2.11「さようなら原発1000万人アクション」代々木公園に12000人/レイバーネット

2012-02-12 11:09:40 | 社会
2月11日、東京・渋谷区の代々木公園イベント広場で、「さようなら原発1000万人アクション・全国一斉行動」があり、12000人の参加者が、会場周辺を埋めつくした。

昨年3月11日の東日本大震災から11ヵ月。政府は、原発事故が収束したと勝手に宣言し、停止中の原発の再稼働をもくろむ推進派と反対派の激しいせめぎ合いが続いている。

集会開会の午後1時30分。すでにステージが見えないほど無数ののぼり旗が立ち、歩道橋の上まで人が流れ込んだ。

呼びかけ人の一人・大江健三郎さんが最初に登壇。大江さんは昨年9月に開かれた明治公園での「6万人集会」を振り返った。そこで語られた福島県の農漁民の苦悩を宮沢賢治の詩に重ね、「静かに怒りを燃やす姿を、私たちの声として生かしていこう」とつぶやいた。そして「原発を一掃することは、もっとも大きく根本的な人間の倫理。原発を止めるという決意を、子供たちにはっきりと言うことが希望の灯りである」と語った。

作家の澤地久枝さんは、「5月には日本のすべての原発が止まる。私たちのアピールの力でこの日を迎える」。「政府は、自分で引き起こした事故すら収束できないくせに、外国に原発を売ろうとしているが、世界の人々は嫌がっている。これこそ国籍を越えた市民の意思だ」ときっぱり。

福島県平和フォーラムの永山信義さんは、「県はようやく廃炉の態度を明らかにしたが、巻き返しの動きには細心の注意を払うべきだ」と喚起した。そして「死の町と表現して辞任に追い込まれた大臣がいたが、そんな現実を作った者の責任はどうなる。絆、絆と叫ばれているが、その絆をぶち壊したのはいったい誰だ」と厳しく糾弾。「美しい福島を返せ。私たちのささやかな日常を返せ」と声を荒げた。

東京で避難生活を送る被災者の発言も注目を集めた。増子理香さんは事故後、母親たちのネットワーク団体で活動。「福島県民は、はかない一艘の小舟のよう。どこに流されるかわからない」と切り出した。転校を繰り返す子どもたちに思いを寄せ、「これ以上悲しい思いをさせないでほしい。同じ過ちを繰り返さないでほしい」と声を詰まらせた。

生産者の立場から、マスコミ報道に怒りを露わにしたのは、福島で有機農法を続ける菅野正寿さん。原発事故後農業は大きな打撃を受けたが、福島産農産物への放射性物質の移行は少ないという。しかしメディアは自分たちをまるで加害者のように描いている。それでも菅野さんは、「福島の再生を通じて、持続可能な社会の実現をめざしていく」と力を込めた。

活動家としてのスタイルがすっかり定着した感のあるタレントの山本太郎さん。

「本当にこの国を愛している人がここに集まっている」と開口一番。「いま原発は3基しか動いていない。でも電力には余裕があるんです。ウソをつかれています」。「もっとテンポアップし、もっと声を出して怒りませんか。命がかかっています。即時廃炉、それしかないでしょう」と、いつものストレートなフレーズで、会場をわかせた。

この日の発言者では最年少の藤波心さんは、可憐な容姿からは想像もできない、大人顔負けのしっかりとした主張をする。「食べて応援しようというのは、人の命を無視した無責任なキャンペーン」。「54基の原発は、この国の繁栄の象徴などではなく、ただの時限爆弾」と鋭く核心を突く。「何も知らされない私たちが原発を支えていた。それは自然をばかにした人類のおごりであり、原発が経済をダメにしている。いつ爆発するかわからない原発と一緒に暮らすのはイヤだ」。「いまこそ豊かさとは何かを考え直す時。子供たちの未来を、日本の未来を守ってください」と訴え、参加者と共に「ふるさと」を合唱。澄んだ歌声が胸を熱くする。

上越市で講演中の鎌田慧さんに代わって、落合恵子さんがステージに上がった。

ここ最近、話が選挙演説調だと自覚する。「心から原発にノーと言って、命と人権が大切にされる社会を作っていこう。少数であることを恐れない。私たちは誇りある少数派だ」。「反・脱原発に向かって、前を向いて、胸を張って。(野田首相じゃないけれど)ネバーギブアップ。歩いていきましょう」。考え抜かれたシンプルな詩的表現。落合節は健在だ。

デモ行進は、個人・市民団体が明治公園までのAコース。労働団体が新宿中央公園までのBコースと分かれた。 落合恵子さんと山本太郎さんはデモの先頭に立ち、解散地点まで歩いた。

表参道にさしかかると、山本さん自身が宣伝カーからの有線マイクを握り、声をあげた。道行く若者たちが、そこかしこで山本さんに気づき、ささやき合っている。携帯のカメラを向け写真を撮っている。「がんばって」と声援が飛ぶ。注目度は抜群だ。

「原発やめろ、今すぐとめろ、大人たち。目を覚ましてください、立ちあがってください」
「再稼働反対、電力は余っている。だまされません」
「東電解体、今すぐ解体、今すぐ補償」
「みんなで守れ、子供を守れ、世界を守れ」

リズミカルなコールが、都市の喧騒なかで響いていた。(Y)
http://www.labornetjp.org/news/2012/0211hokoku

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