帰宅して真っ先にしたことはテレビのスイッチを入れることだった。今日は休日でお客さんがいた訳ではないのだけど、台本の直しや宣伝葉書の校正などに神経を使った為か、何だか神経が疲れていたもんだから、ウイスキーを嘗めながら「マツコ有吉のなんでも委員会」でも見て神経を休めるつもりだった。処が、テレビ画面に映ったのは以前見たことのある老婆の顔。それも微かに聞き覚えのあるポルトガル語を話している。「熱波」(ペドロコスタ監督)だった。一年半前、これは乃木坂の店が終わる四カ月前にお客さんのTさんに誘われて見た映画だ。その時はTさんの魅力に負けて、映画を十分堪能することが出来なかったけど、今日は神経が疲れ切ってはいてもひとりきり。そのまま老婆(テレサ・マドゥルガ)の物語に引き込まれて行く。そして気づいた時は3時近く。こんな日もあっていい。