マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

新型インフルエンザ雑感

2009年12月06日 | インフルエンザ/ワクチン
あくまで「雑感」です。

当院小児科で秋からインフルエンザと診断した患者さんの数は、
すでに昨冬を通してのインフルエンザの患者さん(A型とB型)の約1.5倍です。
マキノではおそらく今流行の第2波ではないのでしょうか?
高島市全域で考えるとまだ第1波?
診察室で感じるのは圧倒的に軽症の子どもが多いということです。
迅速検査がなければほとんど普通の風邪です。
咳がややひどくなることがあるようですが、
現在マイコプラズマとおぼしき咳風邪もかなりみかけますので、
インフルエンザだけの咳なのかよくわかりません。
ただ、滋賀県でも大きな(うちが小さいだけですが)病院ではやはりインフルエンザでの入院は多いと聞いています。

すでに全国で罹患者が1000万人を越え、そのほとんどが10代以下の子どもだとか。
重症化がする可能性が、例えば0.003%程度だとしても、
1000万人もかかってしまうと300人も重症化する計算になるのです。
それをマスコミが連日、どこそこで何歳が死亡したと騒ぎたてます。
親御さんたちが心配になるのは当然です。

基礎疾患とは別に重症化しやすい「体質」のようなものがあるのでしょうか。
それは他の感染症でも同じことではあるのですが。。。
そして悩ましいことに、呼吸障害や脳炎・脳症などの重症化がインフルエンザ発症の極早期に集中するらしいとわかってきています。
ほとんど軽症で済むようだが、極一部がインフルエンザかわかるかどうかくらいの早い段階で急速に悪くなってしまう。
当然、診断や抗ウィルス薬での治療が後手に回ってしまう可能性があるわけです。
迅速検査も発熱後すぐではなかなか陽性の反応がでませんし。
これらが医療関係者を、保護者を悩ませるのです。
不安になって各地の医療機関に受診希望者が殺到しています。
でもほとんどが軽症で、逆にあふれかえる患者の対応の狭間で本当に重症な患者への対応が遅れるのではと心配されるほどです。

それでは我々には何ができるのか、何をしたらいいのかということになると、
今の時点ではワクチン接種「しか」ないのです。
本当は「早期受診」ではないのです。

よくワクチンをうったほうがいいですかと質問されます。
接種すべきかどうかというより、我々には、接種することしかできないのですよ。。。が回答でしょうか。
社会全体の利益を考えて、ワクチンを接種することが有益だと判断されるから、
ワクチンが開発され、接種されるわけです。
そうはいっても、「かかっても軽症だからワクチンは受けないつもり」・・・これもひとつの考え方です。
軽症がほとんどであるのもまた事実だからです。
お金もかかりますし。

あともうひとつ。
子どもがインフルエンザにかかると自宅安静になるだけでなく、
親まで仕事を休まされることがあるみたいですね。
ワクチンは罹患「防止」にどれだけ有効かは今のところ疑問ですが、
少なくとも接種しないよりは、かかりにくくはなるわけです。
意外とこれは大事なことかとは思っています。

「新型」インフルエンザが流行する前に希望者にワクチンが行き渡ってさえいたら、
少なくともこれほどの騒動にはならなかったでしょう。
しかし、国の対応などをいくら責めたところで、現実にワクチンの供給は遅れており、ようやく接種が始まったばかりです。
高島市では医師会の協力もあり、全国でもそこそこ早い段階で集団接種を開始することができました。
まずは2日間無事に終了し、ホッとしていますが、まだ始まったばかりなんですよね。
色々な情報が飛び交い、みなさん、混乱されるとは思いますが、
できるだけ冷静に、「今」できることを考えていくことが大事かと思います。

最後に。。。
うちのチビ(上の2歳)にはちゃんと「2回」接種しますよ。
2回目は。。。の質問への回答とさせてください。
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集団接種2日目

2009年12月06日 | インフルエンザ/ワクチン
2日目も無事終了です。
ご協力ありがとうございました。

お気づきの点など何かありましたら教えてください。
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