北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】アメリカ軍,タイフォントマホーク地上発射システムとNMESIS海軍海兵遠征艦艇阻止システム

2023-09-18 20:21:44 | 先端軍事テクノロジー
■■■防衛フォーラム■■■
 今回はアメリカ陸軍とアメリカ海兵隊の、日本へ前方展開予定とされた地上発射型トマホークシステムやMLR海兵沿岸連隊に関する最新の情報をお伝えしましょう。

 アメリカ陸軍RCCTO重要装備迅速技術局は移動式トマホーク地上発射システムを完成させました。アメリカ陸軍はトランプ政権時ぢ亜の中距離核戦力全廃条約離脱を受け、それまで制限されていた499㎞以上の地上発射型ミサイルシステムの導入が可能となり、ロシア軍や中国軍の中距離ミサイル部隊へ対抗する国際法上の法的根拠を得ました。

 タイフォンミサイルシステムの名称で進められるトマホーク地上発射型システムはこれを受け開発が進められていたもので、レイセオンミサイルアンドディフェンス社との間で2億1712万ドルの契約の下、地上発射システムを開発していました。このシステムはMk41垂直発射装置をそのまま地上発射型としたもので、様々なミサイル運用能力がある。

 スタンダードSM-6ミサイル、タイフォンミサイルシステムにはMk41を転用したことでイージス艦などに採用されていたVLS垂直発射装置を倒立式により地上運用することが可能となり、この長距離防空及び弾道ミサイル迎撃システムの試験も実施されています。タイフォンミサイルシステムは4セル分のミサイルを搭載可能、4両で中隊を構成します。
■タイフォンミサイルシステム
 これは日本のイージスアショアミサイル防衛システムへの一つの解決策と成り得た技術なのですがどう考えるべきなのでしょうか。

 タイフォンミサイルシステムの詳細について。タイフォンミサイルシステム運用部隊はMRC-BOC中距離作戦機能中隊指揮センターを搭載したトレーラー一両、そして再装填システムを内蔵したトレーラー発射装置4両により一個中隊を編成、これらの機動はオシコシM-983A4牽引車により行われ、発射と再装填が迅速化されているとのこと。

 発射装置は機動時には発射装置は寝かされた状態で収容され、発射時には倒立させ垂直に、垂直発射システムとして機能させます。搭載されるミサイルは4セル分であり、スタンダードSM-6とトマホーク巡航ミサイルが現在試験されており、特にスタンダードSM-6は中間指令誘導方式、CEC共同交戦能力により艦艇やF-35戦闘機からの照準が可能だ。

 タイフォンミサイルシステムの利点は、再装填を寝かせた状態で行う為に迅速に行うことが可能で、RT再装填トレーラーが随伴することで弾薬集積地付近では短時間で次発が可能であるとともに、従来の地対艦ミサイルシステムとは異なり、BOC支援車両と連携することで発射装置間を分散運用することが可能、陸上のイージス艦となりうる装備です。
■NMESISシステム
 要するにハンヴィーの後継車両に射程180kmの地対艦ミサイルを搭載するという。

 アメリカ海兵隊はNMESIS海軍海兵遠征艦艇阻止システムの大規模導入を検討中です。そもそもアメリカ海兵隊はインド太平洋地域での中国海軍との全面衝突を見込んだ、戦車全廃を含む大規模改編、フォースデザイン2030を推進中です。しかし、フォースデザイン2030画定時には無かった装備体系を取り込む修正の必要性が出ているとのことです。

 NMESIS海軍海兵遠征艦艇阻止システムはまさにその一つで、陸軍が導入しているJLTV統合軽量戦術車両の車体を無人化し、後部に二発のNSM地対艦ミサイルを搭載したもので、無人システムであるため、島嶼部に分散配置し、長期間の待機においても燃料補給などの必要性は最小限、通信維持などは太陽光パネルにより動力を得ることも可能という。

 フォースデザイン2030については、現在、海兵隊の水陸両用作戦部隊から島嶼部防衛部隊への大胆な改編、という本筋を変更する動きはなく、海兵連隊の海兵沿岸連隊への改編も予定通り推進中です。しかしその上で、地対艦ミサイルや無人機に無人水上艇などなど、任務上必要となる新装備については例外とせず導入する方針が、示された形でしょう。
■総合的戦闘母艦計画
 揚陸艦は必要という事ですが他の安価な艦艇でも充分代替できそうな技術でもありアメリカ海兵隊の今後の説明に関心が集まります。

 アメリカ海兵隊は海軍両用戦艦との改編の整合性説明に迫られている状況です。それは海兵隊が進めるフォースデザイン2030では、水陸両用作戦部隊としての位置づけを見直し、沿岸防備部隊に戻るという改編であるため、多額の予算を要する海軍の揚陸艦は果たして必要なのか、という予算を担う海軍側からの疑問を突き付けられているのです。

 フォースデザイン2030修正計画では、総合的戦闘母艦計画という位置づけを持ち、例えばサンアントニオ級ドック型輸送揚陸艦について、海兵隊が導入する様々な無人航空機や無人車両と無人水上艇、更に有人システムの母艦として機能させることを想定しています。もっとも、それにサンアントニオ級のような高価な艦艇が必要か、疑問はありうる。

 総合的戦闘母艦計画について、アメリカ海兵隊は海軍と協同し、海兵隊戦闘研究所を中心に2023年10月1日までに、母艦実験計画を策定するとしています。ただ、繰り返すように現在の揚陸艦はMEU海兵遠征群の運用を念頭に搭載能力が画定されているため、海兵隊は海軍に巨費を投じた両用戦艦維持の必要性を丁寧に説明する必要が、あるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-先斗町,イタリアン片手の鴨川夏の風物詩は川床もまもなく床上げ

2023-09-18 18:11:41 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 先斗町を巡る都度にちょっとどきどきするのはまだまだわたしが若い証拠なのでしょうね。

 台風一過の頃は涼しかったのですが、またなんというか暑さが戻ってきたようで、それでも蝉が鳴けず鈴虫が黙るというようなものすごい熱さは過ぎ去っただけでも、と安どするべきか。台風待望論は絶対に同意しないけれども、涼しさを台風が運ぶのも確かだ。

 川床、鴨川の川床は九月いっぱいまで、となっていますのでそろそろ床上げが近づいてきました、けれども納涼のための川床というのですから、真夏ほどではないにしてもまだまだ、ものすごく暑いこの季節、秋の始まりへ、もうすぐ床上げというのは寂しいもの。

 佐曽羅-EASTは先斗町、鴨川沿いに川床を設けているパブで、冷房の効いた店内には拡張高いカウンターの奥に酒類が所狭しと並び、そしてその先には川床が広がっています。納涼川床、というよりも納涼?川床、という暑さを、風流の一言で抑え込む嗜みがある。

 IWハーパーやジャックダニエルを暑気払いに傾けることも少し考えたのですが、それには少々熱すぎるので、ランチタイムはボロネーゼセットを頂くこととしました、5種のオードブル風サラダ、季節の食材を使ったスープ、和牛のボロネーゼ、本日のデザート、と。

 オードブル風サラダはパテにサーモンにカンテンに、と食感も味わいも一口一口に工夫と技巧が満足感として反映されるのですが、ううむ、ボンベイサファイヤやタンカレーの瑠璃色や翡翠色の瓶が視野の片隅に入るほどに、これは合いそうだな、なんて思う美味しさ。

 季節の食材を使ったスープ、この季節はジャガイモのポタージュに香辛料が浮かべられていて、よく漉したジャガイモに、そういえば水煮のジャガイモはビタミンを豊富に含んでいたことを思い出す、夏の暑さを乗り切るにはビタミンによる活性力が必要なのだと思う。

 和牛のボロネーゼは、平打ちパスタだ。タリアテッレとフェットチーネと、キシメンと。多分最後のはイタリアのものではないと思うけれども平打ちパスタには幅によって種類がいくつかあり、これはどれも、具材画面によく絡んで載る、という共通点があって好き。

 タリアテッレの方だった、そしてボロネーゼというのは格好よく言っているけれどもミートソースのほうが日本では通りが良い、けれどもとある調理学校の先生が自分のバルで自家製のものを仕立てているのをミートソースですかと問うと、ボロネーゼと訂正された。

 ボロネーゼとミートソースというのは、まあ後者はイタリア語ではないことは一目瞭然なのだけれどもどう違うのだろうか、もっともこちらのボロネーゼは肉の食感と肉汁の豊潤さがかみしめることにわかるもので、これは和牛なのかあ、と味とは別の事を考える。

 パンナコッタが本日のデザートでした。雪砂糖がまぶされていて、じゃりじゃりと微かに主張する砂糖の甘さが抑えられた乳成分主体の洋菓子に新しい食感を加えている、これとあわせて、そう暑いのでカフェインの負担を考え敢えて頼んだアイスティーを一口ふくむ。

 先斗町の川床は、敷居が高い、とは言われるのですが冷静に考えると学生や修学旅行生には敷居というものは存在するのですけれども、ランチする、という視点から考えますと諸物価高騰に対して川床料金は据え置きですので、相対的に手ごろになっているのかな。

 鴨川を一望に食事を終えて川床へ出てみると、思いの外涼しい風が吹いてきましたが錯覚で単に店内の冷房の冷気が背後から押してくれただけで半歩先には熱風が吹いていた、晩夏とはいえ暑い最中、もともと納涼川床に涼しい風が吹くのは夕刻のひとときだけ。

 レミーマルタンVSOPの香りを鴨川の風景とともに嗜む、なんてきざなことも一瞬考えたけれども暑い最中にそんなことやると干上がってしまう、ウォッカマティーニでもいっそ注文してみようか、どちらにしてももう少し涼しくなったら川床の無い景色とともに涼を愉しみたい。

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【京都発幕間旅情】名鉄1900系電車と犬山橋,自動車併用区画が有するBRTバス高速輸送システムへの優位性

2023-09-18 07:00:41 | コラム
■名鉄1900系電車
 BRTバス高速輸送システムというものがあるようですが今回は名鉄の情景とともに比較点を見てみましょう。

 犬山橋はかつて自動車鉄道併用方式橋梁であった。この名鉄本線と同じ6両編成の特急が自動車に交じって橋梁を行き来していたという事は今考えると驚くべきことなのですけれども、この“自動車鉄道併用”方式は日本の課題であった赤字路線救済となりうる。

 上下分離方式という、鉄道線路を自治体が管理し列車運行を鉄道会社が管理する方式は、京都丹後鉄道などで実現していますが、民鉄路線などを自治体が譲渡を受け管理することは技術上の課題もありますが制度上難しいところもあります、ただ併用道路ならば、と。

 バス路線のように自治体や国が整備した道路上を走る乗合自動車と、線路の維持管理とともに車両を運行する鉄道では鉄道会社が不利となります。しかし、道路上を鉄道車両が運行できるならば、鉄道会社は列車運行に専念でき、ある程度赤字幅を圧縮できましょう。

 BRTバス高速輸送システムなどが代替案と思われるかもしれませんが、BRT専用車以外の鉄道車両が乗り入れ出来ない交通手段は鉄道の長所である大量輸送手段という部分を全く活かせていない、申し訳ないが非常にコスト面で不利なシステムといわざるを得ない。

 併用方式であれば、路盤を固める必要はありますが低速であれば長大な貨物列車も運行可能です。毎日運行すると交通の邪魔でしょうが、災害時などの迂回手段として用いるならば、迂回路線が有るか無いか、ということは交通を維持できるか否かに直結する視点です。

 制度上赤字路線維持へ公的補助を行うには限度がある、けれども廃線となれば地域過疎化が一気に加速する、併用方式であれば本線乗り入れの車両が東京や京都から直接乗り入れられる、その逆も然り。こうした選択肢、国は過疎化を考える際、選択肢とすべきだ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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