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角岸's blog (Kadogishi s' blog)

酒、酒&映画・・時事問題?

熱い熱い男達の警察小説 今野敏「同期」

2012-05-19 15:23:28 | ミステリー
「隠蔽捜査」シリーズで一躍有名になった今野敏先生。
キャリア官僚を描いたこの「隠蔽捜査」シリーズは後で紹介したいと思いますが、今回は「同期」

読む前に本の帯を見ると・・・

刑事、公安、組対……。それぞれの思惑が交錯する大きな事案を追いつつ、願いはただ同期を救うことだけ。
圧倒的なスピード感で、あっと驚く展開の連続を駆け抜ける大興奮の700枚。

(表)

懲戒免職になった同期の公安刑事が、連続殺人の容疑者に。
「教えてくれ。おまえはいったい何者なんだ」
男たちの前に立ちはだかる最も高い壁――組織の論理。その壁を突破するのは、刑事たちの誇りと絆。
現時点での集大成ともいえる最新警察小説、登場!


(裏)


帯ほどではありませんが、面白かったです。
本を開けたら最後、ぐいぐいと読者を引っ張って一気に読ませます。
バリバリの男くさい「警察小説」ですね。

主人公は、宇田川亮太という警視庁刑事部捜査一課の刑事。32歳。
で、公安部公安総務課に所属する蘇我和彦という警察官がいて、この二人が入庁の同期だというところが、ドラマのミソ。

捜査一課は自ずと知れた「殺人捜査」するところでしょう。で、公安はまぁ、「情報機関」といったところでしょうか。

で、宇田川がある暴力団がらみの捜査中、逃走した組員から拳銃で撃たれます。
ところが、公安の蘇我から体当りされて助けられたわけ。

蘇我は「偶然近所で昼食をとっていた」というんですが・・
宇田川とコンビを組むベテランの植松警部はぐうぜんのはずがない主張。

そして、数日後、蘇我が突然懲戒解雇になったという。解雇の理由は不明。しかも、蘇我は行方不明に・・・・

刑事部と公安部、組織犯罪対策部など警察内部の部署内の確執。
そして、おなじみのキャリアと現場の対立などが描かれ、事件の真相が明るみになっていきます。

別な事件で、宇田川がパートナーを組むことになった所轄署の土岐警部補とかね、上司の班長、課長とか味のある刑事(デカ)か登場していいですね。

同期を思いやる宇田川が、人間として成長していく過程も丁寧に描かれ、そして何よりもラストの、爽やかな読後感はどうでしょう。

小生も、今野敏先生の本はそれほど多く読んでいるわけではありませんが、どれも安心して読んでいられる印象を受けます。

しかも、この先生、「ガンプラファン」だというではありませんか。




読者は必ずだまされる東野圭吾の「叙述トリック3部作」

2012-04-29 16:57:10 | ミステリー
GW連休に入ってからの2日目、4月29日は「緑の日」。先帝陛下の誕生日の日ですよね。
で、出勤前川代では、田んぼの水路をきれいにする作業があったので行ってまいりました。
朝5時の、川代から女ヶ崎方面の風景。
(今朝の川代)

実は、少々寝不足。というのも、ミステリーを夜遅くまで読んじゃったため。

家に居ても「吉田類の酒場放浪記」以外は一切テレビを見ない小生。
↓ ↓ ↓
http://pub.ne.jp/gwnhy613/?daily_id=20120324

なので、お酒を飲みながら、「ガンプラ」「読書」なんですが、この間箱を開けた「ギャン」が一向に作業が進みません。

というわけで、最近読んだ本がこれ。
東野圭吾の初期の作品「回廊亭殺人事件」「白馬山荘殺人事件」


どちらも「叙述トリック(読者に勘違いさせる)」を用いた作品というだけでなく、山奥の建物の中に複数の人物が集まって「この中に犯人がいる」というヤツです。

まあね、どちらもラストは二転三転するんですが、必ず見事にだまされますね。
まぁ、小生の場合犯人当てようとかは思ってませんからどうでもいいですが。
好みでいえば、「回廊亭」の方がトリック的にも面白いんじゃないかと。(読後感はイマイチ)
けど、女性を描くのが苦手と告白する東野先生なんですが、コレどっちも、主役が女性だけでなく、1人称で語られていて中々ウマい。

ところで、昨年この「回廊亭」がテレビドラマ化されたそうですが、「叙述トリック」の場面どう処理したのか不思議です。
興味あるんですが、テレビを見る習慣のない小生にとってしょうがないです。

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さて、この「叙述トリック」「山荘」ものをドッキングさせた最高傑作はコレ。
題名もそのものズバリ!!
「ある閉ざされた山荘ので」

前2作と併せて東野先生の「叙述トリック3部作」と紹介する人もいます。



(ストーリー)
早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、1人また1人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?


これね、どこが面白いか詳しく書いちゃうと、すぐネタばれになっちゃうので、ともかくだまされたと思って1回読んでみてください。
本当にだまされますから。

そんなに厚くもないので、一気に読めます。

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ついでなので、東野ファンにはこの「山荘もの」という分野では「仮面山荘殺人事件」の方が上だという方も多数います。
確かに、最後のどんでん返しはただただ、唖然とします。





香納諒一 K・S・Pシリーズ第3弾 「噛む犬」

2012-04-17 09:12:08 | ミステリー
香納先生のK・S・Pシリーズは新宿歌舞伎町特別分署の刑事(デカ)たちの活躍を描いたハードな警察小説。
香納先生の構想によれば、十部作で完結になる(まさに大河ドラマ!!)とのことで、この「噛む犬」はその第3作目。



ちなみに、K・S・Pとは「歌舞伎町特別分署」すなわち・・

Kabukicho
Special
Precinct


の頭文字をとった略名。もちろん作者の創作警察署で実在はしません。

(ストーリー)
新宿副都心の高層ビル群の一角に沖幹次郎、村井貴理子らK・S・P特捜部が駆けつける。植え込みから白骨死体が見つかったのだ。身元は警視庁捜査二課の溝端悠衣警部補。貴理子が敬意を寄せる先輩だった。死亡前の動向を探ると、未解決の轢き逃げ事件を単独捜査していた形跡が浮上。被害者は暴力団組員で、溝端は保険金の受取人である婚約者とも接触していた。彼女が突き止めようとしていたものとは?


大都会の高層ビル群の中から1年以上も放置された女性の白骨死体が見つかるというショッキングなオープニングによって、読者の心を鷲づかみします。
しかも、この遺体の身元は警視庁第2課の刑事(デカ)。準主役の村井貴理子の上司だったという設定もうまいし、しかも遺体の解剖から妊娠していたことも判明するという、二重三重の読者を離さない、さすがの「香納話術」!

もう、こっから本を開けたら閉じられなくなっちゃうノンストップミステリーの始まりです。

↓↓↓ 前2作では、チャイニーズマフィアと日本の大組織ヤクザが大暴れし、かなりアクション性の高いエンタテイメントに仕上がっていました。
http://pub.ne.jp/gwnhy613/?entry_id=4192458

一方本作では、白骨死体になった刑事が何故死なねばならなかったのかを追う、バリバリのミステリー色が強い作品に仕上がっています。この主軸のストーリーに、警察内部の現場の刑事(デカ)を無視した権力闘争の模様や、下町ヤクザ、経済界、政界をも巻き込んで、見事に1本の線にまとまっていきます。

さすが、香納先生!!

しかし、前2作のファンの方の中には、本作でもアクション性を期待し、一見地味だと思った人もいるはず。
ミステリー性の強い方が好きな小生としてはこっちの方が好き。


んでも、十部作のまだ3作目ですよ。 「起承転結」「承」に入ったばかり。

今後、大陸に渡った朱徐李(チュー・スーチー)らC・マフィアも舞い戻ってくるでしょうし、壮大なドラマはこれからが本番といえるでしょう。
まだ、この続きを7作読めると思うと楽しみですな~。

さて、次は何読むかな?

再び、佐々木譲先生の「笑う警官」等、道警シリーズについて

2012-04-10 09:11:27 | ミステリー
「笑う警官」は警察小説の第一人者である佐々木譲先生の言わずと知れた、北海道警シリーズの傑作ミステリー。

もともとは「うたう警官」だったのを、映画化にあたり、角川春樹監督からごり押し(?)されて改名したとのこと。



(ストーリー)
札幌市内のアパートで、女性の変死体が発見された。遺体の女性は北海道警察本部生活安全部の水村朝美巡査と判明。容疑者となった交際相手は、同じ本部に所属する津久井巡査部長だった。やがて津久井に対する射殺命令がでてしまう。捜査から外された所轄署の佐伯警部補は、かつて、おとり捜査で組んだことのある津久井の潔白を証明するために有志たちとともに、極秘裡に捜査を始めたのだったが…。


この、北海道警の暗部に挑む佐伯警部補以下5名には正義感に燃える新米デカや、ダジャレ好きなベテランデカ、PC操作専門家の女性デカなど、それぞれのプロフェッショナルが集結。
限られた時間の中で、殺人事件の真相を解明していく過程がスピーディかつリアルに描かれています。
なんかあれですよ、あの映画「アンタッチャブル」みたいな、少数の精鋭たちが悪を倒す爽快感があり、読後感抜群です。
特に、後半からのたたみかけるようなストーリーの展開はミステリーの手本みたいなもので、あの二転三転する緻密な話術は騙されていて気持ちいい。

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ところで、この第2弾の「警視庁からきた男」ってのがあるんですが、これがまた良いんですなぁ~
前作からのまったく新しいストーリーってわけじゃなく、前作で残った「謎」がこの物語に引き継がれるわけ。



今度も、前作の主役たちが再び、道警の暗部をめぐって大活躍すんですが、題名の通り“警視庁からきたキャリア官僚”が味方に。
なんかね、我々ドラマの見すぎなのか、「キャリア官僚」って聞くと反射的に、「いけすかない」イメージ持つでしょ。
実際、この藤川警視正もそんな感じのする男なんですが、だんだんそのクールさがたまらなくなってくるわけ。

ラストのあたり特にいいです。

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で、更に更に、この道警シリーズの完結編、第3弾の「警官の紋章」では、ちょうどあの洞爺湖サミットの頃が舞台。
正直、前2作を読んでおかないとさっぱり意味がわからない高度なお話し。



いままでの、底辺を流れていた「謎」うまく絡み合い、「そうだったのか!」となります。
しかし、1作目から、計算してこの伏線を張っていたとすれば、恐ろしい作家です。

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ちなみに、小生的に言えば、名作との誉れ高い「警官の血」よりも、こっちの「道警3部作」の方が好きです。



この「警官の血」、途中から犯人わかっちゃうんですよね。で、ラストにどんでん返しあるだろうと読んでいると、そのまんま。
そのまんま、ひねりなく終わっちゃう。あんなに分厚い本よんだのに・・・・

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さて、この間GEOで映画版「笑う警官」DVD借りてきて観たんですが・・・・なんかなぁ~。
角川演出はクールでスタイリッシュな演出を目指しているのはわかるんですが、それが崖っぷちで止まればカッコいいんですが、ほとんど一線をこえてます。

なので、笑えます!

あの伝説の迷画「シベリア超特急」に勝るとも劣らない出来です。

(映画の1シーン)

もう、あのハードボイルドタッチはウケをねらってんのかと思わずにはいられません。
宮迫の津久井刑事のカッコつけてるジャズシーンはみてられないし、夜中でも真っ黒いサングラスしているSATの隊長はギャグですか?

ストーリーも二転三転どころか、四転五転し、はっきり言って原作読んでるおいらでもさっぱり意味がわからない結末になってる始末。

(クライマックス)

やっぱ題名もそのままの「うたう警官」で良かったんじゃないですか佐々木先生。

なにもこの映画の迷作にあわせなくとも・・・・・




読後感のあんまりよくないミステリーについて・・・

2012-03-21 00:00:04 | ミステリー
ミステリーを読んでいて、面白いんだけど、なんか読後感良くない本ってありませんか?
ちょっと前に読んだ本で、そう思ったのがこの2冊。

道尾秀介氏の「龍神の雨」「ラットマン」
道尾ファンの皆さんには申し訳ないんですけど、自分にとってホントに読後感良くなかったですね。

まずは「ラットマン」



(ストーリー)
姫川はアマチュアバンドのギタリストだ。高校時代に同級生3人とともに結成、デビューを目指すでもなく、解散するでもなく、細々と続けて14年になり、メンバーのほとんどは30歳を超え、姫川の恋人・ひかりが叩いていたドラムだけが、彼女の妹・桂に交代した。そこには僅かな軋みが存在していた。姫川は父と姉を幼い頃に亡くしており、二人が亡くなったときの奇妙な経緯は、心に暗い影を落としていた。
ある冬の日曜日、練習中にスタジオで起こった事件が、姫川の過去の記憶を呼び覚ます。


現在の殺人事件と主人公の過去に起きた悲劇が見事に絡まりあい、一気に読ませます。
特に後半3分の2からのどんでん返しの連続は圧巻というもので、いや面白い。面白いんですが・・・・・・
なんか、後味がよろしくない。
具体的にどこがと言われればネタばらしになっちゃうんですが、姉の死の真相とこの本の題名の意味でしょうか。

次に「龍神の雨」


(ストーリー)
添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしている。
溝田辰也と圭介の兄弟は、母に続いて父を亡くし、継母とささやかな生活を送る。
蓮は継父の殺害計画を立てた。あの男は、妹を酷い目に合わせたから。
??そして、死は訪れた。降り続く雨が、四人の運命を浸してゆく。
彼らのもとに暖かな光が射す日は到来するのか?


いや、確かに巧みな話術で、結局は騙されるんですから、すごいストーリーテリングと言えるでしょう。
しかし、ない物ねだりといえばそれまでなんですが、この悲しすぎる暗い結末はどうでしょう。
もう少し、主役兄弟に救いの手を差し伸べてほしかったです。

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さて、せっかくなので今回は読後感最悪の本をご紹介しましょう。
これは忘れもしない、盛岡駅で新幹線に乗る前本屋で、本の帯が目について買ったものです。

「続々重版中! 書評家&書店員のW推薦!!」

それがこの本
戸梶圭太(もう呼び捨て)著 「誘拐の誤差」


さて、この本ストーリーなんてものはありませんので、紹介しません。
約1年前に読んだ直後の日記(5月1日)に自分が書いた書評が・・・
「帯に騙されて買ったが、傑作ではないことはもちろん「ミステリー」ですらない。いやもう、「小説」でもない。本書を手にとった人の時間とお金を無駄にすることとは、このことだ。本当に読むんじゃなかった。」

ちなみに、Amazonのレビュー↓↓↓みても、ほとんどが酷評ですね。

「最悪な読後感」
本当に まともな人間が出てこない
まともなのは殺された少年だけ
犯人も親も警察も よくもまぁこれだけ、、
図書館ならまだ許せたかも、、
お金だして なんじゃそれという結末...........

「ダメ小説の見本」
この本を「買って」「読む」という行為は、ただただ「お金」と「時間」の無駄です。
ひたすら、読みやすい文体に騙され、最後はストーリーがつながるだろうと思わせておきながら、何も無く唐突に終わります。
人間の悪意という物を書き綴っただけの、駄文の塊といえるでしょう。

「この程度で良いのかな?」
帯の推薦内容を見て読みましたが、こんな本を読んでいる自分が途中から恥ずかしくなりました。
でも、最後に何かあるのではと期待しましたが終わりも酷いですね。
購入して、読んで後悔したのは初めてです。

「帯にだまされました」
「続々重版中 書評家&書店員のW推薦!!」という帯に惹かれて購入しましたが、騙された思いです。
悪趣味の一言。救いようのない人物のオンパレードで、救いようのないラスト。出てくる人物が全て醜悪で、何だか気持ちが悪くなりました。
決してお勧めしません。


等々まだまだ酷評の文章ありますが、多すぎて紹介できません。
まぁ読まないですよね。