マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

中高生の接種について

2009年12月16日 | インフルエンザ/ワクチン
今日は休みでしたので、何も知らされていなかったのですが、

今頃こんなことになったと聞きました。

以下貼り付けです。
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①中学生・高校生に相当する年齢の者の接種回数
 2回接種→1回接種に変更
 *ただし、中学1年生に相当する者であっても接種時に
  13歳になっていない者については、2回接種とします。

②中学生・高校生の接種開始日
 H22年1月4日(月)→H21年12月18日(金)
 ただし、「1歳未満児等保護者」「小学校高学年」を優先的に
 接種することに変わりはありません。
 10mLバイアルを有効活用する観点から、それが可能な
 受託医療機関において前倒して接種いただけます。
 (全ての受託医療機関において、この取り扱いをお願いするものではありません)

③優先接種対象者以外の者への接種
 接種回数の見直しにより、優先接種対象者以外の者への接種の見通しが立ったことなどから、
 これらの方への接種を進めることが決定されました。
 (ただし、具体的な日程等は未定です)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

中高生は既に1月6日からの接種として予約もいただいております。
しかもそのワクチンは年末に入荷されるワクチンを使う前提です。
いまさら接種日の前倒しとだけ簡単に言われても現場はついていけません。

先日も追加供給について問い合わせておりますし、
もしかしたら中高生用として県から別に供給がないとも言えません。
明日事務と検討したいとは思いますが、
もし高島病院や他のクリニックで18日から接種可能なところがあるのなら、
キャンセルは遠慮なく言っていただけたらと思います。

通達は滋賀県からですので、もう腹が立つよりも脱力感が先に立ちます。
宮城県が受験生の接種を12月24日からとすると聞いたときに
滋賀県も「マネ」するだろうなとは思っていましたが、
まさか通達のわずか2日後から接種開始なんて現場無視の通達をしてくるとは。
とはいえ、一番迷惑を受けるのは子どもたちや保護者の皆さんなわけです。
だから無茶を言われてもできることはやってみようと取り組んでいると
「なんだできるんだ、じゃ、次これね」のノリで新たに要求されてる気がします。

今回唯一③は受け入れたいと思います。
なぜ乳児は最初から接種の対象外なのか不思議でしょうがなかったですから。
11ヶ月はダメで1歳は接種できる理由なんてないでしょうし。
1月半ばからは乳児にも接種できたらと思っています。

(追記)
16日16時からの会議で決定したとか。。。
「全ての受託医療機関において、この取り扱いをお願いするものではありません」
なんて言い訳していないで、逆に接種可能な医療機関を教えろと言いたくなります。
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インフルエンザの重症肺炎

2009年12月16日 | 診療
脳症と並んで心配な肺炎についてコメントしてみます。

日本以外の国では発症3~5日くらいで呼吸障害が起こり、
その後急速に悪くなる例が多数報告されています。
海外では迅速診断キットもタミフルも十分行き渡っていないためではないかとも言われています。
早期診断、抗ウィルス薬の早期投与が可能な日本ではあまり目立たないだけかもしれません。

日本で問題になっているのは、脳症と同じく、発症直後から急激に悪化するタイプです。
ウィルスのせいというよりも、免疫がウィルスに対して過剰に反応してしまう結果、
本来攻撃しないはずの自分の細胞を攻撃してしまうのではと聞いています。
多くは発症12時間以内に呼吸障害を認めるようです。
残る例でも、ほぼ発症24時間以内に呼吸障害が進行するとのこと。

また、喀痰粘液栓により気管支が閉塞し、無気肺を起こすこともわかっています。
簡単に言いますと、「ものすごく粘り気のある痰がつまる」ため、
肺の一部が膨らまなくってしまうということです。
つまった痰を取り除かないとなかなかよくならないが、一旦取り除くと急によくなる例がみられるとか。

肺炎といってもほとんどが酸素投与だけで回復し、
重症肺炎の場合でも、その多くはステロイドの投与がよく効くようで、
例え人工呼吸管理となった場合でも回復している例が多いそうです。

では呼吸障害はどうやって判断したらいいのか。
①呼吸回数が非常に多くなります(ただし高熱だけでも呼吸数は増えます)。
②陥没呼吸(呼吸のたび胸がへこむ)や鼻翼呼吸(鼻がぴくぴくする)がみられます。
③チアノーゼ(顔色が土色)がみられます。
④乳児や幼児ですと、呼吸のたびに「うーうー」うなることがあります。
⑤苦しくて横になれない、座りたがる、は起座呼吸といってよくない状態です。
⑥SpO2モニターで血液の酸素濃度を調べると低下している
⑦レントゲンで肺炎などの像がある
などでしょうか。
⑥⑦は受診しないとわかりませんね。

インフルエンザと診断されて、抗ウィルス薬を使用し、熱も下がっているのに、
咳がかなりひどくなってきたので心配とよく聞きます。
基本的に熱もない、顔色もよい、そこそこ元気であるならそれほど心配はいらないと考えています。
あまりに咳がひどくてどうかなと思う場合は外来で相談して下さいね。

あと喘息のことをみなさん心配されます。
マスコミの報道を聞いていると、喘息の子はみな重症化するような印象を受けますが、
そういうわけでもありません。軽症で済んでしまうことも多いのです。
もともとインフルエンザ以外の風邪でも発作がひどくなりやすいのですから、
インフルエンザでも喘息発作が起こるのは当然です。
喘息発作に加えて、免疫の暴走で呼吸障害が加わるのであれば
喘息を持ってない場合に比べると重症になるのもわかるのではないでしょうか。
喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)の程度と①~⑤などを合わせて判断してください。

インフルエンザに限らず、風邪をこじらせたときの対応は同じかと思います。
お子さんの状態が今どうなのか?が大事です。
どうなのかわからないのであれば、その時こそ医師の判断をあおぐべきなのです。
たとえ、結果的にそれが軽症と判断されても。
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