マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

2回目接種の必要は?

2009年12月19日 | インフルエンザ/ワクチン
うちの子はちゃんと2回しますよ。
は説得力ないようです。。。

インフルエンザワクチンは
子どもでは成人と比較して抗体の上昇が十分でありません。
だから2回接種を原則としているんですね。

でもやっぱり2回必要ですか?としょっちゅう質問されます。

たとえばここにМちゃん(2歳)がいます。
「Мちゃんは2回したほうがいいですか?」

これは正直わかりません。
もしかしたらМちゃんは1回接種だけで大人並みに抗体ができるかもしれませんし、
1回では全然足りないかもしれません。
でも可能性としては1回接種では不十分であるほうが高いわけですね。

でも1万人くらいの子どもを集めて、その集団全体を考えると「2回」しましょう、になります。

そしてもうひとつ。
インフルエンザワクチン接種の目的です。
一番は重症化予防です。
感染予防はそれほど重要ではないはずです(少なくとも接種しないよりはかかりにくいですよ)。
脳症や重症肺炎をできるだけ少なくしたいがための予防接種です。

みなさんとりあえず1回接種してちょっとホッとしておられるのはよくわかりますが、
目的が「重症化の予防」にあるのなら、接種回数はおのずと決まってきませんか?
少しでも抗体が多いほうがいい気がしませんか?

1回だけではダメですか?1回だけでもいいですか?
誰にもわかりませんよね。
まあこちらがわからないことを親御さんに判断しろと言わないといけないのもつらいところですが。

12歳11ヶ月と13歳とで接種量が違いますね。
11ヶ月の子と1歳の子では2倍も違います。
本当はおかしな話です。
10歳でも13歳より体重ある子だってたくさんいるわけですよね。
でもどこかで線引きが必要と決められてしまっているのです。
我々もこのほうがいかなと思っても、勝手に変更するわけにはいけない部分があります。

それらをひっくるめてさあどうしようかと考えないといけません。
相談はできますが、申し訳ないですがそこまでです。
参考になるでしょうか。
かえって混乱させてしまうかもしれませんね。

さらに話がややこしくなるかもしれませんが、
季節性の場合は、「毎年接種している」などの条件つきで、
6歳(9歳?)以上であれば1回接種でもいいのではという話も実際でてきております。
これについては今後出てくるであろうデータなどを参考にしながらになると静観しているところです。

子宮頚癌ワクチン(サーバリックス)

2009年12月19日 | ワクチン その他
先日もお知らせしましたが、
子宮頸癌ワクチン「サーバリックス」が
12月22日より接種可能となります。

すいません、このワクチン。。。高いです。

当院では1回18000円です。
初回、1ヶ月後、半年後の3回接種です。

しかも筋肉注射です。
普段の予防接種の皮下注射に比べると「しっかり」痛いです。

免疫を高める物質が入っていますので、
逆に接種後の発熱や接種部位の発赤腫脹もかなりの頻度でみられると思います。

が、癌がワクチンで予防できるという少し前なら考えられないような話です。
日本では子宮頚癌が年々増加しています。
でも子宮頚癌健診の受診率はおそろしく低いままだとか。
発症年齢が20~30代が中心であることも大事です。
(ただし、ワクチンを接種したからといっても子宮頸癌の検診は絶えず必要ですよ。)

なぜ癌なのにワクチンで予防できるのかといいますと、
子宮頸癌はヒトパピローマウィルス(HPV)の感染が原因であると判明したからです。
感染ならワクチンで予防できますね。

HPVは性行為感染します。
というとエイズや梅毒などでイメージ悪いかと思いますが、
HPVはそのへんに普通に存在するウィルスのため、成人女性の大半が
少なくとも1回以上は感染するウィルスなのです。
「性病」のウィルスとはちょっと違うと考えてくださいね。
ただし、不特定多数との性交渉で感染頻度が増えるのは当然のこととなります。

対象は10歳以降の女性となっていますが、
中高生の間に接種できれば理想的かと思います。
成人女性でもかなりの効果が期待できるとのこと。

小児科と産婦人科を中心に内科も含めて関わっていくこととなりますね。