朝起きる。同じビルの中にいる母に電話する。モーニングコールというより生存確認コールだ。5コールから10コール位で出てくれると安堵するが、今日みたいに15コールを超えても電話に出ないと、万が一を覚悟して母の部屋に向う。ドアの鍵を開ける時は自分に落ち着けと言い聞かせる。テレビの大音量が聞こえて来る。ということは補聴器をつけてないってことで、テレビをつけ放しにして眠ってしまったということで…いやな予感を押し殺して呼びかけてみる。でも、テレビの大音量に私の声は消されてしまう。仕方なくベッドの傍まで行って、リモコンでテレビのスイッチを切って、もう一度呼びかける。すると次の瞬間きょとんとした母の顔が「何か用なの?」と聞いて来る。電話に出なかったことは言わない。テレビがつけ放しだったことも言わない。「朝だよ。おはよう」とだけ答えてから「7時半にご飯だから」と告げて部屋を出る。週に一度位はそんなことがある老老ライフ。そんなことがあっても、その後何もなかったかの様今日もまた老老ブレックファースト(焼きサバ、もずく、かぶの浅漬け、海苔、油揚げとネギの味噌汁)を食べながら、30回咀嚼運動を最近忘れてしまったねとか「まんぷく」に登場する赤ちゃんは可愛いねとか他愛のない会話をする老老ライフ。母も息子もその幸せを噛みしめている。でも、ここに至るまでには一種の破滅欲望に駆られていた十代の私をどう扱っていいか分からない母親の苦悩があり、生来の精神的脆弱さから経済的苦境と女性問題に悪戦苦闘した末に三度も結婚と離婚を繰り返す息子に呆れ果てて、手を差し伸べる気持ちを失ってしまった母親の絶望があった訳で、今の幸せはホント偶然としかいいようがない。でも、人間は偶然を必然に変える力を持っている気がする。マイナス要因も更にマイナス要因を掛け合わすとプラスに変化する。世の中の母親諸君、子供を辛抱強く見守ってくれ、なんて駄目息子の私が言えることではないのだけど。老老ディナーはハンバーグステーキに自家製ポテトサラダのワンプレート、それに市販のコーンスープを添えて。今日もお客さんからの電話はなし。先月は威張れる数字ではないけど、21人の来店者がいたのに、今月はまだ5人。これはちょっと凄い数字だ★テアトロジャージャン第十五回公演「緑のサイクリング」(作演出・桃井章、出演・浜田晃、服部妙子、佐藤由美、小松杏)日時2019年3月12日(火)~3月21日(木) 料金3500円 詳細はホームページで★テアトロジャージャンのホームページが開設されました。過去の作品や今後の上演予定作品の情報が掲載。。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます