごしやすかった。

で、まずは幾つか山行まとめ的な写真を。








今回は、JR中央線の韮崎駅からバスで1時間15分ほどの瑞牆山荘から登山を開始します。ここが標高約1,500メートルで、300メートルほど登ったところにある富士見平小屋のテント場をベースキャンプにして瑞牆山と金峰山を狙います。最初のバスが8時50分発なので、瑞牆山荘到着が10時過ぎ。比較的ゆっくり目のスタートです。
瑞牆山荘は、車で来られる位置にあるために山小屋というよりはちょっとしたカフェでした。


序盤はテント泊装備を担いでの登りなので、早くテント場について荷物を軽くしたいという気持ちが強く、あまり写真を撮っていません。翌日下山時に余裕をもって見まわしたら、この樹林帯もブナやナラの木が魅力的で、私が登った時はまだ紅葉には早かったみたいだけど1週間後には美しかったでしょう。


で、ガシガシ登ってコースタイムを巻きながら富士見平小屋到着です。ロッジ風でかわいい感じ。幕営料1,000円を支払ってテントを設営。ここの水場は水量豊富な上に口当たりの柔らかい名水で、とてもおいしかったです。


小屋前には魅力的なメニューが。まだお昼には早かったので食べませんでしたが。


11時半ごろに瑞牆山に向けて出発。まずは沢まで100メートルくらい下ります。途中には奥秩父らしいコケも出現。


冒頭の瑞牆山の山頂付近の全体写真は、このコースの最初の部分でちょっと開けたところから撮りました。ここ以外にはコース上でこのような全体像を収められるところはなかったと思われます。
お天気は最高で、好く晴れていて暑いくらいでした。沢に下りていく樹林帯は、ツガなどの針葉樹が多かったと思いますが、それでも紅葉しているミネカエデなどを楽しむことができます。




沢を渡って少し行くと、不思議な割れ方をしている大きな岩が登場。ヤマレコなどの山行記録にもよく出てくるチェックポイントですね。




そして、この後は山頂まで基本的にかなりの急な登りが続きます。大きな岩がどんどん出てくる道なので、前回の鹿島槍の時の柏原新道のように歩きやすい道とは好対照。
ストックも邪魔になるでしょう。私はストックは持っていきませんでした。


道は厳しいものの、お天気のおかげもあって景色は最高。


樹幹から翌日上る予定の金峰山も見えます。山頂の有名な五丈岩が目印。


紅葉シーンも随所に現れます。






紅葉に限らずですが、木々の葉はアップで撮るのが好み。ブナやシラカバ、ミネカエデやナナカマドなど。














こんな狭い岩の間を通ることも。大きなザックだったらたいへんだ。


そして、ようやく山頂付近。有名な大鑢岩が見えてきました。


この岩はロッククライマーの登攀対象ですね。我々はこの横を進みます。が、やはり同様に岩の道で厳しい。鎖やロープも随所に出てきます。実際には鎖は使わなくても登れるところが多かったですが、所々一枚岩が滑るので注意が必要。


大きな岩などはなかなか一気に足を上げて登るのも大変だし、頭のあたりに注意していないと岩に頭をぶつけそうになったりと、意外とたいへんでした。
で、最後の鎖を凌げばやっと頂上。瑞牆山制覇です。山頂も岩で、登山者で混雑しているのに結構斜めになっているので少し危険です。


お天気がよく、富士山も見えました。


金峰山方面。瑞牆山の岩と黄色が目立つ木々の黄葉が素晴らしい。原生林を持つ山の魅力が凝縮。




木々を拡大。カラマツとかもあるのでしょうか。黄色が目立つので。


山頂から瑞牆山の奇岩を見下ろします。大鑢岩も見下ろせます。




お昼を食べたりしながら景色を楽しみ、山頂に結構長くいました。汗が乾くと流石に寒く感じますね。この時期は。
そして下山。やはり大きな岩の多い道を下るので、注意が必要です。膝への負担も小さくないですね。富士見平小屋からは標高差は400メートルちょっと。途中で沢に下るので実際には100メートル以上余分にアップダウンがあるとはいえ、それほどの標高差ではありません。しかし、標高差以上に体力を使う道ですね。地図でコースを検討していた時はちょっと甘く見ていましたが、実際に登ってみると登り甲斐のある山でした。流石は百名山の一角。

富士見平小屋のテント場に戻って辺りを見回すと、ちょうど周囲の木々が紅葉していて、テント場自体が紅葉の名所になっていることに気づきました。










その後は小屋の外のベンチで本を読んだりして過ごしました。晴れていたので夕日も綺麗だった。


夜は意外と暖かかったです。鹿島槍の時はテントが霜で覆われてしまったけど、むしろ暑くて夜中に起きたくらい。
翌日は、金峰山へのルートの途中にある大日岩でご来光を拝もうと思って暗いうちから出発しました。しかし、いつものように早朝は体のキレがまったくなく、のろのろと登る状況。そして、歩きながら、位置的に大日岩からでは日の出はほぼ見られないのではないかと冷静に気付く。なぜなら東側にはこの辺りでは最高峰の金峰山とその稜線が位置しているから。このことに気付くと、「まあ、早く出てきたから時間はたっぷりある。ゆっくり登ろう。」という気分になってご来光は諦めました。

で、1時間半くらいで周囲も十分明るくなってきたころに大日岩に到着です。思ったより大きい。頂上に登るのは結構難しいと思ったので、ペンキの印がある中腹まで登って景色を堪能。


既に夜は明けていたと思いますが、まだまだピンクの光が美しかったです。南アルプス北部が甲府盆地の雲海の向こうに浮かんでいました。




八ヶ岳も。やはり赤岳は雄々しい。


瑞牆山と遠景には八ヶ岳。瑞牆山の岩に朝日が当たって輝いていました。


そして富士山も。雲海に浮かぶ富士山は絵になります。


景色を堪能したら、樹林帯をしばらく行きます。ここが地味に急登。樹林帯では特に思いますが、木の根などを踏まないようにしたいものです。豊かな森なので、急登でつらいことを理由に足取りを乱して植物を傷めることのないように。
しばらく黙々と登ると、岩稜に出ます。砂払ノ頭という2,317メートルのポイントで、ここからは富士山もよく見えます。と言うか、ここから先はずっと右手に富士山、振り返ると南アルプスです。
ここからの道は岩場で、特に危険ではないもののある程度注意の必要なところも出てきます。穂高連峰などとは比較になりませんが、それなりに気を付けるべき道でしょう。こんな感じなので。


そして、途中で千代の吹上(標高2,497メートル)などのポイントを通りながら、徐々に高度を上げていきます。晴れているので、左右は絶景です。が、岩場の急登は結構疲れます。


意外と苦労しましたが、8時少し前に金峰山山頂に到着です。


金峰山と言えば五丈岩。多くの人が登っていましたが、私は単独行なので怪我したら誰も助けてくれないので、パス。鳳凰三山のオベリスクもそうでしたが、リスクを取り切れないですな。


晴れていて雲海もあるという絶好のコンディションで、富士山と五丈岩のコラボ。


とにかく、この日の金峰山は絶景でした。八ヶ岳も南アも富士山も。金峰山自体が岩稜と五丈岩と黄葉で見どころ多いし。お得感の高い登山でした。
30分以上山頂で写真撮ったり絶景眺めたりして時間をつぶし、8時半少し前に下山を開始。
岩岩しい道で結構急なので、膝への負担が以外っとありました。最近はテント泊装備でもほとんど膝への負担は感じていなかったけど、この日は痛みも感じるくらいでした。侮れません、金峰山。

岩稜帯を抜けて樹林帯に入ると、土や木の匂いが心地よいですね。奥秩父や八ヶ岳の好きなところです。


森深い感じを楽しむなら、本当に梅雨の時期とかいいのでしょうね。まあ、雨の中を歩くのは蒸れていやだけど。


針葉樹の若木が育っていました。


途中、富士見平小屋の方々が鎖場を手入れされていました。地道な登山道整備、ありがたいです。
富士見平小屋が近づくと、紅葉もちらほら。標高1,800から2,100メートルくらいのレンジが見頃だったように思います。




11時過ぎには無事にテント場に戻ってきて、コーヒーを淹れて一息ついたらテントを撤収。富士見平小屋のテント場は快適で、また新緑の季節などに来てみたいです。
さらに瑞牆山山荘まで下山ですが、このコースも登りの時には気付かなかった美しい森林でした。




12時55分発のバスで戻ります。お天気がよかったので、台風前とはいえ満員でした。
下山後のお楽しみと言えば温泉。バスの路線上に、地元の市が直営している増富の湯という施設があります。それを利用。面白いのは、増富の湯に寄るとバスの料金が瑞牆山荘から韮崎駅まで通常2,060円なのに2,050円に割引になること。途中下車なのに割安。しかも、温泉の入浴料が100円割引に。地元の施設を利用してくれるということで、こういう値段設定だとのこと。ありがたいです。私は、割引券は使いませんでした。代わりに、富士見平小屋でもらった50円の割引券を使いました。50円損だけど、富士見平小屋の券を使うと入浴料の一部が山小屋の整備に使われるらしいので、親切な山小屋がこれからも奥秩父の自然を守っていくのにお金が使われる方がいいと判断。


温泉は露天こそないですが、広々していてよいです。難点は、かけ流しのお湯の温度が35度とか37度程度と低いので、結局42度程度に温められた浴槽に入ることになる点。
かけ流しの浴槽は3つくらいあって、それなりに楽しめるのですが、やはり熱い湯につかりたいので。

さっぱりした後は、食堂で天ぷらそばをいただきました。そばは長野のイメージが強いですが、結構美味しかったです。何より、天ぷらの野菜が美味しかった。近くで採れたものなのでしょう。


お土産には、産直品を売っているお婆さんから漬物と梅干を購入。どちらもとても美味しくて、漬物は1週間せずに完食しました。

瑞牆山と金峰山、東京からもそれほど遠くない割にはレベルの高い絶景や深い森の楽しめる、とてもよい山だと思いました。
もっとメジャーになってもよさそうなのに。
どうしてもアルプスや八ヶ岳の方が優先されるのでしょうけど、奥秩父の森と岩稜を経験しないのはもったいない。
付近の甲武信ヶ岳とかも含め、もっと開拓の余地がありそうです。

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鹿島槍ヶ岳 一足早い紅葉と北アルプスの絶景その2

2014-09-30 22:19:27 | 旅行
9月20日、21日の週末に行った鹿島槍ヶ岳の2日目です。
朝4時に目を覚ますとテントが霜でバリバリになっていて驚かされました。10分下の山荘でトイレを済ませ、4時40分ごろに寒い中を山頂に向けて出発です。

ご来光は、テント場と鹿島槍ヶ岳の間にある小ピークの布引岳で見ることを決めていました。そうすれば、朝焼けの鹿島槍も見ることができるからです。
冷池山荘のスタッフの話では5時20分くらいが日の出ということで、テント場からコースタイムで1時間程度のところですから、アタックザックで身を軽くしたら40~50分で着くだろうという算段です。
まだ暗い道をヘッデンの灯りを頼りに慎重に歩き、暫くするとハイマツ帯もほとんど抜けて岩と石の道になります。
東の空はこんな感じ。


麓の大町市の灯りが見えます。


そして、5時15分くらいに布引岳に到着。日の出を待ちます。


狙った通りの快晴状態。雲海も広がっており、最高のコンディションです。徐々に東の空がオレンジ色に色づきます。ちなみに、寒いです。


南の方角、爺ヶ岳から針ノ木岳、さらに遠くには槍ヶ岳が見えますが、徐々に赤くなっていきます。


そして、ついに太陽が出てきました。


爺ヶ岳がピンクに染まり始めます。


その奥には針ノ木、右奥には野口五郎岳や赤牛岳、水晶岳など。


そして鹿島槍。


太陽がどんどん大きくなります。


大絶景をGoogle+の「おまかせビジュアル」サービスでもらったパノラマ写真で。槍、穂高から水晶、野口五郎、赤牛、立山、剣まで、とにかく全部。それがピンクに染まっていく神々しさ。


立山と剣岳。剣岳はいちばん遅くに光が当たります。ちょうど鹿島槍の影になっているのです。つまり、剣には鹿島槍の影がくっきり写っていることになります。


拡大。


八ヶ岳、南ア方面。富士山も見えます。


拡大。


拡大針ノ木。針ノ木の左後の黒い山が水晶岳でしょう。別名黒岳と呼ばれるのがよく分かります。


拡大槍ヶ岳~穂高連峰。8月に縦走した前穂高岳から奥穂高岳の吊尾根もよく見えます。あの下は涸沢カール。そろそろ紅葉目当ての登山者でごった返す頃かも。


拡大剣岳。荒々しい。


オレンジ色に染まった鹿島槍。さて、そろそろ登頂を目指しますか。


鹿島槍までは、それほど急ではないものの地味に長い登りで体力を削られます。よく休んだ後の朝一番なので結構順調に行きましたが、昨日無理をしなくてよかったです。
そして、ついに山頂へ。八峰キレットを越えていくテント泊の人たちは全部抜かしたので、暫くは山頂を独り占めでした。風は弱かったですが、それでも寒いです。


ここからもまず目が行くのは立山と剣岳。


拡大剣岳。氷河が目立ちます。


拡大立山。やはり剣岳との比較感では女性的ということになるのでしょう。


登ってきた方角を振り返ります。先ほどまでピンクだった光景は快晴の太陽に照らされて本来の色に。左手前がさっきまでいた布引山。


そして、鹿島槍北峰(右)から奥に、五竜岳、唐松岳、白馬岳と連なる後立山連峰。今日はこっちには行きません。天気がよければ、今年の秋のうちに五竜から唐松に縦走する計画はあります。


山頂の絶景を楽しみ、他の登山者の方と写真を撮りあったりして暫く過ごしました。下山するのが名残惜しい感じでしたね。
それでも、夜明け後にテント場や小屋を出発したと思われる人たちが登ってくるのが見えたので、混雑する前に引き返します。
途中、登りの時には暗くて見落としていた高山植物も見ることができました。トウヤクリンドウとか。背景の真っ赤なウラシマツツジの中にあって白い姿が神秘的。


ミヤマリンドウやヤマハハコの群生も。




コメススキは背景に高山が来ると格好がつきます。


ライチョウさんに会えなかったことだけが残念でしたが、お天気に恵まれて最高の眺望を楽しみました。8時過ぎにはテント場に戻り、時間的に余裕があったので1時間ほどかけながら撤収です。霜で濡れたフライシートとか乾かしながら。
絶景のテント場も名残惜しかったですが、いずれ後立山縦走プランでもう一度来る機会もあるかもしれないし、針ノ木から種池山荘まで縦走する時にもこちらに足を延ばすことも考えられます。また来る可能性の高いところです。

さて、下山ですが、これが一筋縄にはいかない。まずは爺ヶ岳を300メートルくらい登り返すので。
当然、途中は現実逃避します。ナナカマドの紅葉とか、


鹿島槍を振り返ったりとか。すでにちょっと雲がかかってますね。早朝アタックがやはり正解でしょう。


霜に覆われたシャクナゲとか。


途中の冷乗越です。昨日よりも空の色が青いです。


ウラシマツツジの草紅葉は本当に美しい。ハイマツの緑とのコントラストが素晴らしい。


爺ヶ岳のピークには登らず、巻き道をトラバースしますが、巻き道と山頂の距離が近いのであまり楽にはならないです。逆に言えば、巻き道もそれなりの高度にあるので風景は素晴らしいです。


日蔭は霜が溶けずに残っていて、緑、赤、白の絶妙のコントラスト。


拡大。お菓子のようです。実はライチョウさんの好物らしいです。


種池山荘をこのアングルで収められるところまで戻ってきました。


鹿島槍を振り返ると、やはり東側から雲が湧いてきています。本当に、完全に晴れることの少ない山なのですね。登山道も立山方面もすべて快晴なのに。


爺ヶ岳をやっと下り、種池山荘近くまで来ました。ここは、ちょっとした紅葉の廊下になっています。


ここから見てもやはり鹿島槍は少し雲に隠れていました。紅葉とのコラボ写真を撮ろうと思ったんですけどね。


種池山荘に11時ごろ到着しました。とりあえずコーラを飲み、山荘の方とちょっと会話してから最後の食事としてフリーズドライの山菜おこわを食べました。
多くの登山客でにぎわっていました。今年は夏の書き入れ時に天候不順で山荘の収入も今一つだったと思うので、登山客がよいお天気で楽しむ中で山荘も稼いでくれればいいと思います。窯焼きピザが1,000円というのに惹かれましたが、山菜おこわを消費していたのでこれも次の機会に。
種池山荘から眺める針ノ木岳も、やはり青空が濃い方がいい感じですね。


さて、ここからは柏原新道を本格的に下山です。登りに3時間くらいだったので、下りは2時間ちょっとと踏んでいました。
実際にそのくらいで下山できましたが、途中に休憩ポイントがあまりないので、意識して休まないと結構疲れます。道がいいので膝の痛みとかはあまりないですが、高度を下げてくるとどうしても温度が高くなって水分と体力を消耗するので。

柏原新道の下山中にも、前日の登りよりも花に目が行きました。余裕があったのかも。
タテヤマアザミですかね。とにかくアザミであるのは間違いない。


タカネニガナ。


これはミヤマタンポポかなあ。葉の形がちょっと分からない。写真の撮り方失敗ですね。


そして、紅葉も青空が濃い方が映えます。






柏原新道、本当に歩きやすい道でした。極端な斜度もないし、大きな岩や滑りやすそうな木の根もないので足を運びやすく、とてもフレンドリーな形に整備されています。重ね重ね感謝します。


扇沢の登山口から振り返ると、真夏のような空でした。


鹿島槍ヶ岳、流石に後立山連峰の盟主の風格でしたね。お天気に恵まれてラッキーでした。爺ヶ岳もよかったです。最高の展望台だし、始まったばかりの紅葉も楽しめました。
ライチョウさんに会いに再訪したいと思います。
本格的なアルピニスト達は厳冬期の鹿島槍に登るみたいですが、私はそれはないので、次は夏の前半で高山植物の綺麗な時がいいです。

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鹿島槍ヶ岳 一足早い紅葉と北アルプスの絶景その1

2014-09-28 16:39:07 | 旅行
お彼岸の週末(9月20日、21日)に扇沢から鹿島槍ヶ岳へのピストンをしてきました。
テント泊装備で登ってみたかったので。山小屋泊装備の場合は、五竜岳の方から鹿島槍ヶ岳にかけての難所である八峰キレットを越えてみたいですが、それは別の機会に。基本的に花や紅葉、絶景を求めているのであって、危険個所を通ったという英雄譚を求めている訳ではないので。

さて、今回の行きの交通機関は19日金曜日夜に竹橋を出発する毎日アルペン号で、朝4時半頃に扇沢に着くといういつもの眠れないパターンです。
昨年はこの週末に八ヶ岳で快晴に恵まれました。それに気を良くして秋晴れの絶景の美しいと思われる山域、そしてテント泊が楽しそうなテント場を考えて後立山連峰の盟主と言われる鹿島槍ヶ岳に決めたのです。
しかし、天気予報は週の前半の時点では雨、あるいは良くても曇り。
ただし、いつもの素人天気図読解を駆使し、今回も気象庁の予報は過度にネガティブと判断。実際にその通りで、週の半ばごろから雨マークは消え、晴れ間も期待できるくらいに。
天気予報は東日本の南海上にある前線の影響を中心に考えられていたようだけど、私としては大陸性の高気圧が強まりそうに読んでいたので、多少東南方面から雲が来ても北西から押し返して晴れることを期待していました。
結果は、完全にはその通りではなかったものの、かなりの程度読みが当たって、特に日曜日は美しく晴れてくれました。
このとおり。


さて、バスは朝4時半に扇沢の爺ヶ岳登山口に降ろされますが、まだ周囲は真っ暗。そして寒い。この時期、北アルプスは霜はおろか初氷も観測されているので。
ヘッデンの灯りで早々に出発してもよかったのだけど、登山届を出したりおにぎりを食べたりして何となく時間をつぶし、暗いながらも夜明けが迫っていることが分かるくらいに空が変色し始めた5時少し前にテント泊装備を背負って出発しました。まずは、約1,000メートルの標高差を種池山荘まで登る4時間程度の柏原新道を行きます。
前週末に雲取山で経験済みなとはいえ、北アルプスの道の方が厳しいのではないかと最初は緊張して登り始めます。
しかし、この柏原新道、想像以上に登りやすかったです。多くのブログにもいい道だと紹介されていますが、傾斜に無理がなく、石もちゃんと埋まっていて安全だし、本当によく考えて作られていると感じました。


今回の山行で立ち寄る種池山荘と冷池山荘の歴代オーナーさんたちが自ら切り開き、メンテナンスされているようです。安全登山もこうした努力のお蔭ということで、大変ありがたいです。

花は時期的に少なかったですが、リンドウやアザミが見られました。


しばらく行くと、南西側に針ノ木岳が見えるようになります。3大雪渓の1つである針ノ木雪渓があり、シーズンにはコマクサも咲く山で、お天気が良ければ今年の夏に行きたいと思っていたところです。もう花のシーズンは終わってしまったので、挑戦は来年以降に持ち越しです。


針ノ木岳からの稜線は縦走コースになっており、種池山荘に突きます。柏原新道からは、その稜線がよく見えます。この時点では、まだ雲が薄くかかっている状態だったので快晴の青い空との対比はありませんが、始まっていた紅葉と北アルプスの山がいい感じです。


柏原新道は道中いくつかの標識が出ており、それが道の特徴を表しています。
「水平動」とあれば斜度のほとんどない道だし、「水平岬」はその水平な道の終わり辺り。「富士見坂」は晴れていれば富士山が見えるであろう見晴らしのある坂。「石畳」は大きな岩の連なる道などです。
危険個所はほとんどなく、雨が降っていて滑ったら危ないと思われる崖が1つあるだけでした。その近くに咲くオンタデ。


ナナカマドは赤い実をつけていました。葉の紅葉はこれから。


登りやすい道とは言っても、テント泊装備を担いで登るのはやはり楽ではありません。特に、最後の4分の1くらいはかなり急な登りがほとんど休みなく続くので、消耗します。
そんな中、針ノ木岳と紅葉に現実逃避しながら耐えて登り続けます。


すると、森林限界を越えて見晴らしがよくなり、種池山荘が近くに見えてきます。午前7時45分頃、登り始めてから約3時間で到着しました。予想外に早いペースでした。途中、小屋泊装備の人に何人か抜かれていたのでそれほど速いとは思っていなかったのですが、前週の雲取山の修行が効いていたのかも。


種池山荘はオレンジの屋根とクリーム色の壁がメルヘンで可愛らしく、ホームページ(冷池山荘、新越山荘と同じ経営)も情報豊富で親切な感じで、自分的に好感度が高くて好きな山小屋です。
今回はここには宿泊しませんが、来年の7月に針ノ木岳から縦走する機会があれば、テントではなくて小屋に泊まってみたいと思っています。

小屋前からの眺め。雲海の向こうに、八ヶ岳、富士山、南アルプスまで見えました。お天気は確実に良くなる方向。


ここから見る針ノ木岳の迫力。


時間にだいぶ余裕ができたので、30分くらい休んでゆっくり出発しました。ここから2時間少しでテントを張る予定の冷池山荘に着くはずなので、11時半から12時ごろにはテントを張り終えている計算になります。後は天気次第で、眺望がよさそうならこの日のうちに鹿島槍ヶ岳山頂に空身でピストンし、雲がかかっていたら翌朝の登頂を狙います。鹿島槍ヶ岳を含む後立山連峰は、日中は晴れていても東側から上がってくる雲に巻かれる可能性の高い山域なので、時間があっても雲が上がってきている場合は午後に登頂せずに早朝を狙うつもりでした。

種池山荘を鹿島槍ヶ岳方面に出発。まず、穂になったチングルマの花畑と遭遇。


そして、これが途中越えていく爺ヶ岳。南峰、中峰、北峰3つの頭を持つ山で、300名山指定を受けています。ライチョウが多いとのことですが、私は残念ながら会えませんでした。


爺ヶ岳への道は、ミネカエデなどの紅葉が始まっていました。見頃は私が言った週末から1週間後くらいだったようで、その意味では少し残念。


しかし、紅葉の始まりを楽しむことのできる道でした。


それほど急な道ではないものの、これまでにすでに1,000メートル以上登ってきているのでかなりきつく感じます。
そんな時は後を振り返ると、雄大な立山を背景に種池山荘がアルプスの山小屋としてのメルヘンシーンを見せてくれます。


紅葉と一緒に。


種池山荘をモチーフにした写真だけで20枚以上撮ったと思います。
そして、北を見れば目指す鹿島槍ヶ岳。後立山連峰の盟主と言われる大迫力。


既に2,500メートル以上の高地に上がってきているので、鹿島槍の山頂との標高差は400メートルありません。そのため、この山の大きさを凄く感じる訳ではありませんが、双耳峰ならではの威容は格好いいです。同じく双耳峰の谷川岳も贔屓の山です。ちなみに、帰りのバスからチラッと見えた鹿島槍の大きさは圧倒的で、麓の大町市から眺めるとまさに盟主の迫力なのでしょう。

そして、まずは爺ヶ岳南峰に到着です。


この南峰は、まさに天然の大展望台です。これほどの展望台は、これまで登頂した山頂からの絶景、例えば仙丈ケ岳、木曽駒ヶ岳、八ヶ岳の硫黄岳と並ぶかそれ以上のものです。
ケルンの向こうには、左から槍・穂高、右には針ノ木。


立山と剣岳。この立山連峰は正に大迫力。鹿島槍への道は、左側に常に立山と剣岳が見えています。岩々しく、紅葉シーズンといっても木がないイメージ。岩の殿堂。


そして鹿島槍ヶ岳。やはり格好いいです。


雲海が見事でした。やはり、東側からは雲が上がってきているようでした。


南峰を後にして少し下ってからまた登り返し、爺ヶ岳の最高峰である中峰に到着です。2,669メートルということで、種池山荘からの標高差は200メートルほどですが、途中のアップダウンがあるので思ったより疲れました。


ここから見る立山、剣岳と手前の種池山荘。


この後は気持ちのよい稜線を300メートル弱下ります。下りなので楽なのですが、このアップダウンは侮れません。二日目の下山の時も、結局この300メートルを登り返してから下ることになるので。
この日も、冷池山荘直前辺りではかなりばてた感じになっており、東側からの雲の上がりも顕著だったので、歩きながら「テント張ったら寝よう」と思っていました。
冷池山荘は、爺ヶ岳から見るとすぐ近くにみえるのですが、なかなか着きません。そして、その奥に鎮座する鹿島槍が雲に飲み込まれつつある。


登山道の天気はどんどん良くなっているんですけどね。この辺りが後立山連峰の難しいところですね。
登山道ではシラタマノキが咲いていました。こんな時期に。ツガザクラかと思いましたが、Google先生にお聞きしたところシロモノとも呼ばれるシラタマノキだと思います。


そして、赤岩尾根との分岐点で稜線のコルにあたる冷乗越を通過。立山、剣岳のお天気も最高のようです。向こうに登山してこちらを眺めたらどんな感じなのでしょうね。
剣岳は危険な上に登山者が多くて渋滞して登りにくいイメージがあり、眺めてよい対象ではあっても登る対象としてはあまり興味がないのですが、立山連峰から後立山連峰を眺めるというコンセプトは挑戦する価値があるかもしれません。


冷池山荘直前の登りでエネルギー切れを起こし、足が攣りそうになるのを我慢して何とか山荘到着。11時半ごろでした。テントの登録をすると、何とこの日一番の到着でした。テント場は山荘から10分ほど登ったところにあり、見晴らしの素晴らしいところです。このテント場に泊まってみたかったのです。立山、剣岳の見晴らしのいいところに設営しました。


設営記念にテント場からの立山、剣岳。


まずはエネルギー補給と水の購入(水場はないですが、沢から山荘にポンプで水が汲み上げられており、1リットル150円で分けてくれます)のために山荘に行きます。テント場の見晴らしがいいのはよいのですが、トイレを含めて何をするにも10分の登り下りがついて回るのは疲れますね。正直のところ。
冷池山荘では、ヤマレコなどで評価の高いラーメンをいただきました。これを食べてみたかったのもここに来た理由の一つ。ちなみに、種池山荘でも食べられます。シンプルな醤油ラーメンで、今は懐かしの東京ラーメンの良さがあると思いました。


テント場に戻ると、かなりガスが発生中。まだ12時半くらいだったので、鹿島槍の山頂にピストンするのは可能でしたが、疲れもあるし翌朝は快晴だと勝手に確信しているのもあって、この日はテントでまったりしました。私の後からテントを張った人の中には、3,4人くらいこの日のうちに鹿島槍に行ったようですが、山頂の眺望はどうだったんでしょう。


昼寝したり、太陽が出てきたら景色を楽しんだり、地図や本を読んで過ごします。


どんどんテントも増え、最終的にはほぼいっぱいになりました。4時過ぎには晴れ間も結構出てきました。西側の立山方面が晴れていて、東側の大町方面がガスっている状態です。
私は見逃してしまいましたが、ブロッケン現象も起きたようです。




南側に見える爺ヶ岳の3つの頭がなかなかよい。




気温は低めで、フリースの上にレインウェアを羽織っていました。夕ご飯はいつものようにカレーにソーセージ、今回はトマトと食後のブドウを持ってきていたので、少しは贅沢だったかも。
寒かったものの、日が落ちるとすぐに寝てしまいました。夜中に何度か目が覚めましたが、テントとしてはかなりよく眠れた方だと思います。

で、翌朝は4時に起きました。4時半ごろ出発のつもりで。トイレに行こうとテントを出ると、なんとテント全体が霜で覆われていてバリバリでした。


ちょっと長くなったのと書き疲れたので、いったんここでアップします。
朝焼けの山々を中心とした後編もできるだけ早くアップしたいと思います。

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20km以上の山道を歩いて一泊二日で三峯神社に参拝する

2014-09-23 20:49:06 | 旅行
埼玉県の秩父にある三峯神社、日本武尊の東国遠征の頃にまでさかのぼる歴史を持つという由緒ある神社で、山奥なのでなかなか行けないながらも人気のパワースポットです。
なお、三峯とは神社の奥宮のある妙法ヶ岳、東京・埼玉・山梨の3つの都県が山頂で交わる百名山の雲取山、そして雲取山への三峯登山口からのルート上にある白岩山の3つです。
三峯神社の本宮はもちろん、3つの山のすべてを踏破してこその参拝と考え、敬老の日の連休の土日にテント担いで20km以上の長い参道を歩いてきました。
まあ、要するに奥多摩から雲取山に登山して三峯ルートで下山して神社にも参拝したということですね。

快晴とはいかなかったものの、まあまあの晴れに恵まれた三連休の初日の土曜日、予想通り多くの人が奥多摩に来ていました。
雲取山登山口としてメジャーな鴨沢へ向かう人も多く、8時35分頃初の鴨沢方面行のバスは臨時増発が出ていたようです。
それでも、私の狙いとしてはこの日の奥多摩は南北アルプスや八ヶ岳よりは混雑しないだろうというものでした。
天候不順で7、8月の週末のほとんどが雨だったため、登山を趣味にしている人たちはやっと訪れた晴れの週末に高山に向かうと思われたからです。
こんな時に奥多摩に来るのはマイナーセグメントなはず。一方、9月に入って気温の低下が著しいので、標高2,000メートルに満たない山域が多いこの辺りでも結構涼しくなっているはず。登山しやすい環境だとう読みました。まあ、結果的には半分くらい当たってました。

で、鴨沢に9時過ぎに到着。登山前のトイレを済まそうとする人で渋滞です。


今回の雲取山登山は、テント泊装備を担いでの本格登山としては今年初めてのものです。7月後半に甲斐駒ヶ岳と仙丈ケ岳に登った時もテント泊でしたが、あの時は典型的なラクチンテント泊、つまりベースキャンプ方式だったので、北沢峠のテント場までバス停から15分くらいしか装備を担いでいません。14kgくらいの装備で標高差1,500メートルを登るのは今回が初めてなのです。
そして、これは次週のお彼岸の週末に予定している鹿島槍ヶ岳へのテント泊登山への予行演習でもあります。扇沢から鹿島槍のピストンコースは柏原新道という安全な道を通るので、北アルプスの高峰といっても滑落などの危険はないのですが、途中に爺ヶ岳を挟むのでアップダウンが激しく、累積標高差が2,000メートルを超えます。そこにテント泊装備で行く前に、雲取山で体を慣らしておきたかったのです。

さて、鴨沢からの登山コースは雲取山では最もメジャーなもので、危険個所なく基本的にはダラダラと長い坂がコースタイムで5時間以上続く樹林帯のコースです。
序盤は意外なほど体が軽く感じましたが、これは既に早朝ではなかったからかもしれません。
標高500メートルちょっとのところから登り始めるので気温も20度くらいと高く、樹林帯は風も通らないので直ぐに汗だくですが。
しかし、思ったよりも多くの花が咲いていてこれはうれしい誤算でした。

クサボタン。


ツリフネソウ。


シラヤマギクですかね。キクは似たのが多くて。


ヤマジノホトトギス。このホトトギスの類はホントに面白い形ですな。エイリアン。


ゲンノショウコでしょうか。個体数は少なかったですが、とても綺麗です。


これはGoogle先生にお聞きしても特定できなかった花。この手の形の花は特定しにくい傾向があります。


雲取山は東京都最高峰(2,017メートル)なだけでなく、日本百名山の一つでもあるのでブランド力があります。そのためか、登山道はかなり整備されていて歩きやすい印象でした。


まあ、これは初日の鴨沢コースの話で、翌日の下山に使った三峯ルートは奥秩父らしいワイルドさが残っていましたが。
黙々と登り、2時間以上が経過してそろそろシャリバテ状態になってきて休みたいと思っていると、ちょうど七ツ石小屋に到着しました。素泊まりと10張弱のテント場があります。豊富な水が汲み放題なのがありがたいです。


七ツ石小屋からの眺め。雲が出てきてしまって、眺望はいまいち。


ここでアルファ米とレトルトカレーという軽量化重視の昼食を取り、40分くらい休憩して12時過ぎに登山再開です。七ツ石山山頂付近は急登だと聞いているので、あえてピークハントはせずに巻き道を行きます。
ここからの尾根道は山火事への防火の意味もあって木が切られており、ク雲がなければ眺望がいいと思われる道です。鹿の食害にも負けないマルバダケブキの花畑のはずですが、流石に花は終わっていました。


そして有名なダンシングツリーが出現。カラマツでしょうか。


尾根道にはカラマツが多かったので、黄葉のシーズンは綺麗でしょうね。


途中、ヘリポートや奥多摩小屋を通過します。テントを張っている人が多くいました。いい加減単調な登りに飽きてきたところに、山頂前の小ピークである小雲取山への登りが意外ときつくて体力を失っていく。振り返ると結構歩いた感じですね。


アキノキンリソウ。高山だと珍しくないですが、この日はこれしか見ませんでした。きれいな花は単調な尾根道における現実逃避。


最後の30分くらいの登りを我慢すればやっと山頂が見えてきます。直下に避難小屋があるので、それが見えてきたら最終盤です。このころには日帰りの人が小さいザックで悠々と下りてくるのと多くすれ違い、テント泊装備で汗だくの自分が修行者に思えました。まあ、鹿島槍に向けた修行なので仕方ない。


そしてやっと登頂。と思ったら、本当のピークは避難小屋のからやや右方面に行った方にあります。そちらに向かう前にこれまで来た道を振り返る。雲がかかっていますが、ゆるやかな尾根道と緑の木々は独特の趣です。


山頂には、東京、埼玉、山梨それぞれの標識があって競っています。都民としては東京の標識で記念撮影。東京都最高峰の標高2,017を制覇。新緑の頃から何度か計画しては流れていた雲取山登山でしたが、やっと登ことができました。


曇っていて眺望は限られたのがやや残念。


山頂は12、3℃だったのではないでしょうか。風が吹くと寒いので、あまり長く滞在せずにテントを張る予定の雲取山荘に向かいます。三峯方面に150メートルくらい下ったところにあります。
で、この山荘に向かう山頂直下の道はかなり急。テント泊装備で体が安定しないと、下りはちょっと気を付けなければなりません。
そして、山頂を通過して直ぐに気が付くのは、東京の鴨沢ルートとは全然違う道の雰囲気。苔生した深い森で、樹林帯の香りも濃くなります。
雲取山は奥多摩の最高峰ですが、同時に金峰山や甲武信ヶ岳など奥秩父山塊の主脈の最東端にあたり、貴重な深い森として保護されている秩父多摩甲斐国立公園の一角です。


2時半ごろに雲取山荘に到着。立派で有名な山小屋です。この日はほぼ満室だったようで、家族連れや団体などで賑わっていました。


早速受付で登録してテントを設営。


テント場は小屋から至近で、50張設営可能とのことでしたが、実際には30くらいしか張れないように見えました。こちらもしばらくすると一杯になってしまい、遅く到着された方々は場所の確保に苦しんでいました。


テント場の周辺は林ですが、山梨方面に沈む夕日を拝むことができました。


ぼっち登山でテントだと時間を持て余すので、明日下山予定の秩父方面の情報を整理しました。「あの花」は「るるぶ」でも公式に使われています。


翌朝。ご来光はよく見えました。これはテント場から。


テント場からも見えたのですが、山荘のデッキからの方が見晴らしがいいので移動して鑑賞。


テントの撤収には時間がかかるものですが、この日は何故かテキパキしていて6時前には出発できる状態に。ところが、トイレを済まそうとしたところ20分もの渋滞に巻き込まれる。雲取山荘のトイレは山荘宿泊者もテント泊の人も屋外のものを使うので、山荘がいっぱいの時は注意ですな。
張れていたら山頂に戻って眺望を楽しむのもありだと思っていましたが、早朝は山荘から山頂にかけてガスがかかっていたので諦め、すなおに下山します。


三峯ルートは、山頂と登山口の単純な標高差は1,000メートルくらいなので鴨沢ルートよりだいぶ楽に聞こえますが、実は途中に200メートル以上のアップダウンを含む幾つかの小ピークを越えていくので、かなり厳しいコースです。実際には累積標高差は1,500メートルくらいになるでしょう。
しかも、奥秩父らしい森深い道。テント泊装備を背負っているとかなり膝に負担がかかります。やはり今回は修行の山行。
それでも、朝のひんやりした空気の中で原生林に日が射すと美しい。






花も多いです。一番多かったのはこのシロヨメナ。


トリカブトもかなり咲いていました。


レイジンソウも。


シラヒゲソウ。かなり特徴的な花ですね。


この手の集合花、いつもシシウドだと思ってしまうのですが、今回は何でしょう。特定しにくい花です。


途中、白岩山(標高1,921メートル)まで200メートル以上登り返すのでかなり厳しいです。しかも、山頂には標識がなく(台風による被害の跡地であることの標識があったが)、そこが山頂とは気づかずに進んでいました。
その後も前白岩(1,776メートル)、名前のきれいな霧藻ヶ峰(1,523メートル)などのピークの前は100メートルくらい登り返すので辛いです。雲取山荘が1,8000メートル代の位置にあったことを考えると、3時間くらい歩いても実質的には300メートルくらいしか下っていないという精神的に苦しい道です。

この道で気になったのは、コケ。奥秩父は北八ヶ岳と並んでコケの名所と聞いていたのですが、確かによく見るといろんなコケが生えています。水滴が光ったりして結構きれいです。










それはいいのですが、一点困ったことが。
途中でハチの巣に注意するようにという段ボールに書かれた注意書きがあるのですが、その周辺の登山道にはそれらしきものはありませんでした。
ところが、そこから10分以上下ったと思われるところで、いきなりクロスズメバチの大群に襲われました。
かなり急な下山道に当たるところで、土の道を下るか岩の道か分かれるところなのですが、土の道の下に巣があったようです。
速攻で逃げたので何とか事なきを得たと思った瞬間、なんとくるぶしの下の辺りに痛みが。登山靴の中に紛れ込んだのが一匹いたのです。
登山中は動植物をはじめとして自然にできるだけダメージを与えないように、木の根も可能な限り避けて歩く私ですが、流石にこの時は迷わず潰しました。
翌日少し腫れただけで、痛みよりも痒みが残るだけだったのは、クロスズメバチの毒がスズメバチの仲間の中では弱い方だったからでしょう。不幸中の幸い。
それにしても、注意書きはちゃんとした場所に出してくれないと逆に危険ですな。

閑話休題、雲取山は鴨沢ルートと三峯ルートで本当に感じが違います。一日目は曇っていて二日目は晴れていたせいかもしれませんが、森深い三峯ルートは気持ちがよかったですね。








そして、4時間ほどの時間を要してついに三峯神社方面に下山してきたところ、鳥居が出現して分かれ道が。鳥居には奥宮と書いてあり、どうやら三峯神社の奥宮に続く道のようです。


いい加減疲れてきているところに、標識では距離にして1.4kmの道。地図で確認したところコースタイム40分、急斜面で鎖場もある模様。
まあ、それでもどうやら山の神様を祀っているということで今後の登山の安全祈願にもなるし、奥宮があるのは三峯の一角である妙法ヶ岳(1,329メートル)なので、雲取山、白岩山と合わせて三峯制覇になるので、鳥居のところにザックをデポして行ってみました。

結果。満足感という意味では正解。しかし、道が意外なほど険しかったので疲労感は著しく増大。どうやら、妙法ヶ岳だけでも登山のターゲットになるようで、多くの登山者と出会いました。
最初の鳥居を超えて200メートルはなだらかな登りですが、その後はかなり急な道を500メートルくらい行きます。スニーカーで来ていた人たちは大体ここでばてていました。
そして、第二の鳥居に着きます。


この辺りは北の方の眺望が効きます。


ギザギザ山頂で有名な百名山、両神山が見えました。


さらに進むと3つ目の鳥居があります。


この前後から道は相当険しくなり、スニーカーでは滑落の危険が高くなります。鎖場も出現するし。私は今回はフル装備なので問題なかったですが。
で、疲れた体に鞭打って40分、コースタイム通りに山頂到着です。奥宮は建物はなく、祠があるだけでしたがお参りします。


なぜかお犬様がいっぱいいる奥宮だった。私は猫の方が好きなのでちょっと違和感。


山頂からは南側の眺望が効くのですが、どれが今下ってきた雲取山かよく分からず。


何だかんだで往復1時間以上かけてお参りした訳ですが、せっかく三峯ルートを取るなら行って損のないところだと思います。
そして、分岐地点に戻ってザックを回収して下山を再開。約15分でようやく下山完了です。
標識に従って三峯神社方面に向かいます。途中、お土産屋の店先で売っているイワナの塩焼きと芋田楽に惹かれましたが、ここはまず神社が優先(理由は直ぐ後に)。

三峯神社の鳥居は三ツ鳥居という珍しいものです。確かに3つの鳥居でできている。白くて格好いいですね。


三峯神社には観光目的で来たのですが、もう一つ実質的な目的がありました。それは日帰り温泉施設。興雲閣という神社併設の宿泊施設内にあるのです。入浴料は600円。
とにかく汗だくだし疲労感あったし、テント装備担いで下山してきて足も痛いので、早くお風呂に入りたかったです。そこで、神社の見学は後回しにしてまずは日帰り温泉に向かいます。
しかし、これが遠い。由緒ある神社なので結構敷地が広く、興雲閣はその奥まったところに建っているので。テント泊装備の大型ザックを担いでストックを使って歩行する様は、参道を行く観光客の多くから奇異なものとして見られていたように感じます(哀)。
興雲閣は宿泊施設ながら、神社の関係者(巫女さんの男性版)が受付をしており、汚れた登山者も差別せず歓迎してくれます。八ヶ岳の某登山口の宿泊温泉施設は、ホームページでは主人のおやじも登山が趣味だとか書いているくせに登山者に極めてぶしつけな態度を取るのが気に入らないですが、ここは真逆でよかったです。
温泉施設は屋内のみで小さいですが、塩味の濃いナトリウム系のお湯は気持ちよく、かなり満足度が高かったです。奥多摩方面に下山して芋洗い状態の温泉施設に行くよりいいんじゃないですかね。

で、湯上り後にちゃんと参拝した。
拝殿は大きく、極彩色で迫力あります。


細かい装飾が施されています。






ご神木は触るとご利益があるようです。


一番奥から入り口に向かって戻る形で参道を通っているので、拝殿前の鳥居を通過して階段を下ります。


白い石灯籠が趣あり。


山門まで戻ってきました。


西武線の秩父駅に向かう次のバスまで1時間もあったので、門前の土産物屋で芋田楽を食べたりして時間を潰しました。バスの到着する駐車場付近からは、この日下ってきた雲取山から白岩山のルートが眺められました。写真左手に写っている木の右奥の山が雲取山、左側手前が白岩山です。


帰りのバスからは、秩父の山として有名な武甲山も見えました。


遅い昼食になりましたが、西武秩父駅構内の仲見世通りで秩父名物のわらじカツ丼を食べました。味噌豚丼の店は3時に閉まってしまうということで、こっちになりました。通常カツ2枚のところを3枚にしてもらいました。


腹いっぱいになった後は地酒や鮎の甘露煮、漬物などのお土産を買って帰りました。


地元とも言える山の登山記録だった割には長いエントリになりました。なぜだろう。
まあ、山行としては、流石にこの翌週の鹿島槍ヶ岳へのテント泊の方が充実度高いです。
しかし、奥多摩らしくもあり奥秩父らしくもある雲取山は樹林帯の魅力にあふれていたし、麓の三峯神社のパワースポットぶりもなかなか。
流石は百名山の一角でした。

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