禅的哲学

禅的哲学は哲学であって禅ではない。禅的視座から哲学をしてみようという試みである。禅を真剣に極めんとする人には無用である。

天然ワクチン仮説

2021-11-09 10:26:22 | 雑感
 新型コロナの感染者数の激減の原因が分からない。 「人流の減少」「感染対策の徹底」「ワクチンの効果」「天候」 など、いろいろ言われているが、どれも決定的な根拠としては物足りない。なかには、「変異することによって感染力が弱まった。」という説もあるが、これほど大規模な感染を起こしたウィルスでは変異タイプが常に並行的に存在するので、感染力の弱いタイプは単純に淘汰されるだけなので、そういうことは考えにくい。

 パンデミックにおいては、感染力に有意な差があるウィルスが併存した場合、必ず感染力の強い方が弱い方を駆逐することになる。例えば、従来のウィルスの2倍の感染力を持つ変異ウィルスが出現したと想定してみよう。2倍の感染力が2倍の実行再生産数を意味するとしたら、感染力の強い方はネズミ算式に従来型を凌駕していくことは理解できると思う。それでも、感染者数が少ないうちは、従来型も着実に感染者を増やして行くはずである。しかし、感染が広がると同時に抗体を持つ人の比率が増えてくる。そうなると、どのウィルスの実効再生産数も低下する。例えば、抗体を持つ人の比率が50%だったとすると、定員千人の劇場が満員だったとしても、感染の可能性という観点から見れば、500人しか入っていないのと同じである。密に見えても実はさほど密ではないのである。抗体を持つ人の率が増えれば増える程、どのタイプのウィルスについてもその実効再生産数は低下する。そうすれば、まず感染力の比較的弱いタイプが実効再生産数は1を下回ることになり淘汰される。つまり、最終的に残るのは常により感染力の強いウィルスなのである。

 日本人は欧米人のように握手やハグをしないしキスもしない、トイレへ行けば手を洗うし、マスクもきちんとつける。もしかしたら、体質的にコロナに対する抵抗力があるのかも知れない、ということで、第一波から第四波までは、欧米に比べると極めて小さな感染状況であった。ところが、第五波は今までとは全然様相が違った。東京の新規感染者数は連日五千人を上回り、しかも陽性率が30%を超えるという事態にまでなった。そこで考えられるのは、第5波のウィルスは今までのものに比べて、感染力が極めて強いということである。しかも、感染者数に比して重症者の比率が比較的少ない。感染力は強いが、毒性の弱いタイプのウィルスだと考えられる。

 それにしても陽性率が30%を超えているというのはあまりにも高すぎる。感染経路を全然追い切れていないということである。もともと日本は検査件数が少なすぎる。当初は「発熱後4日間は様子を見る」というような馬鹿げたお達しがあったせいで、無症状の人はもちろんのこと、軽症状の人も検査する人の割合が少なかったのではなかろうかと考えられる。第5波のウィルスが毒性の弱いものであれば、感染しても無症状の人の率が高いし、軽症の人もPCT検査をしないで済ませた人も多いのではないだろうか。その上での陽性率30%である。この数字はあまりにも高すぎる、感染経路のトレースを途中であきらめているということなのだろう。東京都の一日の新規感染者が5千人を超えたと報告された頃、新規感染者の実数は10万人以上に達していたのではないだろうか。

 以上のように考えるとつじつまが合うのである。もし私の想像が当たっていれば、7月から8月にかけて、東京都における新規感染者数の累積は300万人程度に達していたのではなかろうか? もしそうだとすれば、その間のワクチン接種状況の進捗具合からして、9月中には東京都の成人の90%以上の人が抗体を持っていたという想定が成り立つ。90%の集団免疫が出来れば、さすがに感染力が強いウィルスも実行生産数が1を下回って勢力が衰えてくるはずである。つまり、第5波のウィルスは感染力は強いが毒性は弱い、毒性が弱くても感染すれば抗体は出来るので、いわば天然のワクチンのような働きをしたとも考えられる。

 私は感染症の専門家でも何でもないので、以上のことは素人の思い付きである。しかし、理論的には全くありえないことではない。ワクチン非接種者の抗体検査をすればすぐ検証できることである。一刻も早く真の原因を追究するために、あらゆる可能性を想定して、考えうる限りの検査を実施すべきだと思う。もし、私の想定が当たっていれば、第6波は来ないという可能性もあり得る。楽観は禁物だが、そうであることを切に願っている。

※ 専門家でもないのに思い込みで「 第6波は来ないという可能性もあり得る。」などと言ってしまい、見事外してしまいました。ウィルスの変異を甘く見ていました。これからは少し慎みたいと思います。

 
横浜エアーキャビン 一日も早く日常を取り戻したい。 
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