このブログを読み続けてくれている人なら、私が石原氏とは相容れない信条の持ち主であることをご存じだろうと思う。思想信条だけでなく、いろんな面で彼と私は対照的である。慎太郎氏は男前で豪放磊落おまけに金持ちで女性にも持てる。不細工で小心翼々として貧乏で女性にも持てない私とはまるで正反対である。そんなわけで、普通は死んだ人のことを悪く言うのは慎むべきだが、ヒガミから少しケチをつけさせてもらおうと思う。どうせマスコミには称賛する声が溢れているだろうから。
石原氏は問題のある放言が多いことで知られている。「(障碍者について)ああいう人ってのは人格あるのかね」とか 「女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄」とか「俺はオカマとナマコは大嫌いなんだよ」とか、通底しているのは弱い立場の人々や女性に対して寄り添う姿勢が見られないことである。しかも謝罪しない。そういう人が政治家をするということに問題があると私は考えている。
確かに親分肌で思い切りが良い。都知事として、ディーゼル車排ガス規制を盛り込んだ条例を制定したことは、彼だからこそできた顕著な功績であると思う。しかし、彼の行った業績にはマイナス面も非常に多い。新銀行東京、築地市場の豊洲への移転、東京オリンピックの誘致など、なにもしない方が良かった政策の方が多い。
浜渦武生のような男を副知事に抜擢して汚れ仕事をやらせたのも問題だと思う。粗暴な男に権限を与えて自分は雲の上の人になったが、有能な職員はやる気をなくしてしまい、ごますりばかりが跋扈するようになってしまう。外部から来客が都知事に面会に行くと、職員に「まもなく閣下が入室されます。 直立不動の姿勢でお待ちください。」と言われるらしい。「閣下」とか「直立不動」とか時代がかっている仕掛けはもちろん当人が知らぬところで仕組まれるという設定であろうが、そういう雰囲気を醸成する人間を登用しているのは知事自身である。
もうずいぶん昔の話だがテレビで、石原氏と犬猿の仲の中山正暉元建設大臣 がすれ違うシーンを見たことがある。側近の浜渦氏が口汚く中山氏を罵っていた。それに応じて中山氏が顔を真っ赤にして怒鳴り返す。石原氏は薄ら笑いをしながら悠々と通り過ぎる。石原氏は浜渦氏を「余人をもって代えがたい」と評価していたが、汚れ役や噛ませ犬として重宝していたのだろう。
大分ケチをつけたが、石原氏には憎み切れない面もある。変な言い方だが、彼はまっとうな右翼である。日本会議に扇動されている連中は嫌韓・嫌中については熱心だが、対アメリカについては全然注文をつけない。まるでCIAのエージェントかと疑いたくなるほど、独立国として屈辱的な日米地位協定や横田空域などについては全然無視である。その点、石原氏は米国に対してもはっきりと「No」と言える真正の民族主義者であり、一定の誠実さを感じる。そういう意味で彼に魅力を感じる人がいるということも理解できる。
コメントを有難うございます。アメリカに対する態度も含めて概ねあなたの仰っている通りだと思います。日頃リベラルなことを述べているマスコミ人も石原氏に対して肯定的過ぎるのではなかろうかとこの記事を書きました。
まあしかし、彼が横田空域について言及したことは唯一右翼として評価できるのではないかと思っています。
外国で言えばプーチンとかトランプのミニ版でしょうか。
根が怖がりの小心者なのでしょうか、すぐ居丈高になります。
記者を見下ろしたがる記者会見にもその気質が顕れていますが、
見下ろされ おとなしくへりくだる記者も記者ではありました。
本多勝一氏によれば ベトナム戦中に米軍基地を訪れ
勧められるままロケット砲の発射ボタンを押し ご満悦だった由。
砲弾の先にあるものへの想像力さえない者が よく小説を書いたものです。
小説で "枯渇" し政治家に転身したと言われていることはムベなる哉!
米国に対する態度を肯定的に記されています。
「Noといえる日本」で 米国にもモノが言える人物とされています。
しかし たとえば沖縄はじめ日本における米軍・米兵の傍若無人に
石原慎太郎が何かモノを言ったことを記憶していません。
尖閣購入のようなスタンドプレイには熱心でしたけど。
他の右翼と本質的にも外形的にもかわりありません。
私には せいぜい「裕次郎の実兄」「芥川賞を貰ったこともある政治家」。
見るべき実績、評価すべき業績を存じません。