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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】インド海軍新空母艦載機ラファール,オランダ海軍ベルギー海軍将来対潜水上戦闘艦と台湾新型揚陸艦玉山

2023-09-26 20:01:44 | インポート
■防衛フォーラム
 今週は海軍関連の話題です。従来型の水上戦闘艦や潜水艦に加え海底ケーブル防衛という新しい脅威に対応する装備や思い切った空母艦載機のわだいなど。

 オランダ海軍とベルギー海軍は将来対潜水上戦闘艦共同導入について正式発注に至りました。これはタレス社とダーメン社が6月29日に発表したものでオランダ海軍とベルギー海軍が運用するカレルドールマン級フリゲイトの後継艦となります。計画ではオランダ海軍が2隻、ベルギー海軍が2隻の合計4隻を一括発注し共同調達するという。

 カレルドールマン級フリゲイトはオランダ海軍は1991年から8隻を導入した汎用フリゲイトで満載排水量は3320t、76mm単装砲とゴールキーパー30mmCIWSを各1門搭載するとともに護衛艦むらさめ型と同じMk48VLSを16セル搭載しシースパローミサイルを運用、ハープーンミサイル8発と短魚雷発射管にヘリコプター運用能力等を持つ。

 外洋航行能力を持つ最小限の水上戦闘艦として設計されたものの、オランダ海軍で現役に残るものは2隻、退役した艦の内2隻が2007年よりベルギー海軍に、同じく2007年より2隻がチリ海軍に、そして2009年から2隻がポルトガル海軍に再就役しています。今回建造されるのはこの後継艦で、4隻の建造に19億ユーロが想定されています。
■将来対潜水上戦闘艦
 あきづき型護衛艦が満載排水量7000tでしたね。

 オランダ海軍とベルギー海軍の将来対潜水上戦闘艦について。想定される水上戦闘艦は満載排水量6400tと現在のカレルドールマン級と比較して二倍の大きさとなります、全長は145mで全幅は18m、喫水は5.5mとされる。乗員は117名となる見通しで長期的な公開を見越した十分な居住空間、そして追加要員受け入れ能力などが設計に含まれる。

 将来対潜水上戦闘艦の武装は76mm艦砲とNSM対艦ミサイル、Mk54魚雷の運用能力を有し、他方で個艦防空能力についてはRAM個艦防空ミサイルの搭載能力に留めるという。特筆すべきは無人航空機と無人水上艇及び無人潜水艇の運用能力を重視している点で、オランダ向け一番艦は2029年、ベルギー向け一番艦は2030年に就役を予定している。

 カレルドールマン級フリゲイトを置き換える新型艦について、カレルドールマン級フリゲイトは冷戦時代の対潜作戦を念頭に外洋での最小限の排水量を見込んだために冷戦後の地域紛争多発には対応できず、他方ロシアウクライナ戦争により従来型の脅威が再燃したことも直視しなければならず、長期運用と多種多様任務への対応を期し大型化しました。
■新型揚陸艦玉山
 台湾海軍はアメリカから供与されたドック型揚陸艦も含め旧式化に曝されており国産艦建造能力を整備している。写真はホイットビーアイランド級ですが。

 中華民国台湾海軍は国産建造の新型揚陸艦玉山を竣工させました。玉山、発音ではユシャンとなる新型揚陸艦の竣工式には蔡英文総統も臨席し台湾海軍が本艦を重要視していることを示しています。建造は2018年予算として46億3500万台湾ドル、米ドル換算1億4593万ドルでCSBC造船へ発注、2020年起工で2021年4月に進水式を迎えています。

 玉山の全長は153mで全幅23mと喫水6m、満載排水量は発表されていませんが外見がアメリカ海軍のサンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦と共通点が多く、他方ではるかに安価です。13ノットでの航続距離は12500浬で最高速力は21.5ノット、兵員輸送能力や乗員数も公表されていませんが、過去台湾が建造した揚陸艦と比べ際立って大型となった。

 玉山、特筆すべきはステルス設計とともに際立って強力な各種兵装で雄風II型対艦誘導弾8発と天剣Ⅱ型艦対空ミサイル32発、20mmCIWS2基と127mm艦砲を搭載していて、更にUH-60多用途ヘリコプター2機の格納庫を有し、これをS-70哨戒ヘリコプターとした場合は水上戦闘艦に匹敵する打撃力を持ち、海上封鎖を突破する能力を有しています。
■共同特殊部隊支援艦
 イギリスのアルビオンが一般公開際れた際には揚陸艦そのものよりも各種装備のシステム化された体系に驚かされた。

 イギリス海軍とオランダ海軍は共同で特殊部隊支援艦を開発します。この背景として元々両国は水陸両用作戦部隊において1973年に協力協定を締結しており、イギリス海兵隊6500名の規模とともにオランダも800名規模の海兵隊を有しておりBvS.10全地形車両など装備面の開発で協力し高い作戦能力を有しており、今年は協定50年の節目の年という。

 特殊部隊支援艦の共同開発は1973年の協定締結50周年を記念しイギリス海軍揚陸艦アルビオン艦上において行われた記念行事に際し覚書の交換が為されています。その概要は不明ですが、沿岸即応群という新しい部隊運用を念頭に世界規模での特殊部隊運用能力を考慮するという、大型とも小型ともとれる内容であり、今後の開発展開が注目されます。
■707型補給艦レーン級
 ましゅう型よりも少し小型ということか。

 ドイツ海軍は新型の707型補給艦レーン級の起工式がブレーメンのマイヤーヴェルフト造船所において6月29日、挙行されました。新型補給艦が現在運用されているベルリン級補給艦の3隻と比べ同程度となっています、ただベルリン級以前の補給艦は小型給油艦が多く、当初ベルリン級は6隻が建造される計画が3隻で終了、この増強という意味合い。

 ドイツ海軍の作戦範囲が従来のバルト海に限られた時代からグローバルな活動へ拡大する現状に対応させるのが建造の狙い。707型補給艦は全長173mで艦隊燃料20000tを輸送可能、乗員42名に加え特殊部隊員など23名の便乗が可能で限定的なパワープロジェクションシップとしての能力を持ちます。起工式ののち、2026年までに進水式の予定です。
■ブーゲンビル火災事故
 火災事故というとボノムリシャールを思い出してしまう。

 アメリカ海軍が建造中の強襲揚陸艦ブーゲンビルが造船所において火災事故に見舞われました。事故は軽微であるとの事ですが、アメリカ海軍はワスプ級強襲揚陸艦ボノムリシャールが放火による火災により全損し修理不能となった事で除籍されており、その補填となる強襲揚陸艦ブーゲンビルの火災は一瞬悪い予感を感じさせたのは確かでしょう。

 ブーゲンビルはアメリカ級強襲揚陸艦、火災事故は6月29日の夜、上部構造物の飛行甲板よりも高い部分で発生しており、この火災により造船所職員数名が煙を吸うなどして治療を受けているとのこと。火災原因は暫定報告として当該区画では火気を用いた作業が行われており、これが可燃物に引火し少数の区画を焼いたものとされ、調査中とのこと。
■インド新艦載機ラファール
 フランカーが凄いという宣伝文句をひところおおくみましたが考えればあれはロステック社のステルスマーケティングだたのでしょうか。

 インド海軍は新しい空母艦載機としてラファール戦闘機を選定しました。これはシン国防相が座長を務めるDACインド国防調達評議会が7月13日に正式決定したもので、フランスより海軍型のラファールM戦闘機を空母艦載機として26機導入するとし、その為にインド政府とフランス政府の間でIGA政府間協定を締結する方針です。

 ラファール戦闘機は近年、エジプトやクロアチアとギリシャなど採用国を大幅に増やしていますが、いずれも空軍仕様のものであり、空母艦載機であるラファールMの輸出は今回が初めてとなります、それはF-35B戦闘機などSTOVL機を想定した航空母艦が世界の趨勢であり、従来型CTOL機運用空母を建造する国はインドなど限られているため。

 ヴィラートなど国産空母の建造を進めるインド海軍は現在空母ヴィクラマディーチャ艦載機にロシア製MiG-29戦闘機を運用していますが、同時に国産戦闘機テジャスの空母艦載機型を計画、しかし高速度性能の高さの代償に失速速度の大きいデルタ翼構造のテジャス艦載機化は簡単ではありません、そこで実績あるラファールを選定したのでしょう。
■ペルルを現役に復帰
 あれは流石に無理だろうと思いましたよ前半分溶けていましたから護衛艦しらね火災事故とは訳が違う。

 フランス海軍は火災事故により大破した原子力潜水艦ペルルを現役に復帰させました。6月30日の再就役式典、フランス海軍は2020年6月に造船所において火災事故に見舞われたペルルについて、艦の前部がほぼ溶け落ちる大損害を受けましたが、退役艦の前部を移植する方針を2021年4月に発表、その工事は難航が予想されていました。

 ペルルはリュビ級攻撃型原潜であり、フランス海軍には攻撃型原潜に余裕がなく、新造艦を待つリスクや一隻を退役させるリスクよりも修理を選んだ構図です。これには退役潜水艦サフィールの船体が応用され、実に10万時間の技術作業と120以上のケーブル再接続等実施、これによりペルルは少なくとも2028年まで現役に就くこととなります。
■イタリア海軍OPV哨戒艦建造
 こういう話題に接しますと忙しかったけれども横須賀のイタリア艦撮影へ行っていればよかったかなと思う。

 イタリア海軍はOPV哨戒艦建造費として9億2500万ユーロの予算を計上しました。これはOSNオリゾンテシミナヴァリ社とイタリア海軍が8月に正式に契約するOPV建造に関するもので、建造される哨戒艦は3隻、またこの費用にはメッシーナ基地とカリアリ基地及びオーガスタ基地における接岸施設の改良費用も含まれているとされている。

 イタリア海軍のOPV哨戒艦はいわゆる海軍の巡視船というような位置づけに留まらず、艦砲と機関砲やステルス設計の採用、艦型によっては艦対艦ミサイルを搭載しており一定程度の対水上戦闘や特殊作戦支援などに対応できるものがあります。なお、OSNオリゾンテシミナヴァリ社とはフィンカンティエリ社とレオナルド社の合弁企業となっています。
■ポーランド海軍AW-101
 シーホークではなく101を選ぶ背景には固定翼哨戒機の任務をもバルト海で担わせるということなのでしょうか。

 ポーランド海軍はAW-101対潜ヘリコプターの受領を開始しました。バルト海に重要なシーレーンを有するポーランド海軍は2019年に4億3000万ドルを投じてAW-101対潜ヘリコプター4機の導入を決定しました。今回の受領はレオナルドヘリコプター社から同社傘下でポーランド企業であるPZI社の整備施設に入り同国向け整備を開始するという。

 AW-101導入計画はポーランド軍が冷戦時代から運用しているMi-14対潜ヘリコプター後継機として選定が行われ、当初計画ではMi-14と同数の8機を取得する方針でしたが、その後性能や費用面から見直され4機となっています。ポーランド海軍では対潜用にくわえCSARシステムも搭載し、救難ヘリコプターとして運用する方針を示しています。
■海洋観測艦カルクグルント
 日本も深海の海底ケーブル警備用の艦艇は必要という時代には行ってきました。

 ドイツ海軍が新しく導入する海洋観測艦は艦名がカルクグルントと命名されました。近年海底ガスパイプラインへの攻撃の発生や海底通信ケーブルへの攻撃の懸念から海軍の任務に深海での敵対勢力による破壊工作の阻止という、従来の水上戦闘艦のASW対潜作戦よりも深い水深での作戦が求められ、これにより海洋観測艦の重要度が高まっています。

 カルクグルントはドイツ海軍が導入する51.7m型海洋観測艦2隻のうちの一番艦で建造はドイツのファスマー社が担当します。現在この任務にはブライトグルントとミッテルグルントという支援船が当たっていますが、建造されてから間もなく60年を迎える老朽艦で代替艦が求められていました。新型艦は海洋観測のほか、訓練支援任務にもあたります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-二条,チロルのクリームソーダかソーダ水か暑さの日々と

2023-09-26 07:01:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 榛名さんの総監部グルメ日誌改め"榛名の京都呑み"にしてはという助言を頂きましたがちょっとなあ。

 今年の夏は異常だ云々という言葉は毎年のようにきくのですが、熱すぎれば異常気象で冷夏だと異常気象という、確かにそうなのだけれども、それでも最高気温を30度くらい、いや33度くらいで早朝くらいは涼しく夕刻に夕立がある夏なんかが、いいね。

 暑い季節には冷涼な地下水がわくところならば、すこしからだを浸せば冷涼感を何とか感じられる、京都の場合は平安遷都の頃に湧き水があった、今の神泉苑のあたりがその水源となっていました、いまは隣に二条城が掘割に水を引き、そして喫茶店も隣にある。

 チロル。神泉苑の隣の喫茶店、といえばわかりやすいのですが、レトロな雰囲気、そう喫茶店という概念が日本に定着したころの昭和の気風を古都京都に湛えている、知る人ぞ知る、のだけれどもKBS京都の番組がBS放送で流されて知名度が上がったお店だ。

 クリームソーダ。このチロルさんのいいなあ、と思うのは店員さんが多いこと、それはたくさんのお客さんがめいめいに定番の珈琲もアイスティーでもなんでも注文した際に直ぐ供せられるように、というところだが。間違えて単なるソーダ水を注文しちった。

 ソーダ水改めクリームソーダへ、伝票も早速書き換えてくれた。まあ、ソーダー水は注文してもクリームソーダ明るい時間に注文するような年齢層に見えなかったという事か、落ち着いた年頃になったというわけですね。アイスクリームの白さが涼しげです。

 アイスクリームをいつソーダのなかに混ぜて食べてしまうか、というのは悩むところだ、最初に全部ぱくぱくやってしまうのもいいし、最後までストローでソーダ水だけ頂いてデザートのように頂くのもよい、それを考える時間そのものが心の休憩なのだから。

 ブルーハワイ的なソーダからメロンソーダに、いろいろな、珈琲フロートもティーフローとも選ぶことができます。ただ、人気店故に、といいますか二条城散策の際による方も多いのか、待っている方が多くなると、もう呑みおえなければと思うのだけれども。

 神泉苑のあたり、バス停も店の目の神泉苑前に設置されていますが、賑やかすぎる二条城お堀沿いではなく、一本下がったところにありますここチロル、熱い最中にちょっと休憩を、と探訪するには、なかなかお勧めの喫茶店なのですよ、よろしければ皆さんも。

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