2022･7･1

母の食欲が少し回復したと喜んでいたら、今度は全く歩けなくなってしまった。朝、ベッドからトイレに歩行補助棒と俺の体を掴んで歩いていこうとした途端、母はその場に崩れ落ちた。慌てて俺が手を取って起き上がらせようとしたのだけど、そんな力が残ってない。仕方無くお姫様抱っこさせて車椅子に坐らせて浴室に向おうとするが、腰に力が入らないのかお尻を車椅子の先っぽに乗せた状態でちゃんと坐ることが出来ずに横になったままだ。これをまたお姫様だっこで移動させようとすると、俺の腰と腕とにとんでもない負担がかかる。それでも何とか車椅子を移動することが出来るまでやる。それだけで顔から汗が吹き出る。でもそれはまだ序章。浴室まで辿り着いたものの、そこから車椅子に坐ったままで母の衣服を脱がし、脱糞しているオムツを取り除き、浴槽に体を移動させるのがこんなに大変だったとは。母の体を甘く見ていた。痩せていても想像以上に重かった。こっちもズボンを履いたまま母の体を浴槽にひきずりこんで、沈んでしまわないよういつものように頭から全身を洗っていく。でも、手を動かしながら思った。こんなことは毎日は無理だ。それは風呂から出る時に更に思い知る。裸のままの母の体を浴槽からひっぱりあげ、車椅子にまたお姫様だっこで坐らせ、タオルで体を拭くのがやっと。一人でオムツをして、シャツやズボンを履かせるのは車椅子の上では無理なので、裸のまま車椅子に乗せて母の部屋に移動。再びお姫様だっこでベッドに寝かして、そこから体を少しずつ移動させつつ、オムツをつけ、服とズボンを履かせていく。6時半に始まったこの「作業」、終わったのが8時近く。俺の体は風呂の湯と汗とで夕立にあったようにびしょ濡れになっていた。それから母の食事の支度をする。と言ってもキャンベルのクリームスープを使ったお粥に昨日美味しそうに食べたマンゴー、それに牛乳。昨日までみたいに一人じゃ食べられないので一口ずつスプーンで食べさせる。母の食欲がちゃんとあることに一安心して寝かしつけた後、今度は俺の食欲に移る。ぐったりして食欲不振になりかけたけど、今日も午後からは芝居の稽古。本番まで後三日。ここは無理しても食べなくてはと、朝からニンニク入りカツレットを作り、サラダ、残りのクリームスープでご飯をちゃんといただく。その後、昨日月末までの振り込みを忘れていたので炎天下銀行まで。これが歩くだけなのに疲れる。ダウン寸前で戻ってきてさすがに一時間ほどベッドに倒れ込む。午後からのリハの前に朝の残り物をランチとして母に食べさせる。母はここでも食欲あり。俺は安心してリハに臨む。ちょっと前まではこの芝居を楽しみにしていた母だったが、どうやら腰を痛めていて坐ったままでいることが無理なので見ることが出来ないだろうと思う。週明けは芝居の初日、病院に連れていくかどうか迷うところだ。★テアトロジャージャン次回再演シリーズ2「音楽劇 ロバくんとポニーちゃん」(作演出・桃井章 音楽・荒木真樹彦 出演・荒木真樹彦＋桑原なお  2022年7月5日＆6日(開演19時)、7日～10日(開演14時)、なお全公演ソールドアウトになりました。以後予約される方は補助席かキャンセル待ちになります。ご了承ください。開場はいづれも30分前、 料金3500円、会場はテアトロジャージャン(渋谷区恵比寿2ー31ー3  O-KAビル3階  日比谷線広尾駅から徒歩10分、JR恵比寿駅東口より徒歩15分、都バス恵比寿三丁目下車徒歩3分)  予約お問い合わせ専用電話は090ー9964ー2231。