現在の景気回復は、高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後最長となったのだそうだ。 国民の生活はどうなってる。労働者の給料は一向に増えない。労働者の権利は次第にはく奪され、ただ働き、過労死、ワーキングプア、失業、とただごとではない。 景気拡大の恩恵はだれが享受しているのか。
内橋克人氏(経済評論家)はいう。『毎日新聞』11月23日付 囲み記事
「賃上げなければ引き潮に」
【 現在の景気回復の間、企業の売上高はほぼ横ばいなのに利益は大幅に増えた。パートなど非正規雇用を増やし従業員の給料を減らしたリストラ効果が大きい。銀行の不良債権処理も公的資金と日銀のゼロ金利政策が原資で、家計から企業に所得の移転が進められた。
輸出と円安にも支えられ企業は業績拡大で貯まった資金を設備投資に充てているが、個人消費が盛り上がらないからIT関連の在庫が増えた。一方で若い人を中心に「働く貧困層」(ワーキングプア)が急増している。貧困マジョリティー(多数者)が形成されてつつあり、将来の大きな社会問題になるだろう。
企業は賃金を減らす一方で配当を増やして株式時価総額を最大化するといった考えを改め、労働分配率(もうけのうち人件費に充てる割合)を高めるべきだ。そして外需依存から、自立した経済に転換しないといけない。法人減税で企業が成長すれば家計にも恩恵が波及するという考え方は錯覚で、このままでは「上げ潮」どころか「引き潮」になりかねない。 】
「いざなぎ景気」
1965年から1970年にかけて5年近く続いた好景気。長らく第二次世界大戦後最長の景気回復期間とされてきたが、2002年1月を底に回復を続けてきた景気拡大が2006年10月時点でいざなぎ景気とならぶ57ヵ月となっている。いざなぎ景気という名称は、神武景気や岩戸景気を上回る好況という意味を込めて名付けられた。
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