20号でお伝えした重慶特殊鋼鉄工場の争議ですが、10月5日の生き生きとした行動のレポートが届いたので翻訳を進めていた矢先、10月6日に重慶市政府に申し入れを行おうとしていた労働者1000人が3000人の警官隊と衝突し、9名の労働者代表が拘束された、という情報が入りました。これまで約一ヵ月半続けられてきた道路封鎖闘争は日中だけだったのですが、この日は徹夜で封鎖行動を組織し、7日にデモを呼びかけるとのことです。情報が入り次第、お伝えします。(China Now!編集委員会)
■――――――――――――――――■
■ China Now!
■ 第21号2005年10月8日
■――――――――――――――――■
重慶市政府は逮捕した労働者代表9名をすぐに釈放せよ!
労働者の要求に基づいた生活保障を行え!
20号でお伝えした重慶特殊鋼鉄工場の争議ですが、10月5日の
生き生きとした行動のレポートが届いたので翻訳を進めていた
矢先、10月6日に重慶市政府に申し入れを行おうとしていた労
働者1000人が3000人の警官隊と衝突し、9名の労働者代表が拘
束された、という情報が入りました。これまで約一ヵ月半続け
られてきた道路封鎖闘争は日中だけだったのですが、この日は
徹夜で封鎖行動を組織し、7日にデモを呼びかけるとのことで
す。情報が入り次第、お伝えします。(China Now!編集委員
会)
--------------------------------
(以下は10月5日に行われた道路封鎖集会のレポートです)
「勝利はわれわれにある!」
10/5重慶特殊鉄鋼工場労働者集会レポート
8月中旬から10月4日まで、重慶特殊鋼鉄工場の労働者はすでに
生活と平等のために、道路封鎖という方法で一ヶ月半以上も闘
ってきた。そのため労働者のなかには、迷い、動揺などがみら
れ、闘争の力も減少しているように見える。争議の中心的労働
者たちは会議を持ち、10月5日午前9時半から労働者リーダーを
大衆集会で発言させることを決定した。
10月5日朝8時過ぎ、労働者達は212国道の両側に横断幕を掲
げ、新しい一日の道路封鎖闘争を開始しはじめた。これまでと
違ったのは、労働者達はブルーの小椅子を道路にならべはじめ
たことだ。労働者達は道路いっぱいに広がり道路沿いの街路樹
の下まで広がった。そして道路の東側にはスピーカーが設置さ
れた。その周辺にも立ち見の労働者達でいっぱいになった。労
働者の活動家たちが、スピーカーとの距離を少しあけるように
呼びかけていた。また参加者と講演者の間を隔てるようにロー
プが張られた。マイクの調整などが終わったのは9時50分ごろ
だった。
発言に立った労働者リーダーの服装は簡素で、見たところ40
-50才、眼光も鋭かった。マイクテストでは「みなさん、わ
れわれ労働者には講演のための机を準備する金もないくらい貧
しいようです」とユーモアを交えて話した。マイクの調整が終
わるとこの労働者リーダーは話しはじめた。彼は重慶なまりで
「特殊鋼鉄工場の労働者同胞諸君、兄弟姉妹のみなさん」と左
手でマイクを持ち、右手を大きく振ってこう叫んだ「こんにち
は!」。その場にいた聴衆は一斉に拍手を送ったが、すぐに静
寂を取り戻した。20-30メートル向こうのバス数台のクラ
クションだけが響いていた(道路はここから封鎖されているの
でここまで来た車がUターンして道路は混乱していた)。
労働者リーダーは語りはじめた。「演説のまえに、まずインタ
ーナショナルを歌おう。どうですか!」。「よし!」と答える
労働者達。労働者リーダーが歌いはじめた。おおくの労働者が
歌詞をよく知らないか、歌うのを恥ずかしがってはいたが、雰
囲気は一気に盛り上がった。
歌いおわった後、労働者リーダーは話しを始めた。かれは原稿
を見ながら話すことはなかった。即興演説である。そしてデー
タなど必要な数字をいう場合にだけ、左脇に挟んだブルーのフ
ァイルを開いた。かれの講演内容はしっかりまとまっており、
三つの部分に分けられた。一つは特殊鉄鋼工場労働者の貧困の
現状、二つはわれわれは闘うべきか否か、三つめは、われわれ
はどのように闘うのか、である。
特殊鉄鋼工場労働者の状況に関して、かれは大量の驚くべきデ
ータを引用して発言した。高い離婚率(65%以上)、病気で
も病院に行かない人の割合(90%以上)、子どもが高校か大
学に上がる割合が低く、進学する家庭も借金を抱えていること
などが報告された。「これらのデータは10日間の調査で分かっ
たものだが、極めて正確とは言えないが、比較的正確ではある
といえるだろう。その上、この数字はまだ控えめな方であり、
誇張も何もしていない」とリーダーは語った。かれはデータを
あげる前に、労働者に対して「いったいどのくらいの割合だと
思いますか?」と問いかけ、労働者達はしばらく互いに数字を
挙げて議論する。そして彼がその数字を伝えると多くの労働者
は厳しい表情を浮かべたり、中には「もっと高いはずだ!それ
は控えめなデータではないか」と声を上げる労働者もいる。彼
はまた感情を込めて次のように問いかけた。「ここにいる母親
たちが、学校に通えない子どもたちのために布団の中で涙を流
して来たのかを考えたことがありますか」このとき会場は静ま
りかえった。
次にわれわれは闘うべきか否か、という問題について語った。
「当初、会社は一部の労働者を解雇して企業を救うと言ってい
た。われわれもそれに協力してきた。だが、いま会社は倒産し
た。労働者は一切何ももらえないのか」と労働者に問いかける
と「もらえるはずだ!」と答える労働者。労働者リーダは次の
ように語りかけた。「多くの労働者がこの闘争に、自信をなく
し、あるいは恐れ、悩んでいる。私がここで演説をしているこ
とに対して、扇動だ、混乱させようとしている、と批判される
かもしれないし、私を逮捕しようとするかもしれない。だがわ
たしは何も恐れない。妻も子どももとっくにいなくなった。い
までは仕事さえもない。あと残っているのはせいぜい私のこの
頭くらいだ。」労働者達は一斉に拍手をした。もし闘いが必要
なのであれば、労働者は喫茶店でお茶を飲んでいたり、トラン
プや散歩などで時間をつぶすのではなく、立ち上がるべきだ、
と訴えた。
そして講演の三番目の部分であるどのように闘うのか、につい
て弁士は組織の問題を果敢に提起した。労働者の闘争は、でた
らめに闘うのではなく、闘争の方法や戦術などを、検討しなけ
ればならないと提起した。第一に、統一した指導とその組織的
中核、そして紀律が必要である。いま彼は4万人の労働者の代
表として発言しているが、これは労働者から選ばれたのであり
、自分から進んでそうなる意志はなかったが、この重任に選ば
れてしまったからにはみんなの利益のためにすべてを捧げる決
意だ、と語った。
発言のまとめとして、「われわれは何のために闘うのか。それ
は自分のために、みんなのために、子どもらのために、そして
生活と平等のために闘うのだ」と発言を締めくくった。
最後に、もう一度インターナショナルを歌おう、と提案してみ
んなでインターナショナルを歌った。労働者リーダーは脇に挟
んでいたファイルを置いて、両腕を上げて、周囲の労働者を守
り立てながら歌いはじめた。女性の労働者が歌詞を配り、周囲
の労働者たちも路上脇に掲げられた横断幕に書かれたインター
ナショナルの歌詞をみながら歌いはじめた。咳込んだ労働者リ
ーダーのマイクを受けて、後ろにいた青年労働者が引き継いで
歌う。おばあさんは楽しそうに手拍子で応える。労働者たちは
感情が高ぶり雰囲気は最高潮に達し、労働者を勇気づけた。
歌を歌いおわると、労働者リーダーはスローガンを叫び、みん
ながそれに続いた。「政府は倒産生活保障費をだせ!」「われ
われには生活がある」「われわれには平等が必要だ!」そして
最後に次のスローガンが叫ばれた。「勝利はわれわれにある!
」
■■■■■■■■■■
8月ごろから重慶特殊鋼鉄工場の労働者の闘争に関する資料がweb
に出回っていました。早く紹介しないといけないと思いつつ、
ついつい発行が遅れてしまいましたが、紹介してすぐに弾圧が
始まるとは・・・。明日から中国共産党は第16期第5回総会を
開き、「調和ある社会」の格差是正を検討するようです。しか
し現実は「調和」とは程遠い社会的矛盾が蔓延しています。北
京では土地取り上げに抗議して陳情に来た農民ら2000人が拘束
されたというニュースも入っています(日本のウェブニュース
でも流れています)。
情報の更新をスピーディーにするために旧来のサイトからBlog
にしました。記事に関連する画像などもUPしていきます。今後
ともよろしくお願いします。(China Now!編集委員会)
China Now!Blog http://chinanow.blog28.fc2.com/
■――――――――――――――――■
■ China Now!
■ 第21号2005年10月8日
■――――――――――――――――■
重慶市政府は逮捕した労働者代表9名をすぐに釈放せよ!
労働者の要求に基づいた生活保障を行え!
20号でお伝えした重慶特殊鋼鉄工場の争議ですが、10月5日の
生き生きとした行動のレポートが届いたので翻訳を進めていた
矢先、10月6日に重慶市政府に申し入れを行おうとしていた労
働者1000人が3000人の警官隊と衝突し、9名の労働者代表が拘
束された、という情報が入りました。これまで約一ヵ月半続け
られてきた道路封鎖闘争は日中だけだったのですが、この日は
徹夜で封鎖行動を組織し、7日にデモを呼びかけるとのことで
す。情報が入り次第、お伝えします。(China Now!編集委員
会)
--------------------------------
(以下は10月5日に行われた道路封鎖集会のレポートです)
「勝利はわれわれにある!」
10/5重慶特殊鉄鋼工場労働者集会レポート
8月中旬から10月4日まで、重慶特殊鋼鉄工場の労働者はすでに
生活と平等のために、道路封鎖という方法で一ヶ月半以上も闘
ってきた。そのため労働者のなかには、迷い、動揺などがみら
れ、闘争の力も減少しているように見える。争議の中心的労働
者たちは会議を持ち、10月5日午前9時半から労働者リーダーを
大衆集会で発言させることを決定した。
10月5日朝8時過ぎ、労働者達は212国道の両側に横断幕を掲
げ、新しい一日の道路封鎖闘争を開始しはじめた。これまでと
違ったのは、労働者達はブルーの小椅子を道路にならべはじめ
たことだ。労働者達は道路いっぱいに広がり道路沿いの街路樹
の下まで広がった。そして道路の東側にはスピーカーが設置さ
れた。その周辺にも立ち見の労働者達でいっぱいになった。労
働者の活動家たちが、スピーカーとの距離を少しあけるように
呼びかけていた。また参加者と講演者の間を隔てるようにロー
プが張られた。マイクの調整などが終わったのは9時50分ごろ
だった。
発言に立った労働者リーダーの服装は簡素で、見たところ40
-50才、眼光も鋭かった。マイクテストでは「みなさん、わ
れわれ労働者には講演のための机を準備する金もないくらい貧
しいようです」とユーモアを交えて話した。マイクの調整が終
わるとこの労働者リーダーは話しはじめた。彼は重慶なまりで
「特殊鋼鉄工場の労働者同胞諸君、兄弟姉妹のみなさん」と左
手でマイクを持ち、右手を大きく振ってこう叫んだ「こんにち
は!」。その場にいた聴衆は一斉に拍手を送ったが、すぐに静
寂を取り戻した。20-30メートル向こうのバス数台のクラ
クションだけが響いていた(道路はここから封鎖されているの
でここまで来た車がUターンして道路は混乱していた)。
労働者リーダーは語りはじめた。「演説のまえに、まずインタ
ーナショナルを歌おう。どうですか!」。「よし!」と答える
労働者達。労働者リーダーが歌いはじめた。おおくの労働者が
歌詞をよく知らないか、歌うのを恥ずかしがってはいたが、雰
囲気は一気に盛り上がった。
歌いおわった後、労働者リーダーは話しを始めた。かれは原稿
を見ながら話すことはなかった。即興演説である。そしてデー
タなど必要な数字をいう場合にだけ、左脇に挟んだブルーのフ
ァイルを開いた。かれの講演内容はしっかりまとまっており、
三つの部分に分けられた。一つは特殊鉄鋼工場労働者の貧困の
現状、二つはわれわれは闘うべきか否か、三つめは、われわれ
はどのように闘うのか、である。
特殊鉄鋼工場労働者の状況に関して、かれは大量の驚くべきデ
ータを引用して発言した。高い離婚率(65%以上)、病気で
も病院に行かない人の割合(90%以上)、子どもが高校か大
学に上がる割合が低く、進学する家庭も借金を抱えていること
などが報告された。「これらのデータは10日間の調査で分かっ
たものだが、極めて正確とは言えないが、比較的正確ではある
といえるだろう。その上、この数字はまだ控えめな方であり、
誇張も何もしていない」とリーダーは語った。かれはデータを
あげる前に、労働者に対して「いったいどのくらいの割合だと
思いますか?」と問いかけ、労働者達はしばらく互いに数字を
挙げて議論する。そして彼がその数字を伝えると多くの労働者
は厳しい表情を浮かべたり、中には「もっと高いはずだ!それ
は控えめなデータではないか」と声を上げる労働者もいる。彼
はまた感情を込めて次のように問いかけた。「ここにいる母親
たちが、学校に通えない子どもたちのために布団の中で涙を流
して来たのかを考えたことがありますか」このとき会場は静ま
りかえった。
次にわれわれは闘うべきか否か、という問題について語った。
「当初、会社は一部の労働者を解雇して企業を救うと言ってい
た。われわれもそれに協力してきた。だが、いま会社は倒産し
た。労働者は一切何ももらえないのか」と労働者に問いかける
と「もらえるはずだ!」と答える労働者。労働者リーダは次の
ように語りかけた。「多くの労働者がこの闘争に、自信をなく
し、あるいは恐れ、悩んでいる。私がここで演説をしているこ
とに対して、扇動だ、混乱させようとしている、と批判される
かもしれないし、私を逮捕しようとするかもしれない。だがわ
たしは何も恐れない。妻も子どももとっくにいなくなった。い
までは仕事さえもない。あと残っているのはせいぜい私のこの
頭くらいだ。」労働者達は一斉に拍手をした。もし闘いが必要
なのであれば、労働者は喫茶店でお茶を飲んでいたり、トラン
プや散歩などで時間をつぶすのではなく、立ち上がるべきだ、
と訴えた。
そして講演の三番目の部分であるどのように闘うのか、につい
て弁士は組織の問題を果敢に提起した。労働者の闘争は、でた
らめに闘うのではなく、闘争の方法や戦術などを、検討しなけ
ればならないと提起した。第一に、統一した指導とその組織的
中核、そして紀律が必要である。いま彼は4万人の労働者の代
表として発言しているが、これは労働者から選ばれたのであり
、自分から進んでそうなる意志はなかったが、この重任に選ば
れてしまったからにはみんなの利益のためにすべてを捧げる決
意だ、と語った。
発言のまとめとして、「われわれは何のために闘うのか。それ
は自分のために、みんなのために、子どもらのために、そして
生活と平等のために闘うのだ」と発言を締めくくった。
最後に、もう一度インターナショナルを歌おう、と提案してみ
んなでインターナショナルを歌った。労働者リーダーは脇に挟
んでいたファイルを置いて、両腕を上げて、周囲の労働者を守
り立てながら歌いはじめた。女性の労働者が歌詞を配り、周囲
の労働者たちも路上脇に掲げられた横断幕に書かれたインター
ナショナルの歌詞をみながら歌いはじめた。咳込んだ労働者リ
ーダーのマイクを受けて、後ろにいた青年労働者が引き継いで
歌う。おばあさんは楽しそうに手拍子で応える。労働者たちは
感情が高ぶり雰囲気は最高潮に達し、労働者を勇気づけた。
歌を歌いおわると、労働者リーダーはスローガンを叫び、みん
ながそれに続いた。「政府は倒産生活保障費をだせ!」「われ
われには生活がある」「われわれには平等が必要だ!」そして
最後に次のスローガンが叫ばれた。「勝利はわれわれにある!
」
■■■■■■■■■■
8月ごろから重慶特殊鋼鉄工場の労働者の闘争に関する資料がweb
に出回っていました。早く紹介しないといけないと思いつつ、
ついつい発行が遅れてしまいましたが、紹介してすぐに弾圧が
始まるとは・・・。明日から中国共産党は第16期第5回総会を
開き、「調和ある社会」の格差是正を検討するようです。しか
し現実は「調和」とは程遠い社会的矛盾が蔓延しています。北
京では土地取り上げに抗議して陳情に来た農民ら2000人が拘束
されたというニュースも入っています(日本のウェブニュース
でも流れています)。
情報の更新をスピーディーにするために旧来のサイトからBlog
にしました。記事に関連する画像などもUPしていきます。今後
ともよろしくお願いします。(China Now!編集委員会)
China Now!Blog http://chinanow.blog28.fc2.com/