在日高齢者無年金訴訟 敗訴/在日韓国・朝鮮人高齢者の年金訴訟を支える会・増野徹

2007-02-23 20:20:04 | 社会
本日午前10時、京都地方裁判所101大法廷で在日無年金高齢者裁判の判決言渡しが
ありました。

弁護団は30分の時間枠を要請していましたが、結果は「原告らの請求をいずれも棄
却する 訴訟費用は原告らの負担とする 」
という主文のみのまさしく「秒殺」の判決でした。

傍聴席が満席となり裁判所の門前で待機していましたが、すぐに「不当判決」の垂れ
幕を掲げた事務局メンバーが出てきました。正直いって一切期待していなかったつも
りでしたが、悔しさと情けなさに涙が出てきました。

戦前・戦中と「日本人」として義務を課しておいて、戦後は「日本人」ではないと一
方的に放り出し、さんざん辛酸をなめさせて補償もせず、人並みの老後を保障もせ
ず、死ぬまで働けというのか。今目の前にある現実を救済する術はいくらでもあるだ
ろうに  と。

判決後の報告集会で80歳~87歳の原告は、命のある限りとことん戦い抜くと口々
におっしゃいました。本当に命をかけた闘いであり時間との競争です。早速明日から
控訴に向けた準備にはいります。多くのみなさんのお力添えをお願いします。

判決全文はA4版42ページに及び、アップには時間がかかりますのでご了承くださ
い。

判決の内容を事務局メンバーがまとめたものを以下に貼り付けます。(転送・転載可)

山下寛裁判長・衣斐瑞穂裁判官・脇村真治裁判官には「判決要旨」もご準備いただけ
ませんでした。

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在日韓国・朝鮮人高齢者の年金訴訟
第一審(京都地裁)判決要旨
2007年2月23日
京都地方裁判所第2民事部


原告らの請求をいずれも棄却する
訴訟費用は原告らの負担とする

■ 国際人権規約に違反していない
A規約は、自動執行力は持たない。裁判規範性もない。
   ・・・平成元年3月2日最高裁判決 「政治的責任の宣明にすぎない」
B規約は、自動執行力はある。裁判規範性もある。国籍も26条の「他の地位」にあた

から、国籍を理由とする差別は許されない。
 ただし、差異を全てなくして全て同じに扱うことを求めているのではなく、異なる
扱いも一定の限度で許容している。
 そして、社会保障制度については 立法府に裁量権がある。
 外国人については、社会保障の責任はまず、その者らの本国にある。
 だから、『限られた財源の下で福祉的給付を行なうに際し、在留外国人に比して日
本国民を優先的に取り扱うことを立法府の裁量の範囲内として許容していると解され
る』(『』は原文通り)
 在日韓国・朝鮮人の歴史的経緯
・ 社会保障は社会構成員に対して実施されるべき面はあるが、それがすぐに在留外
国人も日本国民と同一の社会保障を受ける権利を有していることにはならない。
・ 在日韓国・朝鮮人が本国から何の救済も受けていないとしても、それがすぐに日

が在日韓国・朝鮮人に対して日本国民と同一の社会保障を与える法的義務があるとい
う根拠にならない。
・ 在日韓国・朝鮮人が日本国籍を喪失したこと自体が無効とは言えないから、日本

民と同一の社会保障を与える法的義務があるという根拠にならない。
・ また、税金を払っているとしても、そのことが日本国民と同一の社会保障を与え
る法的義務にはならない。
・ 昭和60年改正まで国民年金から除外され、任意加入もできなかったとしても、

れがすぐに日本国民と同一の社会保障を与える根拠にはならない。
  経過措置を作るか作らないかは裁量の範囲内。
・ 国籍条項は国際人権規約、憲法に違反していないから、それを是正する必要はな
い。
・ 難民条約批准にあわせた改正であり、在日外国人に経過措置を作らなかったとし
ても、立法裁量からの逸脱ではない。
・ 『在留外国人に比して日本国民を優先的に取り扱うことは締約国の裁量事項』だ
から、日本国民には経過措置を作り、在日外国人には経過措置を作らないのも、同じ
裁量の範囲内。
 故に国際人権規約には違反しない。
■ 憲法に違反しない
憲法の基本的人権の保障は、日本国民だけではなく、在留外国人にも及ぶもの。
それは14条(平等原則)も同じ。
ただし、14条は「絶対的平等」ではなく、『合理的理由のない差別を禁止する趣旨の
もの』であり、合理的根拠に基づく区別は許される。
国民年金は一部国庫負担であるから、立法府が広範な裁量権をもっている。
外国人の社会保障の責任はまずその本国にあるから、『その限られた財源の下で福祉
的給付を行なうにあたり、日本国民を在留外国人より優先的に扱うことも許される』
故に外国人を除外したことは憲法に違反しない。
経過措置を作らなかったことも同じ理由で違反にならない。
■ 国際慣習法に違反しない
世界人権宣言は国連の考えを表明したものに過ぎず、法的拘束力を持つものではな
い。
故に国籍条項が国際人権宣言に違反すると言えない。
■ 国家賠償法に違反しない
国籍条項も、経過措置を作らなかったことも、国際人権規約にも憲法にも違反してい
ないから、立法不作為にもならない。


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在日韓国・朝鮮人高齢者の年金訴訟を支える会
NPO法人 京都コリアン生活センター エルファ内
http://zainichi-nenkin.hp.infoseek.co.jp/
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1 コメント

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最初の一歩。 (必要な事だ。)
2007-02-25 14:43:06
指紋も、9・11以降に「1日一歩3日三歩三歩進んで二歩下がる」であっても、やらなければ何も始まらなかったんだ。
それにつけても、インターナショナルスクール万歳!
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