法律の周辺

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合理性を欠いた送達方法の選択について

2008-05-18 16:10:35 | Weblog
服役中の競売,地裁に過失 名古屋地裁判決 - さきがけ on the Web

 公示送達は,債務者等が行方不明になっている場合の送達方法(民執法第20条,民訴法第110条~112条)。
申立にあたっては,通常人の能力,努力をもってしては所在が判明しなかったことを明らかにするため,戸籍の附票の写し,現地調査報告書,勤務先・親類縁者等からの聴取書等を添付する必要がある。このほか,更に慎重を期し,警察に対して照会をするかについては担当の書記官の判断に委ねられているやに聞く。

公示送達の効力発生時期に関しては,民訴法第112条第1項に「公示送達は,前条の規定による掲示を始めた日から二週間を経過することによって,その効力を生ずる。ただし,第百十条第三項の公示送達は,掲示を始めた日の翌日にその効力を生ずる。」とある。ひとたび行方不明とされた債務者等が,公示送達に係る掲示により,競売開始等の送達の内容を了知する可能性はきわめて低い。債務者等に対する手続保障との関係で,公示送達実施の要件を充足するかについての審査は,自然,厳格なものとなる。
債務者が服役中という情報が寄せられながら,その真偽を確認しなかった書記官,不注意との誹りは免れない。

なお,刑務所に入所している者の住所については,自治省時代の先例として次のようなものがある。

(問) 刑務所に入所するまで家族と住所を一にしていた者の住所については家族のもとにある(昭和46年3月31日自治振第128号,振興課長から各都道府県総務部長あて回答のうち)とされているが入所期間の長短に関係なく家族のもとにあると解するか。

(答) お見込みのとおり,ただし,死刑,無期懲役,無期禁固の場合は刑務所とする。[昭50・4・9兵庫県地方課あて電話回答]
 


国家賠償法の関連条文

第一条  国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が,その職務を行うについて,故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは,国又は公共団体が,これを賠償する責に任ずる。
2  前項の場合において,公務員に故意又は重大な過失があつたときは,国又は公共団体は,その公務員に対して求償権を有する。

第四条  国又は公共団体の損害賠償の責任については,前三条の規定によるの外,民法 の規定による。

民事執行法の関連条文

(送達の特例)
第十六条  民事執行の手続について,執行裁判所に対し申立て,申出若しくは届出をし,又は執行裁判所から文書の送達を受けた者は,送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)を執行裁判所に届け出なければならない。この場合においては,送達受取人をも届け出ることができる。
2  民事訴訟法第百四条第二項 及び第三項 並びに第百七条 の規定は,前項前段の場合について準用する。
3  第一項前段の規定による届出をしない者(前項において準用する民事訴訟法第百四条第三項 に規定する者を除く。)に対する送達は,事件の記録に表れたその者の住所,居所,営業所又は事務所においてする。
4  前項の規定による送達をすべき場合において,第二十条において準用する民事訴訟法第百六条 の規定により送達をすることができないときは,裁判所書記官は,同項の住所,居所,営業所又は事務所にあてて,書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第六項 に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項 に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項 に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるものに付して発送することができる。この場合においては,民事訴訟法第百七条第二項 及び第三項 の規定を準用する。

(民事訴訟法 の準用)
第二十条  特別の定めがある場合を除き,民事執行の手続に関しては,民事訴訟法 の規定を準用する。

(開始決定等)
第四十五条  執行裁判所は,強制競売の手続を開始するには,強制競売の開始決定をし,その開始決定において,債権者のために不動産を差し押さえる旨を宣言しなければならない。
2  前項の開始決定は,債務者に送達しなければならない。
3  強制競売の申立てを却下する裁判に対しては,執行抗告をすることができる。

(差押えの効力)
第四十六条  差押えの効力は,強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる。ただし,差押えの登記がその開始決定の送達前にされたときは,登記がされた時に生ずる。
2  差押えは,債務者が通常の用法に従つて不動産を使用し,又は収益することを妨げない。

(差押えの登記の嘱託等)
第四十八条  強制競売の開始決定がされたときは,裁判所書記官は,直ちに,その開始決定に係る差押えの登記を嘱託しなければならない。
2  登記官は,前項の規定による嘱託に基づいて差押えの登記をしたときは,その登記事項証明書を執行裁判所に送付しなければならない。

(不動産執行の規定の準用)
第百八十八条  第四十四条の規定は不動産担保権の実行について,前章第二節第一款第二目(第八十一条を除く。)の規定は担保不動産競売について,同款第三目の規定は担保不動産収益執行について準用する。

民事訴訟法の関連条文

(職権送達の原則等)
第九十八条  送達は,特別の定めがある場合を除き,職権でする。
2  送達に関する事務は,裁判所書記官が取り扱う。

(送達実施機関)
第九十九条  送達は,特別の定めがある場合を除き,郵便又は執行官によってする。
2  郵便による送達にあっては,郵便の業務に従事する者を送達をする者とする。

(交付送達の原則)
第百一条  送達は,特別の定めがある場合を除き,送達を受けるべき者に送達すべき書類を交付してする。

(送達場所)
第百三条  送達は,送達を受けるべき者の住所,居所,営業所又は事務所(以下この節において「住所等」という。)においてする。ただし,法定代理人に対する送達は,本人の営業所又は事務所においてもすることができる。
2  前項に定める場所が知れないとき,又はその場所において送達をするのに支障があるときは,送達は,送達を受けるべき者が雇用,委任その他の法律上の行為に基づき就業する他人の住所等(以下「就業場所」という。)においてすることができる。送達を受けるべき者(次条第一項に規定する者を除く。)が就業場所において送達を受ける旨の申述をしたときも,同様とする。

(公示送達の要件)
第百十条  次に掲げる場合には,裁判所書記官は,申立てにより,公示送達をすることができる。
一  当事者の住所,居所その他送達をすべき場所が知れない場合
二  第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合
三  外国においてすべき送達について,第百八条の規定によることができず,又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
四  第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
2  前項の場合において,裁判所は,訴訟の遅滞を避けるため必要があると認めるときは,申立てがないときであっても,裁判所書記官に公示送達をすべきことを命ずることができる。
3  同一の当事者に対する二回目以降の公示送達は,職権でする。ただし,第一項第四号に掲げる場合は,この限りでない。

(公示送達の方法)
第百十一条  公示送達は,裁判所書記官が送達すべき書類を保管し,いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。

(公示送達の効力発生の時期)
第百十二条  公示送達は,前条の規定による掲示を始めた日から二週間を経過することによって,その効力を生ずる。ただし,第百十条第三項の公示送達は,掲示を始めた日の翌日にその効力を生ずる。
2  外国においてすべき送達についてした公示送達にあっては,前項の期間は,六週間とする。
3  前二項の期間は,短縮することができない。

(公示送達による意思表示の到達)
第百十三条  訴訟の当事者が相手方の所在を知ることができない場合において,相手方に対する公示送達がされた書類に,その相手方に対しその訴訟の目的である請求又は防御の方法に関する意思表示をする旨の記載があるときは,その意思表示は,第百十一条の規定による掲示を始めた日から二週間を経過した時に,相手方に到達したものとみなす。この場合においては,民法第九十八条第三項 ただし書の規定を準用する。

「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」の関連条文

(発受を許す信書)
第百二十六条  刑事施設の長は,受刑者(未決拘禁者としての地位を有するものを除く。以下この目において同じ。)に対し,この目,第百四十八条第三項又は次節の規定により禁止される場合を除き,他の者との間で信書を発受することを許すものとする。

(信書の検査)
第百二十七条  刑事施設の長は,刑事施設の規律及び秩序の維持,受刑者の矯正処遇の適切な実施その他の理由により必要があると認める場合には,その指名する職員に,受刑者が発受する信書について,検査を行わせることができる。
2  次に掲げる信書については,前項の検査は,これらの信書に該当することを確認するために必要な限度において行うものとする。ただし,第三号に掲げる信書について,刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあると認めるべき特別の事情がある場合は,この限りでない。
一  受刑者が国又は地方公共団体の機関から受ける信書
二  受刑者が自己に対する刑事施設の長の措置その他自己が受けた処遇に関し調査を行う国又は地方公共団体の機関に対して発する信書
三  受刑者が自己に対する刑事施設の長の措置その他自己が受けた処遇に関し弁護士法第三条第一項に規定する職務を遂行する弁護士(弁護士法人を含む。以下この款において同じ。)との間で発受する信書

(信書の発受の禁止)
第百二十八条  刑事施設の長は,犯罪性のある者その他受刑者が信書を発受することにより,刑事施設の規律及び秩序を害し,又は受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがある者(受刑者の親族を除く。)については,受刑者がその者との間で信書を発受することを禁止することができる。ただし,婚姻関係の調整,訴訟の遂行,事業の維持その他の受刑者の身分上,法律上又は業務上の重大な利害に係る用務の処理のため信書を発受する場合は,この限りでない。

(信書の内容による差止め等)
第百二十九条  刑事施設の長は,第百二十七条の規定による検査の結果,受刑者が発受する信書について,その全部又は一部が次の各号のいずれかに該当する場合には,その発受を差し止め,又はその該当箇所を削除し,若しくは抹消することができる。同条第二項各号に掲げる信書について,これらの信書に該当することを確認する過程においてその全部又は一部が次の各号のいずれかに該当することが判明した場合も,同様とする。
一  暗号の使用その他の理由によって,刑事施設の職員が理解できない内容のものであるとき。
二  発受によって,刑罰法令に触れることとなり,又は刑罰法令に触れる結果を生ずるおそれがあるとき。
三  発受によって,刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。
四  威迫にわたる記述又は明らかな虚偽の記述があるため,受信者を著しく不安にさせ,又は受信者に損害を被らせるおそれがあるとき。
五  受信者を著しく侮辱する記述があるとき。
六  発受によって,受刑者の矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。
2  前項の規定にかかわらず,受刑者が国又は地方公共団体の機関との間で発受する信書であってその機関の権限に属する事項を含むもの及び受刑者が弁護士との間で発受する信書であってその受刑者に係る弁護士法第三条第一項に規定する弁護士の職務に属する事項を含むものについては,その発受の差止め又はその事項に係る部分の削除若しくは抹消は,その部分の全部又は一部が前項第一号から第三号までのいずれかに該当する場合に限り,これを行うことができる。

(信書に関する制限)
第百三十条  刑事施設の長は,法務省令で定めるところにより,受刑者が発する信書の作成要領,その発信の申請の日及び時間帯,受刑者が発信を申請する信書の通数並びに受刑者の信書の発受の方法について,刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。
2  前項の規定により受刑者が発信を申請する信書の通数について制限をするときは,その通数は,一月につき四通を下回ってはならない。

(発信に要する費用)
第百三十一条  信書の発信に要する費用については,受刑者が負担することができない場合において,刑事施設の長が発信の目的に照らし相当と認めるときは,その全部又は一部を国庫の負担とする。

(発受を禁止した信書等の取扱い)
第百三十二条  刑事施設の長は,第百二十八条,第百二十九条又は第百四十八条第三項の規定により信書の発受を禁止し,又は差し止めた場合にはその信書を,第百二十九条の規定により信書の一部を削除した場合にはその削除した部分を保管するものとする。
2  刑事施設の長は,第百二十九条の規定により信書の記述の一部を抹消する場合には,その抹消する部分の複製を作成し,これを保管するものとする。
3  刑事施設の長は,受刑者の釈放の際,前二項の規定により保管する信書の全部若しくは一部又は複製(以下この章において「発受禁止信書等」という。)をその者に引き渡すものとする。
4  刑事施設の長は,受刑者が死亡した場合には,法務省令で定めるところにより,その遺族等に対し,その申請に基づき,発受禁止信書等を引き渡すものとする。
5  前二項の規定にかかわらず,発受禁止信書等の引渡しにより刑事施設の規律及び秩序の維持に支障を生ずるおそれがあるときは,これを引き渡さないものとする。次に掲げる場合において,その引渡しにより刑事施設の規律及び秩序の維持に支障を生ずるおそれがあるときも,同様とする。
一  釈放された受刑者が,釈放後に,発受禁止信書等の引渡しを求めたとき。
二  受刑者が,第五十四条第一項各号のいずれかに該当する場合において,発受禁止信書等の引渡しを求めたとき。
6  第五十三条第一項,第五十四条第一項並びに第五十五条第二項及び第三項の規定は,受刑者に係る発受禁止信書等(前項の規定により引き渡さないこととされたものを除く。)について準用する。この場合において,同条第三項中「第一項の申請」とあるのは,「第百三十二条第四項の申請」と読み替えるものとする。
7  第五項の規定により引き渡さないこととした発受禁止信書等は,受刑者の釈放若しくは死亡の日又は受刑者が第五十四条第一項各号のいずれかに該当することとなった日から起算して三年を経過した日に,国庫に帰属する。

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