「在特会の正体」・安田浩一/講談社・ノンフィクション雑誌「G2」(vol.6) 12月4日発売

2010-12-01 16:28:37 | 新刊・新譜情報
ジャーナリストの安田浩一です。

このたび、講談社のノンフィクション雑誌「G2」(vol.6)において、
「在特会の正体」という記事を書きました(全30ページ)。

「在特会」(在日特権を許さない市民の会)とは、
在日韓国・朝鮮人の「特権剥奪」を訴える、右派系市民団体です。
同会による「京都朝鮮学校襲撃事件」「徳島県教組襲撃事件」などは、
すでに、皆様もご存知のことかと思います。

今回、私は「在特会」会員や関係者を取材し、
彼ら彼女らの「生の声」を拾いました。

また、同会会長の実家周辺や親族宅を取材したこと、
さらには会長を直撃取材したことで、
同会より抗議はもちろんのこと、
「安田というゴロツキに暴力をふるわれた」
「安田から脅迫を受けた」
といった、デマ宣伝までいただいております。

そうした「いわくつき」の記事に興味のある方はぜひ、
ご一読いただければ幸いです。

「G2」(講談社)は廃刊となった「月刊現代」の後継誌で、
毎号、多くのノンフィクション記事が掲載されています。
12月4日発売です。
お近くの書店、またはアマゾンhttp://qrl.st/dd7b などのブックサイトで、
予約を受け付けております。

よろしくお願いいたします。
宣伝文で失礼いたしました。

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安田浩一さんのtwitter
http://twitter.com/yasudakoichi
在特会を取材しながら思ったこと。在特会のみなさんが求めているのは「在日特権の廃止」でも「シナ人のいない日本」でもない。あなたがたが求めているのは──「ともだち」だ。

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安田浩一さんの在特会・行動界隈に関してのツイートだけ拾ってみました #zaitoku #twitbackr
http://togetter.com/li/69763

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講談社 ノンフィクション雑誌「G2」vol6(12/4発売)橋下徹、在特会・・・お勧めです
2両編成の筑豊電鉄は起点の黒崎駅前駅(北九州市)を出ると、じきに洞海湾に面した工業地帯と並行するように走り、途中で南に大きく逸れて筑豊方面へ向かう。車窓越しに見えるのは低い山並みと住宅地からなる退屈な風景だけだ。無人駅をいくつかやり過ごし、中間市に入ったあたりで下車すると、駅前から延びる緩くて長い坂道の両脇に、戸建の住宅街が広がっていた。かつては炭鉱町として栄えたというが、往時の面影はすでにない。

それでも、薄れゆく採炭地としての記憶を懸命に守ろうとするかのように、唯一この町で存在を誇示しているのが、町はずれにあるボタ山である。長年の風雨によって形をだらしなく崩し、いまや雑木に覆われた小高い丘陵でしかないが、古くから地元に住む人々にとっては“石炭の栄光”を振り返るべく、もっともノスタルジックな場所となっている。

その荒れ果てたボタ山と向き合うように、県立高校の校舎が建っていた。

Tがこの学校を卒業してから、すでに20年が経過している。

彼は影の薄い男だった。

「おとなしくて目立たない、クラスで最も地味なヤツでした」と、元同級生のひとりは言う。

「友達もほとんどいなかったんじゃないかなあ。いつも、ひとりで行動していた。3年生のとき、確か家出して1週間ほど学校を休んで話題になったこともありましたね。でもそれ以外、彼のことって全然思い出すことができないですね」

私が話を聞いた元同級生たちは、誰もが同じ印象を口にした。

「無口」「物静か」「気が弱そう」

かつての女子生徒のなかには「T? そんな名前の人、聞いたことがない」と、存在そのものを否定する者までいた。卒業アルバムを確認してもらってようやく出た言葉は「ああ、小太りの男。見たことはあるかもしれない」だった。

Tは一時期、生徒会の役員を務めたこともあるが、その事実すら覚えている者は少ない。「生徒会なんて誰もやりたがらない雑用係みたいなものだったから、みんなでTに押し付けたに違いない」と断言する元同級生もいた。

存在感のなさ―その一点のみで、Tは同じ教室で過ごした者たちの記憶の端に、かろうじてぶら下がっているだけだ。

卒業アルバムにはTのあどけない笑顔の写真が収められている。高校生にしてはやけに幼く、突けばすぐにでも泣き出しそうなその表情に、私は気の遠くなるような“距離感”を覚えた。

「ゴキブリ朝鮮人を日本から叩き出せ!」

「シナ人を東京湾に叩き込め!」

「おい、コラ、そこの不逞朝鮮人! 日本から出て行け!」

カン高い声で絶叫しながら街頭を練り歩く「ネット右翼のカリスマ」が、まさかこの写真のTであるとは誰も気がつかないだろう。

在日特権を許さない市民の会(在特会)会長・桜井誠(38歳・ペンネーム)―「地味で無口」な少年だったTの、現在の姿である。

在特会はネット上の政治サークルを出自とする右派系市民団体だ。ここ数年、急速に勢力拡大を果たし、世間の注目を集めるようになった。同会公式サイトによれば、会員数は9837人(11月15日現在)。北海道から鹿児島まで全国29支部を持ち、海外にも約250人の会員を抱える。会費を必要とせず、クリックするだけで会員資格が付与される「メール会員」がその大部分を占めるにしても、数ある保守・右翼団体のなかでも有数の規模を誇ることは間違いない。

その名称が示す通り、同会が最重要の政治課題として掲げているのは在日韓国・朝鮮人の「特権剥奪」だ。日本は長きにわたって在日の犯罪や搾取によって苦しめられてきたというのが同会の“現状認識”であり、日夜、「不逞在日との戦い」を会員に呼びかけている。

昨今では、糾弾対象はいわゆる「在日」のみならず、韓国、北朝鮮、中国といった同会いうところの「反日国家」や、それらに宥和的な民主党政権にも及び、各地で精力的な抗議活動を展開している。デモや集会では数百人規模の動員力を見せ付けることも珍しくない。

この在特会の生みの親であり、“理論的指導者”でもあるのが桜井だ。カリスマと呼ばれ、ときに「先生」と崇めたてまつられる人物である。サスペンダーに蝶ネクタイといった芸人のような出で立ちでありながら、「朝鮮人を追い出せ」といったヘイトスピーチを何のためらいもなく繰り返す。その特異なキャラクターはネットを通じて国外にも知れ渡り、最近では『ニューヨークタイムズ』など複数の海外メディアが、「外国人排斥を主張する、日本の新しいタイプの右派指導者」として彼を取り上げた。

ネットの動画サイトにアップされる桜井の映像には何万という再生回数がつき、その一挙手一投足に、いわゆる「ネット右翼」と呼ばれる者たちが「支援するぞ!」といった賛辞のメッセージを寄せる。

以前から私は在特会主催の講演会などに何度か足を運んでいるが、確かに桜井の姿には、芝居がかっているとはいえ、ある種のカリスマ性を感じたのは事実だ。蝶ネクタイ姿の桜井が登壇すると、会場からは割れるような拍手と声援が沸き起こる。饒舌で、澱みなく、緩急自在な桜井の話法は、まるで新興宗教の教祖そのものだ。脆弱な論理は力で押し切り、根拠の怪しい「事実」を平然とタレ流し、話の各所で「朝鮮人の悪行」や「シナ人の狡猾さ」を叫ぶように訴えれば、聴衆は大いに盛り上がる。本名や経歴を一切明かさず、謎のベールに包まれていることも、なおさら桜井の“神格化”に力を貸した。

しかし―。昔の級友たちが語る桜井の前身、つまりTは、饒舌どころか寡黙であり、その存在すら疑われるあやふやな印象しか残していない。外国人の排斥を主張した場面など誰の記憶にもなく、むしろ彼自身が「排斥」されていたのではないかと思わせるような人物像しか浮かび上がってこないのだ。

Tの“飛躍”はいつから始まったのか。何がそうさせたのか。
(以下略)

*この雑誌は
サイトで「無料会員登録」することで
ネット上でバックナンバー含め全文閲覧可能となります
http://g2.kodansha.co.jp/

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3 コメント

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安田浩一は大嘘付きである! (佐藤篤司)
2011-02-11 16:23:32
安田浩一が反日朝鮮人だと言う事は間違いない!
返信する
Unknown (電灯)
2010-12-01 19:39:39
なお、私個人の現時点での見解では、桜井氏は、以前に週刊金曜日のインタビュー取材などにも応じており、たとえサヨク(とおもわれている)メディアであっても、理由もなく取材拒否などはしない人であろうとおもっております。

桜井氏を直接知っているわけではなく、あくまでメディアを通しての印象です。
安田氏については、まったく知識がありません。
返信する
Unknown (電灯)
2010-12-01 19:33:22
桜井氏のブログでこの記者への言及をみつけた(2010年11月15日(月)づけ)ので、かってに転載させていただきます。
どうか、公開の場で、両者で決着をつけていただきたいものだと希望いたします。

===転載ここから、最後まで===

安田浩一を名乗る講談社所属のフリーライターが好き勝手を書いているようなので、一応の反論を記載します。まずこの男と初めて会ったのは今年9月の大分支部発足記念街宣のときでした。あまり印象になかったのですが、ずいぶん物腰低く取材をさせて欲しいというので、快諾してそのときは取材をOKしました。

その後、全国各地の支部主催行事に取材と称して付きまといを開始し、北海道からの報告では「情報を取るためなら何でもやる極左の情報屋ではないか?」 として注意を促す連絡がありました。その後、桜井の実家より連絡があり突然安田を名乗る男がやってきて「取材させろ」と凄んできたというのです。実際、実家の人間は身体的危害を加えられるかもしれないと怯えており、その件があったため講談社に安田の身分照会と抗議、今後の取材をいっさい拒否する旨を伝えました。

そして、名古屋では了解も何もなく突然会場に押しかけて来たのです。この男と直接会うのは2度目になりますが、大分であった時と明らかに目つきが変わっており、興奮した様子で私のところに駆け寄ってきました。実家の件について問いただし、取材は拒否する旨を伝えて出ていくように命じましたが、突然大声で「取材に答えてください!」 と叫びだし会場から出ていかないため、スタッフが外に連れ出す事態になりました。

会場からつまみだされる直前に「だったら、次はあんたのところに直接行くから」 と脅迫の捨て台詞を残して消えていったのですが、その後も会場の外でスタッフと言い争いを行い、うち一人の肩を強く掴んで負傷させています。この様子は数名の関係者が目撃しており弁解の余地はないはずですが、(在特会から送付した抗議文について) 講談社からの返答では「(桜井の)実家への取材は終始和やかに行われた」「名古屋で安田が暴れたことはない」 などとんでもない虚偽が回答として送り返されてきました。

和やかに行われた取材で実家の人間がどうして怯える必要があるのでしょうか? また、名古屋では多くの目撃者の前で声を張り上げ乱暴狼藉を行い、脅迫まで行った人間のどこが記者などといえるのでしょうか? ここまで堂々と平気で嘘を垂れながし犯罪行為を隠ぺいしようとする連中だからこそ、自分の身はともかくとして今も怯えている関係ない家族を守ろうとするのは当然のことだと思います。

現在、講談社とは在特会として調整を続けていますが、個別の法的対応も含めて断固として戦っていく所存です。
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