2023･8･ 4Ｂ

サザンオールスターズ…とテレビ画面を見ていて吐息まじりに呟く。「勝手にシンドバット」から45年だって。そうだよ、あの曲がカセットから聞こえて来たのは俺が30歳のころ。まだ最初の結婚生活をしていて、時々この日記に登場する息子A が入学したばかりの小学校から帰ってきたのを微かに覚えている。いや、それは都合のいい思い出の創作かもしれない。あの曲を聞きながら俺が原稿用紙に向かって書いていたのは「俺たちの旅」か「太陽にほえろ」か日活ロマンポルノか?こう書くといかにも売れっ子脚本家みたいだけど、注文を受けるだけでエンドマークまでたどり着けないものだから「いま何時?/ちょっと待ってて/いま何時/そうね大体ね/いま何時?/まだ早い」というサビの部分を口ずさみながら時が過ぎていくのを待ってると、サビの部分だけじゃなくいつのまにか「行きずりの女なんか/夢を見るように忘れてしま」っていた。以後、「いとしのエリー」は勿論「艶色ザナイトクラブ」などのシングル、アルバムだと「鎌倉物語」などサザンの新曲は全て歌詞を覚えてしまってカラオケで歌いまくる生活をしていたもんだから、気づいてみたら一度目の離婚、再婚、二度目の離婚…と俺の人生にはずっとサザンの曲が流れていたのに最近耳にしないのは今回の新曲が四年ぶりということもあるのかないのか?でもきっとこの新曲は歌詞を覚えないだろう。サザンが俺の人生に同伴してくれたことには感謝するけど、葬送曲には似つかわしくない。