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goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

健在、小さな合器

2009年09月28日 | 09 花たち



【ゴキヅル・合器蔓】ウリ科ゴキヅル属

今回、石神井公園に行くにあたっていちばん楽しみにしていたのが、ゴキヅルの花を見ることでした。
マイフィールド中で、ここにしかありませんのでね。
唯一無二の花たちには、出来るだけ会っておきたいじゃありませんか。

若干心配していたところはありましたが、杞憂でした。
気持ち、昨年よりも勢いがあるように見えましたね。 

ゴキヅルとは、昨年2年振りの再会を果たしましたが、雌花を確認出来ていなかったので、1年越しの宿題も残っています。

ウリ科の植物は雌雄異株だったり、同株でも雌雄異花だったりしますが、ゴキヅルは同株で花は別々です。

雄花

雌花

今回は、しっかり雌花を確認することが出来ました。
花が咲いている時点で、すでに子房が膨らんでいます。
これだと見間違えることもありません。

中央の大きいほうが雄花、右が雌花です。
花そのものの形態は、雄花と同じです。
花弁が10枚あるように見えるかもしれませんが、外側の萼がほぼ花弁と同じような形をしているせいです。

「ゴキヅル・合器蔓」の名前の由来になっている中央がくびれた実も、大きくなっていましたよ。

くびれのところで割れると、中には2つの種子が入っています。
この実殻を蓋付きのお椀に見立てて「合器」、蔓性植物ですので「ゴキヅル・合器蔓」と命名されました。(昨年の記事「
蓋付きの器」より再掲)

出来るなら熟れた実がふたつに割れたものを見てみたいと思っておりますが、未だ叶わずです。
下半分が自然に外れ、アーモンドに似た種子が落ち、水に浮いた種子は流れに乗って新天地を目指すんだそうですよ。

今年も、その機会に恵まれますかどうか・・・
希望は捨てていません。


今年の別嬪さん

2009年09月25日 | 09 花たち



【シロバナサクラタデ・白花桜蓼】タデ科タデ(イヌタデ)属

今年もタデ科の別嬪さんの登場です。
石神井公園で出会いました。

今まで見てきたシロバナサクラタデのなかで、今回のものがいちばん別嬪かもしれません。
全体のバランスに拘るタイプですのでね、ほどよく花数が咲いているのが、おじさん好みです。

北海道から沖縄までの日本各地、朝鮮半島、中国など、陽当たりのいい、やや湿った場所に生育する雌雄異株の宿根性の多年草です。
根茎を地中に巡らせて、生育場所を拡大していきます。

雌雄異株なんだけど、こちらはどちらなんでしょうか。

「雌花は3裂した雌しべが長くて雄しべが短く、雄花は雄しべが長く雌しべが短いのが、雌雄を見分けるヒントです」なんて、過去記事にはまことしやかに書いておりますけどね。

なんとなく雌花かなと思ったりもしますが・・・ はっきり言って判りません。
判らなくてもいいと、開き直っております。

分枝して花序が垂れるのがサクラタデとの違いとされています。
花色や花径の大きさにも違いがあります。


【サクラタデ・桜蓼】タデ科タデ(イヌタデ)属

咲き始めたばかりのサクラタデです。

花色がサクラに似ていることが命名の由来です。

自生地など、ほぼシロバナサクラタデと同じです。


 

過去の記事「早目の別嬪さん」や「噂の別嬪さん」で、両者の詳細についてはご確認ください。


石神井公園で出会ったその他の花たちも紹介いたしましょうかね。


【カントウヨメナ・関東嫁菜】キク科ヨメナ属

名札がなかったら、同定不能です。
「野菊の仲間」で充分ですけどね。



カラスノゴマ・烏の胡麻】シナノキ科カラスノゴマ属

ここ数年見てきたわが町のカラスノゴマ、昨年は種子が実る前に刈り取られてしまいました。
今年も花を見せてくれるようにとエールを送ってはいましたが、結局顔を見せてくれませんでした。



【ホトトギス・杜鵑】ユリ科ホトトギス属



クサノオウ・草王・草黄・瘡王】ケシ科クサノオウ属

ここでもまだクサノオウが咲いていましたよ。



アレチヌスビトハギ・荒地盗人萩】マメ科ヌスビトハギ属


出藍の誉れ

2009年09月19日 | 09 花たち


今回の花とは先日紹介した「野草の小道」で出会いましたが、一緒には登場させませんでした。

珍しい山野草ということでも無いので、そのうちどこかでいつかは出会うことがあるだろうと、花との関わりが深くなって以来思っていました。
願いが叶って待望の初対面を果たすことが出来ましたのでね、単独で登場願うことにいたしました。

まず花を見ていただきましょうかね。


こちらなんですけどね。

なんだよ、この花なら知ってるよ、「赤まんま」だろうって、そう思われているかた、いらっしゃいませんか?

実際私も、小道をブラブラしていてこちらの花が目に止まったときは、やけに赤っぽいイヌタデだなと思いました。
ここまで赤いものはそう滅多に見られないから、取り敢えずカメラに収めておこうかって、その程度の思いでカメラを向けました。

しゃがみ込んでピント合わせをしようとしたとき、あれ、おかしいぞってね。
イヌタデとは様子が違うことに気が付きました。

葉っぱの形がね、イヌタデとはまったく違っています。
イヌタデの葉はもっと細くて斑点が入っているものが多いんだけど、こちらは幅広だし斑点もありません。

間違いありません。
goro’s 花 Diaryには初登場の、タデ科の新人さんです。

今年はタデ科の新人さんとして、ヒマラヤからやってきた「レッドドラゴン」こと「ペルシカリア ミクロケファラ」を8月の頭に紹介しましたが、それに続く新人さんと出会えるとは、誠に嬉しい限りです。

出会ってしばらくの間は、この新人さんはどなたなんだろうと思いながらシャッターを押していました。
しばらくして、もしかするとあのおかたかな、色々な花サイトでは前から見ていて、いつか出会えるだろうと思っていたあのおかたかな、そうだよあのおかただよ、あのおかたに違いないって、ほぼ確信しました。

確信通りだったタデ科の新人さんを、紹介いたしましょう。


【アイ・藍】タデ科タデ属

藍染めでお馴染みの「アイ・藍」の花です。
日本人なら誰でも知っている藍染めの藍は、可憐なピンクの花を咲かせるんですよ。
(白花もあることは、今回初めて判りました)

「アイ・藍」は「青色」に染める色素をもった様々な植物の総称ですが、狭義というか、単に「アイ」と言うときは、タデ科タデ属の植物を指します。 
タデ科の「アイ」にもいくつかの品種があることも、今回判ったことです。

日本に存在するアイの品種は、「小上粉(こじょうこ) 赤花、白花があり、最も栽培されている」、「小千本(こせんぼん) 青茎、赤茎があり、株が真っ直ぐに育つ」、「百貫(ひゃっかん) 大量に収穫できる事からの名だが、品質は劣ると言われる」などがあるWikipediaより)

30品種以上あるらしいですよ。
今回出会ったアイは、「小上粉(こじょうこ)」と呼ばれる品種でしょうね。
葉っぱも、長いの広いの丸いの卵型など、多様です。
もしかしたら今回のものは、「マルバアイ・丸葉藍」という品種かもしれません。
どちらにしても藍染めに利用されるアイに違いはありませんのでね、「アイ・藍」で差し支えありませんよ。


「アイ・藍」はインドシナや中国南部など東南アジア原産の1年草で、日本には飛鳥時代以前に、染料や薬草として中国経由でやってきました。
染色法も同時に導入されています。

江戸時代には日本各地で栽培されていましたが、阿波(徳島)で藍染めの技術が発達したことで、徳島は一大産地になりました。
明治になって「青」の含有量の多いインドアイが輸入されるようになり、その後は合成染料が一般的になり、アイの栽培は激減しました。
近年、自然素材に対しての評価が高まり、手作りの草木染め愛好者の増加や、環境に配慮したエコブームもあいまって、各地で天然藍の復活が見られるようです。

天然藍の加工は複雑で、微妙な技術と職人の「感」が必要とされています。

春に播種し、夏7月頃に刈り取った藍草の葉を乾燥させ、室に寝かせて水を加えて醗酵させ、これを乾燥しあるいは搗き固めて、藍または玉藍として保存する。
染液を作るには、藍または玉藍を藍甕へ入れ、アルカリ(灰汁または石灰)、水、および醗酵助剤として砂糖などを加え、40℃位に加熱しておくと発酵作用によって液中に還元酵素ができ、この作用で藍の葉に含まれた青藍が白藍となる。
これに布や糸を浸し取出して空気に曝すと白藍が酸化されて青い色が染着する。(新潮世界美術辞典)

植物の「藍」が、面倒なプロセスを経て藍染めの染料として染色されているということが、大まかなところはこの説明で判りますよね。

「アイ・藍」の名前の由来は、藍色染料の材料として栽培されたことから「青色(アヲイロ)」が略されて「アイロ」となり、そこから「アイ」になったとか、単に「青(アヲ)」が転訛したとか、植物の内部に青い汁が「居る」との意味の「青居(アオヰ)」からきているなどの説が言われれています。

「タデアイ・蓼藍」と呼ばれることもあります。


「青は藍よりいでて藍よりも青し」との慣用句は有名ですよね。
荀子による「勧学篇」のなかに書かれている言葉で、弟子(子)が師(親)よりも優れていることの喩えです。
青い色は藍から作り出すが、元の藍よりも鮮やかな青色をしていることに因みます。
出藍の誉れ」とも言われます。 


そう言えば「藍より青く」っていうNHKの朝ドラがありましたよね、真木洋子主演の。
大和田伸也がブレークしたのもこのドラマです。
本田路津子が歌ったドラマの主題歌、「耳をすませてごらん」は大ヒットしました。

♪耳をすませてごらん~~ のフレーズで始まる透明感のある高音が、耳に残っています。

ドラマは天草が舞台だったと記憶していますが、タイトル言うところの「藍より青く」は、「何」が「藍より青」かったんでしたっけ?
天草の海のことでしたっけ?


野草の小道再生中

2009年09月16日 | 09 花たち



女郎花

世田谷区船橋3丁目の都立千歳丘高校脇に、野草が植えられている小道があります。
烏山川緑道に面して小道への入り口がありますが、薄暗いただの通路にしか見えなくて、油断していると見逃してしまいそうです。
小道は高校のグランドに沿うように続いています。
2mほどの道幅で、200mあるかないかといった長さですし、途中からの半分は整備されてまだ日が浅いようで、目新しさが目立ち、野草苑の趣はまだありません。

ここに野草を集めているのは、「船橋原風景の再生」のスローガンのもと、昭和20~30年頃の烏山川の風景を再生させようとの取組みのようですよ。
ボランティアのかたたちが育てているんだと思います。
あまり手が加えられていないことは、一目で判りますのでね。
原風景を再生させるには、地道な努力を気長に続けるしかないでしょうね。

これまでにも数回通り抜けたことがありますが、秋の野草チェックと、覗いてみました。
よく見かける野草がほとんどですが、それはそれでいいんじゃないかな。
殊更珍しいものを植えることも無いと思います。


【ホトトギス・杜鵑】ユリ科ホトトギス属

秋を代表する野草のひとつですが、街中でも目に付くようになってきましたね。
葉っぱが日焼けしていることが多くて、姿の美しいものには滅多にお目にかかれません。



【ゲンノショウコ・現の証拠】フウロソウ科フウロソウ属

今年はゲンノショウコをよく見かけます。
例年、赤花のほうを多く見かけますが、白花に出会う機会もそこそこありました。


側に咲いていましたので、強制的にツーショットにしちゃいました。


【イヌコウジュ・犬香需】シソ科イヌコウジュ属

日本各地や朝鮮半島、中国など、東アジア一帯に分布する一年草です。
同じシソ科で、シソとハッカを合わせたような芳香のある「ナギナタコウジュ・薙刀香需」(未見)に似ているが、見劣りして役に立たないことから、イヌコウジュの名になったと言われています。
植物名に付けられる「イヌ・犬」は、不当な扱いを受ける運命にあります。



クサノオウ・草王・草黄・瘡王】ケシ科クサノオウ属


【ヤマブキソウ・山吹草】ケシ科クサノオウ属

ふたつのクサノオウ属の黄色い花は、季節外れというか、今までよく咲いていたというか、お疲れさんというか。


オオイヌタデ・ 大犬蓼】タデ科イヌタデ属

タデ科の花たちは、今がまさに旬です。



【ムサシアブミ・武蔵鐙】サトイモ科テンナンショウ属

身近で実を見たのは初めてです。
しばらくすると真っ赤になります。


同じ場所で4月13日に撮った花です。


【ノブドウ・野葡萄】ブドウ科ノブドウ属

街中でもフェンスに絡んだノブドウを見かけることがありますが、結実前に蔓が処分されることがほとんどです。
コバルトブルーのノブドウの実には、なかなか出会えません。


篤姫御用達

2009年09月14日 | 09 花たち



【ナタマメ・鉈豆】マメ科ナタマメ属

最初にお断りしておきますが、この花に出会ったのは7月20日です。
その時点では、花名も判らないままでした。

蔓性だし、マメ科の植物だとは一目で判りますが、蝶形花は3cmほどと大きいし、なんだか角々(かくかく)した印象のある花だと思いました。
マメ科の花の持つ、丸みを帯びた柔らかさに欠けますね。

でもなんだか面白い花です。

すでに実が付いていましたが、ピロ~ンと長いんですよ。
これで30cmほどもありましたかね。

初対面でもありますしね、取り敢えずと思い、カメラに収めておきました。
他のマメ科の花たちの写真も撮り貯めていましたので、纏めて紹介出来ればいいかなと思っていました。
ところが花を取り巻く諸事情、諸条件、その他個人的な事情など諸々あって、紹介することなくきてしまいました。

8月23日に行ってみると、大きな莢に育っていましたよ。
こちらで20㎝ほどでしょうか、小さいほうです。

この時点でも、まだ名前は判っていませんでした。
調べもしませんでした。

 

花も莢も個性的だし、初対面という大きなアドバンテージを握っているわりには、ワクワクしなかったんですよ。
何故だか興味が削がれてしまい、今年紹介するのは見送るつもりだったんですけどね。


何日か前、1週間ほど前になりますか、ラジオ深夜便から「ナタマメ」って言葉が聞こえてきました。

あっ、そうか・・・ あの豆の正体は、ナタマメだったんだ

それ程、名は体を現すような豆の形です。

ご覧になってお判りのように、「ナタマメ・鉈豆」の名前は、大きな莢の形を「鉈」に見立てたことに由来します。
刀豆(トウズ・タチマメ・ナタマメ)、帯刀(タテワキ)とも呼ばれるそうです。


調べてみました。

ナタマメは、熱帯のアジアやアフリカが原産の蔓性の多年草ですが、耐寒性などの問題があり、日本では1年草として扱われています。
古い時代から栽培され、わが国には中国を経由して江戸時代の初期に渡来したとされ、主に関東以西の暖地で栽培されていました。
食用や漢方薬の原材料として利用されていたそうです。

花色は白またはピンクがあり、30~40cm、ときに50cmにもなる長くて大きな莢を付けるのが大きな特徴です。

ナタマメは、以外にも身近なところに存在していました。
若い実をスライスしたものが、「福神漬け」の素材として使われているんだそうです。
いかがですか、ご存知でしたか?
知らずに食べていたかたたち、多いんじゃないでしょうね。
ただし、安物の福神漬けには、入っていないことがあるそうです。
おじさんは福神漬けはちょっと苦手なので、食べたことありませんけどね。

福神漬
非発酵型の漬物の一種で、ダイコン、ナス、ナタマメ(鉈豆)、レンコン、キュウリ、シソの実、シイタケまたは白ゴマなどの7種の野菜類を細かく刻み、醤油と砂糖やみりんで作った調味液で漬けたもの(Wikipediaより)


以前から漢方薬としては使われていましたが、近年の健康食品のブームのなか、ナタマメは健康茶として人気があるようです。

期待できる効能
排膿、消炎、鎮咳、去痰、血行促進、腎機能向上、扁桃腺炎、痔、蓄膿症、鼻炎、歯槽膿漏、口内炎、便秘、湿疹、腎機能障害、痰の出る咳、化膿性の湿疹、アトピー性皮膚炎、中耳炎、腫れものの症状緩和


そう言われればと思い出しましたが、鹿児島産のナタマメの広告が、新聞の一面を使って掲載されていたのを、見た憶えがありますね。
鹿児島では、「タッパケ漬け」として、今でも食べられているそうです。

刀豆ナタマメ協会のサイトでは、篤姫や赤穂浪士に絡んだエピソードが掲載されていますよ。
大河ドラマ「篤姫」のなかにも、ナタマメが登場したそうですけど、憶えていません。

「ジャックと豆の木」の「豆」は、「ナタマメ」だと書かれているサイトがありましたが、真偽のほどは判りません。