11月26日付『毎日新聞』コラム「発信箱」
大島秀利氏(環境科学部) 「象とクマ」より
【 象が突進して、人家を壊してまでほしがるような大好物はなーんだ?
ヒントは私も好きな物…。
こんなクイズを最近、自分の子どもや同僚に投げかけた。私自身が好奇心をくすぐられた記憶からだ。その答えは、象を研究するインドのラマン・スクマール博士とゴリラの専門家の山極寿一・京都大教授が先月、大阪市内で対談した際に出てきた。
お酒である。
博士によると、象は遠くからその存在を察知し、密集した人家があっても無関係な家を縫うようにしてお目当ての家にたどり着き、たるに入ったそれを飲み干すという。なぜ酒が好きになったのか! 山極教授が尋ねると、好きなフルーツが身体の中で発酵して酔いを経験しているからと思われるという。
だがことは深刻である。象が酒を確保する過程でその家が壊れ、人が死ぬこともあるのだ。
象と人間の共生を研究し今年度の「花の万博記念・コスモス国際賞」を受賞した博士はこうした衝突を軋轢と呼ぶ。軋轢は人間が農地を拡げた太古からあったと推定する。
国内では最近、ツキノワグマなどが頻繁に人里に下りてきて、軋轢が起きている。
博士は野生動物の研究から「多くの国で生じている軋轢の大部分は、お粗末な土地利用計画や、土地利用政策の欠如に原因がある」と指摘する。博士は自然資源を利用する地元の人々にも目を向け、保全事業を進めるべきだと訴えている。
野生動物との共生を図るには、インドの研究が参考になりそうだ。 】
JRの最寄りの駅から徒歩で15~20分のところにあるわが家の山にもいのしし、アライグマ、狸、雉など野生動物は現れる。柿を食べ、野菜を荒らす。来春の筍が心配だ。
どっちがどっちのテリトリーを荒らしたのか。
共存の道はあるのか。
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