マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

日本脳炎ワクチン

2012年10月29日 | ワクチン その他
週末に日本脳炎ワクチンについての報道がありましたね。

東京新聞から引用

(以下コピー)

日本脳炎ワクチン 重い副作用104人 未回復、後遺症も

2012年10月28日 朝刊

現行の日本脳炎ワクチン接種が始まった二〇〇九年六月から今年六月までに、医療機関の情報を基にした製薬企業から、
百四人が接種後にけいれんや脳炎など重い副作用を起こしていたと報告されていたことが厚生労働省などへの取材で分かった。 

今月十七日に岐阜県美濃市で男児(10)が接種後に急死したことを受け、
厚労省は三十一日に「日本脳炎に関する小委員会」を開催。美濃市の男児と七月に死亡した子どもの経緯を公表し、
副作用の事例も説明する。

百四人の内訳は十歳未満が九十一人、十代が十二人、二十代が一人。症状は延べ百九十八件。
このうち最多は発熱の四十一件で、「熱性けいれん」と「けいれん」がともに十五件、嘔吐(おうと)が十二件、
急性散在性脳脊髄炎が十件など。
過剰なアレルギー反応を示す「アナフィラキシー反応」と「アナフィラキシーショック」は計五件。
回復していなかったり後遺症がある患者は少なくとも八人いる。

薬事法は製薬企業に対し、医療機関から副作用が疑われる症例を知った時は、
医薬品医療機器総合機構への報告を義務付けている。
厚労省も医療機関などへ市町村を通じた報告を求めているが、法的義務はない。

日本脳炎ワクチンの定期接種では、〇四年に女子中学生が急性散在性脳脊髄炎にかかり、
厚労省は「接種との因果関係が否定できない」として翌年に「積極的な勧奨」を控えた。
〇九年六月からは、マウスの脳を利用して作られた旧ワクチンに代わり、
動物の脳が使われず副作用が少ないとされる乾燥ワクチンが使われている。

(ここまで)

とりあえずは明日の委員会での検討結果を待つしかないようです。
うちは次の予防接種は11月2日ですので、それまでにまた何かあればお知らせします。

不活化ポリオワクチン

2012年10月25日 | ワクチン その他
「不活化ポリオワクチンが定期接種となってからの初の死亡例」なんて書き方で報道されていますが。。。

接種後18日目で、
しかも誤嚥の可能性などあったようで、ワクチンとの関連はほとんどわからないであろうに報道されるわ、
見出しはほぼ「ワクチン接種後に死亡」だわで、
毎度毎度のことですが、なんとかならんもんかねとつくづく思ってしまいます。

予防接種の種類が増えたので、乳児だとほとんどの時期が『ワクチン接種後「何日」』になるわけで、
報道することにどれだけの意味があるのかも不明で、
何かを煽り立てたいとしか思えないと勘ぐってしまいます。

11月から4種混合ワクチンも始まるだけになおさらです。

まあ、マスコミの劣化は先日のiPS細胞絡みのお粗末な報道と、
その後の謝罪のあまりにも適当であったことからも明らかで、
個人的に新聞もテレビもほとんど目にすることがなくなって久しいのですが。。。




続)4種混合ワクチン

2012年10月23日 | ワクチン その他
11月から接種可能となる4種混合(3種混合+不活化ポリオ)ワクチンですが、
品不足の懸念以外は、個人的には特に問題ないやと考えていたのですが。。。

まあ品不足に関しては、
今年8月以降の出生の子にのみ4種混合ワクチンを。。。
というメーカーからの要望(?)に従えば問題ないはずで、実際そのつもりでいます。

ところが、逆に4種混合を接種できるけれど、
あえて3種混合と単独不活化ポリオに分けて接種するという選択肢を推す向きもあるようで。

何を懸念してそうなるかといいますと。。。

今現在接種している、不活化ポリオワクチンは世界中で投与実績があり(ただし筋肉注射)、
安全性に関しては、ほぼ問題ないことがすでに確認されているワクチンであると。

新しく登場する4種混合ワクチンは、国産ワクチンで、世界初となるワクチンで、
治験は済んでいるとはいえ、実績としてはこれからであると。

この違いをどう考えるかと、2本接種するのか、1本で済むのかを天秤にかけるというお話です。

効果については両者にそれほど問題になるような差はないとの説明を受けています。

あとは保護者がどう考えるかだけという。。。例によって親に選択を迫る話になってしまいます。
どっちがいい、悪いでなく、余計にタチが悪い問題かも。

それほど問題なさそうなら、1本だけ泣いてもらうというのは悪くないやんと未だに思っているのですがね。

いずれにせよ、ワクチン後進国日本が前に進むにはまだまだ悩ましいことが多いということですね。

日本脳炎ワクチン

2012年10月18日 | ワクチン その他
朝から結構大きく報道されていますね。。。

まあ報道すること自体はともかく、
接種した先生とその医院の実名付きの報道にものすごく違和感を感じます。。。

10歳の子が日本脳炎ワクチンを初めて接種し、その直後に意識消失、心肺停止し、
その後に亡くなったというとても悲しい出来事です。

保護者の方のことを思うと、ご冥福を。。。なんて言葉で済ませられないのですが、
それでもご冥福を祈らせてもらうことしかできません。

ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチン接種後に乳児が亡くなるケースが相次ぎ問題になりましたが、
今回は接種後あまりにすぐに急変していますので、
さすがにワクチンがなんらかの原因(もしくは引き金)であったとしか考えようがない気がします。

アナフィラキシーショックにしても経過が急激すぎるのではとも思いますが、
こればかりは外野がどうこう言っても仕方ありません。

このケース以外に、厚労省が7月に5-10歳未満のお子さんが、
日本脳炎ワクチン接種後しばらくして急性脳症を発症し、その後に亡くなっていたと発表したようです。

明日はうちの予防接種日にあたりますが、
この2件の報告を受けて、なんらかの通達が出る可能性も考えられます。

何かあり次第報告しますが、しばらく日本脳炎ワクチンに関しては保留になるかもしれません。


続報




*持病がありある薬を内服していたお子さんだったようです。
 予防接種を行ったクリニックではない別のところで処方されていたとか。
 その薬は本来処方してはいけない種類の薬で、
 よりにもよってその薬が原因で今回のような出来事に至ってしまったのではないかと。
 日本脳炎ワクチンそのものが原因とは考えられないということですね。