法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

水難事故に伴う認定死亡について

2008-05-29 20:21:28 | Weblog
父子,不明のまま葬儀 イージス艦事故 NIKKEI NET

 心からお悔やみ申し上げます。

 戸籍法第89条には「水難,火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には,その取調をした官庁又は公署は,死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し,外国又は法務省令で定める地域で死亡があつたときは,死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。」とある。
戸籍への死亡の記載は届出によるのが原則(戸籍法第86条参照)。死亡の報告は,届出によることが困難で,取調官公署の直接資料に基づいて記載する方が正確を期すことができる場合におこなわれる。水難事故はその典型例。
水難事故による死亡の報告は,官海官庁である海上保安庁又はその下部機関が所管し(昭和24.3.15民事甲252号通達),死亡認定は「死亡認定事務取扱規程」(昭和28.7.7海上保安庁達17号)に基づいておこなわれる。
死亡認定の要件は第4条に規定されており,第3号には「行方不明者の被服又は携帯品,避難船舶,遭難船舶の破片,ぎ装品又は属具等の現存,海難の現認者の証言等行方不明者の死亡を確認するに足りる証拠がある場合か,又は行方不明者の乗船していた船舶が遭難したことが確実である場合であって,四囲の状況をも考慮するとき,その行方不明者が生存しているとは考えられないものであること(単に消息を絶ち,生死が分明でないというだけではたりない)。」とある。


戸籍法の関連条文

第一条  戸籍に関する事務は,市町村長がこれを管掌する。
2  前項の事務は,地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号 に規定する第一号 法定受託事務とする。

第三条  法務大臣は,市町村長が戸籍事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができる。
2  市役所又は町村役場の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は,戸籍事務の処理に関し必要があると認めるときは,市町村長に対し,報告を求め,又は助言若しくは勧告をすることができる。この場合において,戸籍事務の処理の適正を確保するため特に必要があると認めるときは,指示をすることができる。
3  戸籍事務については,地方自治法第二百四十五条の四 ,第二百四十五条の七第二項第一号,第三項及び第四項,第二百四十五条の八第十二項及び第十三項並びに第二百四十五条の九第二項第一号,第三項及び第四項の規定は,適用しない。

第八十六条  死亡の届出は,届出義務者が,死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは,その事実を知つた日から三箇月以内)に,これをしなければならない。
2  届書には,次の事項を記載し,診断書又は検案書を添付しなければならない。
一  死亡の年月日時分及び場所
二  その他法務省令で定める事項
3  やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは,死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には,届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。

第八十七条  左の者は,その順序に従つて,死亡の届出をしなければならない。但し,順序にかかわらず届出をすることができる。
第一 同居の親族
第二 その他の同居者
第三 家主,地主又は家屋若しくは土地の管理人
2  死亡の届出は,同居の親族以外の親族も,これをすることができる。

第八十八条  死亡の届出は,死亡地でこれをすることができる。
2  死亡地が明らかでないときは死体が最初に発見された地で,汽車その他の交通機関の中で死亡があつたときは死体をその交通機関から降ろした地で,航海日誌を備えない船舶の中で死亡があつたときはその船舶が最初に入港した地で,死亡の届出をすることができる。

第八十九条  水難,火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には,その取調をした官庁又は公署は,死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し,外国又は法務省令で定める地域で死亡があつたときは,死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。

第九十一条  前二条に規定する報告書には,第八十六条第二項に掲げる事項を記載しなければならない。

死亡認定事務取扱規定の関連条文

 この規定は,死亡報告のため,海上保安庁が取り調べた船舶の遭難,投身,転落その他海上における事故による行方不明者の死亡認定に関する事務を適切に処理するため,必要な取扱要領を定めることを目的としている。

(死亡認定事務の重要性)
第2条 死亡認定事務は,行方不明者の身分関係及び財産関係を確定する重要なものであるから,その処理に当っては,正確且つ慎重な調査を行い,行方不明者に関する事実の確認に努めなければならない。

(書類作成上の注意事項)
第3条 この規程に定める書類の作成に当り,文字を加え,削り,又は欄外に記人したときは,作成者がこれに認印し,その字数を記入しなければならない。但し,削った部分はこれを読むことができるように字体を残さなければならない。

(死亡認定の要件)
第4条 死亡認定は,左の各号の要件を具備する場合に限り行うことができる。
1 海上保安庁が取り調べた行方不明者であること。
2 行方不明者の親族(婚姻の届出をしないが,事実上配偶関係にある者を含む。)から死亡認定の願出があったこと。
3 行方不明者の被服又は携帯品,避難船舶,遭難船舶の破片,ぎ装品又は属具等の現存,海難の現認者の証言等行方不明者の死亡を確認するに足りる証拠がある場合か,又は行方不明者の乗船していた船舶が遭難したことが確実である場合であって,四囲の状況をも考慮するとき,その行方不明者が生存しているとは考えられないものであること(単に消息を絶ち,生死が分明でないというだけではたりない)。
4 海難発生の時から3月以上を経過したものであること。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする