『平和力養成講座――非国民が贈る希望のインタヴュー』前田 朗編著(現代人文社)

2010-11-25 19:02:00 | 新刊・新譜情報
前田 朗編著『平和力養成講座――非国民が贈る希望のインタヴュー』(現代人文社)
http://www.genjin.jp/

非国民が贈る希望のインタヴュー 著者: 前田朗・編著
価格(税抜): 1800円 発行: 20101201 ISBN: 4-87798-466-3 C1036


平和力とは……平和は願うものでも愛するものでもなく、民衆の智恵と工夫でつく
り出すものだ。〈非暴力・非武装・無防備・不服従〉が世界を変える!

平和力フォーラム主催の連続公開セミナーの記録を収録。現代の「非国民」たち
が語る、非暴力・非武装・無防備・市民的不服従といった真の平和力の実践を学
ぶ入門テキストと言える対話集。

<目次>
第1部 自分を生きる
私自身を生きる‐‐‐金子文子の生き方に学ぶ 鈴木裕子
自分を偽らないために 根津公子
自治と平和をつくる闘い 上原公子

第2部 差別と闘う
陵辱されるいのち‐‐‐沖縄・尊厳の回復へ 安里英子
在日朝鮮人に対する差別 金静寅
差別と闘うエネルギー 辛淑玉

第3部 時代に挑む
新帝国主義の時代を生きる 木村朗
精神のたたかい‐‐‐不服従の可能性 立野正裕


<目次・詳細>
はしがき――現代の非国民像[前田 朗]

第1部 自分を生きる
私自身を生きる――金子文子の生き方に学ぶ[鈴木裕子]
危機に立つフェミニズム
女性国際戦犯法廷の輝き
昭和天皇の戦争責任
女性史研究への道
金子文子の世界へ
家制度のもとでの差別
文子は何を見たか――思想背景
同志・朴烈との出会い、そして天皇制との闘い
文子の葛藤
拷問する権力
現代に甦る文子――次世代へ伝えるために
自分を偽らないために[根津公子]
急激にやってきた暗黒の時代
日の丸・君が代が強制される教育現場
私の原点――父親の戦争
厳しい攻撃のなかでわかった「自分を偽らない」
統制する側の気持ち
「不起立」で生まれた出会いと別れ
市民的不服従のために
それでも教師で居続ける
自治と平和をつくる闘い[上原公子]
閉塞感を打ち破る希望
原点としての日本国憲法
自治と平和を掲げて
住基ネットをつながない理由
自治への攻撃が強まる
初の無防備条例賛成意見
無防備地域宣言とは
無防備条例制定が持つ希望
国民保護計画は住民を守らない
跳ね返す学習を

第2部 差別と闘う
凌辱されるいのち――沖縄・尊厳の回復へ[安里英子]
閉塞状態のいらだち
新政権への期待と市民が行動する必要
原点としての「由美子ちゃん事件」
「基地の街」コザで知る、連綿と続く性暴力
立ち上がる被害者たちの国際的な連帯
被害者の沈黙の意味を考える
第一人称としての沖縄
「うちなーナショナリスト」から世界に目を向けて
国を超えた女性のネットワークの希望
在日朝鮮人に対する差別[金静寅]
不当な抑圧を受け続ける在日朝鮮人
同胞同士の助け合いから始まったセンター
朝鮮人差別を国際社会で問う
日本では理解されない民族教育の意義
在日朝鮮人が日本社会で生きて行くために
差別と闘うエネルギー[辛淑玉]
野中広務の「遺書」
「知らなんだ」――朝鮮人は意識の外
野中さんが「国旗国歌法をやった」理由
朝鮮人の歌う君が代
アメリカの影
国家を背負わない
知ることから始まる
「済まなんだ」――知らないことの帰結
拉致問題へのスタンス
対等な人間関係を築くための人道支援

第3部 時代に挑む
新帝国主義の時代を生きる[木村 朗]
オバマ政権をどう見るか
日本のアメリカへの従属性そして、一体化へ
平和学研究者への道
ファシズムと帝国主義
原爆神話を問う
降伏の決定要因
日米安保の変容
日本核武装論の正体
希望をどこに見出すか~平和学にできること
精神のたたかい――不服従の可能性[立野正裕]
人はなぜ旅に出るのか
太平洋戦争と英文学教育
処刑された兵士の墓~慰霊の意味
祖母の沈黙をどう理解するか
社会のなかで芸術家が担う課題とは
「兵士の論理を超える」をイメージする
村上春樹の「壁と卵」の生ぬるさ
現代知識人の責任とは

あとがき[前田 朗]
http://218.42.146.84/genjin//search.cgi?mode=detail&bnum=40113

「はしがき」より

 「非国民」という言葉を本書では定義していません。むしろ、「非国民」を生
み出す状況や、「非国民」とされた人々の特徴を示すことによって、なぜいま
「非国民」なのかを考え続けることが必要です。なぜなら、「非国民」は「国
民」との関係で融通無碍に使われ、伸縮自在な言葉だからです。同心円の中心に
いる「国民」が、外側の円に位置する「非国民」を狩り出していきます。いくつ
もの円が重なり合い、階層が作り出されます。さまざまな「非国民」が創り出さ
れていくでしょう。それゆえ、明快な定義はできませんし、定義をしなくても通
用してしまうことに、この言葉の恐ろしさがあるのです。

 本書の第1章「自分を生きる」では、たとえ「非国民」と論難されようとも、
権力に擦り寄ったり、多数派におもねったりすることなく、自分らしい人生を選
んだ人々のお話を伺いました。鈴木裕子さん、根津公子さん、上原公子さんは、
昔なら「孤高の精神」とでも呼ばれたかもしれません。しかし、単なる「孤高の
精神」ではなく「人々に呼びかけ、繋がる熱い精神」です。

 第2章「差別と闘う」では、差別によって自分らしく生きることを否定されて
きた人々が、差別と闘いながら自分らしさを追及している現実をお話いただきま
した。差別と闘うこととは、他者を糾弾することではありません。差別の現実を
明るみに出し、その構造を解明し、差別―被差別の関係を組み替える言説こそ
が、差別との真の闘いなのです。安里英子さん、金静寅さん、辛淑玉さんの闘い
を、私たちの闘いにするために、心を引き締めてお読みください。

 第3章「時代に挑む」では、現代日本が置かれている状況を世界史的な大きな
枠組みで理解し、そうした時代にモノを考え、次の1歩を踏み出すために、いか
に生きるべきかを考えさせるお話を収録しました。同時代に立ち向うことと、自
分自身を見つめ直すことの両方を同時遂行する知性です。木村朗さん、立野正裕
さんの該博な知識に圧倒されるのではなく、時代に挑む知識人の覚悟に学んでく
ださい。



よろしければ、下のマークをクリックして!
にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。