この間の芝居「歌う女」に出演してくれた女優のNと話していると、とても不思議な気になる。というのは、少なくとも私にとってNは舞台ではとても色っぽい女優なのに、今日みたいに二人きりでバーカウンターに並んでお酒を飲んでいてもドキドキ感が皆無どころか、さっぱりとしたその立ち振る舞いは、まるで男同士でいるような気持ちにさせられてしまうのだ。まぁ、彼女にしてみれば、あんたなんかの前じゃ私の大切な色気をだしたりはしないのさというだろうし、もしも色気ムンムンで接してこられたりしたら逆に「二人の関係」が成立しないかもしれないのだからこのままのNでいいんだけど、作演出家の私としては何とかNの色気を次の作品でも出してみたいという気にさせられる。その意味でNは女優だ。反対に今日電話をくれた女優のKは日頃接している時に思わず襲いかかりたくなるような色気を発するのに、舞台で見る彼女からは全くの色気を感じることができない。その意味では私にとってKは女優失格だ。日常生活の中で色気を出しすぎてしまって、舞台では相対的に消えて見えてしまうのだろう。でも、そんな彼女だからこそ、いつか自分の舞台でこれまでに見たことのないような色気を漂わす役柄を演じさせたいと思ってしまうのは、作演出家として私が傲慢になっている証拠か?★テアトロジャージャンのホームページが開設されました。過去の作品や今後の上演予定作品の情報が掲載。jerjan-hiroo4f.jimdo.comへアクセスして下さい。