マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

インフルエンザワクチン(2015-16)

2015年08月31日 | インフルエンザ/ワクチン
気が付けばもう8月も最終日。
長かった夏休みもようやく終わります。

となると、ぼちぼちインフルエンザワクチンの話が。。。

昨シーズンまでのインフルエンザワクチンは、3価混合ワクチンでした。
「A、A、B」ってことですね。
それが、今シーズンのワクチンから、4価混合ワクチンになります。
「A、A、B、B」とB型が2種類に増えます。

そして、今シーズンのワクチンは、日本では以下のように決まっています。
A型株 
A/カリフォルニア/7/2009 (X-179A) (H1N1)pdm09
A/スイス/9715293/2013 (NIB-88) (H3N2)
B型株
B/プーケット/3073/2013 (山形系統)
B/テキサス/2/2013 (ビクトリア系統)

カバーするタイプが増えるのはいいことです。

しかし世の中、世知辛いので。
1種類増やすだけやん?がかなりコスト増になるとのお話しで、
お値段据え置きというわけにはいかないと><:(現在調整中です)

そうなると、これまで以上に。。。

1回接種ではだめですか!?
そもそも接種しないとだめですか!?

さらにはインフルエンザワクチンなんて無駄とちゃうん!?
タミフルとかイナビルあるんやから、罹っても治せるやん!?

などなどの話が飛び交うことになりそうですね。

インフルエンザウィルスの感染症は、ほとんどの場合が自然に治るとはいえ、
急速に呼吸状態が悪くなったり、異常行動を起こしたり、
さらには脳炎脳症を発症することもあり、あまり甘くみておけるようなものではありませんね。

先日もある先生がコメントされてたのですが、
「インフルエンザワクチンは2回でも不十分なんだ」と。
そして、その不十分な点を、
「日常の睡眠、栄養、うがい、手洗い、マスク、人ごみを避ける等々で
リスクをできる限り下げる努力をするのが基本と考えます」と。

そして、今回の話をなんとかまとめて、アップしようとしていた矢先。
○日新聞に
インフルワクチン:乳児、中学生に予防効果なし 」なんて記事がΣ(゜д゜;)ガーン

よく見ると、むしろA型、特にかつての新型には予防効果高いやんとか、
重症化(入院)の予防効果ありとか書いてありますが、
見出しは「効果なし!」と誤解されそうなものに。。。
見出しだけ読む人多いでしょうに(-_-)

乳児も中学生も調査対象数が少なくて評価できていない群もあるのだから、
見出しで煽るのはやめてほしいなと。
同じ話を聞いてもポジティブに取るか、ネガティブに取るかで違うものですけどね。

むしろ、中学生も2回接種にしたら、結果もよくなるんとちゃうんとも?思ってしまいました。
乳児については以前より効果が落ちるのではと言われてましたが、
1~2歳群がそこそこな成績ですので、まったく効果なしと言い切るのは言いすぎとも考えてます。

いずれにせよ、
ワクチンも迅速検査も抗インフルエンザ薬もみんなで効果的に使っていけるといいですね。

鼻の吸引(目次)

2015年08月30日 | 目次
鼻の吸引

鼻の吸引(その2)

(おまけ) 診療報酬

日々趣味でお子ちゃまたちの鼻を吸いまく。。。
って書くとなんかおかしな人な方向になりそうと気づく(´・ω・`)

まあ、鼻の吸引。鼻水取ってあげるわけですが。
これだけしょっちゅう吸引してるんですが、
それでもまだ、意外なほど頻回に、「小児科で鼻吸ってもらえるんですか!?」と聞かれてしまいます。

当ブログでも何度か登場していたんですが、
今日もコメントで小児科で。。。とよくお会いするママさんから質問もらったので急いで目次作り。

勢いあまって、1年ぶり(!!)にHP(←存在してるの知ってます?^^;)( マキノ病院小児科HP )の更新までやろうと思ったら、
パスワード忘れてるわ、モデルチェンジしてて編集の仕方わからんわ^^;
たまにはいじっとかんとあきませんね。

髄膜炎菌ワクチン(メナクトラ)

2015年08月29日 | ワクチン その他
ワクチン絡みでもう少し。
問い合わせもないので、様子見を決め込んでおりましたが、
実は5月に新しいワクチンが発売となっていたんですよね。

海外ではずいぶん前から接種されていたワクチンですので、
5年ほど前のワクチンシリーズでもちょいと触れてました。

髄膜炎菌ワクチン

日本ではめったにないとはいえ、
髄膜炎菌の感染が何が問題かというと。。。

初期症状はほぼ風邪と同じなため、早期診断が難しい(むしろ無理?)なのに。。。
症状が急激に進行してしまうということ。

発症から2日以内に5~10%の患者が死亡。。。
また助かっても後遺症が残る可能性も高いと言われてるんですね。

感染経路は飛沫感染(咳やくしゃみなど)で、感染力はそれほど強くないとはいえ、
現実に集団感染も起こっています。

1945年前後には年間4000例を超える患者が報告されていたとのこと。
その後激減し、1999年以降、2013年3月まで、毎年7~21例の報告が。

2011年5月にはある高校の学生寮で集団発生があり、4名が感染し、うち1人が亡くなっておられるようです。

この夏には、ボーイスカウト世界大会が日本で行われ、
海外から参加した10代の子どもたち3人が、帰国後に髄膜炎菌感染症と診断されたとの報道もありました。

これまた接種したほうがいいの!?な悩みが増えそうですが、
現状では学生寮に入るとか、海外留学するなどのケースでは接種を検討する方向でしょうか。

ちなみに年齢にもよりますが、1回接種。
状況に応じて数年後に追加接種を1回のようです。
だいたい1回2万円ちょいと考えておいてもらえたらと。

対象年齢は2歳以上(でも実際はほぼ10代後半か)。
投与方法は筋肉注射(ちょいと痛いです)。


子宮頚癌ワクチン

2015年08月27日 | ワクチン その他
久しぶりに会った、とあるママさんから、先生のところはどうしてるん?と質問が。
ちょうど下書き途中で投げ出していた話だったので、いいタイミング。

2009年12月に日本でもサーバリックス(2価ワクチン)が接種可能に。
個人的にも癌がワクチンで予防できるのか~と感動してたのは事実です。

2010年度から、ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンに便乗というか、割り込むような形で、
「ワクチン接種緊急促進事業」の対象となり、接種に対して助成が得られるように。

2011年8月にはガーダシル(4価ワクチン)も接種可能に。

そして、2013年4月に「定期接種」に。
あまりにも急に定期接種化が決まった印象がぬぐい切れませんでしたが。。。

ところが、接種数の急増に伴い、
全国から、子宮頚癌ワクチン接種後にさまざまな症状を訴えるケースの報告が相次ぎます。

結局2013年6月に、定期接種の扱いは継続するものの、「積極的勧奨の中止」と。

ワクチンに含まれるアジュバントと言われる免疫獲得効果を高める物質のせいとちゃうかとか、
個人の性格や生育環境によるものが大きいのとちゃうかとか言われたり、
複合性局所疼痛症候群(CRPS)ではないかと言われたり、
「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)」という新しい疾患概念が提唱されたりとか。。。

ワクチンとの因果関係の解明には「数年はかかる」との話も。
積極的勧奨の再開はあるとしても当分先になるのかもしれません。

そんな中、先日、新たに「9価」の子宮頚癌ワクチンが申請されていたりします。
いずれ接種可能ということになるのでしょうけれど、
2価ワクチン、4価ワクチンで騒動になっている中で、
9価ワクチンだけ安全性に問題ないなんてことは。。。?

ちなみに。
積極的勧奨は中止ですが、接種は可能なままです。
お子さんが、というより、保護者が希望された場合は接種できます。

とはいえ、
これまでのところ、うちでは是が非でも接種しておきたい!という声は聞こえてきませんし、
個人的にも当分見合わせするしかないなと思っていますので、
もうかれこれ2年ちょいですか、「接種なし」が続いています。

日本では毎年約1万人が子宮頚癌を発症していると言われてますので、
検診とワクチンの両輪でいい方向に進めるようになるといいのですが。

ロタウィルスワクチン

2015年08月03日 | ワクチン その他
ロタワクチン。
日本に導入されるまでは。

ロタウィルスくんは、嘔吐下痢だけでなく、
いろいろとんでもないことも引き起こしてくれますので。。。
点滴室がお子ちゃまだらけとか、
毎日入れ替わり立ち替り入院退院が繰り返されるってこともありました。

それが、ワクチン導入後は。

点滴する子が減りました。
そして明らかに重症の子が減りました。
なので、入院する子が激減しました。

全国的に同じことが起こっているようです(あたりまえ?^^;)
接種率のより高い地区ほど効果は劇的だとか。
とある地域なんて、ロタがいなくなった!?とまで言われているくらい。
ロタワクチンの有効性については明らかですね。

でも。
どのワクチンでもそうですが、
100%安全安心というわけにはいきません。

ロタワクチンは他のワクチンと違って、
内服後に「腸重積」になってしまうリスクが当初より指摘されております。

なにぶん、対象が生後2,3か月の赤ちゃんですので、
腸重積を発症した場合、受診が遅くなると手術になってしまう可能性も高くなるようです。

ワクチン接種したばかりに手術になってしまったともなれば、
保護者を筆頭に、関係者みなが「接種しなければよかったのか」と悩むことになってしまいます。

でも、実際に年間10人前後のお子さんがロタウィルス感染によって亡くなっておられるとのこと。
脳炎や脳症で命は助かったものの、後遺症が残るケースも。
そのお子さんの場合は、「接種しておけばよかった」ということになってしまうのではないでしょうか。

同じことはロタ以外のすべてのワクチンにもあてはまるんですけどね。

社会全体から考えた場合のワクチンのメリットは大きいものがある。
では、個々人では?となると、実際に何かあってしまえば、メリットもくそもなくなってしまう。
リスクとメリット(そしてロタなどは接種にかかるお金のことも)を考えなくてはいけません。

そして、ロタワクチンの場合は、腸重積の発症をゼロに抑えることが現状無理なのであれば、
そうなった場合に、せめて早期診断につながるように認識・意識しておくべきかと思います。

ロタワクチン内服後1週間くらいまでは、
はっきりした嘔吐を認め、不機嫌などあれば、
「様子を見る」は選択肢としてよろしくないと考え、
接種の際にはお伝えするようにしています。

めったなことは、そう起こるものではないのでしょうけれど、
逆に、あまり言いすぎると、
「自分のところで最後まで責任持ってみきれないのなら、
そもそもロタワクチンを接種するな!」
な方向になると困ってしまいます。

色々な情報があって、どうしても悩んだり、振り回されたりもしてしまいますが、
現状で対応できる範囲で考え、行動していこうと思います。