老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

馬酔木

2017-03-22 10:21:13 | 俳句

    

私がよく利用をしている 県立図書館 の建物に沿って いま馬酔木の花が満開である。
何年もここには通っていたのに、馬酔木の花に気が付いたのは、今年になってから。

花の無い季節で、図書館の楓や、欅にはまだ春の気配は無い。

     


「浄瑠璃寺の春」  堀辰雄

 この春、僕はまえから一種の憧れをもっていた馬酔木(あしび)の花を大和路のいたるところで見ることができた。
 そのなかでも一番印象ぶかかったのは、奈良へ著いたすぐそのあくる朝、途中の山道に咲いていた蒲公英(たんぽぽ)や薺(なずな)のような花にもひとりでに目がとまって、なんとなく懐かしいような旅びとらしい気分で、二時間あまりも歩きつづけたのち、漸っとたどりついた浄瑠璃寺の小さな門のかたわらに、丁度いまをさかりと咲いていた一本の馬酔木をふと見いだしたときだった。…」

この作品に出合ったのは 高校の時の国語の教科書である。
まだ 馬酔木 の花の実物は見たことがなかった。
その頃から、浄瑠璃寺と馬酔木の花に憧れを抱きつづけた。

    

後年、奈良 当麻の里への旅行。
石仏を見ながら、岩船寺から浄瑠璃寺への道を散策した。
それが、なんと 「秋」
憧れていた浄瑠璃寺の門を潜って、両脇に馬酔木が植えられている参道を通り 優美な屋根の曲線のある阿弥陀堂へ参拝をする。
池を挟んだ三十の搭から向かい側の阿弥陀堂が浄土世界をかもしている。

再び、馬酔木の花の咲いている時季に訪れようと思いながらその機会は未だかなっていない。

とんちんかん、雑な私がここでもいる。

    
      👩     馬酔木咲く昼灯もれくる連子窓


コメント
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