北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

US-2救難飛行艇生産継続にはCS-2輸送飛行艇が必要だ!アメリカMC-130J水上飛行機開発停止(榛名防衛備忘録)

2024-05-14 07:00:55 | 先端軍事テクノロジー
榛名防衛備忘録
 飛行艇の国産製造基盤が危機に曝されていますが解決策には需要を増やさなければなりません。

 US-2後継のUS-3よりも必要なのはCS-2か。CS-2と書きますとなにか中国のミサイルのような文字の並びとなってしまいますが、US-2飛行艇の生産が危機的な状況となっていますのは報道ではNHKから民放まで示されているとおりです。その背景には飛行艇は必要な航空機だけれども膨大な数が必要なく官需だけでは成り立たないということ。

 US-3という、現在日本で調達可能なメーカーの部品だけで製造できるような航空機が必要だ、とは過去に提案しまして、なにより現在は5年間で1機売れるかどうか、こういう状況では産業として成り立たないためでたとえば2年間で3機ていど、最低でも毎年1機の需要があれば産業としては存続し得るのですが、それさえないという実状で。

 CS-2、そこで必要性という視点から無理に救難飛行艇を増やすのではなく、救難飛行艇以外の選択肢を考えますと輸送型の飛行艇という選択肢が浮かびます、なにしろ輸送飛行艇というのは川西飛行機時代に二式大型飛行艇の派生型としても検討されていたほどなのですが、アメリカも最近までC-130Jを水上飛行機に改造しようとしていた。

 MC-130J水上飛行機、自衛隊も採用しているC-130シリーズの中で最新型にロッキードマーティンがC-130Jを製造し、その特殊部隊支援仕様の機体でMC-130Jというのがありますが、アメリカはこれにフロートをとりつけて水上飛行機にしようとしていた、その任務はインド太平洋地域での飛行場のない離島への輸送任務ということですが。

 C-130Jに巨大なフロートを二つつける、結論からいいますとこれ、先月正式に中止が決定しました、理由は予算不足という。ただ、この提案を観ますとUS-2でも良いのではないか、とおもいたくなります。アメリカは離島にミサイルの予備弾薬などをMC-130で運び込みたかったというので、ミサイルならばUS-2の主翼に取り付けて運べる。

 ボーイング747などが予備のエンジンを空輸するさいに主翼に取り付けて四発ではなく六発機のような外見で輸送する様子とか、XP-7エンジンの試験を行ったC-1FTBが三発機のような外見で飛行したのとおなじような輸送方法なのですが、胴体側面を含めればSSMならば10発程度、大型のミサイルでも4発はそのまま輸送できる冗長性はある。

 US-2は、しかし最大の特色が波浪3mでも離着水できるという点で、アメリカの離島に運びたいという能力ならば波浪1.5m程度でも十分でありUS-2の発着能力は過大となる、一方でC-130とくらべれば胴体の収容力もハッチの一からも主翼につり下げられない装備の輸送能力という点からは、今度は過小になってしまう、US-2は隔靴掻痒だ。

 CS-2が必要だ、と書いたのは自衛隊も島嶼部防衛を考えるならば、外洋離着水能力はなくとも漁港にそのまま乗り入れられる輸送用飛行艇があれば、本土の補給処から弾薬を迅速に輸送できますし、日米共同運用ということを考えても良い、主翼とエンジンはなにしろC-130Hと同じ推力があるために胴体を再設計し輸送型とできればよい。

 US-2だけが必要なのか、と問われれば日本では飛行艇そのものが必要であって、しかし外洋に離着水できる飛行艇はUS-2くらいしかない、中国のAG-5000なども開発されているが自衛隊が購入できないのと、やはりSTOL性能が低く波浪がたかい海域では使えない。すると先ず、つかえる分野で飛行艇をそろえてゆくことが重要だと思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【防衛情報】EA-37B電子戦航... | トップ | 【防衛情報】護衛艦もがみ護... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

先端軍事テクノロジー」カテゴリの最新記事