冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

南アルプス 甲斐駒ヶ岳&仙丈ケ岳 その1

2014-08-09 16:13:59 | 旅行
インド旅行中のトレッキングで体力の衰えを感じ、その対策のために始めてみた登山。
ヨルゲン・ランダースの「2052 今後40年のグローバル予測」を読み、ウェブでいろいろリサーチした結果、固有種の多い、そしてとても可憐な日本の高山植物が温暖化で見られなくなる前に自分の目で見ておきたいと思って徐々にはまっていったわけ。
その初期段階で買ったムック本で、甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳は特に興味を覚えた山でした。

名山と言われているのは知っていたし、ベースキャンプとして北沢峠にテントを張れば2日間で効率的に両方の山に登れるし、絶景度も高いし高山植物も豊富らしい。
3,000メートル前後の標高を誇る南アルプスの山ということで、登山を始めたばかりの昨年は見送ったものの、今年は是非行ってみたい山でした。
で、お天気に恵まれた7月最後の週末(+月曜)で行ってきました。

山の団十郎とも呼ばれ、日本百名山でも屈指の名峰とされる甲斐駒ヶ岳。


南アルプスの女王と呼ばれ、雄大なカールを誇る仙丈ケ岳。


行ってきましたと言いつつ、予想よりも厳しい旅でした。
7月初旬の大雨+落石のため、南アルプス林道のバス道が通行止めになってしまった今年の南アルプス北部。
登山口までのアプローチがたいへんです。
甲斐駒ケ岳、仙丈ケ岳のベースとなる北沢峠には、東京方面から公共交通機関を乗り継いでいく場合には以下のようなルートを取ります。

1. 新宿→甲府 (中央本線)
2. 甲府→(北岳などの登山口である)広河原 (山梨交通のバス)
3. 広河原→北沢峠 (南アルプス市営バス)

この2.の部分ですが、本来は1日に数便あり、2時間程度の行程です。
しかし、今年は落石のためにこのルートが使えず、大回りして奈良田というところを通って行くルートに変更されています。
1日に2便のみ。3時間以上のバス旅です。ちなみに、新宿から甲府は2時間半程度で行くので、甲府から広河原の方が時間距離が長いことになります。

しかも、甲府をバスが出るのは朝の(夜中の)3時と9時のみ。
その日に登山したいなら、3時に甲府を出て7時過ぎに北沢峠に着く便しか使えません。
当然湧き上がる疑問。3時のバスに乗るということは何時新宿を出る電車に乗ればいいのか。

もちろん他の列車もあり得ますが、この疑問への答えは意外と簡単に出ます。
金曜と土曜限定ですが、23時54分新宿発、翌午前2時21分甲府着の、快速ムーンライト信州81号というのが運行されています。
夏休みの登山旅行や帰省用の列車だと思われます。


これなら比較的効率的に行けますが、問題は全席指定ということ。
既に金曜発の分は売り切れでまったくキャンセルが出る状況ではなく、仕方なく土曜発のものを購入しました。
この時点で、登山は日曜と月曜と決まりました。

そして、土曜の23時54分に新宿を出てから7時間以上電車とバスを乗り継いで、ついに登山口のある北沢峠にたどり着きました。日曜の朝7時10分頃です。
既に標高2000m。下界の猛暑をよそに、かなり涼しいです。


ここからは、沢沿いに広いテント場を持つ長衛小屋まで約15分歩きます。
土日で登山する人が多いため、テント場はいっぱい。受付を済ませ、何とか平たんなところを見つけて設営です。


で、8時過ぎにようやく登山開始。電車でもバスでも、座っていたとはいってもたいして眠れなかったので、体調は万全ではないですがしょうがないです。
初日の日曜には甲斐駒ヶ岳を目指します。前回の早池峰は高山植物が目当てでしたが、甲斐駒は単純に登ってみたいと思っていた山です。私にとっては珍しいケースで、単に登ってみたいというのは他には木曽の御嶽山とか北アルプスの穂高岳くらいしかありません。
ヤマレコなどでもおなじみの、仙水峠から駒津嶺を経て登頂するルートを選びました。

最初のうちは樹林帯ですが、暫く行くと視界が開けてガレた岩の多い地形になります。火山じゃないのにちょっと火山っぽい、というか、広々とガレ場が続くので、ガスに巻かれたら方向を見失いそうで怖いですね。


体調が今一つでしたが、コースタイムより10~15%くらい早いペースで仙水峠まで歩きました。
ここまで来ると、南には仙丈ケ岳(その主峰ではなくて前面にある小仙丈ケ岳)、北には八ヶ岳、東には尾根の先に鳳凰三山の地蔵岳が見えます。
錚々たる山々の絶景ですね。鳳凰三山は昨年登りました。南アルプスの中では初心者向けと聞いていたのに随分と苦労した覚えがあります。まあ、それこそ絶景&高山植物の宝庫でしたから、得るものも多かったですが。




仙水峠からは駒津嶺を目指してまたまた樹林帯を行きます。先行するツアー登山の老人部隊を追い抜きながら進むと、開けたところからは甲斐駒ヶ岳の雄姿も見られるようになりました。
右手の少し低いピークは摩利支天。10時前くらいですかね。この頃はまだ天気もよく、素晴らしい風景を楽しみながら登っていました。


樹林帯の登りは多くの登山者の間で不人気ですが、私は嫌いではありません。
土や緑の香りに癒されるし、コケや広葉樹の姿も好きです。鳥の声や風の音も、日本の豊かな自然を感じさせてくれてとても好きです。
森林限界を超えた稜線の絶景や雪山のツートーンカラーも美しいですが、五感をフル動員して楽しめるのは夏の樹林帯のように思います。
針葉樹の若芽が黄緑色に生えてきているのも可愛いと思います。


甲斐駒ヶ岳の樹林帯は、お隣の仙丈ケ岳に比べると高山植物の花は少なかったと思います。
それでも見つけたのは、コゴメグサとか、


シナノオトギリとか、


タカネニガナなど。オトギリソウと似ているけれど、葉の形が違いますね。高山植物を見る目ももだんだん養われてきたのではないかと自画自賛。


むしろ、頂上直下の花崗岩帯の方が花は豊富だったかも。
ハクサンイチゲ。


ミヤマダイコンソウ(ミヤマキンバイかも)


タカネツメクサ


イワツメクサ


これはGoogle先生にいろいろとお聞きしても同定できなかった花


駒津嶺に着くと、雲が相当濃くなっていました。天気予報では、前線が通過することが見込まれていました。上手くいけば前線の影響があるのは中部日本の北部だけで済むかもしれないと都合いいことを考えていましたが、やはりそうは問屋がおろさなない。


そして、ここからが辛かった。
有名な直登ルートと巻き道の分岐に至るまでの道ですが、やせ尾根の岩場で結構たいへんです。
土日の登山で甲斐駒に来ていた人の多くとすれ違うのも大変でした。
また、今回から使ったアタックザックがトレッキングストックを収納できない構造だったのも祟り、余計な荷物を抱えながら進むのはかなり無理がありました。
直登ルートを選んだのはよかったものの、体力的にも技術的にも、そして途中で降りだした雨のためにも、予想以上に苦戦しましたね。若い登山者に抜かれたし。


で、雨が降ってきて眺望がなくなったために写真もほとんどなし。
登ってみたいとかねてから思っていた甲斐駒ヶ岳2,967メートルの登頂は果たしたものの、感動は今一つでした。残念。やはり天気が登山には圧倒的に重要です。


その後、山頂から摩利支天に進んで巻き道を下山。
摩利支天では大国主命とか祀ってましたが、何を信仰している山なのかちょっと不明。


摩利支天から甲斐駒山頂を眺めるものの、雨に煙る。


そして、途中で濡れた岩でスリップして転んで若い登山者に笑われたりしながら何とか無事下山。
一応目標達成なので長衛山荘でビールを買ってテント場の近くの沢で冷やして飲みました。雪解け水は冷蔵庫より冷却能力が高いです。


ちょっと昼寝したら日が傾いていて夕暮れが迫っていましたが、雨はすっかり上がっていました。
翌日の天気は大丈夫そうです。


当初は、仙丈ケ岳分もいっぺんに書いてしまうつもりでしたが、時間がかかるし長いし切りが良いところで一度切ります。
仙丈ケ岳編は後ほど。


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