北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】インド海軍新空母艦載機ラファール,オランダ海軍ベルギー海軍将来対潜水上戦闘艦と台湾新型揚陸艦玉山

2023-09-26 20:01:44 | インポート
■防衛フォーラム
 今週は海軍関連の話題です。従来型の水上戦闘艦や潜水艦に加え海底ケーブル防衛という新しい脅威に対応する装備や思い切った空母艦載機のわだいなど。

 オランダ海軍とベルギー海軍は将来対潜水上戦闘艦共同導入について正式発注に至りました。これはタレス社とダーメン社が6月29日に発表したものでオランダ海軍とベルギー海軍が運用するカレルドールマン級フリゲイトの後継艦となります。計画ではオランダ海軍が2隻、ベルギー海軍が2隻の合計4隻を一括発注し共同調達するという。

 カレルドールマン級フリゲイトはオランダ海軍は1991年から8隻を導入した汎用フリゲイトで満載排水量は3320t、76mm単装砲とゴールキーパー30mmCIWSを各1門搭載するとともに護衛艦むらさめ型と同じMk48VLSを16セル搭載しシースパローミサイルを運用、ハープーンミサイル8発と短魚雷発射管にヘリコプター運用能力等を持つ。

 外洋航行能力を持つ最小限の水上戦闘艦として設計されたものの、オランダ海軍で現役に残るものは2隻、退役した艦の内2隻が2007年よりベルギー海軍に、同じく2007年より2隻がチリ海軍に、そして2009年から2隻がポルトガル海軍に再就役しています。今回建造されるのはこの後継艦で、4隻の建造に19億ユーロが想定されています。
■将来対潜水上戦闘艦
 あきづき型護衛艦が満載排水量7000tでしたね。

 オランダ海軍とベルギー海軍の将来対潜水上戦闘艦について。想定される水上戦闘艦は満載排水量6400tと現在のカレルドールマン級と比較して二倍の大きさとなります、全長は145mで全幅は18m、喫水は5.5mとされる。乗員は117名となる見通しで長期的な公開を見越した十分な居住空間、そして追加要員受け入れ能力などが設計に含まれる。

 将来対潜水上戦闘艦の武装は76mm艦砲とNSM対艦ミサイル、Mk54魚雷の運用能力を有し、他方で個艦防空能力についてはRAM個艦防空ミサイルの搭載能力に留めるという。特筆すべきは無人航空機と無人水上艇及び無人潜水艇の運用能力を重視している点で、オランダ向け一番艦は2029年、ベルギー向け一番艦は2030年に就役を予定している。

 カレルドールマン級フリゲイトを置き換える新型艦について、カレルドールマン級フリゲイトは冷戦時代の対潜作戦を念頭に外洋での最小限の排水量を見込んだために冷戦後の地域紛争多発には対応できず、他方ロシアウクライナ戦争により従来型の脅威が再燃したことも直視しなければならず、長期運用と多種多様任務への対応を期し大型化しました。
■新型揚陸艦玉山
 台湾海軍はアメリカから供与されたドック型揚陸艦も含め旧式化に曝されており国産艦建造能力を整備している。写真はホイットビーアイランド級ですが。

 中華民国台湾海軍は国産建造の新型揚陸艦玉山を竣工させました。玉山、発音ではユシャンとなる新型揚陸艦の竣工式には蔡英文総統も臨席し台湾海軍が本艦を重要視していることを示しています。建造は2018年予算として46億3500万台湾ドル、米ドル換算1億4593万ドルでCSBC造船へ発注、2020年起工で2021年4月に進水式を迎えています。

 玉山の全長は153mで全幅23mと喫水6m、満載排水量は発表されていませんが外見がアメリカ海軍のサンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦と共通点が多く、他方ではるかに安価です。13ノットでの航続距離は12500浬で最高速力は21.5ノット、兵員輸送能力や乗員数も公表されていませんが、過去台湾が建造した揚陸艦と比べ際立って大型となった。

 玉山、特筆すべきはステルス設計とともに際立って強力な各種兵装で雄風II型対艦誘導弾8発と天剣Ⅱ型艦対空ミサイル32発、20mmCIWS2基と127mm艦砲を搭載していて、更にUH-60多用途ヘリコプター2機の格納庫を有し、これをS-70哨戒ヘリコプターとした場合は水上戦闘艦に匹敵する打撃力を持ち、海上封鎖を突破する能力を有しています。
■共同特殊部隊支援艦
 イギリスのアルビオンが一般公開際れた際には揚陸艦そのものよりも各種装備のシステム化された体系に驚かされた。

 イギリス海軍とオランダ海軍は共同で特殊部隊支援艦を開発します。この背景として元々両国は水陸両用作戦部隊において1973年に協力協定を締結しており、イギリス海兵隊6500名の規模とともにオランダも800名規模の海兵隊を有しておりBvS.10全地形車両など装備面の開発で協力し高い作戦能力を有しており、今年は協定50年の節目の年という。

 特殊部隊支援艦の共同開発は1973年の協定締結50周年を記念しイギリス海軍揚陸艦アルビオン艦上において行われた記念行事に際し覚書の交換が為されています。その概要は不明ですが、沿岸即応群という新しい部隊運用を念頭に世界規模での特殊部隊運用能力を考慮するという、大型とも小型ともとれる内容であり、今後の開発展開が注目されます。
■707型補給艦レーン級
 ましゅう型よりも少し小型ということか。

 ドイツ海軍は新型の707型補給艦レーン級の起工式がブレーメンのマイヤーヴェルフト造船所において6月29日、挙行されました。新型補給艦が現在運用されているベルリン級補給艦の3隻と比べ同程度となっています、ただベルリン級以前の補給艦は小型給油艦が多く、当初ベルリン級は6隻が建造される計画が3隻で終了、この増強という意味合い。

 ドイツ海軍の作戦範囲が従来のバルト海に限られた時代からグローバルな活動へ拡大する現状に対応させるのが建造の狙い。707型補給艦は全長173mで艦隊燃料20000tを輸送可能、乗員42名に加え特殊部隊員など23名の便乗が可能で限定的なパワープロジェクションシップとしての能力を持ちます。起工式ののち、2026年までに進水式の予定です。
■ブーゲンビル火災事故
 火災事故というとボノムリシャールを思い出してしまう。

 アメリカ海軍が建造中の強襲揚陸艦ブーゲンビルが造船所において火災事故に見舞われました。事故は軽微であるとの事ですが、アメリカ海軍はワスプ級強襲揚陸艦ボノムリシャールが放火による火災により全損し修理不能となった事で除籍されており、その補填となる強襲揚陸艦ブーゲンビルの火災は一瞬悪い予感を感じさせたのは確かでしょう。

 ブーゲンビルはアメリカ級強襲揚陸艦、火災事故は6月29日の夜、上部構造物の飛行甲板よりも高い部分で発生しており、この火災により造船所職員数名が煙を吸うなどして治療を受けているとのこと。火災原因は暫定報告として当該区画では火気を用いた作業が行われており、これが可燃物に引火し少数の区画を焼いたものとされ、調査中とのこと。
■インド新艦載機ラファール
 フランカーが凄いという宣伝文句をひところおおくみましたが考えればあれはロステック社のステルスマーケティングだたのでしょうか。

 インド海軍は新しい空母艦載機としてラファール戦闘機を選定しました。これはシン国防相が座長を務めるDACインド国防調達評議会が7月13日に正式決定したもので、フランスより海軍型のラファールM戦闘機を空母艦載機として26機導入するとし、その為にインド政府とフランス政府の間でIGA政府間協定を締結する方針です。

 ラファール戦闘機は近年、エジプトやクロアチアとギリシャなど採用国を大幅に増やしていますが、いずれも空軍仕様のものであり、空母艦載機であるラファールMの輸出は今回が初めてとなります、それはF-35B戦闘機などSTOVL機を想定した航空母艦が世界の趨勢であり、従来型CTOL機運用空母を建造する国はインドなど限られているため。

 ヴィラートなど国産空母の建造を進めるインド海軍は現在空母ヴィクラマディーチャ艦載機にロシア製MiG-29戦闘機を運用していますが、同時に国産戦闘機テジャスの空母艦載機型を計画、しかし高速度性能の高さの代償に失速速度の大きいデルタ翼構造のテジャス艦載機化は簡単ではありません、そこで実績あるラファールを選定したのでしょう。
■ペルルを現役に復帰
 あれは流石に無理だろうと思いましたよ前半分溶けていましたから護衛艦しらね火災事故とは訳が違う。

 フランス海軍は火災事故により大破した原子力潜水艦ペルルを現役に復帰させました。6月30日の再就役式典、フランス海軍は2020年6月に造船所において火災事故に見舞われたペルルについて、艦の前部がほぼ溶け落ちる大損害を受けましたが、退役艦の前部を移植する方針を2021年4月に発表、その工事は難航が予想されていました。

 ペルルはリュビ級攻撃型原潜であり、フランス海軍には攻撃型原潜に余裕がなく、新造艦を待つリスクや一隻を退役させるリスクよりも修理を選んだ構図です。これには退役潜水艦サフィールの船体が応用され、実に10万時間の技術作業と120以上のケーブル再接続等実施、これによりペルルは少なくとも2028年まで現役に就くこととなります。
■イタリア海軍OPV哨戒艦建造
 こういう話題に接しますと忙しかったけれども横須賀のイタリア艦撮影へ行っていればよかったかなと思う。

 イタリア海軍はOPV哨戒艦建造費として9億2500万ユーロの予算を計上しました。これはOSNオリゾンテシミナヴァリ社とイタリア海軍が8月に正式に契約するOPV建造に関するもので、建造される哨戒艦は3隻、またこの費用にはメッシーナ基地とカリアリ基地及びオーガスタ基地における接岸施設の改良費用も含まれているとされている。

 イタリア海軍のOPV哨戒艦はいわゆる海軍の巡視船というような位置づけに留まらず、艦砲と機関砲やステルス設計の採用、艦型によっては艦対艦ミサイルを搭載しており一定程度の対水上戦闘や特殊作戦支援などに対応できるものがあります。なお、OSNオリゾンテシミナヴァリ社とはフィンカンティエリ社とレオナルド社の合弁企業となっています。
■ポーランド海軍AW-101
 シーホークではなく101を選ぶ背景には固定翼哨戒機の任務をもバルト海で担わせるということなのでしょうか。

 ポーランド海軍はAW-101対潜ヘリコプターの受領を開始しました。バルト海に重要なシーレーンを有するポーランド海軍は2019年に4億3000万ドルを投じてAW-101対潜ヘリコプター4機の導入を決定しました。今回の受領はレオナルドヘリコプター社から同社傘下でポーランド企業であるPZI社の整備施設に入り同国向け整備を開始するという。

 AW-101導入計画はポーランド軍が冷戦時代から運用しているMi-14対潜ヘリコプター後継機として選定が行われ、当初計画ではMi-14と同数の8機を取得する方針でしたが、その後性能や費用面から見直され4機となっています。ポーランド海軍では対潜用にくわえCSARシステムも搭載し、救難ヘリコプターとして運用する方針を示しています。
■海洋観測艦カルクグルント
 日本も深海の海底ケーブル警備用の艦艇は必要という時代には行ってきました。

 ドイツ海軍が新しく導入する海洋観測艦は艦名がカルクグルントと命名されました。近年海底ガスパイプラインへの攻撃の発生や海底通信ケーブルへの攻撃の懸念から海軍の任務に深海での敵対勢力による破壊工作の阻止という、従来の水上戦闘艦のASW対潜作戦よりも深い水深での作戦が求められ、これにより海洋観測艦の重要度が高まっています。

 カルクグルントはドイツ海軍が導入する51.7m型海洋観測艦2隻のうちの一番艦で建造はドイツのファスマー社が担当します。現在この任務にはブライトグルントとミッテルグルントという支援船が当たっていますが、建造されてから間もなく60年を迎える老朽艦で代替艦が求められていました。新型艦は海洋観測のほか、訓練支援任務にもあたります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-二条,チロルのクリームソーダかソーダ水か暑さの日々と

2023-09-26 07:01:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 榛名さんの総監部グルメ日誌改め"榛名の京都呑み"にしてはという助言を頂きましたがちょっとなあ。

 今年の夏は異常だ云々という言葉は毎年のようにきくのですが、熱すぎれば異常気象で冷夏だと異常気象という、確かにそうなのだけれども、それでも最高気温を30度くらい、いや33度くらいで早朝くらいは涼しく夕刻に夕立がある夏なんかが、いいね。

 暑い季節には冷涼な地下水がわくところならば、すこしからだを浸せば冷涼感を何とか感じられる、京都の場合は平安遷都の頃に湧き水があった、今の神泉苑のあたりがその水源となっていました、いまは隣に二条城が掘割に水を引き、そして喫茶店も隣にある。

 チロル。神泉苑の隣の喫茶店、といえばわかりやすいのですが、レトロな雰囲気、そう喫茶店という概念が日本に定着したころの昭和の気風を古都京都に湛えている、知る人ぞ知る、のだけれどもKBS京都の番組がBS放送で流されて知名度が上がったお店だ。

 クリームソーダ。このチロルさんのいいなあ、と思うのは店員さんが多いこと、それはたくさんのお客さんがめいめいに定番の珈琲もアイスティーでもなんでも注文した際に直ぐ供せられるように、というところだが。間違えて単なるソーダ水を注文しちった。

 ソーダ水改めクリームソーダへ、伝票も早速書き換えてくれた。まあ、ソーダー水は注文してもクリームソーダ明るい時間に注文するような年齢層に見えなかったという事か、落ち着いた年頃になったというわけですね。アイスクリームの白さが涼しげです。

 アイスクリームをいつソーダのなかに混ぜて食べてしまうか、というのは悩むところだ、最初に全部ぱくぱくやってしまうのもいいし、最後までストローでソーダ水だけ頂いてデザートのように頂くのもよい、それを考える時間そのものが心の休憩なのだから。

 ブルーハワイ的なソーダからメロンソーダに、いろいろな、珈琲フロートもティーフローとも選ぶことができます。ただ、人気店故に、といいますか二条城散策の際による方も多いのか、待っている方が多くなると、もう呑みおえなければと思うのだけれども。

 神泉苑のあたり、バス停も店の目の神泉苑前に設置されていますが、賑やかすぎる二条城お堀沿いではなく、一本下がったところにありますここチロル、熱い最中にちょっと休憩を、と探訪するには、なかなかお勧めの喫茶店なのですよ、よろしければ皆さんも。

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【防衛情報】メルカヴァMk3輸出,K-9block1アップグレードプロジェクトとLTAMDS低層階層防空センサー

2023-09-25 20:01:41 | インポート
■防衛フォーラム
 韓国がK-9の改良型開発を始めるようで、日本もそろそろ射程40kmで満足している99式自走榴弾砲の砲身を伸ばし100kmまで射程を延伸させる時代です、南西諸島防衛に射程100km火砲による警告射撃能力というのは非常に有用ですからね。

 韓国国防省はK-9自走榴弾砲の抜本的な改良型開発計画を承認しました。これは7月3日の韓国国防省発表によるもので、K-9block1アップグレードプロジェクトと仮称されています。その改良は52口径155mm榴弾砲砲身の更なる延伸による射程の延伸と自動装てん装置の採用による射撃能力の強化で、計画は2027年8月までを目途とします。

 K-9自走榴弾砲は現在世界標準自走砲といわれるほど、欧州やアジア地域などにおいて販路を拡大している52口径155mm自走榴弾砲ですが、計画ではまずこの砲身を58口径に延伸する、58口径砲はアメリカ陸軍はM-1299自走榴弾砲としてM-9自走榴弾砲の改良型を試験中ですが、これにより通常榴弾で射程80㎞、有翼弾により100㎞を目指す。

 58口径への方針延伸とともに自動装てん装置を採用、現在は砲撃の際の反動御利用する半自動装てん方式が採用されていますが、砲弾及び装薬の装填を自動化することで乗員数の削減を目指すとのこと。現在採用されているK-9自走榴弾砲の量産型であるK-9A1型では最大射程はK-307通常榴弾で40㎞、射程延伸弾K-315で54㎞となっています。
■ラインメタル社製トラック
 日本の場合は一気に買い替えるのではなく毎年一定数を調達し続ける方式ですが一気に買い替える国もある。

 ドイツ連邦軍はラインメタル社製トラック357両を追加調達します。この契約は2020年のトラック近代化計画の修正として調達数を上方修正したもので、2020年の契約では最大4000両のトラック導入を契約していたため今回の357両はそのオプション契約行使というかたちとなります。なお、既にこの契約に基づく600両が納入されているとのこと。

 ラインメタル社との契約はPLS方式などトレーラ1830両を含むとのことでその契約金額は2億8500万ユーロ規模に上るとのこと。一部車両は防弾型とされていて、ドイツ連邦軍は長期間に少数を調達し続ける日本の自衛隊のような五月雨方式ではなく、十数年に一度数億ユーロを投じて一気にトラックを購入し近代化させる方式を採用しています。
■ACV水陸両用装甲車とレックスMk2
 歩兵火力の増大に併せて従来型の水陸機動作戦は一個小隊でも海岸線に敵が残っていると携帯対戦車ミサイルで大変な事になる、それを回避するための模索を各国が進める。

 イギリスのBAEシステムズ社はイスラエルのエルタシステムズ社とともにMUM-T有人無人システム評価試験を実施しました。この実験にはアメリカ海兵隊へ納入しているACV水陸両用装甲車とレックスMk2無人歩兵支援車両が参加、レックスMk2は四輪駆動型など小型車両方式の無人車両でオプションに六輪型がブルドーザー型などがあります。

 ACV水陸両用装甲車の海岸での行動を最も制約しうるものは水際地雷と海浜の対戦車地雷です。地雷はロシアウクライナ戦争においてドイツ製レオパルド2A6戦車も被害に見舞われていますが、レックスMk2のような車両をACVの予想進路に先行させ地雷を処理する、若しくは海岸線の防御陣地を索敵し制圧するなどの用途が、考えられるでしょう。
■スマートシューター
 スコープだけでMINIMIがかえるほどなのですが必要な装備という以前に必須の装備となりつつあるのがスマートスコープです。

 イギリス陸軍は無人機対策としてSMASH小銃用火器管制システムを緊急取得します。これは見こし照準などを行い5.56mm弾薬を数百メートル先の小型無人機や1㎞近く先の人間などに正確に照準するもので、ダットサイトのように小銃にそのまま取り付けることが可能、ロックオンすることと見こし角度にそって手動で小銃を射撃し命中させるもの。

 SMASH小銃用火器管制システムはイスラエルのスマートシューター社製、イギリス陸軍への納入はバイキングアームズ社が担当しています。イギリス陸軍は225基を580万ドルで緊急調達し今年中にイギリス陸軍緊急展開部隊へ配備するという。イギリス陸軍は既に現用のL-85小銃へのSMASH小銃用火器管制システムの適合試験を完了しています。
■メルカヴァMk3キプロスへ
 第二世代戦車では最も生存性に配慮していて90式のように複合装甲を有するものはMk4からなのだけれども、相手がAP弾を使わずMP弾を使う状況ではやたら乗員が安全という。

 キプロス軍はイスラエルよりメルカヴァMk3戦車中古の導入を検討中、イスラエル国内報道で報じられました、日刊紙ハアレツの6月22日報道によればキプロス政府が現在イスラエル政府との間で中古のメルカヴァ戦車導入交渉をおこなっているものの、今後の決定など詳細はこれからの調整があるとして当局者が示さなかった、としています。

 キプロス国家警備隊、キプロス軍に当たる組織の兵力は現役兵員1万2000名と予備役7万5000名、1個機甲旅団と4個機械化歩兵旅団に1個歩兵旅団を有していますが大半は予備役兵で主力戦車は2011年までにロシアから取得したT-80戦車82両とフランス製AMX-30B2戦車で、T-80は今後の予備部品が、AMX-30B2は旧式化が懸念されます。

 メルカヴァMk3戦車は複合装甲を採用しない独自の設計哲学の一方、車内のあらゆる場所に中空装甲を配置しHEAT弾に対する圧倒的な防御力の高さと、独特の車体前部にエンジンを配置するフロントエンジン方式の採用で乗員の生存性を第一に考えた原型メルカヴァの設計を踏襲し、改良型開発まで1989年から2003年まで量産されていました。
■M-10ブッカーMPF装甲機動砲
 輸送機に2両積める戦車的な装備というC-17をもっているアメリカはちょっとうらやましいけれども日本も36tまでならばC-2に搭載可能です。

 アメリカ陸軍はM-10ブッカーMPF装甲機動砲初期生産へ2億5700万ドルの契約をジェネラルダイナミクスランドシステムズ社との間で締結しました、この契約によりM-10ブッカーの車体構成要素の内、ミシガン州スターリングハイツにあるジェネラルダイナミクスランドシステムズ社工場での車体構成要素の生産がさっそく開始されます。

 M-10ブッカーMPF装甲機動砲、陸軍ではこれは軽戦車ではなく突撃砲であるとしていますが、ASCOD装甲戦闘車の車体を基に105㎜ライフル砲を搭載し、38tの車体にまとめたもので、軽戦車ではありませんが対戦車戦闘にも対応し2㎞以内の距離でT-72B3戦車などを撃破するといい、6月9日にMPFの名称がブッカーと公式に発表されています。
■ポーランド軍ペトリオット
 必要性は理解するがK-2戦車900両とかアパッチ100機にF-35戦闘機と新型フリゲイトを一気に建造するポーランドは当面お支払いが大丈夫なのかという事と、30年後に来る更新装備調達の目処も大丈夫なのかと。

 ポーランド軍が導入を希望するペトリオットミサイルシステムについてアメリカ国務省が有償供与を承認しました。アメリカ国務省の6月28日発表によれば、ペトリオットミサイル発射装置や射撃統制装置を中心に予備機材や教育資材を含めた150億ドル規模の有償軍事供与を承認したといい、このうち射撃統制装置は改良型の全周警戒型という。

 LTAMDS低層階層防空センサーという2022年5月に試作型の評価試験が開始し有れたばかりのものはこの改良型の全周警戒型であり、ペトリオットミサイルは自衛隊も運用運用するAN/MPQ-53レーダー型と2017年に開発され軽快範囲を拡大したAN/MPQ-65A-AESAレーダー型がありますが、これよりも性能が強化されています。

 ペトリオットミサイルのポーランド輸出は、発射装置48基と少なくとも3個射撃中隊分のLTAMDSレーダーを含むとのこと。ポーランドは2022年以来ウクライナロシア戦争におけるS-300ミサイルの流れ弾などの領土内着弾を経験しており、150億ドルは巨額ではありますが、S-300ミサイルを置き換える防空能力の近代化が求められていました。
■ジャベリン改良型LWCLU
 改良により射程がTOW以上に伸びたのは正直に凄いと思う。

 アメリカのロッキードマーティン社とレイセオン社はジャベリン対戦車ミサイル改良型LWCLUの量産を来年にも開始すると発表しました。LWCLU軽量型指令発射装置は現行機種と比較し2㎏の軽量化に成功、またジャベリンミサイルは射程を2500mから4000mに大幅に延伸したジャベリンFに移行する為、照準性能なども強化されています。

 ジャベリンFの特色は非冷却型熱線画像装置の採用により冷却装置が不要となった点が挙げられ、これが軽量化に寄与しています。射程4000mはTOW対戦車ミサイルの3750mを凌駕するもので、タンデム弾頭とトップアタック方式の採用により第三世代戦車にも致命的な威力を発揮し、戦車に天蓋が囮用熱源などの採用を強いている構図です。
■韓国軍CH-47Fを18機取得
 川重がやっている様に韓国がKAIにチヌークをライセンス生産させないのは謎だ。

 韓国軍はアメリカよりCH-47F輸送ヘリコプター18機を取得する正式契約を結びました。CH-47F輸送ヘリコプター18機の取得費用は予備部品などを含め7億9300万ドルに達するとのこと。ボーイング社はCH-47F輸送ヘリコプターの製造ラインを2027年までに完了するとのことで、今回の韓国軍向けが最後の製造となる可能性があるとのこと。

 CH-47F輸送ヘリコプターは現在受注している機体として、アメリカ陸軍向けの機体が6機、合衆国特殊作戦軍向けの機体が36機、そしてイギリス陸軍向けの機体が14機となっています。ただ、スペイン陸軍がCH-47F輸送ヘリコプターの追加調達を計画しており、実現した場合は更に15機が増強されるとのことで、製造延長の可能性もあるという。

 CH-47F輸送ヘリコプターの製造終了後、ボーイングは改良型のCH-47G輸送ヘリコプターへ製造を転換します。CH-47F輸送ヘリコプターとCH-47G輸送ヘリコプターでは航法装置やデジタルコックピットの採用、また搭載貨物の乗降能力が進歩しているとの事で、CH-47G輸送ヘリコプターの導入への需要もドイツ連邦軍など多数あるようです。
■EE-9カスベル装甲偵察車の延命
 性能と要目を見る限り日本の87RCVよりも古く又要求性能も低いものですから新しいのを買った方が良い様にも。

 ブラジル陸軍はEE-9カスベル装甲偵察車の延命改修を実施しました。カスベル装甲偵察車はブラジルのエンゲサ社が開発した装輪装甲車で、第二次世界大戦中にアメリカが開発したM-8グレイハウンド装甲偵察車の後継として1974年に開発されました、ただその後エンゲサ社は倒産しておりEE-9カスベル装甲偵察車の去就が注目されています。

 EE-9カスベル装甲偵察車は、戦闘重量14tで90mm低圧砲を搭載しています。その延命改修はアカエルエンガンハリア社やコンソルシオフォルサテレストレ社にユニバーサルインポータスコ社など複数の製造業コンソーシアムが共同受注しており、改修においてエンジン換装や秋周りの更新、対戦車ミサイルの運用能力が付与されているとのこと。

 EE-9カスベル装甲偵察車について、1800両近くが量産され20か国以上に輸出されており、一方で火器管制装置は1970年代水準でありブラジルではイタリア製チェンタウロ2戦車駆逐車への置き換えが発表されています。他方、EE-9カスベルを延命すれば税金を節約できるとの訴訟が起こっており、今回の改修の展開は一つの関心事といえましょう。

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ウクライナ情勢-ウクライナ軍ヴェルボヴェ西方奪還とクラスノホリフカ北鉄道線東方に前進,ロシア軍ライホロドカ西に再侵攻

2023-09-25 07:00:32 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 戦況が動いています。イギリス国防省とアメリカ戦争研究所の分析を元にヴェルボヴェ西方とそしてクラスノホリフカ北にライホロドカの西という三地点から概況を見てみましょう。

 ウクライナ軍は最近クラスノホリフカ北の鉄道線東方まで前進した、ISWアメリカ戦争研究所9月14日付戦況分析において概況が発表されました。クラスノホリフカ北とはアヴディエフカの北9kmに位置し、アヴディイフカとドネツク市を結ぶ線に沿って激戦が展開されている。アンドリイフカでは一時的にウクライナ軍が市内中心まで進出した。

 アンドリイフカは東部戦線中央部に当たり、ISWアメリカ戦争研究所9月14日付戦況分析ではウクライナ軍が優勢を獲得しつつある東部戦線南部において、顕著な攻撃等は無かったとしていて、これは東部戦線中央部のウクライナ軍前進へ戦力が集中されている可能性を示しています。鉄道線の確保はロシア占領軍の兵站輸送に大きな影響を与えます。
■ライホロドカの西
 鉄道線を奪還しロシア補給路を遮断する一方でロシア軍は一部で再侵攻の徴候を見せウクライナ軍の誘引を企図しているような動きが。

 ロシア軍がライホロドカの西に前進した、ISWアメリカ戦争研究所ウクライナ戦況分析9月15日発表分に概要が示されていました。ロシア軍はクピャンスクとスヴァトフとクレミンナを結ぶ線に攻撃軸を置いて攻撃を継続しており、ウクライナ軍情報としてこの期間にはクピャンスクとライマン方面での攻撃を行わず、部隊を集中させ始めている兆候です。

 東部戦線北部におけるロシア軍前進に対して、東部戦線中央部ではウクライナ軍はアンドリーフカを9月14日までに奪還、一方で東部戦線南部ではウクライナ側発表として、オリヒフ南東18kmヴェルボベにおいてロシア軍にかなりの損失を与えたとしています。ロシア軍事ブロガーは同時期にウクライナ軍がドニエプル川を渡河したとしています。
■ヴェルボヴェ西方争
 公開された映像の背景などから地域が実際に奪還されているかを分析するという地道な作業の産物です。

 ウクライナ軍はヴェルボヴェ西方をその制圧下に奪還した、ISWアメリカ戦争研究所が9月16日付戦況分析において発表しました。オリヒフの南東18kmにあるヴェルボヴェではウクライナ軍がロシア軍防御陣地付近を移動する様子などが動画として発表され、ヴェルボヴェそのものにウクライナ軍は展開していないものの、ロシア軍も確認されない。

 ヴェルボヴェからロシア軍が撤退している可能性を示しています。これはこの数日間において大きな動きが確認されなかった東部戦線南部戦域において、小康状態はロシア軍が部分的に後退していた可能性を示すものです。一方、中部のバフムト周辺ではウクライナ軍第3旅団がクリシュチフカ近郊において攻撃前進に成功した映像が公開されました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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【G3X撮影速報】小松基地-武士道23日豪共同訓練(2)器材準備-小松基地航空祭への備忘録(2023-09-07)

2023-09-24 20:21:05 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■北陸特急の車窓から
 撮影に行く前に今一度カメラバッグの中を点検しトラブルへの想像力を高めて事前の対策を行おう、小松基地航空祭への備忘録だ。

 え、えらいことや・・・、せ、戦争じゃ・・・。いや間違えたかな。え、えらいことや・・・、せ、清掃じゃ・・・、が正しい。前回、小松基地へ行くぞとの意気込みと共に小松駅で特急を撮影するとCMOSセンサー真ん中に特大のホコリが付着、撮影に支障する程と気づきました。

 EOS-7Dmark2と、そしてコンパクトで実績を積んでいる70-300mmDOレンズにするか、EF100-400mmISレンズにするか。サブカメラはEOS-7Dでは重すぎるし、EOS-5DmarkⅣは更に重いし、EOS-M5でもいいよね。そしてpowershotG3Xを持って行くかあ。

 小松駅に到着して、CMOSセンサーの一番大事なところに特大のホコリが貼り付いていた、ブロワーで吹き飛ばすのが一番なのだけれども、肝心のブロワーを置いてきてしまった、さあ大変だ。小松基地武士道2023演習撮影は、それ以前の問題から始まった。

 キタムラ。偶然だけれども、小松市には織田家縁の寺院が内陸部にありまして、特急の車窓から小松駅到着まえに特に意味もなくその方角を眺めていたのです、するとちょうどあと一分少々で小松駅に到着するところで、カメラのキタムラ看板が、と気づく。

 CMOSセンサーに異物が貼り付いたままでは撮影なんてできません、金沢まで家電量販店を探すか、いろいろ考えた先に思い浮かんだのがさっき見えたキタムラ、ということでとりあえず行ってみたわけです。案外中古品コーナーなど揃っていて驚きです。

 EOS-7Dmark2、ここまで特大のホコリがついたのは初めてかもしれない、無事店内でホコリを吹き飛ばすと、店員さんが一応点検してみましょう、と親切に確認してくれまして。これでいよいよ万全の体制で臨むことができるようになりました、ブシドーに。

 武士道2023、オーストラリアからはF-35A戦闘機が長躯日本間で展開しているという、そして見えましたヴェイパーを曳いてF-35が大きく旋回する姿を、北陸新幹線の高架付近で。いや遠すぎますよ、しかし探してもこのあたりにタクシーは全く見えません。

 小松空港到着は、予定よりもかなり遅くなりました。そして見えていましたよ、F-35が着陸してゆく様子がね。ブロワーをしっかり確認していれば、小松空港展望デッキでみることができたのだろうなあ、今日は成る程ランウェイチェンジしているのかあ。

 ランウェイチェンジ、ちょっとこれも気がかりでした。そういうのも小松空港展望デッキから、金沢方面へ向けて離陸するランウェイチェンジでは、離陸は迫力ある構図を撮影できる、けれども着陸は完全に滑走路上を車輪で動く様子しか撮影できない。

 北陸までやってきたのだから飛行している様子を撮影したいものです、けれども肝心のオーストラリア空軍は既に着陸してしまった。どうなるのかなあ、というものでした。考えればイタリア空軍も台風遅延により撮影はあまりしっかりとできなかったなあ。

 イタリア空軍のことばかり考えていましたら、F-15戦闘機の日伊合同訓練特別塗装機が出てきてくれまして、そうそうこれも撮りたかったのだよ、とちょっと安堵しました。オーストラリア空軍との特別塗装機も撮影できましたので、さすがに気分が高揚します。

 台風といえばこの撮影に行きました費は突如出現した台風13号が今年の台風としてはあり得ない速度で日本に接近しており、なんと三沢基地航空祭をねらっている経路をとっている、ただ、この日はその関係でしょうか、晴天なのですが風が常に吹いていまして暑くはなく、快適でした。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-花園,アイスコーヒーはコードネーム“花園”香り立つ時間です

2023-09-24 18:28:05 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 京都散歩はカメラ片手に寺社仏閣拝観参拝に書店巡りと焼き物巡りに調度品巡りと鉄道散策から美術館まで様々な見どころがあるのですが、その際にちょっとだけ喫茶店へ立ち寄る。

 コードネーム花園-香り立つ時間です。・・・、うん。北大路機関というのは影響されやすいわけではないのだけれどもハマると延々続くという印象がある。だからこそこういう文章を延々と紹介し続けているのですが。こちらは花園駅前にある。

 スパイ教室、面白いですねえ。スパイ小説というもので姿勢を正しすぎますと肩すかし膝かっくんを喰らいますが、日本の創作物は斜め上からの一撃が得意だ、例えば世界のサメ作品の一石を投じた怖くないサメモノ、お出かけコザメのように。

 アイスコーヒーを注文、そして落ち着く。煙草のニオイが少々ノドに厳しいですが、花園のリリィさんはそういうものに耐性があるのだったか、わたしには無いや。看板だけをみて入った、いや喫茶店があるのは知っていたが風景の一部でしかなかった。

 珈琲を、甘くせずブラックで正解だった、少々煙草のニオイがたん絡むけれども、一口含み周りを見渡すと、古いが磨き上げられたカウンターと喫茶店らしいおおきすぎないテーブルにレンガの壁という落ち着いた店内、時間が磨き上げた店だ。

 マダム、お店をきりもりするのは宮津出身、テレビはいっさい見ないが無類の映画好きで歴史の好き。聞けば、かの勝新太郎御大の事務所がとなりにあって、大映撮影所も近かった故に映画のスターが昔はよく立ち寄り、上でドラマ撮影ロケがあると。

 藤田まことといえば、京都殺人案内か、いや必殺シリーズよ、と。夫婦旅さらば浪人もなかなか、というような話題から、水面に水滴が弾んだり流れたりする情景を撮影できる場所や葵祭の散策まで、ちょっと面白い話題が自然にただよっている。

 珈琲の香りとともに、こういうお店では雰囲気を楽しむというところなのですが、常連のご婦人ともども歴史と映画と写真にカメラ、雰囲気が客を選ぶといい、同好の方々が自然に集う、ということを実感します。ちょっとの休憩のつもりが、楽しい。

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【京都発幕間旅情】養老鉄道600系/旧近鉄600系,ラビットカーサイクルトレインにみるローカル線の輸送力

2023-09-24 07:00:46 | コラム
■サイクルトレイン
 鉄道の利点は大量輸送力だといわれるところですが所謂満員の通勤電車や貨物列車以外にも当てはまる点があります、単純に車内がバスよりも広い。

 近鉄600系電車、現在は養老鉄道600系電車、1992年に近鉄が通勤電車近代化の一環として導入し2007年の近鉄養老線の養老鉄道への移行に際して近鉄から養老鉄道に移管された車輛、なのですが順次東急電鉄中古車により置換えが進み転換点を迎える車両という。

 ラビットカーと呼ばれる電車なのですが、養老鉄道ではサイクルトレインとして自転車の持ち込みが可能となっていまして、57kmに及ぶ揖斐川駅から大垣駅を経由し桑名駅までの路線、自転車がそのままもちこめます。自転車、バスには載せられぬ鉄道の輸送力だ。

 鉄道の輸送力、というものが今後代替交通手段との比較として問われる事となるのかもしれません。それはバスの大きな限界、車椅子での移動に対する輸送力です。もちろん、赤字路線に対して車椅子移動補助を要請することの難しさは理解しているのですが。

 車椅子補助は、社員十数名と運転士数名が若干数の車両を運行する零細鉄道会社には負担であることは理解するのですが、かつての400系新幹線の様なホームと車両を繋ぐ自動渡し板構造物追加などで、電動車椅子ならば自力乗車することは不可能ではありません。

 バス一台に車椅子一台二台、というならば鉄道をバスに代替した場合でも輸送することは不可能ではないでしょうが、五台十台となれば、鉄道の輸送力が必要となることは間違いありません。現行法で、車椅子移動は待ってもらうことは出来ますが拒否は許されない。

 鉄道の輸送力、これからの超高齢社会、既に今年の敬老の日で、人口の一割が80歳以上となっている状況で、車椅子移動の需要は増大することは必至なのです。もちろん、高齢化の進む地方では、この場合、駅中心の集住など再転換の必要性は生まれるのですが、ね。

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【G3X撮影速報】今津駐屯地創設71周年記念行事(2)観閲行進幕開けの16式機動戦闘車(2023-09-03)

2023-09-23 20:22:03 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
戦車との別れは愛犬との
 74式戦車から16式機動戦闘車に乗り換えた方、単純計算で2個中隊が1個中隊に半減しているのですが新装備を使いこなそうと物凄い努力だ。

 秋と言うことで多少涼しく、なったと思ったのは早朝の早とちりでして、実際今津駐屯地についてみると暑い、石碑に風林火山とあるけれども、風がない。カメラバッグで場所取りして背後10mのところにあるモミジの木下に退避し、少しでも涼もう。

 戦車が、前に同じ撮影位置を確保した際には74式戦車がずらりと並んでいて、観閲行進と整列した戦車を撮影する最適位置は40mほど離れているので、どの時機に移動するか撮影構図を考えたものですが、戦車が減って考慮の必要もなくなりました。

 74式戦車、古い。実はその昔にはある程度近代化改修したならば用途はある程度あるのではないかと考えてはいたのですが、2022年にロシア軍が現役に復帰させたT-62戦車、2014年に退役しているので8年間放置されていた、今年はT-55も現役復帰した際は思った。

 観閲行進は第3戦車大隊改め第3偵察戦闘大隊が16式機動戦闘車、第10戦車大隊の74式戦車を中心に行われました。ただ、2個大隊と方面無人偵察機隊に方面移動監視隊とあわせて車両が46両、という。理由は簡単で伝統的に戦車部隊の観閲行進は各中隊から1個小隊しか出さないものですから、どうしても数は。

 戦車大隊の編成は現在2個戦車中隊と大隊本部、人員にして250名ほどだったと記憶する。偵察戦闘大隊が270名くらいだったか。しかし、戦車4個中隊時代の戦車大隊は人員が540名ほどでしたので、これはここ地元高島市の過疎化にもつながりそうだなあ。

 少子高齢化を考えるならば、無理に普通科連隊を維持するのではなく戦車大隊に普通科中隊を加えた戦闘団を標準編成としたほうが、単純なたし算で戦車大隊250名に普通科中隊が220名で人員規模は470名ですが、なにしろ戦車が配備されているほうが防衛には資するようにもおもうのですが、ね。

 10式戦車は2013年までは第3戦車大隊に、2016年度配備予定ということで意気軒昂の盛り上がりがあった、という話を当時聞きましたが、防衛力整備の重戦力見直しにより戦車大隊そのものが無くなることに。偵察戦闘大隊に戦車中隊があって良いとはおもうが。

 ナナヨンは、しかし寿命という。一番新しい車両でも30年以上走り回っているのですから、これが限界なのでしょう。ナナヨンは豊川に連れていけません、と装備品展示の説明にあたる戦車乗りさんが寂しそうに話していたのを思い出す。そう豊川へ行く。

 偵察隊と戦車大隊を廃止して新編される偵察戦闘大隊は豊川駐屯地に移駐するという。当初春日井に移駐するといわれたけれども、さすがに射撃場から遠すぎる、戦闘中隊だけ残る可能性を考えたが、豊川駐屯地へ移駐するという。あそこなら東富士が近い。

 豊川駐屯地にナナヨンは連れていけない、自衛隊では人馬一体の伝統を引き継ぎ、人車一体として教育と訓練を重ねる。だからわかれるのは辛いだろう、10年以上使ったカメラを手放すよりもたぶんつらい、戦車との別れは愛犬とわかれるようなものか。

 自衛隊の戦車は、しかしソ連時代に短期間でT-55はT-62に置き換えられ、T-62も早い時期に後継のT-72が開発されていますので、使い古される前に倉庫へ向かっています、すると毎年延々と有事に備えまじめに訓練していた自衛隊の戦車とは根本的に事情は異なる。

 車体部分を置き換えて砲塔システムを刷新するとまだまだ使えるという、ヒョーロン家の話を聞いたことがありますが、10式戦車の車体に置き換えて10式戦車の砲塔を積んだものは、それ74式戦車なのか、という素朴な疑問を無視した一種の暴論とおもったもの。

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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-三条新町に隠れ家とグレープフルーツの生絞りトニック割と牛ほほ肉の赤葡萄酒煮込み

2023-09-23 14:41:03 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 三条通という一本の道は油断すると東山と四宮から嵐山の渡月橋まで行ってしまうけれども、お散歩していると変化に富んでいてうれしい。

 京都散歩。目の回るような灼熱は漸く暑いなあという段階を、夜になると涼しいよね、という程度まで抑えてきまして、冷房空調の利いた部屋から出た瞬間のうっと来るような苦行、別の日本語では外出という、こうしたものはなんとかひと段落し、ほっとしました。

 三条通りは三条新町、三条通り商店街と烏丸御池駅の中間あたりに町屋の狭間にぽっと開いた入口に至る先、秘密基地のような迷路のような京都迷宮案内の先、京町屋の奥に在りましたお店は、ブラッスリーヴァプール、まごうことなきフレンチのビストロだ。

 グレープフルーツの生絞りトニック割を最初の一口として選びまして、カウンターに広々と陣取った目の前に、そう今日先程に撮影しました写真をデジタルカメラにて表示する、口に広がる果汁の酸味に痺れる甘さを転がしながら、撮ったばかりの伽藍の情景を愛でる。

 ジンの季節、そう夏は終わりつつあるなあ、と思いつつ今年はボンベイばかり嗜んで、タンカレーやゴードンの栓は抜かなかった、キニーネの苦味を再現したサファイアを勝手に夏の飲み物と考えていたけれども、この冬はゴードンかタンカレーで過ごしてみようかな。

 オードブル三点盛。お勧めの料理は、と問われれば先ずわたしはこの三点盛りを思い浮かべます、毎回違いメニューが並び、そして基本的に全部美味しい、この日はシャンパーニュ地方産のチーズとメロンの上に載せられました生ハム、とともにウサギのリエット。

 ウサギのリエット。旧海軍などはウサギ肉を代用肉として戦時中重宝していて空母赤城ではウサギグラタン、戦艦榛名でもウサギのスキヤキが、とは聞くのですがリエットに仕立てますと不思議な甘みを湛えてさっぱりとした味わいとなめらかな食感がうれしい。

 ハートランドビールを。ベルビーギールのヒューリンゲンは売り切れ。これからいろいろ廻ろうと思っている中の休憩ですので、いきなり強いのを頂くと夜が終わってしまう、ハートランドは瓶ビールで供されるお店が多いのですが、ここのは生ビールをサーバーから。

 ビールの爽やかな苦み、と炭酸か。ぐぐいとグラスを傾けて、しかし一気に煽るようなことはせずに飲み込んだ嗜みの一呼吸置いた先に二酸化炭素をふうと。その合間に肴をちびりと突いて。そして写真をカメラの再生とともに愛でて、そしてビールをまたひとくち。

 牛ほほ肉の赤葡萄酒煮込み。フォークでさくりと載せて圧してみるだけで解れてゆく煮込み料理は、三日間香味野菜とともに煮込んだという品といい、こういう嬉しい逸品を注文しますと、ビールも美味しいのですけれどもワインを頂きたくなる、お料理がお酒を呼ぶ。

 ワインは本日のワインを。ボトルワインが中心のお店ですから、実際には数名で嗜むところなのでしょうか。銘柄を指定せず本日のワインを注文しますと、マスターさんが選んでくれたその日のワインを、ワインの情報と共に頂ける。チリ産の、まあ、有名なもの。

 赤葡萄酒煮込み、大皿に盛ったような料理をばくばく行くのも好きなのですけれども、それはしょうしょう昔話になりつつありまして、美味しいものをちょっと摘まんで、美味い御酒をちょっと頂いて、そして旨いものをちょいと突いて、という嗜み方も、たのしい。

 ビストロですから、いろいろなものを愉しみたいものなのですよ。だから考えてみると一つ一つを大皿で頂くよりも、摘まめることが大切だと思う、そして、騒ぐような場所ではなく、時間を愉しむ際にお酒とお料理を相方にしているという感じなのでしょうかね。

 ブラッスリーヴァプール、三条新町の京町屋から奥の方へちょっとだけ進んだ場所にあるビストロ、日曜日は定休日なのですけれども土曜日や週末の昼下がりから深夜にかけて営業されています、ちょっと嬉しくなる様なお酒ももりだくさん、まちなかの散歩は愉しい。

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【京都発幕間旅情】名鉄6000系電車の7700系リバイバル塗装,環境配慮-鉄道車両は長く使うべか頻繁な更新か

2023-09-23 07:00:53 | コラム
■パノラマカー!?
 YS-11旅客機が引退した遥か後に偶然仕事で岐阜県を訪れた友人が自衛隊のYS-11を見上げて、一瞬タイムスリップしたかと思った、とメールを送ってくれたことが有りました。

 名鉄7700系電車の在りし日の姿、に一瞬タイムスリップしたかと思ったのですがこれは特急指定席増結用の7700系ではなく通勤電車6000系に白帯を施し7700系っぽくリバイバル塗装したもの、実は昔、クロスシートの7700系はどこかに中古譲渡されると思った。

 6000系電車は鋼製電車で寿命がそれなりに長い車両ですし、なにより特急用、豊橋鉄道か旧車天国の大井川鉄道あたりに譲渡され、ワンマン運行されるものだとおもっていましたが、増結相手である7000系パノラマカー引退の少しあと、7700系も後を追いましたね。

 鉄道は輸送に対し温室効果ガスを抑えた事から環境に配慮された輸送手段という。軽量ステンレス車という省エネ構造の車両は軽い分構造寿命がかつての鋼製車両ほど長くない、お値段半分寿命も半分、という特色がある、そんな話を聞きましたのはもう20年ほど前の時代でしょうか。もう鉄道車両を大事に半世紀使う時代ではないのです、と。

 界磁チョッパ車を用いる旧型車のほうが半導体の劣化が生じる現代のVVVFインバータ制御車よりも寿命が長いという話と、いや物理回路を用いる分だけ界磁チョッパ車には劣化による寿命があり、制御装置を更新できるVVVFインバータ制御に利点が、と長期運用は一筋縄では。

 大手私鉄の中古車両で頑張ってきた中小私鉄は、こういた視点から大手私鉄の短期間のサイクルでの置き換えを迎える時代に転換しますと、新造車両を無理をしてでも購入する覚悟が生じるのでしょうか、それとも本数をさらに減らし編成寿命を伸ばすのでしょうか。

 中古車両を導入する背景には、テレビカーやロマンスカーなど例外を除いてあの車両カッコウイイよね、という視点よりは予算的な背景があるといいますから、長期的な地方私鉄の視点から、省エネだが寿命の短い車両の増大がどう影響するのか、考えてしまいます。

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