北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【G3X撮影速報】今津駐屯地創設71周年記念行事(3)16式機動戦闘車のち74式戦車(2023-09-03)

2023-09-30 20:14:26 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■ナナヨンもいよいよ
 ナナヨンとは陸上自衛隊内外にて74式戦車の事を示す用語で非公式ながら定着した愛称となっています。

 中部方面隊のナナヨンもいよいよこれまで、というところでして、もう一つ日本原駐屯地に第13戦車中隊が置かれていますが、こちらも廃止改編は近く、戦車をみようと思ったならば駒門の機甲教導連隊まで行かなければみれないという時代は、もうまもなく。

 ナナヨンは目一杯がんばった、もちろん状態のよい車両があれば残しておけば万一の際に役立つのかもしれませんが、定数ぎりぎりしか調達しなかった日本、各国が揃えた予備車両のようにそれほど酷使せず維持されている74式戦車というものをわたしは知りません。

 アメリカ海兵隊、コットンマウスはじめアメリカ海兵隊は偵察車両開発に難渋している。わたしが各国概況をみますとどうしても不安になるのはこうした事情があります。装甲車ひとつまともに造れないとはアメリカも大したことはない、という訳では全くない。

 海兵軽装甲偵察大隊としてアメリカ海兵隊はLAV-25軽装甲車とその派生型を60両程度集中運用する偵察部隊を編成してきました。87式偵察警戒車5両だけの自衛隊偵察隊とは大きな違いですが、アメリカではコットンマウスなどLAV-25後継車が開発されていますが。

 エイジャックス装甲偵察車やコヨーテ装甲偵察車後継、単純にコットンマウスの開発難渋を聞くと、イギリスやカナダの後継車両開発遅延を思い出す。エイジャックスはASCODという完成した装甲車をもとに開発したが異常振動問題で配備が5年以上遅れている。

 コヨーテ装甲偵察車、これは単にLAV-25の原型である要するに同じ装甲車なのですが、後継はLAV6.0に偵察センサーを搭載する計画なのですが、COVID-19新型コロナウィルス感染拡大の経済停滞で下請け企業が倒産し、システム開発も失敗し5年以上の遅延だ。

 コットンマウスは、そうした失敗ではなく、アメリカ海兵隊が素朴な疑問を突きつけているためです、島嶼部の戦いに装輪装甲車はどのように水平線の向こうを偵察するのか、と。コットンマウスは水陸両用ですがさすがに哨戒艇のような偵察任務はできない。

 共通装輪戦術車両として自衛隊では16式機動戦闘車の車体を応用した偵察車両の開発が進められています、聞くところでは完成度はまあまあの水準で、無駄や非効率といわれながら毎年車両を調達し続けてきたことで製造と設計技術が途切れなかったのが強み。

 87式偵察警戒車の後継は、地上戦に強い偵察車両としては簡単に完成するのでしょうけれども、本土から戦車を全廃して本土決戦型の専守防衛から脱却する自衛隊にあっては、どのような偵察戦闘を行うのかというドクトリンを苦悩とともに考えねば、という。

 防衛力整備は時間がかかる、特に岸田政権の反撃能力整備は、その整備事業が不可逆的な改編を幾度も伴うために失敗するとこんどこそ防衛力が崩壊する、自衛隊の戦術と配置と、防衛産業と同盟関係、こうしたものに大きな亀裂と崩壊が来る、慎重も慎重に。

 アメリカ陸軍フォーラムの議論をみると、日本とは逆に旅団戦闘団よりも師団重視、緊急展開部隊が武力紛争の火種を小さいうちに取り除くポスト冷戦型の編成から、中国軍やロシア軍を視野に重厚強力な師団編成に回帰しており、この点で日本とは真逆です。

 第一線部隊はオカミの方針を理解し、与えられた装備を最大限の稼働率と最高度の能力を発揮し運用面で駆使できるようにするほかないのですが、その過程で最高水準まで鍛え上げた戦車部隊が廃止されてゆくのは、勿体ないように、何度も思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-滋賀,長浜駅前散策先でショコラトルテに冷たい紅茶の休息

2023-09-30 14:10:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 ハロウィーンの準備というなんとなく浮き浮きした情感が漂う最中に湖北は長浜へ散歩を愉しみました。

 COVID-19の感染拡大期はたいへんだった、なにしろ北大路機関創設当時から毎年撮影出来ていた第10師団守山駐屯地祭と近海練習航海と岐阜基地航空祭のうち、近海練習航海以外は全部中止となってしまった。しかし写真は撮りたい、どこかに出かけたい、とね。

 長浜市大宮町五丁目、市民病院から少し琵琶湖の方へ向かいました川沿いにあるケーキ屋さんエベーヌ、コロナの時代があったからこそ知ったお店はハロウィーンの準備をしていました。ここはケーキが美味しいのですがイートインの雰囲気と紅茶も素晴らしい。

 ケーキ一つ、頂くだけで気分転換といいますか、ケーキならば近所でも美味しいお店が幾つもあるのですが、遠出してケーキをフォークで崩して頂いているというのは、なにか非日常を感じるもので、遠く感じるのですが実は長浜駅から500mしかはなれていない。

 ショコラトルテ、いろいろあるケーキの中からこのチョコレートの少し苦味が有る、甘いだけではない甘さを引き立てるケーキを頂く事としまして、そして、そう飲み物は珈琲か、いや紅茶、としました。イートインは大きな窓に面していて、外はまだ緑あふれる。

 アイスクリームが添えられるのはイートインならではで、ミルクの滋味とともに、ちょっとだけ頂点にまぶされている赤い甘酸っぱいキャンディーシュガーがなにかうれしい。解けないうちにアイスクリーム、そしてアイスの御次に、本丸本命のケーキを頂く。

 ショコラトルテ、いいね。ぱさぱさしているスポンジケーキの部分とチョコレートとクリームのねっとりとした甘さの部分と、どういう配分で頂こうかと、冷たい紅茶とともに相談して頂いてゆく。最近日没も早くなり、陽光が照らす風景の移ろいと共に甘さを愉しむ。

 長浜市、COVID-19の時代に人が少ない割には発見の多い街ということで少し遠出する際には長浜市と米原市と彦根市を延々と散策していました。長浜と云えば新快速の終点というイメージが昔ありましたが、まだまだこの街の散策は飽きが来ない奥深さです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】近江鉄道100形,美談だけでは無いリアリズムに基づく赤字29年連続の路線維持と沿線負担

2023-09-30 07:00:42 | コラム
■満員電車を夢見て
 都市部集中が進む中の少子高齢化による地方過疎化でローカル鉄道の赤字という問題は東京都知事が選挙公約で満員電車解消を叫ぶ中、一度くらいは満員にしたいと嘆息が出る問題だ。

 近江鉄道、通称近鉄、近畿日本鉄道よりも古い社名なのですけれど創業は19世紀、1896年という日清戦争の翌年、社名は一回も変更していない。路線は比較的長く本線が米原と貴生川を結ぶ47.7km、他に2.5kmの多賀線と若干短くなった9.3kmの八日市線がある。

 鉄道事業は全線赤字、29年連続赤字という。一日当たりの利用客は通勤通学の定期券を除けば3100名、撮影した彦根駅の利用者ではなく、近江鉄道全線の利用者が3100名という。しかし、考えているなあ、と感心するのは自治体と鉄道の関係性と結びつきの強さです。

 全線廃止が検討されてもおかしくないものですが、実際2016年に近江鉄道は自治体との法律に基づく協議会を申請、ここで経営状態の悪さを端的に財政支援かバス路線転換かで話し合ったという。ただ、鉄道欲しさだけではない地元自治体との建設的議論が在った。

 バス転換として、近江鉄道沿線の通学需要をスクールバスに切替えた場合は自治体のスクールバス運営費用が負担となる、沿線には道路状況の悪い場所も多く鉄道から道路に切替えた場合の拡幅の負担もあり、これは沿線自治体だけで年間19億円は必要だ、という。

 上下分離方式での解決、近江鉄道と沿線自治体の結論は思い切ったもので、近江鉄道の線路そのものを維持管理も含め自治体へ移管、そうした上で専門分野である鉄道の運行と管理は近江鉄道が継続する。近江鉄道は赤字でも、上記の19億円というほどではないゆえ。

 近江鉄道100形電車、西武鉄道新101系の中古車だ、このほか西武401系を譲り受けた近江鉄道800系等がゆったりと余生を送るように運営されています。この路線を守ろうと、出費も含め建設的議論の上に成り立つ鉄道というのは、凄い話だなあ、とおもうのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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