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戦争を美化したい人たちがいる

2007年12月27日 14時06分16秒 | 読書

  戦争を美化したい人たちがいる 沖縄戦「集団自決」教科書検定問題

  アジア太平洋戦争末期、沖縄戦での「集団自決」をめぐり、文部科学省が高校用教科書の検定で「軍の強制」という 記述を削除させた問題で、同省は二十六日、検定意見の撤回は行わず、「自決せざるを得ない状況においこまれた」 とは書いても「強制」という記述は認めないとする検定結果を発表した。
 九月末の県民大会には十一万人を超す人々が集まり、党派を超えて運動を展開してきた。
 中でも高校生が「私たちがおばあやおじいに聞いてきたことがウソだったというのか」と訴え、この検定が若者の 心に大きな傷跡を残したことにあらためて怒りを感じたものである。
 強制と次第に追い込まれていったということでは大きく違う。軍は「死ね」と言って青酸カリを渡し、手榴弾を渡 した。「死を強制した」のである。このことを次代に伝えなくて真実の歴史を教えたことになるのか。 どうしても「軍はそんなに悪いことをしたわけではない」と言いたい人たちがいる。「南京虐殺」「従軍慰安婦」 などの問題を否定したい人たちとも重なる。
 侵略戦争を美化する「新しい歴史教科書つくる会」(会長、藤岡信勝氏)というのがある。このメンバーが200 5年頃から沖縄戦について「軍の強制」を削除する運動を開始する。
 政府、文部科学省は教科用図書検定調査審議会が「専門的・学術的観点」で調査・審議して「軍の強制」を削除し たものだと主張してきた。「検定意見」の原案は「調査意見書」というもので文部科学省の役人が作る。初等中等教 育局長らが決済し、審議会では意見も出ないまま検定意見となる。そして、日本史担当の教科調査官、審議会委員の 中には「新しい歴史教科書つくる会」の中心メンバーやその門下生が多数いる。 検定意見は侵略戦争を美化する勢力が、沖縄戦研究の到達点に反して、持ち込んできた政治介入だったことが明白 になったということである。

 日本史教科書執筆者の一人石山久男氏は語る。

 今回の訂正申請承認は、検定意見を撤回せず、その枠の中で「軍の強制」をあいまいにした記述しか認めないとい うものです。しかも文科省は、実際には教科書調査官と出版社との密室でのやりとりの中で、訂正申請した既述を書 き直させているのです。
 審議会の日本史小委員会が出した報告は検定意見を出した理由として「隊長の命令の存在が明らかでない」という 説が出ている、だから「だから軍の命令が有無が明かでないという見解が定着しつつあると判断された」と述べてい ます。隊長命令の有無と軍の命令・強制の有無とはまったく別の問題で、この説明には飛躍があります。にもかかわ らず、その検定意見を前提として訂正申請を再修正させています。
 部分的には実態を詳しく既述したり、沖縄の県民大会についての注記を認めるなど、この間の運動と世論を反映した 面もあります。しかし、「軍の強制」をはっきり書いてほしいという沖縄県民の願いや研究者の意見にはまったくこ たえておらず、執筆者としても納得がいきません。
 問題の根本には日本軍の犯罪行為を隠し、軍と国家に協力する国民を育てようという右翼、「靖国」派の政治的な 圧力があります。 引き続き、検定意見撤回の世論を広げることが必要です。同時に、既述の回復のために訂正申請を毎年やるなど粘 り強い取り組みもしていきたいと思います。
 今回不十分ながら審議の経過が公表されました。これを機会に審議会を公開させ、密室検定を改めるなど、制度の 改善を要求していくことも重要です。

  ほっとけない。ことは次世代の日本人の意識や人格の形成にかかわるのである。


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