宜野湾市・首長選挙の政権候補者の再選に思う

2016-01-25 20:19:04 | 日記

宜野湾市・首長選挙の政権候補者の再選に思う

 

 沖縄・宜野湾市の首長選挙は「自・公政権」の国政選挙並みの取り組みで戦った現市長の再選が決まった。情勢の中では対決は「拮抗」と分析されていたが、結果的にはやや差がついた実情となった。

 早速、菅官房長官は現職の佐喜真淳氏が再選したことを受け、同飛行場の移設に反対する翁長雄志知事が掲げる「オール沖縄」を「実態と大きくかけ離れている」と批判し、「11ある沖縄の市の中で、(宜野湾市を含めて)9人の市長は知事と行動をともにしない。一目瞭然だ」と説明。「沖縄の基地負担軽減に政府を挙げて全力で取り組みたい」と述べたと報じている。(毎日新聞1月25日)

 しかし、当選をした佐喜眞氏は、米軍普天間飛行場問題を争点としながらも「固定化は絶対に許さない。今回はその選挙だ」と強調。最後まで「辺野古への移設」については触れることが無かった。普天間の返還については対立候補であった志村氏も、最大の争点として訴えていたことには変わりはない。投票を前にした有権者は、投票にあたって重視する点として、普天間飛行場問題などの基地問題が55・4%と答えている。そして「基地問題を重視する回答者のうち、佐喜真氏に投票すると決めた人は3割弱、志村氏は5割強だった」と琉球新聞は報じている。つまり、普天間、辺野古などの基地の撤去を求める世論は志村氏にあったということは一目瞭然であろう。さらに普天間の辺野古移設問題をめぐり、翁長雄志知事が前知事の埋め立て承認を取り消したことについて「支持する」「どちらかと言えば支持する」と回答したのは合計で61・8%に対し「支持しない」「どちらかと言えば支持しない」は計20・0%であった。

 沖縄の民意は「辺野古移設」にあるとする菅官房長官の政府表明は、明らかに「民意を否定する」もの以外何ものではない。

 それでは、選挙の結果を左右した要因は何かであるが、同紙は投票の選択で次に高かったのが「経済振興・雇用対策」であと報じている。そして佐喜真氏に投票すると決めた人は5割強、志村氏は2割が選択の基準にしたと答えている。

 そこで考えてみたい。普天間の名護市辺野古への新基地建設計画をめぐり、政府は昨年予定地に隣接する「町内会的な組織の辺野古、豊原、久志の三行政区」にそれぞれ最大1300万円の振興交付金を計上したことは記憶に新しいことである。三町内会への交付金を、当該首長(自治体)頭越しに金を渡すものである。まさに「金で頬を叩く悪徳商人」そのものと言えよう。

 国政選挙並みの取り組みと冒頭に記した。つまり与党議員がこぞって沖縄にわたり、それぞれの分野にわたる浸透活動を行ったと報じられている。それぞれが、それぞれの口先をもって巧みな公表されない「振興策」が伝えられたであろうことは十分にあり得る。それは、かつて自民党の幹事長であった石破氏が「段上で500億円の振興基金」を表明したことの反発から学んだ「どぶ板活動」であるとすれば、答えの出てくることではなかろうか。

 福島もまたそうである。とりわけ原発避難自治体に対する交付金攻勢はすさまじい。ある首長が「満額回答」だと表明する言葉も生まれるほどである。出す側も受け取る側も「あ・うん」の関係。これを断ち切れないところに、今回の宜野湾市長選もあったと受け止められないか。吟味しなければならない課題ではなかろうかと思う。