北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和五年度九月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.09.16-2023.09.18)

2023-09-15 20:08:17 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 今週末は月曜日の敬老の日を加えて祭日がお休みの方にはなんと三連休です。

 大湊地方隊では三連休の三日間に渡り、大湊地方隊開庁70周年基地一般開放を執り行います。青森県むつ市に所在する大湊基地を中心に大湊地方隊には隷下の艦艇基地として函館基地や余市基地等が置かれ、北日本の海上防衛ではその主力を担っています。ただ、大湊地方隊は来年度に廃止改編が予定され、残念な事ですが最後の行事となってしまいます。

 海上自衛隊にアメリカインド太平洋軍司令官と同格の司令官ポストを新設するべく、将官ポストを調整する必要があり、この観点から海上自衛隊では一地或る地方総監部ポストを整理統合する事となりました、海軍の街、という認識は地方総監部の置かれる街にはありましたが、当初は舞鶴地方隊と大湊地方隊を両方廃止改編する検討さえ為されていました。

 横須賀地方隊と大湊地方隊が統合され、大湊地区隊として横須賀基地隷下に置かれるという。横須賀基地には自衛艦隊司令部を含め海上作戦センターが置かれている為、指揮中枢を分散させることが有事の際の盤石な指揮系統に繋がる事を考えれば、横須賀地方総監部を大湊基地に置いて、海上作戦センターのバックアップに充てては、とも思うのですが。

 冷戦時代には海上自衛隊の戦力の半分以上を大湊基地に集約する、海上自衛隊草創期にはソ連軍の北日本への軍事圧力が大きかった為に、大湊基地は最重要視されていた事を考えますと、時代は変わったと感じさせるものです。大湊地方隊70周年記念行事は、こうした意味で若干寂しい祭事とはなるようですが、三連休一杯三日間にわたり執り行われます。

 大湊航空基地開庁66周年記念行事、日曜日に執り行われます。もともとは津軽海峡の潜水艦を警戒する部隊としてHSS-2対潜ヘリコプター等が配備されていました航空基地です。現在はSH-60J,SH-60K哨戒ヘリコプター等が配備、艦艇部隊の置かれる大湊基地からは指呼の距離にありますので、航空基地と艦艇基地を一日で回る事も充分可能でしょう。

 呉基地砕氷艦しらせ一般公開、土曜日と日曜日に執り行われます。一般公開の時間は0900時から1500時まで、入門開始は0845時からで最終受付は1400時まで、基地周辺もいろいろある。呉ではヘリコプター搭載護衛艦かがF-35B戦闘機搭載改修等も行われているところですが、潜水艦隊が置かれ第4護衛隊群なども置かれる海上防衛の一つの要衝です。

 自衛隊関連行事について、2019年までは、こう書くと随分昔のような響きになってしまうのは気のせいではないのですが、年度初めに一般公開の日程が発表されたものでしたが、2023年度は部隊も多忙なのでしょう、なかなか直前まで発表されません。この数日間で第10師団祭が10月15日予定と発表され、少し前に中部方面隊行事予定も発表されました。

 行事予定、第13旅団祭はどうなるのだろう、と考えてしまう背景にはいよいよ74式戦車も自衛隊卒業の瞬間が間近となってきましたので、撮影できる機会は大事にしたい、しかし一定以上の遠出となりますと準備が必要となりますので、ホテルは勿論仕事まで、早めに日程を組んで様々な諸事を調整したうえで万全の態勢をとって行事撮影に臨みたいもの。

 日程は部隊訓練などの多忙というものもあるのでしょうが、例えば今月末の富士学校祭などは例年七月初旬に予定されていますので、ホテルを先走って確保された方が空振りであったのですが無事今月末に執り行われる事が、先月に発表されています。部隊も忙しいのだろう、とよくわかるのですが、見逃す事も無いように部隊HPは定期的に巡るべきです。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・9月16日・17日・18日:大湊地方隊開庁70周年基地一般開放
・9月17日:大湊航空基地開庁66周年記念行事
・9月16日・17日:呉基地砕氷艦しらせ一般公開

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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ウクライナ情勢-ロシア軍第76親衛空挺師団の南部戦線転進とケルチ海峡橋梁破壊による補給難渋

2023-09-15 07:00:14 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 本日の情報はいろいろありまして掲載まで時間がかかっていたものですがウクライナ関連情報です。

 ウクライナ南部戦線で壊滅状態の第7親衛空挺師団支援へ第76親衛空挺師団の戦闘加入が始まった、ISWアメリカ戦争研究所が8月31日付戦況報告において概況を示しました。南部戦線ではウクライナ軍はオリヒフの南約10㎞にあるノヴォダニリフカとノヴォプロコピフカを結ぶ線とオリヒフの南西18kmにあるヴェルボベへ進出中です。

 この地域は第7親衛空挺師団の担当地域となっていましたが、かなりの消耗を強いられており、ここに第76親衛空挺師団が投入されているとのこと。ロシア国内報道では第76親衛空挺師団先遣隊がウクライナ軍偵察部隊と接触しこれを撃破したと主張しており、今後この地域が南部戦線のアゾフ海沿岸までの打通を左右する焦点となるでしょう。

 ISWアメリカ戦争研究所9月1日付情報ではロシア軍が南部戦線で疲弊した第41諸兵科連合軍に代わり新編の第25諸兵科連合軍を配置したとGURウクライナ軍情報部分析を紹介、第25諸兵科連合軍は2023年12月新編予定の部隊を前倒しで戦闘加入させたもので2個自動車化狙撃師団と戦車大隊などから編成される30000名規模の部隊とのこと。
■ケルチ海峡での補給難渋
 ウクライナ海軍は水上部隊の壊滅状態を乗り越えてここまでよく頑張っていると本当に驚く。

 ロシア軍はケルチ海峡での補給難渋に苦慮し閉塞作戦を開始、イギリス国防省ウクライナ戦況報告9月1日付発表でこの点が指摘されました。ウクライナ軍は現在南部戦線においてある程度の主導権を握っており、カホフカダム決壊による被害を受けたザポリージャ州においても顕著ですが、その背景にはロシア軍の補給線状況が強く影響しています。

 ケルチ海峡はクリミア大橋などがウクライナ軍無人艇攻撃により破壊されており、通行量が制限されていることからフェリーによる代替交通を開始しています、しかしこれ以上の喪失を回避するためにとられたのが閉塞作戦でした。具体的にはケルチ海峡に160m感覚で人工的に船舶を沈没させ、無人艇のケルチ海峡浸透を阻止しようとする水上障害だ。

 ケルチ海峡ではロシア軍はポンツーンを設置し防御部隊の足場とする運用や、TDA-3トラック式煙幕装置による煙覆などを実施していますが、効果はあまりなくウクライナ軍は巡航ミサイル、無人機や無人艇による攻撃を成功させています。日露戦争時代の日本が行った旅順港閉塞作戦の現代版は、果たしてどの程度効果を示すのかは未知数といえます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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