みなべ梅林の遊歩道の傍らに小さい神社があり、県の天然記念物に指定されているイスノキ:柞の木(マンサク科イスノキ属)の自然林がありました。ユスノキ・ヒョンノキとも呼ばれるイスノキは、暖地性の広葉常緑樹で、伊豆半島から沖縄までの太平洋岸に自生します。みなべ町の晩稲、小殿神社境内17aには約110本が群生し、太いものは幹回り約3mに達するという立派なものです。自然林か植林かは不明ということですが、イスノキ以外には、マキ、クス、スギがわずかにあるだけなので、自然林ではないかと考えられています。大きな虫こぶがオカリナようになって音が出るのでヒョンノキの名があるくらいでイスノキには虫瘻が多くつき、現在までに発見されている7種ほどのうち、そのうちイスタマフシ・イスエダタマフシの2種は、日本で最初にここで発見されということから見ると、このイスノキ自然林は古くから学術的にも関心をもたれてきたのではないかと思います。
イスノキは、材が緻密で固く、ツゲと同様に古くから櫛に用いられたことが知られており延喜式に宮中でイスノキの櫛が使われたとの記述があり、平常宮跡からイスノキの櫛が多数発掘されたといいます。
白洲正子の著書「樹」では、イスノキを「檮」と書き、宮中では今でも婚儀などで実際にイスノキ櫛が使われるとか、昔は、天皇は一日使えば捨て、皇后は2日使って捨てたという話が載っています。
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