禅的哲学

禅的哲学は哲学であって禅ではない。禅的視座から哲学をしてみようという試みである。禅を真剣に極めんとする人には無用である。

統一教会と日本の政治の闇

2022-09-19 16:34:57 | 政治・社会
 自民党の旧統一教会との関係の「自主点検リスト」が物議をかもしているが、問題となっていることのポイントがずれているような気がしてならない。 茂木幹事長によれば、接点があった議員の9割近くが、相手が教団と関係しているとの認識がなかったらしい。「社会的な問題に対する我々の認識が不足していたのだろう」などと空とぼけたことを述べている。そもそも社会的な問題に対する認識が欠けているような人は政治家になるべきではない。そんなことは当たり前の話ではないか。

 重要なのは、旧統一教会のような組織に対して政治家としてどのような態度で臨むべきかということなのだ。1980年代から90年代にかけて霊感商法であれほど話題になった組織がなぜ今も生き残っているのかということが問題にされなければならないのではなかろうか。「旧統一教会の関連団体だとは知らなかったんですぅ。」で済まされる話ではない。
 
 宗教団体は政治家にとってはもろ刃の刃である。味方にすれば選挙の際には草の根として強力にバックアップしてくれるが、逆に、敵に回せば悪い風評を流される。だから、関連団体の集会に顔を出してリップサービスをするということはある程度理解はできる。しかし、多くの人々を塗炭の苦しみに陥れた旧統一教会のような組織を放置しておくだけではなく、政治的力によってその存続に手を貸した疑いがあるということが一番の問題点なのだ。

 1995年に麻原彰晃が逮捕されオウム真理教事件に一区切りついた頃、有田芳生氏は警察庁と警視庁の幹部から、統一教会についてレクチャーして欲しいと依頼があった。その際、レクチャーを受けたメンバーについては秘密にするという約束で、統一教会の現状や霊感商法、朝日新聞を襲撃した赤報隊に関する疑惑などについて1時間ほど説明したらしい。しかし、その後統一教会に対する捜査に動きはなかった。そして10年後の2005年に、レクチャーを受けた幹部と食事をした際に、有田氏が 「なぜ(統一教会をやらなかったの)か」と聞いたところ、「政治の力だ」という答が返ってきたという。

 安倍銃撃事件が勃発した時の国家公安委員長であった二之湯智氏は、2018年に「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の関連団体のイベントで、京都府実行委員長を務めたことが明らかになっている。本人によれば旧統一教会の関連団体とは知らなかったということだが、そういうのんきな人が警察組織を所管する国家公安委員長に任命される日本の政治のユルサは如何なものか。

 二之湯氏はこうも語っている。「警察としては、違法行為があれば法と証拠に基づいて適切に対処していかなければならないが、私が申し上げた(2010年)以降はそういうことがない。被害届があれば別だが、警察として特別、動きはないということです」(だから当該の組織が統一教会の関連団体とは分からなかった、と言いたいらしい。)
ところが、その発言を受けて警察庁が、あわてて2010年を最後に「検挙がない」と訂正した。実際には被害届はその後もあったのである。

以下はyahooニュースから引用する。
【 旧統一教会による霊感商法被害の根絶や、被害者の救済を目的に活動している「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)の集計では、2010年から2021年の12年間で、確認できた被害金額は138億円、相談件数は2875件にのぼる。ところが、この期間中、「検挙」はなかったわけだ。 「2005年から2010年にかけて、警察は、霊感商法による販売行為や献金勧誘に絡む物品販売について検挙し、13件で30人以上の旧統一教会信者が摘発され、逮捕・勾留されました。2009年の『新世事件』では、東京の統一教会信者2名が執行猶予つき懲役刑の判決を受けています。それが2010年以降は、一度も検挙されなくなってしまったわけです」(社会部記者)  

 相談件数は2875件にものぼっているのに1件も検挙がない。この事実をあなたはどう受け止めるだろうか? 
 
  2007年8月に安倍さんが複痛で第一次安倍内閣を放り出した時、誰もが安倍さんは総理大臣としては終わった人だと思ったはずだ。ところが約5年後の2012年12月に再び首相に返り咲くことが出来た。その力の源泉はやはり日本会議と勝共連合の草の根支持ではないかと私は思う。安倍さんの主張は日本会議と勝共連合の方針と一致しているし、SNSの中でも安倍さん支持の連中のコメントはどれもこれも論法がよく似ている。日本会議や勝共連合に感化された人々が草の根的にアンチ・リベラルな政治体制を支えているような気がしてならないのである。

煙樹ケ浜 (和歌山県 美浜町)
コメント
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