キムはなぜ裁かれたのか―朝鮮人BC級戦犯の軌跡・内海愛子著/朝日選書

2008-10-10 22:10:08 | 新刊・新譜情報
『キムはなぜ裁かれたのか―朝鮮人BC級戦犯の軌跡』
内海愛子著 
朝日選書(朝日新聞出版)10月10日発売 1575円
BC級戦犯裁判で、朝鮮人148人が戦犯となり、23人が死刑になった――。
「キム」は、その148人を象徴する名前だ。なぜ、何を、彼は裁かれたのか。
被害と加害が錯綜する歴史の真相とは

●内容紹介
 連合国によるBC級戦犯裁判では朝鮮人148人が有罪となり、23人が死刑になった。なぜ朝鮮人が戦犯になったのか。
 戦時中、日本軍は捕虜の扱いを決めたジュネーブ条約を無視、連合軍捕虜の4人に1人が死んだ。その捕虜の監視を朝鮮人軍属に当たらせたのである。裁判では、上官の命令に従うしかなかったとしても、個人の責任が厳しく追及されたのだ。
 戦後、「日本人」としてスガモプリズンにつながれ、釈放後は「外国人」として補償や援護の対象からもはずされ、「対日協力者」として祖国にも帰れなかった朝鮮人戦犯は、日本政府に半世紀にわたって謝罪と補償を求めてきた。彼らを30年間追ってきた筆者が、膨大な裁判記録と本人証言を初めてつきあわせ、現場を歩き、被害と加害が錯綜する歴史の真相を明らかにする。彼らはなぜ、何を、裁かれたのか。植民地支配、捕虜政策、戦争裁判、戦後責任を検証し、彼らの人生をたどりながら、「戦争」と「戦後」を問う。

《筆者あとがきから》
 あらためて朝鮮人BC級戦犯はなぜ裁かれたのかを資料と証言で考えた。「キム」だけではない、BC級戦犯の問われた「戦争犯罪」は組織の中で生きる私たちにも無縁でない。裁判記録を読みながら、「もし自分だったら」と考えこむ。
 戦争犯罪に向き合ってきた戦犯たちの戦後史は、戦後の平和や民主主義が置き去りにしてきた戦争への視点である。そこにはアジア侵略に荷担した自己の苦渋に満ちた悔恨があり、存在をかけた反戦への熱い想いがあった。
 戦犯たちがなぜ裁かれたのか、何を裁かれたのか、その問いはまた、何が裁かれなかったのかという問いになって返ってくる。


朝日新聞出版
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=9812


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。